前略 ○○様、はじめてお便りいたします。
この度は、○○様が所有されている・・県・・市・・の土地の売却情報に接し、是非とも購入いたしたくお便りを差し上げました。
私が所属する一般社団法人日本土地資源協会は、名前だけは偉そうですが、構成員10名ほどの小さな法人です。
住まいや仕事場としてだけでなく、いつでも帰ってこれる拠点=故郷として土地や建物をいつまでも使い続けたいと願う土地所有者の相談に乗るうちに、相談する側と受ける側が一緒に法人を作ってしまいました。
自分の土地を自分の法人に寄付することで、法人に所属する仲間たちと血縁でなく地縁でつながる家族になることができます。
現在6名の土地所有者と4名の支援者(建築、法律、財務関係)で様々な土地の利活用や、こうした仕組みの普及に取り組んでいます。
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この法人を生み出すきっかけとなった相談者のTさんは、ご自宅を地域に開放するとともに、敷地内の小さなアパートの住人とも緩やかな家族づきあいをしています。
そして、この施設を「笑恵館(しょうけいかん)」と名付け、会員制のみんなの家として運営しています。
Tさんの願いは、最期までこの街で暮らし、自分が死んだあとは子供たちに相続せず、法人所有としていつまでも運営し続けることです。
この願いに賛同した方たちが、緩やかな家族として笑恵館クラブに入会し、現在建て替え工事に向けて集まった有志たちとともに、プランを作り始めたところです。
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また一方で、土地利用をしたいのに土地所有者の理解を得られずに困っている利用希望者や、利用者の勝手な利用法により迷惑をこうむる土地所有者からのご相談が増えています。
土地を売却することよりも、土地利用を許可することこそが所有者本来=地主の役割なのに、これが現代社会で失われています。
そこで、土地所有に興味があり、応分の費用負担もいとわない仲間を募り、固定資産税などの保有経費を負担しながら土地利用を模索する「土地資源オーナーシップクラブ」を設立して運営しています。
名栗の森オーナーシップクラブは、埼玉県飯能市名栗湖畔の山林所有者を中心に、所有者の孤立を解消する取り組みです。
http://land-resource.org/naguri/
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さて実は、当法人が土地の購入を思い立ったのは最近のことです。
これまで土地取得の方法は、寄付や遺贈を前提としていたので、まだ実際に土地取得はできておりません。
すでに、寄付を前提とした所有権賃貸や、遺贈を前提とした遺言書の作成と親族説明会などを行ってはおりますが、皆さんご存命のため土地所有の法人化は未了です。
でも昨今、土地利用がうまくいかない上に、納得できる売却の目途も立たず、相続人からも孤立している所有者からのご相談が増えています。
そこで、そんな土地の所有者になりたい仲間を募り、当法人が購入することで永続的に所有して、相続による分割や、共同所有者たちの分裂から土地を守り続けるプロジェクトを始めました。
そこに持ち込まれてきたのがこの土地で、早速10/20(水)に、現地出身の若者たちと現地を拝見いたしました。
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住所の表示から、現地はすぐにわかったのですが、3,000坪の範囲がどこまでなのか分かりません。
また、塀の外から一回りしただけなので、内部の様子も分かりません。
応募要領には「具体的な使用用途、使用頻度を詳細にお書きください。」とございましたが、あまりにも情報が足りません。
少なくとも固定資産税や建物の維持経費を算出しなければ、永続所有の基本プランが描けません。
そこで、是非とも所有者様にお目にかかり、具体情報をご提供いただけないかと存じます。
さらに申せば、このような地域に根差した土地資源の利活用には、所有者様ならびにご親族の皆様のご協力が不可欠です。
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長文となってしまいましたが、これが私どもからのご提案です。
是非一度、お目にかかることができるなら、何処へでも参上いたします。
お返事を心待ちにしております。
どうぞよろしくお願い申し上げます。
草々