大勝の代償

先日実施された衆議院議員総選挙について、思うところがたくさんあるのでここに書き留めたい。
僕の最大の関心事はもちろん選挙結果だが、その当落や勝敗については興味がない、というか、ここで論評する必要は感じられない。
だが今回の選挙で起きるべくして起きたことや図らずも起きてしまったことが、実現に取り組む僕にとって重大な意味を持つなら、それを書き留めておきたいと思う。
まず、先日のブログにも書いた通り、そもそもこの解散は法的に不可思議だ。
衆議院議長が「憲法第7条に基づき解散する」と詔書を読み上げたが、7条はこの詔書に天皇が署名捺印することを定めただけで、総理大臣が勝手に決めていいとか、議長がそれを読み上げるとかどこにも書いてない。
衆議院の解散を定めるのは第69条のみで、それは内閣不信任決議に伴うときだけだ。
こうした憲法の捻じ曲げについては、後ほどもう少し話したい。

さて、ふたを開けてみれば、「総理は私か私以外か」と分かりやすくて中身の無い高市総理率いる「自民+維新」の与党グループに対し、「立憲+公明」が急遽「中道」と名乗る新党を立ち上げて立ち向かったが、結果はご存じの通り自民の歴史的圧勝というか、中道の壊滅的敗北で幕を閉じた。
最終的な議席数は、自民316議席で、定員465議席のなんと68%を占め、単独過半数どころか2/3を超える戦後初の快挙となった。
ちなみに、世田谷区に住民票を置きながら大田区に暮らす僕として、今回の選挙で初めて不在者投票に挑戦し、大田区の投票所で世田谷の友人に投票したが、中道に所属する彼は選挙区で落選し、開票の終盤にようやく比例で生き延びた。
今回の選挙では比例区で38%しか当選できなかった自民が小選挙区のなんと86%の議席を占めている。
比例区が投票数に比例するのに対し、小選挙区は候補者が多いほど死に票が増えてしまう欠陥が、見事に表れたと感じ、その得票数を調べると、さらにとんでもない事実に行きついた。

自民党は衆院選の比例代表で2102万票を得たので、本来得られた比例議席は81だったのに、重複立候補者が小選挙区で相次いで勝利したため、獲得議席が名簿に載せた候補者を上回る「名簿不足」が発生。
計14議席を他党に譲ったために、獲得議席数が67になってしまったという。
その結果、中道改革連合の長妻昭氏や西村智奈美氏ら6人、日本維新の会、国民民主党、チームみらいの各2人、参政党、れいわ新選組の各1人が自民から議席を譲られる形で当選した。
もちろん僕の友人もこれに含まれるので、彼の当選はまぐれとしか言えない。
一方で、自民党の候補者は比例名簿に載らない新人1名が落選しただけで、裏金議員も全部当選。
さらに言えば、初当選の新人議員が66名も居て、この人たちの教育をどうするのかが悩ましい。

選挙結果で大切なのは、もちろん自分の一票がどう役立ったのかとは思うが、もう一つは全体としてどうなったのか、これからどうなっていくのかということだ。
その意味でまず、僕は比例で自民の候補者が充足し、すべての票が結果に反映した場合の想定議席数を計算して表にした。
各党の獲得議席数でなく獲得票数の本当の結果は、こちらの表の通り自民330の大圧勝は間違いない。
小選挙区制が比例区の議席数までをもゆがめてしまう現実を、僕はここに書き留めたい。
さらにその上で、こうしたほぼ一党独裁がもたらす課題が「憲法の変更」であることは間違いない。
国会には憲法改正を行う権利はなく、その発議つまり提案するのに3分の2以上の同意が必要だ。
これは、我々が運営する様々な法人においても同様で、定款や規約の変更には、構成員の3分の2以上の賛同が必要だ。
つまり、今回の選挙結果は、憲法の議論が確実に始まることを意味しており、僕はその議論が大いに楽しみだ。

先ほど、自民党の新人議員が66人もいると述べただ、その他の会派も含めると、衆議院全体で106人の新人がいると言う。
参政党やチームみらいなどをはじめ、こうした素人議員たちこそが、知ったかぶりをせず国民と同じ目線で仕事をしてほしい。
今回の選挙結果は、腐敗、なれ合い、知ったかぶりの政治屋を排除して、自民党に数の良い訳ができないように大勝ちさせたと考えたい。
そして、憲法を立法・行政・司法を縛る制約ではなく、目指すべき理想と捉えたい。
現実に合わせて理想を妥協するのでなく、より高い理想を掲げるための改正を目指すべきと、僕は思う。