どんな破綻を想定する?

「ごぶさた致しまして。破綻後の世界興味深く拝見しました。ところで、どんな破綻を想定しているのでしょう?」

友人のNさんから、こんなメールをいただいたので、次のような返事を書いた。


おう、Nさんお久しぶり。

実のところ、どういう形でするのか、皆目見当がつきません。

簡単に言うと、僕から見れば、当の昔に破たんしているのに、この国はゾンビのように生きています。

ゾンビがどうやって死ぬのかは、よくわからないという意味です。

では、すでにどういう破たんをしているかというと、それはお金の話です。

日本はお金を印刷しすぎて、事実上円は紙くずです。

金持ちが使わないから、円の価値が保たれ、デフレが続いています。

貧富の格差が広がるのはそのせいで、お金は貯めこまれる一方です。

でも、それを使ったとたんに円は大暴落するので、使えないのが実情です。

日銀がいくらお金を印刷しても、金利を上げなければ何の意味もありません。

実際、10倍のインフレになれば、国家予算が1000兆円になって、赤字国債の残高など大した問題ではなくなります。

そして、円は10分の1に暴落するので、輸出や観光が繁盛します。

ま、こんな話をしてもらちが明かないので、やめておきます。

僕が今注目しているのは、スウェーデンです。

実は今、先進国(OECD)の中で貯蓄率はスウェーデンが1位で、日本がビリです。

あれほど高い税金を取られているのにスウェーデンでは貯金ができて、預金残高2位の日本が、実は貯金もできない最貧国です。

貧富の格差って、恐ろしいことです。

富が集中しているだけのことかと思いきや、集中した富は塩漬け同然なので、無いに等しい。

つまり、格差が大きいことは、貧しいことを意味します。

現に今から50年前、スウェーデンが手厚い社会保障に取り組み始めたころ、スウェーデンの貯蓄率は確かに最低レベルでした。

そしてその頃の日本は、高度成長の真っただ中で、絶好調だったはず。

しかしそれから50年が経ったんです。

スウェーデンでは社会保障が定着し、質素ではあるけど出産、教育、医療、老後の心配がない国になりました。

一方日本は、確かに年寄りと企業と大はお金を貯めこんでいますが、お金がないと生きていけない社会になりました。

僕は社会保障を評価しているのではなく、それが質素であることが大切だと思います。

日本のように介護も医療も子育ても、際限のない贅沢を湯水のようにお金をかけてばらまいていては、続くはずがありません。

医療も介護も教育も、すべてが、持続不能な仕組みです。

だから、どこから手を付けても、軟着陸は不可能でしょう。

一度破たんするしか、道は残っていないと思います。

だとすれば、1日も早く破たんした方が、傷は浅くて済むはずです。

僕が会社を潰して学んだのは、まさにその1点だともいえるでしょう。

その時生き残るのは、お金の価値に依存しないビジネスだと思います。

1ドルが100円であることに依存するビジネスには、これから嵐が吹き荒れます。

毎日働いた分で毎日暮らせることが肝心です。

現に世界の大部分の人たちは、お金だけに依存せずに生きています。

今僕は、僕の考えたことを売って、原価ゼロで稼ぐことに挑んでいます。

全然儲かりませんが、僕にしかできないことは何かを日々考えています。

でもそれこそが、誰にでもできることでもあるわけです。

誰かにやってもらうのでなく、自分で何とかすることが、お金からの自立の第一歩だと思ってます。

今の日本が破たんしても、全滅するわけではありません。

きっとずる賢く生き延びる人も大勢いることでしょう。

でも、大多数の人たちは、ただ路頭に迷うことになると思います。

僕はそんな人たちに、国や会社を当てにせず、自分の力でしぶとく生きることを提案したいだけ。

なんか、そんな感じです。

つい、長々と書いてしまいましたが、今度一杯やりましょう!

松村