「目的なんかきれいごと」と言われ、あまりにもショックだったので書きます。
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僕は常々「金儲けは目的ではない」と言っています。
多くの人から「私もそう思う」と共感していただいたので、理解していただけていると思っていた僕がバカでした。
昨日もそんな話をしている時のこと。
ある経営者が「目的とか、きれいごとってホント大事ですよね」とつぶやきました。
ちょっと嫌な予感がしたので、「きれいごとってどういうことですか?」と尋ねてみると、彼は「事業目的とか、経営理念とか、言ってみれば飾りみたいなものですよね。やっぱり飾りは美しくなきゃ。」と平然と答えました。
これを聞いて、僕はめまいを感じました。
僕はこれまで、何をやってきたのか。もしかして、僕は自分の思いを全然伝えられていないのではないか。
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実は一昨日、こんなことがありました。
「事業目的の作り方」というオンライン講座を始めたので、いつもの習慣で、この言葉がどんな意味を持つのかググってみました。
普段なら、必ず事前に調べるのですが、この言葉については何の疑念も持っていなかったので、なぜか、そうしませんでした。
ぞろぞろ出てくる検索結果は「会社定款の作り方」ばかり、つまり事業目的とは「会社定款の記載事項」という位置づけです。
そしてその内容を覗いてみると、次のような恐ろしいことが書いてあります。
このページに記載しているのは、弊社が過去に設立した会社の定款に記載した目的の一部です。
あなたが設立する会社の事業目的の記載の参考にしてください。
なお、ここに記載している目的が必ず使用できるという保障はありません。
法務局の担当官によって「この記載はOK」「この記載方法はダメだ」というように基準が若干異なりますので、必ず法務局へ相談されてからご使用下さい。
役所への許可申請・届出が必要な事業を行うときは、担当官公署への相談も忘れずに。
さらに、その内容に触れる記事には・・・
事業目的を決める上では、守るべき3つのルールがあります。
- 適法性・・・違法なことを事業にすることはできません。
→ダメな例:麻薬の販売 - 営利性・・・株式会社はお金を稼ぐことが目的ですから、ボランティア活動を目的にはできません。
→ダメな例:お金をばらまく - 明確性・・・どのような事業をするのかがある程度明確である必要があります。
→ダメな例:困っている人を助ける事業
「事業目的の作り方」という言葉が世間ではこういう意味で使われる言葉だったとは・・・うかつでした。
こんなことがあったので、昨日の「きれいごと」という言葉に僕は過敏に反応しました。
このメルマガを使って、皆さんに「目的の作り方」語っているのは、まさにこうした現状に危機感を持つからです。
僕がお目にかかったことがある皆さんだから、つい説明を怠ってはいないだろうか、やはり初めからお話すべきだったと反省します。
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何かに挑もうとするときに、僕たちはとかく「どうすればいいか」という方法から考えがちですが、その前にまず「何のために挑むのか」を考えなければなりません。
そこで、「何かに挑むこと」を「事業」、「何のために挑むのか」を「事業目的」と呼び、事業の方法を考える前に、きちんと事業目的を作るため、「事業目的の作り方」という講座を始めました。
したがって、僕の言う「事業目的」とは、会社定款に記載するための目的ではありません。
むしろ、何かに挑み本気でその実現を目指すなら、誰もが必ずやらなければならないことだと思います。
僕はそれをお伝えしたくて、このメルマガを発行しています。
僕の様々なチャレンジを書き添えるのは、すべてがこの手法の事例だからです。
1回3000円のまつむら塾とか、1月1000円のオンライン塾とか、あの手この手でお誘いしていますが、とにかくこの考え方をお伝えしたくてやってます。
約1200人の方に配信し、300人程度が読んでくださっているようです。
でも、ほとんどお問い合わせはありません。
皆さん、あまり興味がないのでしょうか、それとも、特段お困りではないのでしょうか。
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僕はずっと以前から、「どうすれば課題解決の先送りを無くせるか」という問題と戦ってきました。
特に16年前、会社を潰した時からは、日々がこの問題との戦いです。
まだ若かったころは、人生には時間がたくさん残されていて、結論ばかり急がず、いろいろ経験してからでも遅くはないだろうとタカをくくっていましたが、会社の倒産は、資金繰りという時限爆弾の秒読みが始まる時間との戦いです。
残されたお金を何に使うのが最善の道かを、即座に判断しないと間に合いません。
おかげで僕は42歳の時から、立ち止まって悩むのはやめました。
必ず日々答えを出し、それを実行します。
どんな悩みも答えを出し、行動することで何かを感じ、次のことを考えます。
行動すると失敗や悩みは増える一方ですが、その解決案を出すスピードも、年を取るにつれ早くなりました。
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そんな僕から見ていると、現実的な方法論ばかりが論じられ、目的に関する議論は一向に聞こえてきません。
例えば日本は、平和という目的を実現するために戦争という手段を放棄したはずなのに、軍備という方法に依存しています。
この矛盾を解くためには、平和という「目的」をきちんと定義する必要があります。
仮に、戦争のない状態を平和というなら、軍備などあり得ません。
たとえ相手が攻めてきても、こちらには応戦する気がないからです。
たとえ家族が殺されても、自分が殺されても、抵抗はしますが仕返しに殺すことはしません。
国民全員が殺されても、絶対に仕返しはしません。
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僕は、平和という目的を、これくらい具体的にイメージし語るべきだと思います。
そんな我々を、一体誰が殺しに来るのでしょうか。
おそらく、恨みを持つ人がいれば仕返しに来るでしょう。
だから、その時死ぬのは恨まれている人であり、過剰に防衛したがるのはそんな心当たりがある人ではないでしょうか。
極端な議論だと感じるかもしれませんが、こうした議論をすることこそが、問題を先送りしない方法です。
何が正しいのか、何が望ましいのか、何を求めているのかを決められるのは自分自身しかいないのに、人任せにすることこそが問題です。
偉そうに語る僕自身も、日々それを自分に言い聞かせています。
だからあなたも、真剣に考えて欲しいと思います。
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破たん後の世界とは、破たんの巻き添えになる被害者と、破たんを機に新たなスタートをする人に分かれる世界だと思います。
僕は、一人でも多くの人と一緒に僕自身も後者になりたくて、こんなことに挑んでいます。
しつこく申し上げますが、あなたの事業目的を聞かせてください。
それはあなた個人の願いでも、あなたのビジネスや会社の目的でも、社会が目指すべき未来のことでも、あなたがその実現に挑みたいことならなんでも結構です。
もちろんわからないことや疑問があれば、何でも質問してください。