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<はじめに>
実は、この「快足フロア」、もとのアイディアは昨年「グッドリビングショー」で見かけた桐のフローリングからいただきました。ここにそのサンプルを持ってきましたが、右半分が従来の集成材のフローリングで、左半分がその桐のフローリングです。手を当ててみると、ほんとに手に感じる温度が違うのです。考えると今、フローリングの住宅が多いのですが、従来のフローリングは次のような問題点があると思います。
<内容と特長>
桐というのは、ご存じの通り、ふかふかで、また成長が早い。工事現場に生えていると1年ですごく伸びてしまうような木です。日本人はその木を箪笥などにして大変重宝にしているわけですが、それで床をつくると暖かい。もともと日本人は裸足で暮らしている民族です。私は大変気に入ってその桐のフローリングを是非採用してお客さんにも奨めたいと思ったら、これが高い、桐ですから。それとせっかくの桐を使っているのに、表面を化学製品の撥水材を採用して、水をはじくようにしている。そして、まずこの連絡会で扱っているすべての建材、関連商品にいえるのですが、ちょっと価格が高い。ですから、単一でその製品を取り出すと、高いという感じしか残らないが、もうちょっと広い範囲で企画し、組み合わせて提示することで、こちらの方が得だと思ってもらう方法もあると思うのです。お客さんにある見方を提示してあげることで、お客さんを有害物質の環境パッケージからこちらに向かせることができるのではと考えます。
そこで私たちは、関連会社で取り扱っているセンゴンラウトという柔らかい木に注目しました。桐に近いバルサのようなものです。これはマメ科ネムノキ属の熱帯から亜熱帯に分布するきわめて成長の早い陽樹です。熱帯の早成造林樹種で、軽軟であることから、包装用箱材、マッチ軸木材として世界中で使われています。南洋自然林の伐採が地球環境に影響を与えると問題になっていますが、これは数年で成長し、植林で生産しているものですので、自然林保護になると思います。
そこで快足フロアとして無垢の天然木材を天然塗料リボスで仕上げました。
<快足フロアは、欠点もあります>
柔らかい床なので、光沢もなく見てくれも悪い。傷もつきやすいので建材としては最低かもしれない。よそでは、これでフローリングなんて絶対に作らないと私は思います。マッチ棒とか引き出しの箱とか、施工性がすごくいいけどすぐへこむといいうものです。世界中で流通しており、木材関係の人はよくご存じの木です。例の桐のフローリングの社長と話しているときに「傷が付くんじゃないの」といったところ、待ってましたとアイロンと霧吹きを出してきて、サンプルに傷を付け、さっと霧吹きで水をかけました。アイロンをそこに当てると、傷がもと通りになっている。桐の箪笥などもこうして直すそうです。堅木のフローリングはこんなわけにはいきません。快足フロアも同様にして水と熱でへこみが直ります。もちろん金属で木の繊維を切断するほどひっかいた深い傷は無理ですが。このあたりもお客さんに最初にきちんと説明したいところです。
<後日談>
採用していただいたお客さんの後日談として、よく歩く場所の床はだんだん光沢を増していって、適度なツヤが出てきたということなんです。最初に塗料を塗ったときは、やはり既製のフローリングに比べて色ツヤがまだらに見えて、素朴な感じだったのでどうかなと思っていたのですが、それなりの味わいが出てくるのです。
ヨーロッパの昔の家具は、こんな塗料だったのではないでしょうか。自然のものしかないのですから。それが磨いているうちにどんどんツヤが出てきて、それは浸透性塗料の特質だと思うのですが、変な膜がないので木の表面が生きている。作った当初は、それらの家具たちもそんなに光り輝いていなかったのではないかという気がするんですよ。
私たちは快足フロアを作ったとき、こんなにいい物になると思えなかったのですが、3ヶ月後に見て感激しました。余談ですが、この家のおばあさまが傷の上にコットンを水に含ませ、一昼夜おくと傷が消えているということで、アイロンも使わなくても平気なようです。
現地で生産する場合、先日のしんもくさんの講演のときに話が出ましたが、東南アジアでのりの管理は不可能なので、現地の工程は製材までで、加工はこちらに持ってきてから行っています。歩留まり自体は無駄がなくすむと思います。まだ1軒の施工例ですが、かなり自信を持っています。前述のおばあさまの部屋とリビングに施工したのですが、お客さんは廊下にも使えば良かったなとおっしゃっていました。なるほど、暖房器具も入れられず、逆にしょっちゅうみんなが歩く場所です。寒さを解消してくれるものがほしい場所ですね。これから、現在進行中の現場でもどんどんお奨めしていく予定です。
<まとめ>
たとえば床暖房などの安易な設備についても、そのため床に後で何も細工ができないケースとか、床暖房が何かトラブルを起こすとそのあと大変なことになるとか、隠蔽している設備のもつ弱点があるわけです。もともと、床の温度を30度に保つ必要があるのかと私は感じるのです。人間がそのような場所に住むことはありません。自然にあるそんな場所とは真夏の海水浴場の砂の上とかだけでしょう。なのに実際に床暖房、床暖房と話題になるのは、冷たいフローリングのせいで、「あ、そうかもしれないわね」と言ってくれるお客さんは意外と多い。そういう観点で建築を考えてくれるお客さんとは、リボスの話も出来るし、珪藻土や合板の話もできる。お客さんと話を始めるきっかけとして、この床を利用していきたいとも私は考えるのです。 |