ポケモンGOが事件としてニュースに取り上げられることを、ビジネスのソーシャライズと呼びたい。
当事者が自分の言葉で発信する宣伝や広報は当事者に好都合な内容になりがちなのに対し、第三者が事実を伝える報道や口コミは、当事者に不都合であったり想定外の予期せぬ情報が発信されることもある。
一部の支持者に限定せず、広く社会からの関心を集め、賛否の議論の対象となることで、そのビジネス事態の存否でなくそのビジネスが社会に与える影響のことを指す概念だ。
したがって、ビジネスはソーシャライズしたからと言って成功する場合もあれば、叩き潰されることもある。
もしもビジネス自体の成功が目的であれば、ソーシャライズは両刃の刃かもしれない。
だが、ビジネスが社会変革や世界創出を目的とする手段であるならば、目的実現のためにソーシャライズは欠かせない。
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現にポケモンGOに関する報道は、ポケモンGOのもたらす弊害や危険に関するものが多い。
さらに言えば、まだその問題は始まったばかりでこれからの急増が予想され、警察や有識者たちがこぞって警鐘を鳴らしているありさまだ。
僕は先般50周年を迎えた「ビートルズの来日」を思わずにはいられない。
ビートルズに熱狂する人たちが引き起こす様々な問題が予想され、その対策に追われる人と、その盛り上がりに乗じる人たちの思惑が錯綜し、やがてその影響は日本中に広がっていった。
ソビエト連邦やベルリンの壁の崩壊の端緒はビートルズにあったと囁かれるほどに、その影響は世界を巻き込んだ。
この議論はちょっと大げさかもしれないが、ポケモンGOはこれによく似た現象に思える。
あとで振り返るのでなく、今リアルタイムでこの現象を理解したい。
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ビートルズの来日コンサートにお金を払った人は数万人だが、ビートルズを聞きテレビやラジオにかじりつき、熱狂した人数は数えきれない。
そもそも音楽は自分で歌えばお金の要らない無料サービスだ。
ポケモンGOも同様に、アプリは無料でダウンロードできて、誰もが楽しむことができる。
「無料サービス」であることは、ビジネスのソーシャライズにとって重要な要素だと思う。
SNSの多くが無料サービスを基本とし、広告などの付加サービスに課金する。
多くのクラウドサービスもまた、無償でサービスを提供し、利用度が高まると課金する。
顧客に無償で貢献することでビジネスをソーシャライズした後に、その評価を足掛かりに有償サービスを販売する。
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こうしたソーシャルビジネスは、音楽やインターネットという無償のインフラがあって初めて成立する。
もちろん楽器がなければ演奏できないし、スマホや回線契約がなければインターネットは使えない。
しかし、基礎投資さえ行えば、その先は「やり放題」となることを「無償」と呼んで差し支えない。
正確には「やり放題という権利」が、満足の追求と、評価の獲得、自由の行使を保証してくれる。
そして、ビジネスから得られた収益をインフラの持続と発展に再投資していく。
つまり、社会という市場そのものを成長させながら自らも成長していくビジネスともいえるだろう。
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土地資源の活用についても、こういう視点から考えたい。
笑恵館は、入会費500円の会員制で、会員は館内の空いているスペースをいつでも自由に使うことができるのだが、この「500円」という金額は何の対価なのか。
恐らくそれを明確にすることで、空間を「使い放題」のインフラにできると思う。
住宅ニーズ、店舗ニーズにこたえるための不動産ビジネスは、供給過剰の行き止まりに直面しているが、今後の土地活用は、「空間の使い放題」から再スタートできるはず。
まずは使われていない部屋を開放し、「使い放題の部屋」にする。
そして次は「使い放題の家」、そして「使い放題のまち」に広げていく。
そこを使って何かをやる、新たなマーケットの住人たちに、必要なアイテムを販売したり、交流の仕組みを作ればいい。
僕がやろうとしていることはそんなことだと、説明できるような気がしてきた。
ポケモンGOを見習って、様々な事件を起こしてやろう。
そして僕も、ビジネスをソーシャライズしていきたい。