貧乏自慢・その1

金持ちと貧乏って何だろう。
もちろんおカネをたくさん持っている人が金持ちで、おカネをあまり持っていない人を貧乏というのだろうが、この言葉にはそれどころでは済まされない強い意味が込められており、金持ちをさらに強調して富豪と言えば、貧乏との対比は明確だ。
そこにはそもそも「金(カネ)」は見当たらず、量の対比でなく善悪や強弱を意味することは明らかだ。
この対比からでは、貧乏を目指そうと思う人など現れるはずがない。
だが、そもそも正しさとは目的によって決まることを思い出して欲しい。
僕はよく、小田急線に乗るときに富士山に行きたければ小田原方面だが、エベレストに行くなら新宿方面に行くのが正しいという。
つまり、誰もが貧乏を嫌い金持ちを目指すのは、金持ちが良くて貧乏が悪いからでなく、「そう思わされているから」だと僕は思う。

なぜいきなり、こんな話をするのかというと、僕自身が「金持ちを目指さない貧乏」だからだ。
もちろん以前は、僕も金持ちが良いに決まっていると思っていたし、貧乏になりたいなどと考えたことも無かった。
だが、初めてそこに疑問を感じたのは、会社を潰した時のことだった。
僕が、少しでもましな会社の潰し方を模索した自慢話でなく、その時僕の中で起きた革命的な変化について話したい。
1999年僕は42才で、カミさんと中3、中1の二人の息子と4人で暮らしていた。
小さな建設会社ではあったが、社長の給与は息子たちを私立に通わせるには十分だった。
それが、メインバンクの破たんに伴いみるみる信用不安が広がって、2か月足らずで会社は破産手続きを開始した。
すでに、返済を終えたばかりの小さな自宅は売却し、手元には約30億の保証債務だけが残った状態だった。

早速始まったのは、旧会社の破産手続きと新会社の立ち上げという真逆な作業の同時進行だ。
会社も無いのに仕事を続けるゲリラのような事務所に毎日出勤しながら、裁判所の呼び出しに丁寧に対応すると、担当判事から「潰れた会社の社長さんが自ら対応してくれて本当に助かります」と褒められてビックリ。
そして、倒産で中断していた建設工事を下請けさんを説得しながら順次再開し、完成引き渡しの際には関係者一同これまで経験したことのない喜びに包まれた。
これまで、良くないこと、避けるべきことと思い込んで来たことが、どれも形を変えて素晴らしいものになっていくプロセスを知ることで、「思い込みを疑うこと」が習慣化されていった。
やがて、こんな状況を見ていた昔の顧客や取引先から、「ぜひあなたの経験を当社に活かして欲しい」と依頼され、コンサル的に雇われるようになってきた。
僕の定価:5万円/日は、この頃に生まれ、定着したものだ。

こうして僕は、再びお金を稼ぎ始めたのだが、30億の保証債務については一切返済の意思が生まれなかった。
新会社で平社員としてつつましく働いているのに、信用保証協会からは顧客の補償にクレームを付けるなどの嫌がらせも相次ぐようになったため、これ以上迷惑をかけないために2005年に退職した。
ちょうど世田谷ものづくり学校の立て直しを引き受けたところだったので、しばらくはそちらの運営会社に身を置いたが、また債権者からの嫌がらせに逢わないためにも独立しようと判断し2006年に「株式会社なのに」を設立した。
こちらはご存知の通り、カミさんが社長・大株主、二人の息子が取締役で、僕が平社員としてこき使われる家族法人だ。
全ての収入は家族に捧げ、僕は小遣いとして少額の給与を頂き、それで活動するようになった。

ここから僕の貧乏が本格的にスタートした。
30億の保証債務は10年目の2009年に時効を迎えたが、援用手続きが面倒なので、放ったらかしだが、家族会社だと、雇用保険に入れてもらえない(解雇されない)ので、面倒な労務管理を省くため僕も取締役になった。
それ以降、僕の給与は6万円を超えたことはなく、全ての収入は(株)なのにの売り上げにしている。
やがて、世田谷区の依頼を受けて起業・創業支援事業「せたがやかやっく」を立ち上げて、無一文から始める起業について教え始めたところ、交流会には区民だけでなく区役所の予算不足の職員が集まって、おカネをかけないまちづくりに取り組んだ。
そして、大勢のチャレンジングな老若男女と知り合う中で。笑恵館オーナーのTさんと出会い、一般社団法人日本土地資源協会を立ち上げた。
そして現在に至るまで、非営利法人による事業展開にのめり込み、「営利=会社・非営利=社会」の対比に気が付いた。

先週はいろいろあって、ブログに向き合う時間が取れず、メルマガ発行まであと10分になっちゃった。
という訳で、今日はこれまで、続きは来週のお楽しみ。

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