すべての国民に、一人当たり10万円を支給する。
このニュースを聞いてあなたはどう思う?
僕は、10万円を配ることが不可能に近いほど大変なことで、もらうのが10万円ではあまりにも少ないことを考えると途方に暮れる。
地域で事業拠点を起こすとき、僕は半径600M全戸ポスティングをやることにしている。
600Mとは徒歩10分圏のことで、駒沢、梅が丘、砧などで実施したが、どこも配布した数は約1万戸だった。
仮にすべての家が一人住まいだとしても、近所に1万人が住んでいて、そこに配る金額は10億円となる。
だが、もしも10万円もらえたとして、どれだけの助けになるだろう、
給料など収入の補填か、それとも家賃など支出の補填だとしても、10万円1回もらっても全然足りない。
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外出自粛や営業中止ですぐに大きな負担となるのは家賃の支払いで、支払いの目途が立たなくなり撤退や廃業に追い込まれる店舗や事業者が出始めている。
すでに欧米では、賃料の繰り延べや減額などの対応が始まっているが、日本では不動産業界への協力要請程度にとどまっている。
ご存知の通り、多くの不動産オーナーは建設時の借金返済に追われてその余裕がないのだが、西欧諸国のように古い建物を大切にせず、節税と利殖のために建物を作り続けたせいでもある。
その結果家はあまり、空き家だらけだというのに、家賃を払わなければ追い出されるなど日本社会は狂っている。
だったら、ローンの返済をすべて猶予すればいいし、すべての空き家を開放すればいい。
でも、こういう国づくりをしてきた政府(特に自民党)には、今更はしごを外すようなことはできないだろう。
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一方、お金を配ることも、現実には難しいことだ。
5月では遅い、4月中に配らなければ家賃などの支払いに間に合わないという能天気な意見も聞かれるが、そんなことができるはずがない。
最初に述べたように、すべてのまちに10億円規模の現金を運ぶことになる。
一体そのお金を誰が運び、どこで保管するのか。
普通の銀行ですらそんなお金は置いていない。
もしも全国民に配るなら、1億人×10万円=10兆円となる。
それをこれから印刷して配るのか、電子送金するのか知らないが、ホントにそんなことはできるのだろうか。
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麻生副総理で「裕福な方は受け取らないよね」みたいなことを言ってたが、実はこの言葉が真実だ。
配られる10兆円は、本当に使われるのだろうか。
困っていない人は貯金するだけだし、使う人のお金は困っていない人のところに集まるだけ。
結局お金をばらまけばそれだけ、貧富の格差が広がるだけだ。
ここでよーーく考えて欲しい。
お金はホントにみんなを豊かにしてきたか。
日本が平和で円高なのは、大多数の日本人が「これまでだけでなくこれからも」この理不尽に耐え続けると、世界中の人が信じている証かもしれない。
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さあ革命だ・・・などと僕は言わない(三島由紀夫じゃないし)。
だが、コロナがホントの世界を見せてくれている・・・と僕は思う。
僕たちは、金持ちを儲けさせるために生きているんじゃない。
みんなが幸せになるのを手伝う人に、ちょっとご褒美をあげるだけ。
家賃延納や借金の延滞を認めることは、ビルオーナーや金融機関が「苦しんで損」するのでなく、「廃業防止や住居確保に貢献」する絶好のチャンスだと考えて欲しい。
だから僕らは「お金を払わずに困りごとを解決するにはどうするか」を、考え行動しよう。
お金はタダの引換券。
金持ちが「引換券大量保有者」から「社会から感謝される人」に変化することこそが、コロナに課された課題だと僕は思う。