先日僕は「手伝うと助ける」というブログを書いたばかりなのに、一昨年も「助けることと手伝うこと」というブログを書いていたことに気が付いた。
なぜ、2度も同じことを書いてしまったのかと思い、早速2つを読み返してみた。
1回目は、救いの求めには答えられなくても、手伝うことはできるという話。
(https://nanoni.co.jp/20210315/)
2回目は、手伝うが自動詞、助けるが他動詞なので、自発的な手伝いが僕の性に合うという話。
(https://nanoni.co.jp/20190602/)
今日また同じことを書きたくなったのは、今度こそこの2つの言葉を見事に説明してみたいという欲求、つまり3度目の正直だ。
・
僕を説明したいという欲求に駆り立てたのには、もう一つ訳があり、それは「help(ヘルプ)」という英語の存在だ。
僕は言葉の意味を理解するのに、外国語を参照する。
言葉は世界を説明する道具だが、それは世界共通でなく、各地で様々な言葉が使われている。
言葉の意味とは、その言葉が何を指し示しているのかということなので、外国語の方が分かりやすい場合もしばしばある。
先日「コミュニティつくりの学校」というセミナーで、コミュニティの語源を紹介したのだが、それは「共同の」や「共有の」を示す「communis(コミュニス)」というラテン語だ。
これはコミュニケーションの語源でもあり、フランス語に転じて「common(コモン)」となった。
つまり、「共有することこそが、社会を形成している」ことに、僕は気づかされた。
・
だが逆に、外国語だからこそ難しさに気付かされることもある。
翻訳ソフトを使って「助ける」と「手伝う」を調べたところ、その答えがどちらも「help」だった。
つまりhelpは助けると手伝うの双方を包括する言葉であり、そんな日本語は見当たらない。
日本人の誰もが「手伝うと助ける」を的確に使い分けるならいいのだが、もしそうでないならばhelpに相当する言葉があってもいいはずだ。
ご存知と思うが、精神分析学者の土居健郎により1971年に出版された「甘えの構造」は、筆者がアメリカ留学時代に、「”甘え”に該当する言葉が他言語に見つからない」ことに着目したベストセラーだ。
つまり、「help」が日本にない概念なら、「甘え」は日本にしかない概念と言える。
われわれ日本人から見れば「甘え」を誰もが知っているように、アメリカ人ならだれでも「help」を知っている。
同じ世界に生きているのに、世界を見るまなざしが違うということなのか。
・
そこで今日は、この問題に挑戦して、たどり着いた答えが冒頭のイラストだ。
まず思いついたのは、「助ける+手伝う=HELP」という数式で、HELPは2つの概念をまとめている。
先ほどの翻訳ソフトによれば、「助ける⇒help、rescue」、「手伝う⇒help、assist」という具合に、それぞれの英語が存在する。
つまり、HELPに該当する日本語が見つからないのは明らかだ。
そこで僕は、これを1枚の絵で表すことにより、HELPを日本人に説明する。
ご覧の通り、「助ける」はゴールから引っ張って救うことで、「手伝う」はゴールに向けて後押しすることだ。
これを一言で言い表すなら、「援助」に近いかもしれないが、残念ながら援助を翻訳してもhelpは出てこない。ならば言葉を探すより、この絵を見た方がHELPを頭に描くことができるので、今度は外国人にこの絵を見せて意見を聞くのが楽しみだ。。
・
このように、ある概念を言葉でなく図で示すことを「インフォグラフィック」と言うそうだが、言葉を図のように使うことも含まれる。
よろしければ、こんな気付きのインフォグラフィックを集めた「世界学(https://nanoni.co.jp/juku/e000/)」も、ご笑覧いただきたい。