自分の遺言②

先回、遺言は「15歳以上の誰もがもしもに備えて書くべきもの」としたが、今日は僕自身の遺言について考えたい。
ついつい回り道して迷子にならぬよう、それが周囲に与える影響や、法的な効力は後回しにして、まずは「何を言い残したいのか」から始めよう。
言い残すとは、僕自身がいなくなることを意味しているのだが、その意味で僕は日常頻繁に言い残している。
「行ってきます」は出かける自分の宣言だが、「後はよろしく」は残った人への言い残しだ。
ここでふと、違和感を感じたので早速辞書を引いてみると、「言い残す(いいのこす)」とは、話し終える前に言葉を途中でやめること、または別れ際や死ぬ前に相手に伝えておくべきことを残しておく(言っておく)という意味だ。
つまり、自分自身が言うべきことを「残しておく」あるいは「言っておく」を指していて、後者の「言っておく」あるいは「書いておく」のが遺言だと僕は思う。

そこで次に気づいたことは、「言うべきこと」を「やるべきこと」に置き換えて「やり残す」の扱いだ。
自分が「やり切れずに残してしまうこと」もあれば、「あえてやり終えずに残したこと」もあるかもしれない。
「前者の完遂」と「後者の継承」を依頼することも、言い残すべきことに違いない。
むしろ「言うという行為」を「やる」に含めて考えれば、この解釈がしっくりくる。
僕が言い残したいことは、「やり終えていない途中のこと」と、「やり終えずに残したこと」を列挙することから始められそうだ。
ちなみに、一般的な遺言内容である相続については、この解釈にあてはまるだろうか。
相続とは、死亡を原因とする継承のことであり、生前であればこれを贈与と呼んでいる。
僕はいつ死ぬかわからないという意味では、遺言は即刻作成すべきとなるが、たとえ死亡しなくても、病気や障害など、引き継ぐ必要に備える必要があるかもしれない。

それではさっそく、やり残しの列挙に取り掛かり、大見出しから始めて全体像を俯瞰したい。
まず、僕のすべての取り組みは、相手に対し僕が取り組んでいることと、自分に課して取り組んでいることに分けられる。
相手がいる場合、言い残せるのはこちらの指示や願いであり、その扱いは相手が決めることになる。
一方、相手がいない自分のことを言い残すには、言い残すことごとに相手を定める必要がある。
こうして考えると、やり終えること以外のすべての物事には、その引継ぎを託すべき相手が必要となるわけだ。
人は一人で生きられないとは、まさにこのことだと気づくと同時に、誰もがこれらに対するフォローを公に求めていると理解した。
また、多くの人が年を取るとともに自分の活動を縮小し、やり残しを減らしているのに対し、僕は年とともに新たな課題に気づいてしまい、やり残しは増える一方だ。
でも、このブログをはじめとする様々な発信や、新たなビジョンの提言は、すべてが僕の遺言でもあることに気が付いた。
こうなると、僕の言動の日時や順序が重要で、日々の「更新(書き換え)」を死ぬ直前までやめられないと気が付いた。

相手がいる対外的な取り組みは、日々遺言を書き散らかしているとして、次に自分自身の問題を考える。
まず、他人の継承が不可欠な物事と、そうでないものに分類しよう。
債権債務などの権利関係や物理的な処理を必要とする物事は、必ず誰かの損得に関わってくる。
自分の体や持ち物をはじめとするすべての所有物や貸借関係は、自分がいなくなると同時にその処分が必要となる。
大金持ちやごみ屋敷の住人はその処分を先延ばしにして、身軽な人はその処分をてきぱきこなしているにすぎない。
現状の僕は、3年前にすべての所持品を6畳間に収まるように断捨離し、身軽な貧乏になっている。
そして、もしも財産を所有するなら個人で所有せずに仲間と総有するための法人(LR)を作り、そんなやり方の普及に取り組んでいる。
厄介なのは、僕を支え救ってくださる方たちへの迷惑のバラマキだ。
僕の遺言は、専ら想定される迷惑を列挙して、それらに対する対処法の希望を書きたいと思う。

結局、ここに自分の遺言を披露するまでには至らなかったが、その指針はかなり明確になった。
まず大切なことは、いきなり財産の列挙とその処分法を述べるのでなく、自分のやり残しに関する全体像を示して、自他ともに俯瞰できるようにすることだ。
やり残しとは、あくまで今現在のものなので、常に変化に対応して更新し続けなければならないはずだ。
もしかすると、これこそが遺言作成を先延ばしにする最大の要因で、これを克服するためには未来のやり残しを予見するしかない。
だが、これこそが「やり残し」を「尻ぬぐい」にするか「プレゼント」にするかの分かれ道だ。
「子供たちで仲良く分けなさい」でなく、「力を合わせてすばらしい家にしてください」と、あえてやりかけで引き継ぐことを、心がけていきたいと思う。

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