「非」から「脱」へ

先回のブログ「借り≒仮り」の冒頭に、「皆さんご承知の通り、僕は土地所有の法人化に取り組んでいる。僕がこの問題に取り組む理由や目的は、これまで語ってきたとおり明確だが・・・」と書いたものの、ある人から「全然明確じゃない」とお叱りを受け、僕は激しく動揺した。
実は、「土地所有の法人化」は、非営利徹底型の一般社団法人を想定しているのだが、それは「非営利、非持分、非親族」という3つの「非」で構成される。
そもそもこの議論は、2006年に制定された「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律(以下、一般法人法と略す)」に基づくもので、法務省サイトによれば「一般社団法人及び一般財団法人の制度は,剰余金の分配を目的としない社団及び財団について,その行う事業の公益性の有無にかかわらず,準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができることとするものです。」とある。
https://www.moj.go.jp/MINJI/minji153.html

思い起こせば、内閣府に行政刷新会議が2009年9月~2012年12月に設置されたのは、この法律の施行を受けたものであり、蓮舫が暴れた事業仕分けはまさにこの一環だ。
従来、行政機関の天下り先として乱立していた独立行政法人(国の子会社)や社団及び財団法人の、要否を判定し、公的支出の対象として不適切と判定された法人は、その大多数が一般法人法に基づく一般法人に改編された。
2008年時点の旧民法法人約24,000は、2013年(施行後5年間)までに移行を選択することとされ、2014年時点で約9,000が法定基準に適合するとの認定を受けて新制度の公益法人となった。 おりしも僕が笑恵館立ち上げのために、一般社団法人日本土地資源協会を立ち上げたのが2012年で、公益社団法人になるべく内閣府に公益申請を提出したのが2015年初頭のことだった。
だが、当時のキャッチコピー「民による公益の推進」は、「公=不特定多数」という官的概念により形骸化しており、失望した僕は即刻申請を取り下げた。

だが、その結果として僕が学んだことは、「その行う事業の公益性の有無にかかわらず,準則主義(登記)により簡便に法人格を取得することができる」というこの法の価値だった。
そもそも「公益性の有無」は、法に規定されるものではない。
「自ら求め、規定できる自由」こそが、この法律の核心だと僕は気づいた。
また、2008年度税制改正後の法第66条第4項の規定では、「持分の定めのない法人に対して財産の贈与又は遺贈があった場合において、その贈与又は遺贈によりその贈与又は遺贈をした者の親族その他これらの者と法第64条第1項に規定する特別の関係がある者の相続税又は贈与税の負担が不当に減少する結果となると認められるときには、その法人を個人とみなして、相続税又は贈与税を課すること」とされている。(国税庁サイトより)
これらから、初めに述べた「非営利、非持分、非親族」という3つの「非」が、「脱相続」の十分条件であることが明らかになった。

さて、根拠を引用した堅苦しい説明はここまでとして、今日は、これら3つの「非」について考察を進めたい。
営利とは、剰余金の分配を目的とすること。
持分とは、持分の定めがあること。
親族とは、3親等以内の者。
これら3つを排除することだけで、その法人は相続の対象から除外(脱相続)されるだけでなく、公益性や収益性の呪縛からも解放される。
その代表例としての「非営利徹底型法人」の要件は、剰余金及び解散時の財産を配分せず、持分の定めを持たず、6名以上の理事のうち3親等以内親族を1/3以下にすることの3点だ。
つまり、3つの「非(非営利、非持分、非親族)」は、3つの「脱(脱相続、脱公益、脱収益)」をもたらす。
3つの非がもたらす3つの脱・・・今日のゴールはこんなところかな。