いきなりですが、フォッサマグナってご存知ですか?
Wikiによると
「フォッサマグナ(羅: Fossa magna、意味:大きな溝)は、日本の主要な地溝帯の一つで、地質学においては東北日本と西南日本の境目となる地帯。中央地溝帯(ちゅうおうちこうたい)、大地溝帯(だいちこうたい)とも呼ばれる。端的に言えば、古い地層でできた本州の中央をU字型の溝が南北に走り、その溝に新しい地層が溜まっている地域である。」
となってますが、皆さん聞いたことぐらいあると思います。
先日僕は、久しぶりに車に乗って長野県松本市まで行ったのですが、その帰り道に八ヶ岳の前を通過しながら「フォッサマグナ」を思い出しました。
今日は、そのエピソードをお話しします。
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フォッサマグナのことを、僕がきちんと知ったのは、数年前糸魚川に行ったとき、たまたま「フォッサマグナミュージアム」に通りかかったので、立ち寄ったのがきっかけです。
僕はてっきり日本列島を縦断する「巨大な断層」みたいなものをイメージしていたんですが、それが絵のような巨大な溝だったのを知り、ホントに驚きました。
でもさらに驚いたのは、その発見者が「ナウマン博士」というドイツの地質学者で、明治8年20歳の時に明治政府に招かれて、9年間日本に滞在した人でした。
この間なんと、日本中を1万キロ以上歩いて調査し、沿岸部中心だった伊能忠敬の測量図に内陸部分の情報を加え、日本の地質学の基礎を築いたとのこと。
その途中で立ち寄った野尻湖で、ゾウの化石を発見したので、彼の名にちなみ「ナウマンゾウ」と名付けられたそうですから、ほんとにすごい人でした。
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さて、僕がぶったまげたのはこれからお話しするエピソードです。
ちょうどナウマンが来日した時に浅間山が噴火しました。
ドイツには活火山が無いので、多くの外国人たちとともにナウマンは浅間山噴火を見に行きました。
その帰りは、来た道を戻らず長野県野辺山を越え、平沢に到着した頃日はすでに暮れていました。
平沢の宿で一泊した翌日は快晴で、「さあ、出発だ」と外に出たとき、目の前の風景に驚愕しました。
遠く南の雲海に富士山がぽっかりと浮かび、西側の切り立った山々の麓は平坦な平野となっています。
この非常に奇妙な地形を見たナウマンは。これをフォッサマグナ(ラテン語でフォッサは溝、マグナは大きいという意味)と名付けたそうです。
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こうして本州を南北に切り裂くように走る、この日本独自の地形の存在をナウマン博士が予言・発表し、その成因の謎に関する論争は今でも続いているそうです。
でもここで驚くべきことは、これが9年に及ぶ調査研究の末にたどり着いた学説でなく、来日早々火山見物に行った帰り道に見た景色から着想したということです。
ダイナミックな浅間山の噴火や、奇妙な地形への気づきこそが、その後の驚くべき調査研究にナウマンを突き動かしたのかもしれません。
僕は、松本から東京に向かう中央高速を運転しながら、左に八ヶ岳、右に南アルプスの断崖、そして正面にみえる美しい富士山を見ながら、ナウマンの見た景色を思い出しました。
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誰もが見ている景色なのに、それを見て、深さ6000mの溝があることをイメージする「ナウマンの眼」を、僕は欲しいと思います。
面白いことに気づいたら、そこから面白い世界を描き、その実現にチャレンジする。
僕は素朴に、そうしたいと思いました。