初めての終わり

2017年60歳になった時、僕は自分の活動寿命を70歳と仮定して、死んでも悔いの残らぬようそれまでにやるべきことをやり遂げようと決意した。
翌年2月1日より、僕はfacebookで「謹賀新月」の挨拶を開始して、何事も年単位でなく月単位にスピードアップするよう頭を切り替えた。
2025年の7月1日、僕はそれまで風呂敷を広げ続けた「㈱なのに」、「アントレハウス」、「ランドリソース」の3つの取り組みを「実現倶楽部」に統合し、自分のテーマを脳内の夢を現実世界に具体化する「実現」に絞り込んだつもりだった。
しかし現実には、自分の夢の実現に挑むすべての人をサポートしたくなり、活動は収束どころか発散するばかり。
そこで、今年の年賀状で「70歳まであと15か月」と宣言し、昨日いよいよ69歳の誕生日を迎え、70歳まで残り1年を切った。
先月母を見送って、松村家の年長者(次に死ぬ人)となった今、いよいよ終わりが見えてきた。

そんな中、先日笑恵館オーナーのYTさんから、あと数年で笑恵館を終わらせたいと相談を受け、僕は母の死以上に衝撃を受けた。
それも、笑恵館の永続活用でなく、笑恵館を「終の住み家」にすること自体を考え直したいと言うから驚きだ。
そもそも僕が土地資源(ランドリソース)の永続利用に取り組み始めたのは、YTさんからの相談がきっかけで、そこでの学びと経験が「地主の学校」の出版に結実した。
先日見送った母の自宅看護にこだわったのも、笑恵館が目指す「終の住み家」を実践してみたかったからだ。
そんな僕の原点ともいえる笑恵館が頓挫するなど、万死に値する失態だ。
すべては、僕がチンタラやってるせいで、YTさんに実現イメージを提示できずにいるためだ。
この課題を解決することこそが、僕の最終かつ最重要ミッションだと気が付いた。
それは、YTさんの心変わりを思い留まってもらうことでなく、YTさんのような土地所有者に、土地を手放さず使い続ける選択肢を分かりやすく提示することだ。
なので、今日はラストスパートの準備を兼ねて、頭の整理をしてみたい。
(と、これまでこの作業を怠ってきた自分が、本当に情けない。)

僕はこれまで何かを提案するときは、まず理由を説明し、そこから生まれた目的に合意や賛同を得ることで、自発的かつ積極的に取り組んでもらえるよう心掛けた。
だが、その理由から生まれる目的は、常に成長拡大し続けて、次第に明確化する世界を変える壮大なビジョンに、僕は自惚れ酔いしれる。
やがてその道のりの困難さに甘え出し、わずかな前進に満足してしまい、いつしかゴール到達にこだわらない自分に変化する。
今回その減速に気づいたので、再度アクセルを踏みこんで、たとえそれが途中の通過点であってもそこへの到達にこだわりたい。
そこで、今日の僕はあえて理由や目的を語らずに達成すべき次の3つの目標を、原因と結果だけで説明したい。
1.土地資源の永続活用(国づくり)のイメージ
2.日本土地資源協会(脱相続)のイメージ
3.土地資源活用の普及(永続化)のイメージ

土地資源の活用とは、土地とそれに付随する地中の埋設物から地上の施設や動植物、景観や環境、そして思い出や願いに至るまですべてを、放置しないこと。
日本では、明治維新が始まるまで、数千年かけて、ほぼ全国を人間主体の国土に作り上げてきたが、明治維新をきっかけに急激な近代化が始まった。
国土の開発と利活用が一気に加速して、人口も4倍以上に膨れ上がって発展するが、やがて経済成長はピークを迎え、人口は減少に転じ、バブル崩壊により土地神話も消滅して、今ではクマにおびえて暮らしている。
数字上の経済成長は続いているものの、都市と郊外、貧富の格差は広がるばかりで、大多数が平均以下になる衰退が進行し、明るい未来が描けなくなっている。
土地資源の永続活用とは、自分の土地を改善し続けることで明るい未来を描き続ける取り組みだ。
それはまさに、漫然と周囲の変化に身を任せるのでなく、自分の身の回りを小さな国と考えて理想の国にしていく「国づくり」で、明治以前の全国で誰もがやってきたことだと僕は確信する。
終の住み家にするために、妹宅のホスピス化を開始して、自分の最期(死)のシミュレーションとして僕は母を見送った。
このように、夢は実際に試したり繰り返すことでしか、実現はもちろんのこと継続しないと僕は思う。

こうした国づくりを推進するために、僕は日本土地資源協会(以下LR)を2012年に立ち上げた。
笑恵館から始まったこの仕組みには、名栗の森、ふきの庭、一宮庵などが加わっている。
国づくりのやり方は、すべてが独自で千差万別だが、それをやり続けるために欠かせないのは、土地を永久に所有し続ける仕組みとそれを担う仲間達だ。
幸いなことに日本国内では、土地所有に必要なのは固都税(固定資産税と都市計画税)を収めるだけなので、まずは固都税相当額をねん出する仕組みを構築することが、国づくりの第一歩だ。
そしてその土地資源を法人が所有することで、所有者が死亡するたびにその存続を脅かす相続制度から解放され、終わらない国づくりが実現する。
LRには、すでに「国づくり」に賛同する土地所有者が集まって、自分の土地資源をLRに賃貸する「賃貸借による所有権取得契約」を締結している。
これは、将来法人としての自分が個人の自分から自分の土地資源を譲り受けるための練習なので、それがLRでなくても構わない。
つまりLRは、こうした土地保有法人を自分で設立せずに、仲間と協力し合う人々の集団だ。
そして、それを担う仲間はすでに集まっているので、あとはその仲間がいなくならないよう、後継者を育てれば良い。

僕がこのやり方を広めることで、LRの組織や土地資源の運営(国づくり)を担う後継者を集め育て、この仕組みをより多くの人に真似てもらって小さな国づくりを増やしたい。
募集するのは次の人たちで、さっそく具体的な説明会や募集要項を作成し、普及活動に着手する。
・自分の土地資源を使った国づくりを手伝って欲しい所有者
・他人の土地を使って行う国づくりを提案したい使用者
・誰かの国づくりのために自分の土地や財産を役立てて欲しい寄付者
・国づくりの担い手や支援者になるために学びたい全ての人
すでに2,500字を超えてしまったが、ようやく自分の最後が見えてきた。
あとは締切を守るだけ、こんな気分は初めての体験、まさに初めての終わりかも。