安住のリスク

3月は確定申告の時期ということもあり、個人起業の相談が増えてくる。

それは、企業の正社員や派遣社員として働いてきた人たちが、独立したり新たな兼業を始めることで給与以外の報酬が発生し、初めての確定申告をすることで「」を強く意識することになるからだ。

これは本来の起業とは程遠い単なる手続き論に過ぎないのだが、「所得と税金の関係を知り少しでも無駄な税金を払いたくない」と考えることは、大切な「自立への第一歩」だと僕は考える。

常々僕は、日本政府の財政破たんによる行き詰まりを指摘しているが、税金を払うことは、破たんする政府の延命を図るに過ぎない。

節税を考えるあなたには、単に「手取り収入を増やすため」でなく、「放漫経営で破たんしている政府や行政から少しでも自立するため」に起業して欲しいと僕は思う。

起業による節税には、次の3つのやり方が考えられる。

まず初めに仕事で使った経費を計上して収入を減らすこと。

稼いだお金をすべて貯金する人などいるはずないので、「仕事のためにお金を使う」というよりは、「使ったお金を仕事に活かす」と考えて欲しい。

次に「青色申告」で65万円の控除を受けること。

これは個人事業主の特権で、きちんと経理を行えばいいだけのこと。世界のだれもがやっている複式簿記を恐れるのは愚かなことだ。

そして最後に「法人から給与をもらい、社会保険に入ること」。

給与所得には最低でも65万円の給与所得控除が認められ、そして国民健康保険と違い社会保険は所得から控除できる。さらに誰でも該当する基礎控除38万円を加え、起業して個人事業者として青色申告し、法人で社会保険に加入し給与をもらえば、「168(65+65+38)万円+社会保険料」まで所得税がかからないことになる。

細かい説明は個別に対応したいので気軽に問い合わせて欲しいが、ここで肝心なのは、会社勤めと個人事業の2足のわらじが、両方のメリットを受けて一番節税になるということだ。

僕はこれを「国は2足のわらじ起業を推奨している」と勝手に解釈したい。

実際日本の税制は「法人と個人」に大別され、双方から法人税と所得税を取る仕組みとなっている。

だからよく「法人と個人のどちらが得か?」という質問を受ける。

確かに売上が大きくなればその比較は意味を持つが、売上が小さいうちは税負担よりも控除を使うことの方が確実で、法人税と所得税双方の控除をフル活用するのがベストということになる。

健康保険についても同様に、個人事業者用の国保とサラリーマン用の社保に分けられる。

一般的に国保の方が得だと思われがちだが、社保のように控除できないし、所得の控除は所得税だけでなく市民税の方にも影響する。

このように、確定申告に税制の仕組みが見事に組み込まれているのは当然だ。

だから、確定申告をしたことのない人は、この仕組みを実感する機会を逸していることになる。

だからまず、サラリーマン諸君にこそ「」をお勧めしたい。

例えば毎月外食費がかさむ人は、グルメ評論家として起業し、食費を取材費に計上することを提案する。

毎月衣装や化粧品代がかさむ人は、俳優やモデルとして起業することをお勧めする。

先ほどの、「仕事のためにお金を使う」というよりは、「使ったお金を仕事に活かす」とはそういうことだ。

そして必ず自分で青色申告をすること。

そのためには、会社に兼業を認めてもらう必要があるが、あなたの趣味のようなビジネスを認めない会社など、いつまでいられるか考えた方が良いかもしれない。

一方、すでに起業し個人事業者として確定申告している人には、絶対に青色申告をして欲しい。

そして、できることなら小さな法人を作り、社会保険に加入するといい。

今僕は、起業家が集まって会社を作り、そこで事業連携や事務作業の効率化を図りながら、社会保険にも加入するスキームを準備している。

現に僕の所属する「株式会社なのに」という会社は、僕の家族が自由に働きながら楽しく暮らすことを目指した会社で、すでに上記のスキームを実現している。

同業者の集まりや、互いが補完関係にあるような集まりなど、個人事業者同士の協力関係によって、様々な会社が考えられる。

実は先日、数年前就職のために㈱なのにを退社していった息子が「なのにに入れて欲しい」と言ってきたことが今日の話のきっかけだ。

就職した会社を辞め、個人事業者として確定申告しながら、彼はこの問題に気付いたという。

僕自身これまで個人事業主になったことがなく、まさに目から鱗の話だった。

僕は今日の気づきを「安住のリスク」という言葉でまとめたい。

それは、同じ処にいつまでも留まることで大切なことを見なくなること。

決して居心地が良いから怠けるのではなく、動かないこと自体がリスクを生む。

その意味で、2足のわらじは大切なことだと気が付いた。

安住の地とは、そこでのんびりするのでなく、常に探し続けるべきものなのかもしれない。

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