所得税と相続税は累進課税と言われ、課税金額が高くなるにつれて税率が高くなる。
それぞれの最高税率は所得税が45%、相続税が55%だが、所得税に伴う地方税が10%なので、結局どちらも55%で頭打ちだ。
55%とは、半分以上のことであり、日本政府は個人の生み出す剰余金の過半を没収することを意味する。
もちろん半分以下の45%でも、無駄遣いせず貯金すれば何十倍にも増やすことができる。
だが、それを許さないのが相続税で、個人が死ぬたびにすべての財産を子供に相続させ、これを所得とみなして課税する。
僕が個人所有をやめ、仲間が参加する法人の所有に移すことで、財産を仲間が共有(総有)しようと呼びかけるのは、コツコツ積み上げた財産を国に没収させず、不死身の法人が所有し続けることを目指している。
僕の言う「国づくり」とは、そんな「仲間と法人を作ること」を意味している。
今日は最高税率の正体を暴くことで、僕の考えを説明したい。
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所得税率が最高税率となるのは、年収4000万円から。
つまり、4000万円の申告所得に対し、2200万円の所得税+地方税がかかるので、税引き後の所得は1800万円となる。
もちろん、この申告所得は総収入でなく、様々な経費や控除を差し引いた残りの金額だが、そのあたりは別の機会に。
次に相続税が最高税率になるのは、相続財産の総額が6億円から。
相続財産にはさまざまあるが、その種類によって評価法も様々だ。
例えば、株式などの「金融債権」はその時点での価格(時価)だが、「現金」であればそのままの額面となる。
これに対し、不動産や動産と言われる「物(もの)」についてはそれぞれ評価額の算出基準があり、それらを計算し積み上げることで総額が求められる。
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財産は、それを運用することにより収益を得ることができる。
例えば、現金を銀行に預けたり人に貸せば利息が付くし、株式は配当を得ることができる。
物(もの)は他人に貸すことにより賃料を得ることができるので、ここで言う運用はこれ全てを指すことにする。
すでにお分かりと思うが、これら様々な運用には状況に応じた特色があり、それを状況に応じて選択できる。
収益を生む要因である利息、配当、賃料などが互いに関係しながら変化する。
例えば、金利が高くなると借金しづらくなり、不動産を買いづらくなったり、売り注文が増えて株価が下がる、、、などなど。
でも、ここで述べたいのはこんなことではなく、この制度の根本的な仕組みのこと。
累進課税という呼び名は、一見低い数値を基準にしているように思えるが、むしろ最高税率を越えればあとはどこまでも一定の税率で、低所得や少額資産に対する減免制度に過ぎない。
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最高税率の世界をイメージするには、不動産が解り易い。
土地の相続評価額を路線価とよび、ネットですべてが公開されているのだが、これを見ると都心部の繁華街には㎡単価が2~3千万円の土地が見受けられる。
仮に3千万円/㎡の土地は20㎡(約6坪)で評価額6億円となり、相続税率は最高の55%となる訳だ。
これは極端な事例だが、高級住宅地であれば、300万円/㎡以上の土地はいくらでもあり、それが60坪以上あれば最高税率が適用される。
僕が言いたいのは、相続税が最高税率55%で課税されることが、それほど特殊なことではないということだ。
そんな土地の所有者が亡くなって、子供が相続すると、相続財産から「3000万円+600万×相続人の数」が控除される。
そこで、控除が最も少ない一人の場合で計算すれば、6億円×55%-3,600万円=29,400万円となる。
僕が言いたいのは、これ以上の財産を相続するならどこまでもこの数式で計算できること、つまりこの数式こそが相続税の一般解と言えるだろう。
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次に、この相続税を払うには、どうすれば良いのかということだ。
もちろんここでは最悪のケースとして、自己資金がゼロで相続が発生した段階から自分が死ぬまでの間に稼ぐことにする。
もしも親が30歳の時に自分が生まれ、自分が30歳で子供を生むならば、相続は30年毎に行われることになる。
先ほど計算した最高税率の最低税額29,400万円をいったん借り入れて、年利0.13%の30年で返済するなら、返済額は年額1000万円となる。
つまり、評価額6億円の土地を世代を超えて所有し続けるには、毎年1,000万円以上を相続税分に充てる必要が有るということだ。
だが、土地所有には固都税という経費が掛かる。
路線価は市価の70%、固定資産税評価額は市価の80%、固定資産税率は1.3%(都市計画税率は0.4%)なので、路線価6億円の土地の固定資産税額は891万円(都市計画税額は274万円)。
もちろん、住宅として使ったり、農地として使うことで、この税額はかなり軽減されるが、都市計画区域内で事業用地として稼ぐなら、1,100万円を超える税負担がのしかかる。
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さてここで、所得税のことを思い出して欲しい。
この土地を所有し続けるために稼ぎ続けなければならない金額は、相続税と固都税を合わせれば約2,165万円だが、そのうち1,165万円(固都税分)は経費計上できるので、必要利益は1,000万円となる。
この利益が4,000万円を越えれば最高税率55%が課税され手元に1,800万円が残ることになるので、先ほどの1.8倍の土地を想定すればいい。
固都税2,165×1.8≒3,900万円に4,000万円を加えた7,900万円の総収入から固都税を納付し、2,200万円の所得税を納付して、手元に残る1,800万円が相続税相当額になる計算だ。
これは、都心の一等地なら20×1.8=36㎡(11坪)、高級住宅地200×1.8=360㎡(109坪)の話。
自分自身が当てはまらなくとも、自分の親せきや友人の中に当てはまる人は必ずいると僕は思う。
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あくまで土地をそのまま貸すだけで、所有者は何もしないことが前提だ。
それでも毎年7,900万円を稼ぎ続けなければ、世代を超えて個人が土地を所有し続けることができないという訳だ。
「もしこれができないなら、土地を売却して納税せよ」とは、どこにも書いてない。
だが、それ以外の方法を知る人はほとんどおらず、ほとんどすべての人が一部ないしは全ての土地を売却する。
だが、ここから先が落とし穴で、土地の売却益には「譲渡所得税」が課税される
相続を繰り返した土地の多くは取得価格が極めて低く、課税対象となる売買差益が大きくなる。
成立の低い長期譲渡でも、市価の20%が課税され、路線価が市価の70%であることを考慮すれば、路線価の28.5%が課税される。
土地を売却して相続税を納税する人は、最高55+28.5=83.5%納税していることを知って欲しい。
自分自身は当てはまらないけど、こんな未来に向かう日本の仕組みを、僕は絶対に看過できない。
最高税率の世界に住む人たちに、僕はこのことを伝えたい。
皆さんの知り合いにそれらしい人がいたら、一刻も早く伝えて下さい。