大人になる前にやるべきこと

先日ETICのKさんと、高校生に対する起業支援について話をしていたらこんな話をしてくれた。

・・・起業に挑む高校生の人数は、圧倒的に都市部が多いですが、その中の面白いやつの比率は地方の方が圧倒的に多い。純粋というか、バカというか、すごい奴がいます。先日驚いたのは、高校を卒業したらまず外務省に就職し、海外勤務を経験してから大学に行くというんです。こんなの楽しみですよね。・・・

え、外務省に高卒で?、と僕は驚いた。

早速調べてみると、「外務省では、人事院が実施する平成27年度国家公務員一般職高卒者試験の合格者から、以下のとおり職員の採用を予定しています・・・」と、昨年の採用結果が公開されていた。

「外務省に採用された者は、平成28年4月に外務省に入省し、採用後約4年間は外務本省において、会計、文書管理、通信、秘書的業務等に従事します。その後、在外公館(大使館、総領事館、政府代表部)に赴任し、以後は概ね5~6年の周期で本省と在外公館の勤務を繰り返します。在外公館では主に会計、通信、領事事務等に従事しますが、その後の経験や適正に応じて広報文化、経済協力等の他の分野に従事することもあります。」

その上、入省後4年間はみっちり語学研修も行われ、彼の作戦通り4年後=23歳を迎えた時に、海外赴任か、大学進学かを選びたいというわけだ。

実際外務省では、高卒者を毎年50名ほど採用している。

ついでに全ての省庁も調べてみると、会計検査院2(2)、内閣府20(8)、宮内庁5(2)、公正取引委員会3(2)、警察庁17(7)、消費者庁4(1)、総務省5(3)、法務省131(53)、検察庁97(31)、外務省51(25)、財務省2(2)、税関68(26)、厚生労働省123(43)、農林水産省10(6)、林野庁5(5)、経済産業省12(6)、資源エネルギー庁11、中小企業庁11、国土交通省104(48)、海上保安庁9(6)、環境省4(1)、行政執行法人42(11)、計716(288)と女子率も低くない(()内は女子)。

もちろん公務員を目指す高卒者がいるのは当然のことで、こうした就職を大卒者の特権と思いこんでいる方がおかしい。

しかし、この制度を活用し「就職してから大学に行く」という高校生がいるというのは、本当に頼もしいと思った。

以前「ヤンキーの話」でも説明したが、学生時代にこそ出産子育てを済ませよう・・・という動きがアメリカやフランスで現実化しているという。

学内に託児所を設け、子供を預けて勉強したい社会人や、学生結婚した若者を積極的に受け入れる大学が増えているとか。

ワークライフバランスとか、待機児童の問題など、働く女性の子育て支援が社会の課題になりつつあるが、これも順番を変えてしまえば事情は一変する。

勉強を済ませ、働くようになってから結婚や出産をすべきと言っているのは、「働くこと=自立」と考えるからであり、自分の進路も見極めようともせず、待遇と安定性だけで仕事を選ぶことのどこが自立なのか、僕は疑問に思う。

役所に勤めること、大企業に勤めること、好待遇を望むこと、安定を目指すこと、どれも何も悪くない。

ただしそれは、先を見渡し、次の次の次くらいまで考えながら決めたことであれば・・・の話だ。

お願いだから自分は何をしたいのかを考えて欲しい、あてがいぶちの人生など、絶対に歩かないでほしい。