遺言は、本人が自分で書けば「自筆証書遺言」という正式な遺言書になるのだが、自宅で保管されることが多いため、下記の問題が付きまとう。
・ 遺言書が紛失・亡失するおそれがある。
・ 相続人により遺言書の廃棄,隠匿,改ざんが行われるおそれがある。
・ これらの問題により相続をめぐる紛争が生じるおそれがある。
これらを防ぐには、公証役場を介して公正証書や秘密証書を作成すればよいのだが、手続きが煩雑な上に費用もかさむため、遺言書の作成が平易に行われなかった。
だがいよいよ、7月10日から「法務局における自筆証書遺言書保管制度」がスタートした。
これは、自筆で作成した遺言書を法務局が安価(遺言書の保管の申請は、一件につき3900円、遺言書の閲覧、証明書の交付請求なども2千円以内)、かつ無期限で預かってくれる。
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こうした施策で政府が遺言の促進を図るのは、遺言不在の相続による弊害を防止するためだ。
そもそも「遺言制度」とは、「遺言自由の原則」に基づいており、遺言の制度を認めることによって、人は遺言により、生前だけでなく、その死後にも自己の財産を自由に処分できることになる。
つまり「遺言」とは、所有物の使用や処分に関する所有者の意思表示であり、土地の放置や所有者不明土地などの問題は、遺言の不在とその放置に起因する。
だからこそ、個人がより手軽に遺言書を作成できるよう、政府が遺言書の保管業務に乗り出したわけだ。
「起業」にこだわる僕にとって、この問題は放置できない。
そこで今日は、Wikipediaを参照しながら遺言制度について確認し、僕らが描くべき「ビジョン=遺言」について考えたい
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遺言の法的性質は次の4つ
1.要式行為・・・遺言は民法に定める方式に従わなければすることができない要式行為(一定の方式によることを必要とする行為)であり、方式に違反する遺言は無効となる(960条)。
2.単独行為・・・遺言は相手方のない単独行為である。
3.死因行為(死後行為)・・・遺言は遺言者の死亡後に効力が生じる法律行為である(985条)。
4.代理に親しまない行為・・・遺言はあくまで本人が行うもの。
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遺言能力に関する規定
1.満15歳以上の者は遺言をすることができる(961条)。
2.遺言は本人の最終意思を確認するものであり、また、代理に親しまない行為であるから、未成年者・成年被後見人・被保佐人・被補助人が遺言をする場合であっても、その保護者は同意権や取消権を行使することができない(962条)。
3.ただし、成年被後見人については、医師2人以上の立ち会いの下で正常な判断力回復が確認された場合にのみ遺言をすることができる(973条)。
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遺言で指定できる事項
1.遺言の最も重要な機能は、遺産の処分について、被相続人の意思を反映させることにある。
2.被相続人の意思である遺言を尊重するため、相続規定には任意規定が多く(ただし遺留分規定等強行規定も少なくない)、遺言がない場合は、民法の規定に従って相続が行われる(これを法定相続という)。
3.これに対し、遺言を作成しておくと、遺産の全体または個々の遺産を誰が受け継ぐかについて自らの意思を反映させることができる。
4.遺贈の方法により、相続人以外の者に遺産を与えることも可能である。
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民法上の遺言事項は、それぞれ規定のある条名とともに示すと以下のとおり。
・相続人の廃除と廃除取消(893条・894条)
・相続分の指定および指定の委託(902条)
・遺産分割方法の指定および指定の委託、遺産分割禁止(5年を限度とする)(908条)
・遺贈(964条)
・子の認知(第781条第2項)
・未成年後見人・未成年後見監督人の指定(839条・848条)
・祭祀主宰者の指定(897条1項)
・特別受益の持戻しの免除(903条3項)
・相続人間の担保責任の定め(914条)
・遺言執行者の指定および指定の委託等(1006条・第1016条~1018条)
・遺贈の減殺の方法(1034条)
・遺言の撤回は遺言の方式のみによって可能である(1022条)。
相続に関連する民法以外の規定
・一般財団法人の設立(一般社団・財団法人法第152条2項)
・信託の設定(信託法第3条2号)
・生命保険の保険金受取人の変更(保険法44条1項)
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以上、遺言に関する法規定について長々と説明したが、今日の本題はこれに従うことではない。
法律で定めることはあくまで最低限の事項であり、僕たちが目指すのは最高の遺言だ。
そもそも「遺言」とは、英語で「WILL」と言い、未来への意思表示をすることだ。
だから、上記に定めること以外のことも、自由に盛り込んで良い。
特に大切なことは、あなたが描く未来の実現をなぜ願うのか=理由だ。
理由というスタートがあるから、目的というゴールがある。
「そのゴールを目指すために、資源や財産を使って欲しい」という願い=WILLだと思う。