5/28面識のないMNさんから突然嬉しいメールが届いた。
・・・・・・・・・・・・
こんにちは 土地の所有権について学んでいる、MNと申します。
脱相続、所有権のシェアというとても興味深い活動をされていたので連絡させていただきました。
私は現在米国を中心に生活をしているので、脱相続に関してはCommunity Land Trust(CLT)という仕組みがよく使われるので、日本土地資源協会の方々はご存知か気になりました。
CLTは今や全世界に広がっているんですが、CLTという土地の脱商品化(売り買いできなくする)効果、また、複数の個人ではなく、団体が一生涯、メンバーの民主的な管理のもと、その団体が最初に定めた土地の使い方の目的、ミッションステイトメントに沿って、土地を活用します。
ぜひ、興味あったらCLTについて見てみてください。
・・・・・・・・・・・・
と言うことで、さっそく紹介されたリンク先を参照してにわか勉強した。
・
コミュニティ土地信託(以下CLTという)は、土地の保護と土地の正義を実現するための強力かつ永続的な組織のことで、そのルーツは、1960年代のアメリカ南部、公民権運動の激動の中にあった。
人種差別が吹き荒れるジョージア州で、白人の地主から不当な立ち退きを迫られるなど、常に不安定な状況に置かれていた黒人の小作農たちが、経済的な自立と、人間としての尊厳を取り戻すために、世界初のCLTと言われる「ニュー・コミュニティーズ」を生み出した。
彼らは、コミュニティで土地を共同所有することで、誰にも奪われることのない生活の基盤を、自らの手で築き上げた。
先住民による私有地所有権の確立に挑む急進的な思想家たちや、ヴィノヴァ・バーヴェによるインドのグラムダン(「土地の贈与」)運動に触発されたCLTの組織構造は、集団的責任と個人の自由という価値観のバランスを取りながら、土地を市場から永久に切り離し、地域社会の利益のために長期的な利用とアクセスの確保を目指している。
注目すべきは「土地を市場から永久に切り離し・・・」の一節で、LRが取り組む「脱相続」に対し、CLTが「脱商品化(売り買いできなくする)」に取り組むことこそが、NMさんメールの核心だ。
そこで、CLTの仕組みについて、もう少し詳しく見てみよう。
・
CLTの基本は、「土地の所有権と建物などの所有権を分離する」というアイデアに基づいていて、その仕組みは次のように整理できる。
1.コミュニティが土地を所有
まず、地域住民が主体となって、非営利組織である「CLT」を設立し、寄付や助成金などを用いて、地域の土地を取得し、永久に所有する。
2.建物の所有者は住民
CLTは、その土地を、住宅を必要とする地域の住民に、安価な料金で長期的に(例えば99年間など)賃貸し、住民はその土地の上に建つ「建物」だけを所有する。
3.再販価格に制限をかける
ここが最も重要なポイントで、住民が家を売却する際には、市場価格で自由に売ることはできず、あらかじめCLTと契約した「手頃な価格(アフォーダブル価格)」で、次の入居希望者に売却するルールになっている。
4.永続的な手頃さを実現
これにより、土地の価格高騰の影響を受けることなく、その住宅は何世代にもわたって、常に手頃な価格であり続ける。
・
続いて、日本土地資源協会との違いを整理するが、ここでは土地資源協会をLand Resource Communityと翻訳し、LRCと表記する。
1.コミュニティが非営利組織を作って土地を所有するのは共通だが、主体となるのはCLTでは「地域住民」なのに対し、LRCでは「所有者とその思いを共有する仲間達」となる。
2.土地や建物を使用者に賃貸するのは共通だが、建物の所有者はCLTでは住民個人で、LRCではあくまで共同所有を前提として個人の所有は認めない。
3.CLTでは建物などの再販や相続が可能だが、LRCでは所有権を持たせないので、再販も相続もあり得ない。
4.CLTは手ごろな再販価格の維持による永続性を目指しているが、LRCでは所有者たちの夢の実現を目指している。
こうしてCLTとLRCの相違点を俯瞰してみると、両者の違いは次の2点に集約できる。
A.対象者 CLT:地域住民、LRC:土地所有者+仲間
B.利用法 CLT:底地権を総有する定期借地利用、LRC:総有する土地資源を固都税相当で賃貸
(総有:法人の構成員と所有物の関係のような分割できない共同所有)
つまり、CLTが使用者側の永続性を目指すのに対し、LRCは所有者側の永続性を目指している。
・
・・・と、議論は始まったばかりだが、ひとまず話はここまで。
今日はMNさんから届いたメールが僕を触発し、僕を突き動かすきっかけとなった顛末をお届けしたかった。
「ご存知か気になりました」の一言は、瞬時に僕を「知ってるかどうかが気になる人」にしてしまい、なぜ知らなかったのかを超えて、なぜ知ろうとしなかったのかと自問自答を繰り返した。
その結果たどり着いたのは、僕が地主=所有者側の見方に凝り固まって、視野を狭めていたことだ。
地主から迫害を受けた小作農たちが立ち上げた取り組みと、主体的な自覚や役割を忘れてしまった土地所有者たちを地主として復活させる取り組みが、多くの共通点を持つことに目を付けただけでなく、本人に忠告までしてしまったMNさんに、最大の感謝と称賛をお伝えしたい。
本当にありがとう。
今後とも、遠慮のない忠告やアドバイスは大歓迎だし、僕からもそんな発信を続けたい。