LRはLand Resource(土地資源)の略で、僕が運営する一般社団法人日本土地資源協会の略称だ。
この法人を設立したのは2012年のこと。
当時、世田谷区産業振興公社内で運営していた「起業創業支援事業せたがやかやっく」の起業セミナーに、Tさんが参加したことがきっかけだ。
Tさんから、後に「笑恵館」として実現した自宅の利活用と、それをこどもに相続せずいつまでも継続したいという相談に、僕の出した答えが「土地所有の法人化」だった。
だが、この法人を作るにあたり、「笑恵館の永続運営」という目的を掲げる気にはなれなかった。
それは、そんなちっぽけな目的をいつまでも守り続ける自信が無かったためだ。
だからこそ、あえて僕はこの法人に「日本土地資源協会」という仰々しい名前を付けることにした。
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もちろん法人の名称は、その目的と事業内容を表すことになる。
Tさんが願う「土地建物の利活用」を、大きな家を一人暮らしで持て余し、やがて空き家になってしまう「空き家予備軍」と位置付けて、「空き家を産まない社会」を目指すことにした。
空き家という症状に対処するのでなく、空き家を生む原因そのものを解消したい。
空き家が生み出す迷惑に対処するのでは、良い空き家を目指すことになる。
僕は空き家そのものを悪として、一定比率以内なら必要悪として許容できても、随所で増え続けることは許せないと考えた。
だが、笑恵館は本当に空き家の発生を防ぐためにやっているのだろうか。
答えは明らかにNOだった。
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やがて、空き家を生み出す原因に「相続」が関係していることに気が付いた。
土地や建物を有効活用してくれる人が相続するならいいのだが、現状の相続制度にそんな義務は見当たらない。
そもそも、相続人は利活用の継承者でなく血縁者を原則とし、財産を譲る側の意思でなく、引き継ぐ側の権利を定めているにすぎない。
つまり、土地を譲る側でなく、譲られる側に対する義務や権利を定めたものだ。
まさにTさんの相談にもあった「こども達に相続せず」の実現こそが、土地建物の永続利活用に不可欠なのかもしれない。
だが、ここでも僕は違和感にとらわれた。
相続しないことは、あくまで方法であり目的ではない。
ましてや、土地の利活用を継承するこどもへの相続を否定する気など、毛頭ないのだから。
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だが先日開催した「LR新年ミーティング」で、僕はついにこのジレンマから抜け出した。
会議の参加者から飛び出した次の言葉が、僕の頭に落雷した。
「日本土地資源協会は、これからも土地を細切れから守って欲しい!」と。
空き家にならないようにすることや、相続せずに引き継ぐことは、一体何のためなのか。
それは、空き家や相続の何が悪いのか、それらがもたらす何が悪いのかを、明確にすることだ。
「土地が細切れにされること」こそが、まさにその答えだ。
そもそも「土地利用の永続性」とは、いつまでも細切れにされず、一体の土地=地域として利活用されることだ。
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こうして今年のLRの行動指針は、頭の中で「土地の細分化を防げ」に決定した。
そして今日の話は、そのプロセスの実況中継だ。
地主の学校を書き上げたというのに、まだこんなジレンマを抱えていたなんて、本当にお恥ずかしい。
でもこれで、本を片手に日本全国を飛び回る勇気が湧いてきた。
いっちょ、やるか。