日本と日本人

今週の実現倶楽部は、「日本」について議論したい、
もちろん先日の参議院選挙で大勝した参政党のスローガン「日本人ファースト」がきっかけだ。
この言葉が物議を醸し、参政党の街頭演説会にも反対勢力が妨害に押し掛け騒然となる様子が多数報じられたが、むしろそれ自体が支持率増大を促進したとの見方もある。
まさに「アメリカ・ファースト」を唱えたドナルドトランプの大勝利や、韓国の荒れる大統領選挙などを対岸の火事と揶揄していた人たちにとって、これは衝撃的な事件となった。
自分達とその歴史を美化することが、むしろ自分たち自身を貶めてしまうジレンマこそが、いま世界にまん延する排他主義の根源だ。
決して僕は、この問題を論じたい訳ではないが、実現倶楽部が目指す「日本と日本人」についてお話するいい機会だと考えた。

まず、「日本」と「日本人」について確認しておこう。
「日本」は国名、「日本人」は日本国籍を持つ人を指し、法律上、「日本人」は日本国籍法で定義され、日本国民と同義だ。
しかし、文化的な文脈では、日本という国や日本人のアイデンティティ、文化、歴史などを包括的に指すこともあり、それらが混然としているのが実情だ。
だがアメリカ生まれで日本語すら話せない「日本人」や、日本国に帰化して国籍を取得した外国人などの取り扱いを考える上でも、「日本人」の定義は明確にしておく必要が有るが、先述の日本国籍法でさえ、国籍の継承や取得、離脱の基準を定めるだけで、「日本人」そのものの定義は存在しない。
「日本」についてもその範囲は時代とともに変化しており、歴史的解釈についても新たな資料が発見されれば簡単に覆ってしまう。
結局、「日本」も「日本人」も、概ね世界に通用する「コンセンサス(合意事項)」に過ぎないことを、忘れずにいたい。

さて、ここからが本題だ、日本と日本人について、実現倶楽部的解釈に挑んでみよう。
まず、日本人とは、日本に所属する人のことなので、日本と所属について論じる必要が有る。
日本とは、地球上の日本列島を中心とする範囲の名称であって、それ以外の何物でもない。
そして、この名称は7世紀後半に定められ、701年の大宝律令で正式に国号として採用されたが、それ以前は、「倭」と呼ばれていたようだ。
さらに言えば、これは国内を中心とする「自称」に過ぎず、外名としては、英語・ドイツ語において「Japan」、フランス語において「Japon」、スペイン語において「Japón」などが用いられており、これらは「日本」の中国語(閩語ないし呉語)読みが、交易を通じて西洋世界に伝わったものであると考えられている。

次に日本人だが、日本人という集団の範囲(境界線)を民族的・文化的・国民的の各観点別に捉えられるが、帰属先の日本が極東の島国という条件から各集合が大いに重なっていて、曖昧な認識を抱える人が多い。
だが、先述の通り国外から帰化した人や国外に移住した人など、これらの範囲を超える例外は今後増える一方だし、国内で黒人扱いされて渡米したNBAの八村塁がチームで日本人扱いされたり、大谷翔平の探求心が賞賛されるなど、新たな日本人像も生まれつつある。
新たな価値を実現した自分が「日本人」と呼ばれることで、その価値を日本という地域(範囲)に紐づけることになり、そこに所属するすべての日本人がその価値を分かち合うことができる。
かつて僕が、世田谷ものづくり学校の校長だったころ、僕は常に入居者からの不満や突き上げにさらされていたが、彼らは対外的には一切不満を述べず常に賞賛してくれた。
お陰で、施設は高い評価を得て経営は安定した一方で、入居者たちのステイタスも向上した。

このように、日本と日本人の関係は、範囲とその所属メンバーの関係だ。
メンバーの功罪は、その所属範囲の功罪とみなされて、全ての所属メンバーが嫌でも共有することになる。
過去の日本人の功罪を、日本という国(範囲)を介して今の日本人が共有せざるを得ないのは仕方がないが、罪は反省して正すべきであり、開き直って美化すべきではない。
僕は侵略戦争に明け暮れた日本の当事者であるからこそ、その反省に基づいた戦争放棄は絶対に妥協できない。
その他、日本で継承されてきた様々な価値の良いとこ取りをするために、喜んで日本国民であり続けようと思っている。
でも、僕が所属するのは日本だけでなく、様々な地域や土地、そして夢や目的を共有するコミュニティだ。
つまり、僕にとって家族の一員になったり、組織のメンバーになるのは、日本の日本人になるのと同じこと。
なので、何かを実現するために仲間を募ることを「国づくり」と呼んでいる。

今週の実現倶楽部は、あなたがどんな国を作りたいのかを、考え議論したいと思う。
水・金・日の19時からを予定しているけど、その他いつでも気軽に相談して欲しい。

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