震災以後、ますます人気と存在感の高まりつつある自転車ですが、多くのメリットがある一方で、放置や危険運転などのデメリットも深刻化を増し、早急な改善が求められています。今般私の友人である福島氏から世田谷区の交通安全自転車課で取り組む課題について意見を求められたとき、これは区役所だけに任せず私たち自身も議論すべき課題だと感じました。
こうした「メリットゆえのデメリット」的な社会課題は、私たち自身の価値観や習慣を変化させることにより解決できる、まさにソーシャルビジネスの試金石です。木曜日の朝、コーヒー飲みながら自由に議論しましょう!・・・ということで、第1回の内容をご報告いたします。
第1回世田谷チャリまち会議記録 2013年6月6日(木) 8:00〜9:00
アントレハウス駒沢 参加者 6名
1 自転車問題の概要
自転車への社会的注目の高まり
- 手軽で便利、安価、環境にやさしい、健康によい、災害に強い
コミュニティと自転車
- 自転車が怖い・危ないという声の高まり
- 走行環境が未整備、歩道でも車道でも危険な邪魔者、ルールやマナーが守られない
- 子育て家庭:小さな子どもを二人連れて出かけられ社会参加の機会が拡大
- 高齢者:歩くのは大変だが自転車には乗れる、配達・訪問サービスの利用
→コミュニティと自転車の共生について議論すべき
- 自転車利用者は必ず歩行者でもある→議論のための共通基盤
- マンション自治会での経験→寄せられた苦情や意見をニュースに載せて課題を共有
→自転車問題への対応を通じてコミュニティ力の向上を図れないか
自転車問題の変遷
- モータリゼーションが進んで事故が増えたため、70年代初めに車道に上げられたのが始まり
- 行政課題としては放置自転車問題としてまず現れた
- 撤去と苦情対応から行政による駐輪場整備へ
- 現在は通勤通学のための駐輪需要への対応は一段落
- 買い物のための短時間駐輪等多様な需要への対応と安全確保(自転車事故防止)が課題
- 行政の課題対応はどうしても後追いかつ一面的・一律的になりやすい
→住民の主体的な取り組みの必要性
2 意見交換
生活実感としての自転車問題
- 大きな自転車店が増えた
- 自転車で通勤し自動車にも乗っていると両者の感覚が矛盾していると感じる
- チャイルドシートの年齢制限(5歳まで)に悩まされる
- 歩道を走ると邪魔者扱いだが、ママチャリで車道を走るのはこわい
- チャイルドシートに幼児を残したまま買い物等で離れてしまう親(倒れたら危険)
駐輪場、放置自転車
- 行政が主体となって駐輪場を整備したのは良かったのか→民営の可能性は
- 駅前で渡された自転車を駐輪場へ運び、携帯電話の連絡で届けるビジネスの可能性
- 駅そばの住民や店舗が有料(チケット制)で預かるビジネスの可能性
- 生活が多様化しており「こうしなさい」だけでは済まない
- 自転車を置く人の意見を聞く必要がある
自転車の走行環境
- 歩道上に走行レーンが欲しいが狭い道路が多い
- 数が多いママチャリへの対応が必要
- もともとママチャリは「歩道を走る」ためのガラパゴス的進化の産物
自転車販売店
- 昔ながらの自転車店はワイヤー交感の際にオイルを入れる等きちんと整備してくれる
- 量販店で販売している輸入品の安い自転車は構造がヤワで危ない ぜひメーカー品を
- 高い自転車はなかなか買えない層もいる
- 子どもはすぐに大きくなるのでヘルメットを買い替えるのが大変
ルールづくりに向けて
- 公園ができても禁止事項がすごく多い
→基本的な考え方だけを掲げてルールはそこからだんだんと決めていけないか
- ルールだけで問題は解決できない 「お互い様」や「譲り合い」が必要
- コミュニケーションしないでルールだけに頼るのは危険
- 自転車問題の理解が一面的→もっとみんなにいろいろなことを知ってもらう必要がある
- 様々な事実や指摘を発信する
駒沢ドッグストリートプロジェクトの試み
- 駒沢公園通りへのドッグビジネスの集中を活かした活性化が図れないか
→チラシを配布したら「飼い犬に迷惑している」との声が多数寄せられた
→苦情のチラシへの掲載、マナー教室の開催
- 自転車問題と構造は同じ
→役所に頼らず実際に利用している人がもっと意見を出すべき
→雑多な人が集まるべき(自転車好きだけがあつまってもしょうがない)
→反対者に意見を表明し議論に参加してもらう工夫をする
世田谷サイクルストリートの試み
- 鉄道駅から遠いと住宅情報で評価が低くなる→更新されずまちの活力が低下
→例として世田谷通りと環状8号線の交差点付近
- 道路環境が自動車利用を抑制している→未整備の中で自動車利用が進むのは良くない
- 私鉄沿線を離れると鉄道事業者によるまちづくりが進みにくい
- 駒沢ドッグストリートと同様の発送で取り組みが図れないか
- 自転車関係ビジネスの集積等、自転車利用推進を通じたまちづくり活性化
3 会議を終えて
- 自転車問題にいろいろな面があることがわかった
- 多様な視点からの指摘や意見が、自分の言葉で語られるのを聞けたのがよかった
- ママチャリが歩道を走るための「ガラパゴス」自転車であったとは驚き
- 役所だけに任せておくのではなく自分たちで考えていく必要がある
次回開催予定:6月20日(木) 8:00〜9:00 アントレハウス駒沢
主催 アントレハウスプロジェクト
担当 松村拓也 takuya@nanoni.co.jp
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