高市早苗首相が突然解散を持ち出して、世間は騒然としている。
高い支持率の一発勝負とか、麻生外しのクーデターとか、様々な憶測が飛び交う中、「そもそも解散なんてできるのか?」という論調を見て、僕はふと我に返った。
今朝ニュースを見ていたら、ドイツでは戦後まだ4回しか解散総選挙をやっていないという。
ドイツの連邦議会選挙(総選挙)は、通常4年ごとに実施されるが、2024年の連立政権崩壊に伴い前倒し(解散)総選挙が2025年2月23日に実施され、これがドイツの戦後史上4回目の「早期(解散)総選挙」となった。
「解散総選挙」のことを「早期総選挙」と呼ぶところが問題だ。
選挙によって付託された任期を全うさせず、任期途中で全員前倒し解任することの重大性を、気づかされた衝撃だ。
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先ほどの「そもそも解散できるのか?」でググってみると、こんな記事が上がってきた。
「平成30年4月27日提出 質問第256号 日本国憲法第7条による衆議院解散に関する質問主意書(提出者・奥野総一郎)・・・1948年に行われた第1回解散は、野党提出の内閣不信任案の可決をまって解散が行われた(いわゆる「なれあい解散」)。その際の解散詔書は「衆議院に於て内閣不信任案を可決した。因って日本国憲法第69条及び第7条により、衆議院を解散する」となっていた。第2回解散は、現行同様、不信任案の可決をまたず第七条のみにより行われた。以降、第69条による解散も含め、解散詔書は「日本国憲法第7条により、衆議院を解散する」という文言が用いられている。そこで、以下質問する。・・・以下略。」
そこで、衆議院サイトを検索し、これに対する回答を探すと、次の答弁書が見つかった。
「平成30年5月11日受領 答弁第256号 内閣衆質196第256号 平成30年5月11日 内閣総理大臣 安倍晋三・衆議院議長 大島理森 殿・・・衆議院議員奥野総一郎君提出日本国憲法第七条による衆議院解散に関する質問に対し、別紙答弁書を送付する。・・・以下略。」
ここでは内容を省略するが、要約すれば、そもそも衆議院の解散根拠は第69条なのに、付随する7条が併記され、やがて7条が根拠にすり替えられた経緯を「無問題」と退けたのが、かの安倍晋三氏だったという話だ。
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そこで、日本国憲法大好き人間の僕としては、さっそく条文を確認した。
まずは、憲法第69条の条文は次の通り。
「内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。」
先日「憲法に思ふ」で書いたとおり、65~75条は「第5章内閣」に属するので、第69条は内閣に関する規定であり、解散とはあくまで内閣が信任されないときの対抗処置のはず。
余談だが、これは内閣の構成員を国会が選ぶ議院内閣制だからできることであり、国民が直接選ぶ大統領にはできないことだ。
ところが、日本の地方自治体では、住民の選挙で選ばれた首長が議会からの不信任に対し解散で対抗できるおかしな状況で、これに対し誰も疑義を唱えない。
この点については、僕は看過できず何度か指摘してきた経緯がある。
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次に、憲法第7条の条文を確認しよう。
天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
1、憲法改正、法律、政令及び条約を公布すること。
2.国会を召集すること。
3.衆議院を解散すること。
4.国会議員の総選挙の施行を公示すること。
5.国務大臣及び法律の定めるその他の官吏の任免並びに全権委任状及び大使及び公使の信任状を認証すること。
6.大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を認証すること。
7.栄典を授与すること。
8.批准書及び法律の定めるその他の外交文書を認証すること。
9.外国の大使及び公使を接受すること。
10.儀式を行ふこと。
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先ほどと同じく、日本国憲法の全体から見ると、憲法第7条は、「第1章天皇」に属する条文なので、当然のことながら「天皇」に関する規定のはず。
つまり、上記の条文は「天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、これらの国事に関する行為をしなさいね。」であり、内閣に対して「これらをやってもいいですよ」などと一言も書いていない。
これに対し、すでに戦後2回目の解散から、「憲法7条解散」がまかり通り続け、先述の「奥野議員(立件民主党)」の質問に対しても、当時の安倍首相が答弁書の中で「内閣が実質的に衆議院の解散を決定する権限を有することの法的根拠は、憲法第七条の規定である。」と言い切っている。
この解釈は絶対におかしいと僕は思う。
これこそが「憲法解釈の問題」だということを、あなたに知らせたい。
憲法に込められた石や願いは、その条文だけでなく憲法全体の仕組みや構成などすべてを使って表現されているのだから。
僕ら自身が知ったかぶりをせず、「えっと、憲法ではどう定めてあったっけ?」と、ググるように気軽に確認することを、心掛けようと言い続けたい。
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