今朝、NHKBSのドキュメント番組「ワイルドライフ」に、つい見入ってしまった。
テーマは「インド洋 セーシェル諸島 アジサシ100万羽 壮絶子育て」。
肉食の天敵がいないセーシェル諸島は、渡り鳥の繁殖地に最適だが、アフリカ大陸から1300kmの距離をものともしないのが、ここに集まる「アジサシ類」だ。
日本でも見られるアジサシは、カモメ科に属する鳩ほどの大きさの鳥で、燕のような尖った翼と尾羽を使って「アジを刺す」の名の通り俊敏に空を飛ぶ。
セーシェルで産卵と繁殖をする「セグロアジサシ」は、カラスほどの大きさのアジサシで、4月ころから飛来し始めて最盛期には100万羽も集結するという。
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驚くのは、繁殖期以外のほとんどを空中で過ごすというその生態だ。
もちろん飛びながら睡眠し、飛行を優先するために絶対に潜水しない。
低空飛行しながら水面近くの小魚や以下を捕獲するだけでなく、くちばしで海水を救って飲むという。
海鳥やウミガメには「塩類線」という器官があり、海水の塩分を濃縮して鼻腔から体外に排出できる。
そもそもサンゴ礁だらけのセーシェル諸島には耐水の池や川がほとんどなく、淡水がほとんど無いらしい。
アジサシのひなが卵から孵化すると、親鳥はすぐに海水を取りに行き、ひなに海水を与えている。
もちろん生まれたばかりのひなは、頭をもたげて濃縮された海水を捨てる行為を、すでに知っている。
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だが、この番組で僕が驚いたのは、ついでに紹介されたカエルの話。
セーシェル諸島には、独自の進化を遂げたセーシェルカエル科に属する4種類のカエルがいる。
いずれも小型で陸上に暮らすカエルなのだが、カエルは皮膚呼吸する両生類なので、ふつうは幼生時代(オタマジャクシ)を水中で暮らし、成体になっても水分が必要だ。
ところが、先ほども述べたようにセーシェル諸島には淡水域がほとんどない。
これは、セーシェル諸島が地殻変動や火山爆発によって生まれた陸地でなく、かつての大陸が沈下分割した証拠だという。
まず僕は、小さなカエルがいるだけで、地球の歴史が論じられることに驚いた。
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さらに驚いたのは、セーシェルガエルの中には、卵から直接、子ガエルとして孵化するものや、孵化した幼生が雌の背中にくっついて餌を食べずに発育して子ガエルになる種類があることだ。
セーシェルガエル(コオイセーシェルガエル)は、熱帯雨林の林床の落ち葉の中を、主な生活場所にしていて、雨季になると繁殖が行なわれる。
メスは10個ほどの少ない卵を産卵するが、卵が孵化すると、オタマジャクシが変態して小ガエルになるまで自分の背中に載せるので、オタマジャクシが水の中で暮らすことはない。
また、体長1センチほどのガーディナーセーシェルガエルの卵からは、オタマジャクシでなく親と同じ姿をした小さなカエルが生まれてくる。
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セーシェル諸島は、マダガスカル島やインド亜大陸と共に、中生代(約1億6000万年前)にアフリカ大陸から分離して、その後6800万年から6500万年前にインド亜大陸から分離したと考えられる。
こうした長い時間を経ることによって、たどり着いた「現状」からは、数百年程度の未来を語ることは容易いことだ。
なのに、現実社会に目を向けると、新型コロナウィルスの感染や、タリバンの動向など、数か月先すら描くことができないことだらけ。
今朝僕は、たった1センチに満たないカエルたちが見せてくれる重大な真実に、唖然とする自分に気付いた。