未来の作り方

昨年末の12月29日、ようやく「地主の学校」が我が家に届けられた。

この本は自身初の自費出版書籍で、2月1日の発行を予定している。

それまでの間、手元に届いた100冊を持って、これまでお世話になった方たちを訪ね、報告のご挨拶をしたいと思う。

だがこの本は、これまでやってきたことをまとめたのでなく、これからやりたいことをギュウギュウに詰め込んだ一冊だ。

だから、「はじめに」から「あとがき」に向かうのでなく、「これまで」から始めて「これから」で終わる本にした。

おりしも、年末年始とは「1年の終わりと始まり」を意味している。

そこで今日は、年末年始に見た映画やテレビから、「終わりと始まり」について考えたい。

年末のテレビは、今年を振り返り、総括する番組が並んでいる。

パンデミック、東京オリパラ、衆議院総選挙、藤井4冠など、様々なビッグニュースがある中で、ダントツのトップニュースが「大谷翔平」の活躍だ。

全米から喝さいを浴びた昨年の大活躍はもちろんのこと、2018年の渡米からケガを克服して成長したプロセスや、大谷を育てた日本ハムや花巻東高校時代のエピソードにとどまらず、大谷に野球を通じて「一生懸命生きること」を叩き込んだ父親の生きざまに至るまで、数えきれない番組が作られた。

そして、すべてに共通しているのが、今年の評価や賞賛に終わらないことだ。

大谷はすでに、今年の成績を「偶然でなく実現」と認識し、来年に向けた「最低限の予定」と位置付けている。

オールスターやMVPなどの「成功」に対しては素直に喜ぶだけ。

むしろ、ケガなどの失敗や、敬遠などの困難にこそ、新たな課題を見つけて成長の糧にしている。

大谷の眼は、周囲の景色でなく自分の未来を見つめている。

映画では、ついに「マトリックス・レザレクションズ」が封切られた。

第1作の「マトリックス」が封切られた1999年は、僕にとっても会社倒産を経験した衝撃の年だった。

そして、2作目、3作目を進むにつれて物語はより深く、複雑に展開した。

だが、3部作は主人公ネオの壮絶な死で幕を閉じ、続編ができるなど僕には想像もできなかった。

ところが、一昨年あたりから映画製作の話題を耳にするようになるにつれ、ずっと気になっていた。

ネタバレになるので内容には触れないが、「レザレクション」というタイトルこそが、主題であり結論だ。

そもそも復活や再生は、キリストに代表される宗教の概念だ。

だが、科学や情報を駆使する機械が支配する未来の世界が、これほど俗人的な概念で描かれることが興味深い。

確かに、人類もしくは生命が存在しない未来など、考える気にもなれない。

年明けのテレビは、正月にしかやらないイベントやバラエティの目白押しだが、僕が楽しみにしていたのは綾瀬はるかの「義母と娘のブルース」だ。

一昨年の「2020年謹賀新年スペシャル」で初めて見た後、その2年前に放映された連続ドラマをまとめて見たのだが、「スペシャル」の思わせぶりの結末が気になって、ずっと続編の放映を待っていた。

そしてついに、今年のスペシャルとして続編が放映されることになり、昨夜釘付けで見てしまった。

こちらは、死んだはずの元夫と瓜二つの男が悪役として登場する。

流石にマトリックスのようなとんでもない展開にはならないが、ささやかな奇跡が起こり新たな展開に続いていく。

そしてもちろん、この番組も続編の予定はないが、何かが始まるところで番組は終了する。

こうして僕は、この年末年始を「終わりと始まり」の中で暮らしている。

元日に集まった家族たちにもこんな話をしながら「地主の学校」を手渡した。

すると、上の息子から「おやじ、三体はもう見た?」と尋ねられた。

『三体』(さんたい)は、中華人民共和国のSF作家劉慈欣による長編SF小説で、2006年中国のSF雑誌で連載され、2008年に単行本が出版された「地球往事」三部作の第一作だ。

すでに中国において最も人気のあるSF小説の一つとされており、オバマ前大統領など世界の著名人が賞賛する。

2019年時点で全世界累計発行部数は2900万部を記録し、20か国以上の言語で翻訳されているという。

この本が描くのは、三体星人が450年後に地球にやってきて、人類を滅ぼすことが確定するというシナリオだ。

つまり、450年先の未来に向け、人類はこれから何をするべきかを語っている。

僕はこの話を聞いて、真剣に未来を作ろうと決意した。

そして誰とでも、未来について語り合いたいと思った。