インフルに学ぶ

第4木曜日、17時からの笑恵館運営会議で「悪寒がひどいので早退します」と皆さんに詫びて、早々にメゾンふきに帰宅した。
やっとの思いで探し出した体温計で測ってみると、案の定38.4度。
ゆるい家族とは言え、他人の同居者には感染せぬよう細心の注意が必要で、僕はみんなが寝た後自分の冷蔵庫と電子レンジそして外出靴を自室に持ち込んで、トイレ以外は部屋から出ないことにした。
翌朝、近所のHクリニックに問い合わせ、予約不要が確認できたので、自室から直接庭に出て歩いて行った。
カーテンで細かく仕切られた小さなブースでしばらく待つと、担当医がやってきて鼻の奥まで検査棒をぐりぐり突っ込む。
その後15分ほどで「松村さん、ちょっと季節外れだけどインフルエンザB型です。抗ウイルス剤(タミフル)と、感染症併発に備えて抗生剤、その他鎮痛剤や咳止めを処方しますから、今日から5日間は部屋から出ないで、家族ともスマホを使って会話してください」と言い渡された。
と言う訳で、処方薬を飲むためには、少なくとも朝夕きちんと食べなければならないので、二日分の食材を買い込んで帰宅した。

さて、まずやるべきことはこれから5日間の予定をすべてキャンセルすることだ。
幸い金と月にはまだアポがなく、土・日・火に対処できれば済みそうだ。
まず土曜日の笑恵館勤務については事務局に連絡して交代を要請、即座に「何とか致します」との返信があった。
次に日曜日の「名栗の森現地見学会」は、当日のアシスタントを兼ねて往復ドライブしながら議論したいというSOさん、説明会に参加して下さる近所の施設管理者のお二人と、入会希望者の方たちに「インフル感染により今回中止」とお伝えした。
そして火曜日訪問予定の世田谷方面各拠点にも、同様の連絡をしたところ、必要なやり取りはオンラインで凌ぐことに落ち着いた。

こうしてグーグルカレンダーが5日間空白となり、まるで年末年始が来たようだ。
だが違うのは、ここに予定を入れないのはもちろん、実際に何もしないようにすることだ。
結局僕は、この5日間にやるべきことや、やりたいことを書き出して、それらをすべて6日目以降に予定する作業を開始した。
その結果、どうしても移動できなかったのは、火曜日夜のオンライン会議と、このブログの投稿だ。
火曜日朝のメルマガ発行に間に合わせるには、月曜中に書けばいい。
こうして、5日間の予定は2件を除いてすべて消去することができた。
さあこれで、「この5日間、何もせずに暮らせるぞ」にたどり着いた瞬間、僕は初めて病気に対峙する自分に気が付いた。
決して仮病やサボりでなく、病気との闘いなんだという自覚のようなものだ。

もちろんこれは、他人のことでなく、これまで自分が仮病やサボりを繰り返したことに起因する。
これまでの僕は何もせずに過ごすことなど到底考えられず、むしろ何かをやったり考えたりするために仮病やサボりを繰り返してきた。
だが、今回何もしないで居ようとする自分に初めて会ったような気がする。
それは木曜の夜、体温計で初めて熱を測った時のことだった。
それまで「少し悪寒がする」くらいに思っていた自分が38度を超える発熱状態だったことの衝撃だ。
自分自身の体調をすでに判断できていない。
翌朝クリニックで、「いつから発熱しましたか?」と尋ねられても「確認したのは昨夜です」としか答えられなかった悔しさだ。
結局僕は数時間ごとに検温してアプリに取り込み、グラフ化することで自分の状態を確認している。
つまり、自分の現状を把握して、対処することがこの5日間のやるべきことになった訳だ。

今日は皆さんにどうでもよい、僕個人の闘病について書いてみた。
でも、このブログを書くことだけがこの5日間の予定であり、この間のすべての取り組みはインフルB型との闘いだったので、当然の帰結として満足している。
そしてまた、これほどまでに自分の体調(コンディション)と世界の広さが、直結していることを思い知らされたことはない。
今の僕にとって、自分の部屋の布団の周りが世界のほとんどだし、そこにはいくらでも課題を見いだせる。
なぜ健康や元気が大切なのかは、それがその人にとっての世界を決めることになるからかもしれない。
謙虚な気付きを与えてくれた病気に、今日は感謝したい。

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