先日下北沢駅近くにお住まいの方から相続相談を受けたので、試算したら、余りにも面白いので皆さんにもお見せしたい。
対象の土地は、下北沢駅からほど近い商業エリアにある180坪ほどの土地なのだが、築70年を超える古屋が建っていてご存じの方もいるかもしれない。
ただ、ここでご紹介したいと思ったのは、路線価(ろせんか)がほぼ100万円で面積がほぼ600㎡なので、その相続評価が約6億になるからだ。
6億を超える財産にかかる相続税率は、最高税率の55%なので、まさに最高税率のミニマムケース(最小の事例)をご紹介できる。
相続税とは、亡くなった方からお金や土地などの財産を受け継いだときに、その受け取った財産にかかる税金のこと。
「3,000万円 + 600万円 × 法定相続人の数」が基礎控除額とされており、財産の総額がそれを超える場合のみ課税される。
相続財産がこの基礎控除を超えて、その他の軽減措置も適応されずに相続税を納税するのは、全体の1割程度なので、多くの人にとって相続税の話は縁のない話だろう。
だが、今日の話を聞けば、想像すらしたことのない最高税率の相続税がどんなものなのか、お分かりいただけるはずだ。
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まずは、今日の話に必要な基礎知識について説明したい。
相続税は路線価と言われる土地の値段に土地の面積をかけた評価額に税率をかけたもの。
「相続税=路線価×土地面積×税率」
「路線価」は道路ごとに価格を定めた「路線価図」をネットで見れば、誰でも調べることができる。
今回の事例は、その土地が1,000千円の道路に面しているので、土地面積「180坪≒600㎡」をかけるとちょうど6億円になる。
6億円を超える財産にかかる相続税額は、55%-7,200万円なので、6億円に対する相続税は観れば、2億5800万円となる。
そこで僕は、この税金を
1.借金しながら3代にわたって払い続ける場合
2.土地を一部売却して、3回払う場合
3.可能な限り寄付して1度も払わない場合
の3つのケースを計算した。
そして、いずれの場合も細かい経費は省略し、収入は賃貸住宅の建設による賃貸収入のみとして、支出は借入に対する元本返済と金利、そして税金のみとした。
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まず、1.の借金をして払い続けるケースでは、12畳程度のワンルームを10万円で貸すことで、20年で返済することを想定し、以下金額は万円単位で統一する。
評価額60,000万円の土地に対する相続税25,800万円を、1%の金利で借りて支払い20年で返済すると、毎年の返済は1,290万円となる。
これは、収入から所得税(および地方税)を差し引いた手取りから支払わなければならないので、恐らくこの2倍程度の収入が必要だ。
1,800~3,999.9万円までの所得税は、45%-279.6万円なので、地方税の10%を加えて逆算すると
(1,290+279.6)/(1-0.5)=2,278.8万円の収入が必要になる。
この収入を得るためにワンルームマンションを建てるには、建築費がかかるので、ワンルームマンションの収入から建設費を差し引いて1部屋当たりの収益を計算する。
1部屋の面積が12帖≒20㎡に対し、建設費を130万円/坪≒40万円/㎡と想定して20で割って、1戸当たりの収益は、
10万円×12か月-40×20/20万円/年=80万円となるが、建設費にも毎年4万円利息が付くので76万円となり・・・と延々と説明が続いてもつまらないので、説明はここらでやめて結論をお話ししよう。
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まず、1回目の相続税25,800万円は、金利1%でお金を借りて納税するが、建設費22,400万円も併せて借りるので、20年間で支払利息は4,820万円になる。また、これを返すためにワンルームマンションの家賃で67,200万円を稼ぎ出し、そこから所得税を13,462万円払う必要がある。
これが相続税を払うためにすべてを使い果たすぎりぎりの計画だ。
もちろんマンションはもっと家賃を高くできるかもしれないが、満室を前提としている上に管理経費は無視している。
つまり、すべての数字は決して安全側でなく、楽観的な資産だと言えるだろう。
また、相続はこれ一度で終わるわけではなく、所有者が死ぬたびに何度でも繰り返される。
2回目の相続も、1%の金利で借金して納税し、初めに建てたワンルームマンションの維持費を1戸当たり3万円計上するだけで使い続けたら、14年程度で返済できることが分かった。
RC造の住宅は償却年数が47年なので、3回目の相続もそのまま建物を使い続ければ14年程度で返済できる。
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こうして20+14+14=48年以上かければ、3回の相続税を借金で支払うことができるが、その間に支払う費用の内訳は次の通りとなる。
相続税合計:77,400万円(1,608万円/年)
所得税合計:46,426万円(964万円/年)
建設費合計:24,763万円(514万円/年)
支払利息合計:8,461万円(176万円/年)
支払総額:157,051万円(3,263万円/年)
収入総額:159,365万円(3,311万円/年)
収支合計:2,314万円(48万円/年)
だが、忘れてならないのは、これらのお金はすべて税金→役所、利息→銀行、建設費→業者に支払って、手元に残るのは48万円だけだ。
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次に、2.の土地を売却して相続税を払う場合だが、結論から言うと約半分売却すれば納税できる。
土地の評価額は「市価(実際の売買価格)の70%」とされており、その意味では相続税25,800万円は、市価の30%に相当する。
したがって、30%/80%=37%の土地(223㎡)を売却すると、2その20%を譲渡所得税で残りを相続税として納税できる。
2回目も3回目もこの理屈で繰り返されるが、土地が小さくなるにつれて税率も低くなり、3回目の相続で残る土地は250㎡(約4割)になる。
そして最後に3.寄付による脱相続では、もう相続税は関係ない。
寄付に伴うみなし譲渡所得税(寄付者側に課税される税)に実際に売却する分の譲渡所得税を加えた額で土地を売却するだけのこと。
結論としては、20%を売却してその20%=全体の4%を譲渡所得税として納税し、残りの16%が売らなかった80%の20%に相当する。
つまり、20%を売却して譲渡所得税の納税に充てれば、残りの80%を非営利法人に寄付して相続とはおさらばできる。
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もちろんこの話は、大多数の人が選択する「2.土地を切り売りして納税する」に対し、「3.寄付による脱相続」という選択肢を提示するためのシナリオだが、是非とも「1,相続税を払い続ける」の愚かさというか、馬鹿々々しさに気づいて欲しい。
相続税を払うだけでも大変なのに、その費用をねん出するためにさらなる借金をする上に、膨大な税金も払うことになる。
今回の計算は、あくまで最高税率の最小事例なので、これ以上の土地を維持する人は、すべてこれ以上の負担に耐えている。
最低でも毎年3,300万円以上をどぶに捨てるなら、数人の人を雇用できる。
せめて、1回目の相続税を払い終えたなら、すぐに寄付をして非営利化することで、無駄な出費とおさらばできる。
と、この話をもっと手短にするにはどうすればいいのか、、、今日はここまで。