仲間づくりと起業の極意

「シェア法人」の説明・相談会が始まった。

「シェア法人」とは、事業を行ったり人を雇用するためでなく、個人で事業をする人たちが連携し法人の利点や負担をシェアする仕組みのこと。

法人をするというよりは、分け合うという意味で、「シェア法人」と命名した。

だが、「シェア法人」という言葉に惹かれてやってくる人たちは、この言葉から自由に連想したイメージをすでに持っている。

なので、説明会で初めにやることは、僕が考えた仕組みを正確に説明することで、自分の思い違いに気づいてもらうこと。

その上で自分が何を求めているのかを問い直してもらい、僕はその相談を受けて立つ。

これまで2回の開催で、4組の参加者を迎えたが、この仕組みの導入を検討しているのは1組だけで、残り3組の人たちはの手掛かりを求めていた。

そもそも法人を設立することが、起業のハードルになっていて、法人を作るか否かを迷っている。

法人を作るハードルを越えた後も、法人を維持運営する負担が待ち受けている。

そんな人たちが思い描く「シェア法人」とは、あらかじめ準備された「シェアハウスの様な法人」らしい。

自分で家を建てるより、シェアハウスに入居する方が簡単だ。

ところが、ひと通り説明を終えて質問を求めると、意外な質問が帰ってきた。

「シェアメンバーが収入(売上)を挙げられなかったり、して損を被ったりするリスクや責任はどうするんですか?」と。

もちろん答えは簡単で、すべては自己責任だし、収入を得られないメンバーは解雇する。

つまり、シェアとはすべてを割り勘にすることであり、美味しい部分の良いとこ取りではない。

そもそも、分かち合いたくない責任を法人に持ち込まないことが、完全な自立による自己責任と言えるだろう。

シェアハウスとてそれは同じはず、だとしたら、なぜそんな危惧を持つのだろう。

すると、参加者は素直にこう答えた。

「法人とは、失敗や責任から社員を守ってくれるものだと思っていたので、それをシェアするとどうなるのか、気になる自分に気付きました」と。

先ほど「分かち合いたくない責任」と言ったが、もっと分かち合いたくないのが「利益や儲け」だと僕は思う。

だが、誰もが儲けや利益を自分で生み出せるわけではない。

あなたの商品やサービスが誰かの利益になるから、その分け前をもらうことができたりする。

たとえ山奥や離れ小島で、一人自給自足で生きたとしても、僕たちは地球や空気を分かち合っている。

だとすれば、とにかく「シェア法人」に身を投じることから始めることも、社会に関わる第一歩になるかも知れない。

そのためには、「シェア法人」を前提に仲間を集め、何を分かち合うのか議論する必要がある。

ん?、待てよ、僕が始めたこの説明相談会こそ、まさにそれをやって見せている。

起業にとって一番大切なことは、自分の目的=夢を実現することだ。

20年前に会社を潰した時、僕はこのことに気が付いた。

その時僕が願ったのは、「会社の再建」でなく「仕事の継続」だった。

なぜなら、会社を継続するために仕事をするのでなく、仕事を継続するために会社を経営する、つまり僕の目的は会社でなく仕事だと気が付いた。

だとすれば、会社の再建は二の次で、仕事の再開が目的だから、顧客・社員・下請け・メーカーすべてに呼び掛けた。

その結果、会社は潰れたのに工事中の建物はすべて完成し、そこに仕事が生まれて新たな会社が誕生した。

つまり、「何をすべきか」は、「何を目指すか」によって決まってくる。

2回の説明・相談会をやったからこそ、「シェア法人」の目的が見えてきた。

それは、法人化という手段をあらかじめパッケージ化して提供し、事業目的の構築に専念することだ。

目的(why)を実現するために、何をするか(how)が決まったら、それにふさわしい名前(what)を決めればいい。

それができれば事業は始められるし、「シェア法人」はいつでもスタートできる。

目的を語り合い、共に夢を見る仲間を集めることは、自分が実現できない時に対する唯一の備えだ。

夢を叶えることに、本気で挑む仲間を作ることこそが「起業の極意」だと、今日、僕は確信した。