終わらないイベント@笑恵館

今年は、僕の活動拠点「(しょうけいかん)」の開業10周年を記念して、「ローカルビジネスコンテスト」をやりたいと妄想している。
そもそも、笑恵館誕生のきっかけは、2012年にオーナーのTさんが僕の開催するセミナーに来てくれたこと。
当時の僕は、「せたがやビジネスリーグ」と称して、①コンテストに挑むために、②セミナーで学び、応募者が③フェアで互いのビジネスを見せ合って、最後に④アワードを競い合う一連のイベントをスタートしたところだった。
https://nanoni.co.jp/old/ssbc/index.html 参照)
その後、セミナーで学んだTさんは、2013年にはアイデア部門でコンテストに参加して、翌2014年には事業部門で見事に優勝した。
もちろん、セミナーをきっかけにフリーとして月額1万円で雇われた僕が、全面的にバックアップしたのは言うまでもない。
だが、このイベントで知り合った多くのチャレンジャーたちが笑恵館に集い、ここを活動の場として活用してくれたことが、笑恵館に大きな力を与えてくれた。

当時の様子を少し振り返りたい。
このイベントは、一過性の盛り上げイベントではなく実現へのプロセスで、年度末の④アワード結果が翌年のイベントに引き継がれ、循環する。
コンテストの入賞者を、翌年のセミナー講師やゲスト審査員に招いて、プロジェクトの担い手に育てていく。
コンテストの目的は優劣の競い合いでなく、あくまで参加メンバー同士の交流だ。
予選と本選はどちらも会場での人気投票で、審査はしないし、商品や賞金も一切ないので、進行役の僕がどんなにえこひいきしようと関係ない。
ゲスト審査員は、自由に特別賞を授与できる代わりに、ビジネスにちなんだ副賞を提供する。
世田谷にちなんだゲストということで、強引にお誘いした世田谷自然食品さんが提供して下さった「グルコサミンとすっぽんエキス1年分」が、まさに「目玉賞品」となった。

第1回目は2010年の5月から、全5回の「せたがやソーシャルビジネスセミナー(起業セミナー)」を開催し、11月から「せたがやソーシャルビジネスコンテスト」としてビジネスプランの募集を開始して、2011年の1月11日にエントリーを締め切った。
受付期間中は、僕が毎週開催する勉強会でプラン作りを手伝いながら応募を促進し、受け付けたビジネスプランは、受付順にサイトに上げて、誰もが閲覧できるようにした。
選考方法は、「地域に根ざしたソーシャルビジネス」の明確な定義に基づくジャンルに分けて受け付けて、ジャンルごとに人気投票を行った。
2011年2月23日の「せたがやソーシャルビジネスフェア③(予選)」では、全ての応募者が3分ずつ発表してジャンルごとに1案ずつ通過させ、3月6日の「せたがやソーシャルビジネスアワード④(本選)」では、全ジャンルの代表者が5分発表+3分Q&Aを行い、同じく人気投票で順位を決めた。

コンテストの説明会を兼ねて、始めに開催するセミナーでは、次の通り「地域に根ざしたソーシャルビジネス」の定義や分類を説明した。
事業分野は、できるだけ具体イメージしやすいように、下記の3分野2項目ずつに分類した。
分野①「区民に役立つビジネス」で、A.区民の求めるモノを提供する、B.区民の困りごとを解決する。
分野②「区民を頼るビジネス」で、A.区民を雇用する、B.区民を仕入先にする。
分野③「区民がときめくビジネス」で、A.区民が世田谷に関心を持つ、B.区民が自慢したくなる。
さらに応募者を、部門①「上記のビジネスに取組む事業者」と、部門②「上記のビジネスに挑むアイデア」の2部門に分類して、全部で12ジャンルの募集となった。
このように、ルールを細かく規定して裁量に基づく審査を極力排除し、受付状況を見ながら応募ジャンルを変更したり、応募内容を自由に修正できる「カンニングOK方式」を採用したのは、このイベントがテストや試験ではないことを、明確に示すためだ。

こうして無事第1回目のイベントは終了し、全ての応募案を網羅した小冊子をまとめ上げたその当日、東日本大震災が発災した。
日本経済の崩壊を予感した僕は、すぐに拠点探しを開始して、3月中には賃貸契約を完了し、4月5日の誕生日に「駒沢」を開業した。
アントレハウスとは、「起業する家」を意味する造語で、当時普及し始めた「コワーキングスペース」と「」が合体したような機能を持った。
一方、世田谷区の事業として立ち上げたこのイベントは、なぜか事業採択されることはなく、笑恵館が優勝する第4回まで自主事業として手弁当で開催した。
つまり、このイベントは笑恵館の開業をもって幕を閉じ、僕の興味は「起業」から「」へとシフトしていったと思われる。

本題に戻そう。
10年前の笑恵館開業は、同時に笑恵館を生み出した「せたがやビジネスリーグ」の終焉でもあった。
このイベントは、その後「中央区」や「前橋市」などで模倣されたり、内閣府の「地域おこし協力隊・テコ入れイベント」として幾度か携わることになったが、地域に定着することは無かった。
そこで今回、笑恵館から再スタートしてみたいと思い至った。
「ローカルビジネスコンテスト」に関する現状思い付きは下記の3点。
1.「ソーシャル」を「ローカル」と読み替えることで、ビジネスの領域と対象地域をコンパクト化すること。
2.年次ごとに反復循環することで、常設施設としての笑恵館をフル活用すること。
3.笑恵館の主力事業とすることで、笑恵館型事業の普及啓発に繋げること。
以上、笑恵館10周年記念イベントは、終わらないイベントを目指したい。