自分の遺言①

先日LR(日本土地資源協会)の臨時総会で定款を変更し、事業内容に「遺言書の作成支援及び遺言の執行」を追加した。
この意味や経緯については、すでに幾度も書いてきたので、今日はこれからについての話をしたい。
そもそも遺言が大切なことは周知の事実だが、誰もが書いているかと言えば、決してそんなことはないし、大多数の人が他人事だと思っている。
僕が偉そうに断言するのは、僕自身自分の遺言書など考えたことすらないからだ。
だが、そんな人が「支援や執行を致します」と言ったところで、信用できるはずがない。
そこで僕は頭を切り替えて、自分の遺言を考えることを流行らせてみたいと思い立った。
一言で言えば、「誰もが”遺言”書いてみよう!」的なイベントを、やりまくりたいと思っている。
そこでまず、僕自身の遺言について、具体的に考えてみることから始めたい。

まずは、遺言書の書き方についてのおさらいから。
法的に効力のある主な内容は次の通り。
相続に関する事項
1.相続分の指定:法定相続分と異なる割合を指定するため。
2.遺産分割方法の指定:誰にどの財産を相続させるかを具体的に指定するため。
3.不動産:所在地・地番・家屋番号を特定するため。
4.預金:銀行名、支店名、口座番号など残高を確認するため。
5.遺贈:特定の人物や団体に財産を贈与(寄付)するため。
6.相続人の廃除・廃除の取り消し:特定の相続人を相続権から排除または回復させるため。
身分に関する事項
1.子の認知:法律上の親子関係を発生させるため。
2.未成年後見人の指定:未成年の子の後見人(親代わり)を指定するため。
その他
1.遺言執行者の指定:遺言の内容を執行する人を指名するため。
2.生命保険金の受取人変更:保険金の受取人を指定するため。
3.財産目録:遺言者の署名と押印が必要。

そして、法的な効力はないが相続人の気持ちを和らげ、相続争いを防ぐために有用な「付言事項」としては、「感謝の気持ちや思い出を伝える」や「財産配分の理由を説明する」などが考えられる。
また、遺言書作成時の注意点は次の通り。
1.正確な記載:相続トラブルを避けるため、財産を特定できる具体的な書き方を心がける。
2.作成日付の記載:日付は「2025年11月吉日」のような曖昧なものではなく、必ず具体的な年月日まで書く。
3.署名と押印:戸籍上の氏名で署名し、実印を押印することが望ましい。
4.共同遺言の禁止:夫婦など複数人で1つの遺言書を作成することはできず、個別に作成する必要がある
こうして眺めると、「身分2.未成年後見人の指定」のような子育て中の必要事項は、事故死など突然死の可能性を思えば、健康な若者にも必要だし、「付言4.共同遺言の禁止」は全ての人の独自作成を求めている。
つまり、遺言書の作成は、法的にもすべての成人に求められていると言えよう。

さて、遺言の骨子は、財産の内容とその相続人、つまり「自分の死後、何を誰に託すのか」ということになるのだが、「死後」とは「遺言の成立」ではなく「遺言を執行する時」を示している。
ちなみに「自分で作成する遺言書(自筆証書遺言)」の「成立要件」は次の8つだ。
a.遺言時に15歳以上であること
b.遺言時に意思能力があること
c.全文自書であること(添付の財産目録以外)
d.作成した日付があること
e.署名があること
f.押印があること
g.所定の方式で変更されていること
h.遺言の趣旨が解釈可能であること
先ほど成人と言ったが、それは「a.15歳以上」に訂正だ。
そして、極めて重要な「b.とh.」こそが、今の僕を突き動かしている。

まずb. の「能力」の定義は「自分の行為(例:契約など)が自分自身の権利や義務をどのように変動させるかを理解できる能力」であり、意思能力がない状態の例として「幼児、重度の認知症患者、泥酔者、重い精神疾患を患っている方」などが該当する。
幼児と泥酔者は除外すれば済むことだが、認知症や精神疾患の程度の基準はかなりあいまいだ。
この意思能力が基準以下に低下すると、補佐人や後見人による代理権が行使され、本人の意思表示は無効とされてしまう。
つまり、遺言や契約などの法的意思表示の効力は、保証されていないことになる。
さらにh.の「解釈可能」とは、遺言で述べている内容の問題だ。
内容の善悪や適否でなく、解釈可能性つまり国語力の問題だ。
自分の言いたいこと、伝えたいことを文章にできるのか、それ以前に、自分の意見があるのかどうかが問われている。

これに対し、LRメンバーのKKさんから、最高裁判所、厚生労働省及び専門職団体のワーキンググループが策定した「意思決定支援の基本原則」が示された。
1.全ての人は意思決定能力があることが推定される。
2.本人が自ら意思決定できるよう、実行可能なあらゆる支援を尽くさなければ、代行決定に移ってはならない。
3.一見すると不合理にみえる意思決定でも、それだけで本人に意思決定能力がないと判断してはならない。
補佐人はもとよりたとえ後見人であろうとも、安易に代行決定してはならないと述べている。
そこで我らLRでは、定款第8条(会員の資格喪失)から「成年被後見人又は被保佐人になったとき。」という条項を削除して、全ての人に意思決定能力があることを前提に「誰もが”遺言”書いてみよう!」をスタートしたいと思う。
そこでまず、僕自身の遺言について語ろうと思ったけど、今日の所はここまでにして、続きは次回のお楽しみ。

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