20160328

先日いきなり電話があって、Oさんという女性が笑恵館に僕を訪ねてきた。カリスマパン屋で修業中なのだが、開業を目指し自分のパンを焼いて腕試しをしたい・・・と、本当はパン屋に相談だったのかもしれないが、うっかり僕のところに来てしまった。パン屋の答えは明快で「ダメ」の一言、もう少し具体的な話でないと取り合ってもくれない。そりゃあそうだ。あとは僕の説教タイム、人を動かすのは「目的」であること、そして「本気=具体的」というビジーネスの基本をみっちり説明した。でも最後に「あなたが初対面の僕にいきなり電話をし、こうして訪ねてきたことは素晴らしい。」と付け加えた。

僕は知らない人から相談の電話をもらったときは、必ずすぐに会うことにしている。Oさんから電話をもらった時も、「いつ会える?」と聞いたら「4日後の21時」というからすぐに時間を作った。本気でない人とは会いたくないということもあるんだけど、こちらの本気を見せることで本気になってもらいたいという思いもある。16年前に会社倒産を経験して、その経緯をWEBで公開したら、何件か経営破たんの相談を受けたことがある。そんな時は、何時だろうとどこだろうと、居場所を聞いて駆け付けた。互いが本気を見せ合わないと、結局何も起こらない。僕が駆け付けただけで勇気を取り戻し、再生を果たした会社が3社もある。そんな経験が僕を変えた。

結局いろんな話をして、Oさんは10時過ぎに帰って行った。すると翌日の夜、今度はOさんからメールが来て「昨日は、突然電話がかかってきた何者かも分からない私に、沢山時間をさいて頂いてありがとうございました。・・・明日の夕方以降でご都合よろしければ早速持って行きたいような気持ちです・・・」というわけだ。こうなると僕も意地になって「じゃあ、自宅近くに来てくれたら、時間作るよ」と返信した。焚き付けたからには、付き合うしかないでしょう。参ったなあ、でも半分ワクワク楽しくなってきたというのが本音だ。

翌日約束の店にやってきたOさんは、自作のパンを出しながら「今日の本題は・・・」と切り出した。「自分のやりたかったことは、殺伐といた大病院の中に心の温まるおいしいパン屋を出店すること。今松村さんが、石川県の高齢化した集落の古民家で、あえて子育て支援事業を立ち上げると聞き、是非そこでパン屋をやってみたい!」と真顔で語るOさんを見て、「とにかく本気」であることはひしひしと伝わってきた。もしかして、あまり後先考えず、僕の投げつけた石を投げ返しただけなのかもしれない。まるで無謀な申し出なのかもしれない。でも、実際に現地に行き、町に身を置き、関係者と会い、感じてみなければ、挑む価値があるかどうかすらわからない。たとえ思い付きであろうと、冷やかしであろうと、「本気」でさえあれば僕は大歓迎だ。

こんな出会いがあることを、是非とも皆さんに知ってほしい。これが素晴らしい出会いなのかどうか、僕には全く分からない。でも、あの時の出会いがあったからこれが実現したんだねと振り返れるようになりたいと思う。互いがそう感じることが、奇跡を起こす原動力になると思う。