6月17日、認知症や障害などで判断能力が不十分な人を支援する成年後見制度について、2000年の制度開始以来約25年ぶりとなる抜本的な見直し(改正民法)が、参院本会議で可決・成立した。
これは、本人の意思を尊重し、使いやすい制度へ移行するための大規模な法改正だ。
僕が所属する日本土地資源協会(略称LR)は、土地所有者の思いを叶える仕組みづくり(国づくり)に取り組んでいるが、その思いを語り伝える支援の必要性から、昨年度より「高齢者及び障がい者等が自らの意思を尊重された形で財産の管理や承継等を行うことができる社会の実現に寄与すること」を定款上の事業目的に加えた、
今回の法改正が示すように、まさに僕たちの取り組みには追い風が吹いており、さっそくそんな記事を書こうとwebサイトの定款を確認したら僕は愕然とした。
なんと、昨年変更したはずなのに、いまだに旧定款が掲載されている。
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実は今、新定款に加えた「遺言書の作成支援及び遺言の執行に関する事業」に取り組んでいる。
対象者のRSさんは、80代の独居老人で、昨年徘徊中に保護されて、すでに保佐人が付いている。
笑恵館のご近所にお住まいなので、僕を含むLRメンバーとは10年来の交流があり、保護された後も菩提寺の件など何かと終活のお手伝いをする中で、家屋などの財産を面識のない親族でなく、遺贈寄付したいと希望している。
そこでさっそく公正証書遺言の作成を目指し、LRが執行者となることを前提に寄付先を指定することになったのだが、LRメンバーの皆さんはLR(自分たち)への寄付をお勧めすることができず、RSさんへの説明や説得に苦労する。
あるメンバーが、遺贈者の意思に基づく基金を作って運営してくれる団体を見つけてきて、そこを熱心にお勧めするのだが、当のRSさんは「良いわね、でもあなた方が勧めるならどこでも良いの」と言う調子で、これでは遺言書は成立しない。
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認知機能に関する医師面談の結果を踏まえ、公証人からも遺言作成はほぼ困難と言い渡され、先日起死回生の面談を行ったが、RSさんは「病気も無いし、ゆっくり考えたい」と変わらない。
万策尽きたメンバーは、ついにLRへの遺贈を持ち出し、「私たちに寄付して下されば、私たちから最適な団体に寄付するから、遺言書にはLRと書きましょうよ!」と言い出した。
「ねえ松村さん、それで良いですよね?」とメンバーから問われたので、ぼくはRSさんの顔を見ながら「そんなことはしませんよ、僕たちに寄付してくれるなら、RSさんの財産をどうしたいのか、納得いくまで一緒に考えますよ!」と言い切った。
これに対し、RSさんはにっこり笑って「分かりました」と答えてくれた。
少なくとも、僕にはそう思えた。
そんな様子を見て、弁護士さんは「それでは自筆遺言に切り替えて、執行人LRさんにお預けしましょう」とおっしゃって、下書きと財産目録の作成を手分けして進めることになった。
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たとえイニシャルの仮名とは言え、ご存じの方には極めてプライベートな話を言いふらす、不謹慎な文書に思えるかもしれない。
だが、その誹りを受けてでも、僕は「意思表明と伝達は如何に難しいことか」をお伝えしたい。
RSさんの場合、認知症が進行しているから周囲が心配し、その意思表明である遺言作成を急ぐのだが、遺贈先を特定できないのは決して認知症のせいではなく、むしろ認知症だからこそ妥協せず頑固に思えるのかもしれない。
そのことに気づいたから、僕はRSさんの「夢づくり」にお付き合いしたいと決心した。
もちろん遺言書には「夢=本当の願い」を書くべきと思うが、多くの人にそれができず「とりあえず子供に残す」となるのではないだろうか。
「夢づくり」こそ「国づくり」。
僕は、「夢を一緒に考える仲間づくり」に取り組んでいることに、気づくことができた。
さて、さっさとwebサイトを修正しよう。