今日は「まちづくり」について考えたい。
その理由を簡単に説明すると、笑恵館をある公益的法人に寄付したいのだが、その法人はまちづくりに取り組む「地縁団体(自治会)」だ。
そもそも笑恵館は、その事業を持続するために、非営利法人への寄付を前提に設立されたが、寄付に際して市価の約20%相当の譲渡所得税が課税されるため、その捻出策に悩まされてきた。
だが、公益事業への寄付であれば、「譲渡所得等の非課税の国税庁長官の承認を受ける手続(措置法第40条)」が存在する。
そこで今日は、笑恵館が取り組む事業が、公益事業に該当するかどうかを考えたい。
ちなみに、公益事業とは、公益社団法人及び公益財団法人の認定等に関する法律第2条4項の「公益目的事業」に定める「学術、技芸、慈善その他の公益に関する別表各号に掲げる種類の事業であって、不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するものをいう。」を指す。
この別表には22項目の事業が列挙され、その内の「 十九地域社会の健全な発展を目的とする事業」を、今日は「まちづくり」と呼ぶことにする。
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まず初めに「公益目的事業」は、「別表に掲げる事業」と「不特定かつ多数の者の利益の増進に寄与するもの」の2つを満たす必要が有る。
僕は2015年に自分で公益法人を作ろうと考え、内閣府に公益申請を提出したのだが、「会員制の笑恵館は不特定多数に該当しないので却下」となり、さっさと取り下げて一度は「公益」と決別した。
だが、先日能登支援活動の中で「認可地縁団体(町会組織の法人化)」の相談を受け、町会や自治会が公益法人と同様の扱いを受けることを定めた「措置法第40条第1項」を突き止めた。
自治会とは、まさに地域内に居住する会員のための共益団体に他ならないので、自治会に寄付することで、任意の会員制でなく地域住民を対象とすれば、「不特定多数」の問題はクリアできると考えた。
ならば、残る課題はただ一つ。
笑恵館事業が「まちづくり」に該当すれば良い。
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早速「地域社会の健全な発展」の定義を求めて、まずはググってみたのだが、案の定答えはヒットせず、AIによる下記の「それらしい答え」が出てきた。
地域社会の健全な発展には、次のような取り組みが考えられます。
・地域の経済や社会活動を活発にする地域活性化
・環境への負荷を少なく、自然と人間との共生を確保する地域づくり
・安全・安心な地域社会づくり
・住民の創意・工夫が活きるコミュニティ・ビジネスの育成
・中心市街地に賑わいと潤いのあるコミュニティづくり
地域社会の健全な発展に向けた取り組みの例としては、次のようなものがあります。
・地域の資源や特性を活用した事業の創出
・観光振興
・地域の文化や伝統の保護と継承
・地域コミュニティの強化
・地域住民の自主努力や地方自治体・警察当局との協力による犯罪防止活動の強化
・官民協力したコミュニティ・ビジネスの育成
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国税庁長官に「AIによると・・・」など、まるで根拠にならないので、ここでは論じる気はないが、問題は「地域社会の健全な発展」の定義が見つからないことだ。
ちなみに、先ほどの「AI回答」の次にヒットした総務省の見解は、「地域社会の持続可能性について」となっていて、すでに「健全な発展⇒持続可能性」と言葉のすり替えが起きている。
ここに現代社会の縮図がある。
AIという統計処理によるコンセンサス風多数決と、行政などの権威による言葉のすり替えにより、答えも問いもはぐらかされている。
なので僕は、笑恵館や自治会の実績と法的根拠を携えて、国税庁長官に会いに行く。
そこで語る「まちづくり」とは、何なのか・・・が今日の本題だ。
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笑恵館事業が「笑恵館の健全な発展」に寄与するならば、笑恵館を地域社会に置き換えることで、「地域社会の健全な発展」に帰着する・・・というのが僕の論法(作戦)だ。
2012年にまだ出会って間もない笑恵館オーナーのYTさんが、「オーナーって家賃収入はあるけれど、いくら働いてもボランティアなのでつまらない」とぼやいたのがきっかけで、僕は「不労所得+ボランティア」を「報酬+労働」に変えればいいと、この事業を思いついた。
さらに「もしも笑恵館が実現したら、相続で細切れにせずこのままやり続けて欲しい!」という言葉でとどめを刺され、自分の所属する非営利法人に笑恵館を寄付して、運営者として働くことを提案した。
これに対し、納得したYTさんは誰にも相談せず即決し、僕と二人で日本土地資源協会を設立した。
これまでYTさんの不労所得だった家賃収入は法人の事業収益となり、法人は笑恵館の運営・整備・魅力向上のため、常駐管理人としてYTさんを雇用する。
YTさんは、施設及び庭の管理、近隣対策や夜間対応など得意分野を担当し、広報や営繕、受付業務などは会員有志を雇用する。
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こんな笑恵館の取組をまちに置き換えるなら、「まちの所有者(住人)が不労所得を得るのでなく、まちの魅力向上のために働く事業」こそが「まちづくり」だと僕は言いたい。
「土地の地」は、「地域の地」であり、「地球の地」でもあると、僕が地主の学校に書いたのは、まさにこのことを言いたかったのだと今気が付いた。
大切に守ってきた家や施設を切り刻んだり売ったりせずに、地域の財産として守り続けたいと願う人こそが、これから地域の自治を担う当事者だと僕は思う。
もしこれが、町会や自治会組織で実現するならば、日本中の人々にこのことを伝えたい。
法人名(日本土地資源協会)に日本と付けたのは、まさに日本の法律だからこそできるこのやり方を普及するためだったのだと、改めて確認できて良かった。