エスナ連絡会

安全な材料、快適な技術を実際に採用するために、
こだわりを持った先進各社を迎えて情報交換するのがこの会の目的です。
先端で技術を開発し商品化するプロセスは、この方たちからしか聞けません。


第1回 (970519) 趣旨説明
第2回 (970619) BLパウダー(珪藻土)
第3回 (970710) 輻射で作る快適空間
第4回 (970829) 珪藻土新建材「レーヴ」
無機質系接着剤AMタック(アメニティタック)
第5回 (970929) レーヨン糸壁紙「ラフィットクロス」
第6回 (971029) 国産間伐材活用断熱材兼用型枠「MKボード」
無機系通気型撥水塗材「セラブレス」
第7回 (971126) 低ホルマリン合板「しんもく」
第8回 (971216) マイコン処理で腐らない木材「ドリームウッド」
セラミック処理木材「テクノパルの森林浴槽」
第9回 (980121) ドイツのエコ塗料 LIVOS(リボス)
辰建設の快足フロア
第10回 (980224) ドイツエコ事情について
第11回 (980324) コルクタイルについて
第12回 (980421) 「ウォーターリフレッシュナー」
「サヤ管ヘッダー工法」
第13回 (980519) 「畳の話」
第14回 (980623) 「アトピーについて」
第15回 (980724) 「 ドイツ エコロジー建築ツアー98 報告 」
第16回 (980825) 「エコバラエティに富んだ健康自然塗料リボス」
第17回 (980927) 「ソーラーシステムについて考える」
第18回 (981027) 「進化するガラス」
第19回 (981118) 環境に配慮した家電製品について
第20回 (981218) 外断熱について
第21回 (990127) 自然な住まいと健康な住まい
第22回 (990224) 「辰建設のダイレクトマンション」
第23回 (990325) 「辰建設エコプロジェクト報告」
第24回 (990421) 「外断熱の家に住んで」
     
第2回エスナ連絡会 平成9年6月19日テーマ:珪藻土「BLパウダー」の性質と使用実例
講師:(株)サメジマコーポレーション BLJ事業部
営業課 松岡 正和氏 
<社長挨拶>私ども建設会社は多くのメーカーから資材提供を受けて、建物を完成させるのが仕事です。本日お見えの方々との仕事の積み重ねと言えるわけですが、第1回エスナ連絡会(社内工事部主任以上と一部設計部スタッフが出席)の反省として、実際の建材、工法を生み出された当の方々から話を聞きたいとの意見が出ました。確かに、良いものをお客様にお薦めして良かったと言っていただくのが本来の営業で、良いもの、よさそうなものも実際に使わないと意味がないわけです。
我々も責任を持って、真剣に良いところ、悪いところを見極め、わからないところはわからないと申し上げる、それが大切だと思います。
今日はサメジマコーポレーションの松岡さんにお馴染みの珪藻土「BLパウダー」についてメインにお話ししていただき、質疑応答を行います。そして自由に意見交換あるいは、皆様のPR等をしていただくため、「快適トーク」という時間も取ってありますので、よろしくお願いします。
<珪藻土とは>

<松岡氏>
資料の「土がくれた生活(くらし)」をご覧下さい。珪藻土は植物プランクトンの化石です。本日はその原石を持ってきました。建材にするには元来パサパサなもので、糊化は難しいものでした。しかし左官の材料としての耐火性、調湿性に優れています。0.1μの孔が水を取りこみ、気化してしまいます。その孔の数は木炭の数千倍にもなります。
そこで建材としての加工性能を満たすよう、石灰+珪藻土(60%)+白セメント(2%)+アクリル樹脂(1.3%)+ポリエステル(1%)の配合で作ったのが、「BLパウダー」です。
おわかりのように、100%自然のものというわけではありません。これはプラスターボード等、現実に建物の壁にくっつけなくてはならないためで、昔に漆喰には、ワラや麻を使用しておりましたが、今はそのような素材自体があまりないということと、麻に漂白剤を使用することが一般的になったためかえって悪い、という理由によります。しかし、私たちはより天然に近い形にするように努力しています。
く特色>

<珪藻土拡大写真>
BLパウダーの特色は
1. 湿気をとる。(自分の重さの8倍まで)
2. 臭いをとる。
があげられます。                         
(特に、ホルムアルデヒド等、新築の家で問題になる臭いには、効果があります。「エスナ市ヶ谷」で体感してください。)
根本の考えは「昔からあった土を、もう1度家の中に入れてもらいたい」という考えだけなんです。私自身も田舎の出身ですが、昔はどの家にも蔵があった。あのひんやりとした空間がほしいと思います。「高い」「養生が大変」「剥離」など工事は大変です。適材適所だけで充分です。どこか田舎に旅行にいらしたら、家の土蔵には入ってみるといいですね。厚塗りの壁が冬も夏も心地よい。それを薄塗りにしたのが、BLパウダーなのです。
<施工>細かい部分については、資料を参考にしていただいて、合板だけではだめだということだけ簡単にお伝えしておきます。木と触れ合う部分は養生が必要です。コンクリート、プラスターボード、ラスボードはそれぞれマニュアルに従ってください。
欠点はというと、割れます。ひびが入ります。施工業者、設計者、施主、それぞれの方の理解が必要です。「割れます、でもあとからまた塗れば平気です。」と是非言っていただきたい。
<質疑応答>

Q:湿式ですね、乾式はないのですか。私は紙で「われ」とかカバーできるものが作れればと考えるのですが。クロスでも吸収しますしね。(弊社工事部)
A:やりたいですね。テクスチャーは左官でしかできませんので、今のところ湿式ですが、当社の技術部のほうに是非ご提案いただいて、検討させていただきたいと思います。
Q:以前は工事部にいたので2ヶ所、実際に施工した経験で質問します。お客様によくたずねられるのですが、どんどん水を吸って、限界はないのですか。(営業部)
A:飽和はあります。水につけ、先ほど申しました分(自重の1.5倍)だけ吸い込んだらそれ以上は吸いません。施工では塗り厚3mmが標準ですが、以前ある公団の北側の壁が結露して、4mmに塗りなおし、大丈夫だったというこうじがあります。普通は4mm塗れば充分でしょう。が、水廻りは使わないほうがいいですね。浴室より、脱衣場が向いています。温泉地の老人ホームの天井の吹付けでカビが出た事があります。やはり、有機物が付着しやすい状態ではお勧めできません。
Q:今日みえている左官やさんに仮に工事を依頼するとしますと、価格面では?(予算課)
A:販売につきましては、直販でやっています。1袋¥6,500です。建材メーカーとしては、後発なので使用いただいたあとのお客様の声がまだまだもどってきていませんが、待っています。
Q:施工後、欠けてしまった場合はどうなるのですか。
A:水で練って補修してください。水引します。もともとの固まり方と色の違いは出ます。が、上塗りもできます。1袋で下地材は25~30㎡、内装仕上げは8㎡ほどですね。材料費は、㎡あたり¥1,500+手間賃と見てください。工程は下地材の乾燥に1日とってほしいので、2日は必要ですね。
Q:カビは大丈夫ですか。(工事部)
A:基本的には生えません。焼成温度800℃でピンク色、1000℃でしろのBLパウダーができます。こちらは問題ありません。黄色タイプの「MBR」は、籾殻を混入しており、あくは出しておりますが、水がかかるとカビが出ることがあります。
栃木の温泉に施工したとき、カビが出てしまったのですが、24時間湯気と人の垢にさらされており、特殊な事例だと思います。
Q:クロスの上にそのまま塗れますか。(営業部)
A:塗れます。その場合中塗りが必要になります。
Q:ビニールクロスは?お客さんによっては、工事費を節約したがる人がいますから。
A:できますが、リフォームはプラスターボードでもなんでも剥がすのが1番ですよ。以前タッカーで固定し、珪砂を(表面がざらざらになるように)混ぜたシーラーを塗布(ヤニ止め)し、乾いた上に下地1mm、内装3mmで施工したら、クロス表面に付いていた煙草のヤニが出ました。改めてシーラーで固めてアク止めしたのですが、クロスの上に使うというのは問題がないわけがないんです。仕上っていくらということをお客さんに理解していただかなくてはならないと思います。
Q:耐用年数はどのくらい?
A:材料ができて、7年くらいですから、今のところ「ダメになった」という声は聞きませんから、7年は平気だと思います。(笑)
Q:ボードのビスの錆はどうですか。(左官屋)
A:さびません。珪酸というのは、ものすごく強いアルカリです。12pHあります。ですから、ごめんなさい、左官やさん、手が荒れます。そのくらいすごいから、別の意味で外装材として出ている地域もあります。広島です。なぜだと思いますか。あちらは中国大陸からの酸性雨がひどくて、外壁がぼろぼろになりやすいのです。RCの打ち放しと組み合わせて使用していただいています。次第にpHが落ちていくといった感じで、珪藻土自体のpHは中性に近づいている程度に収まっているようですね。
Q:飲食店(やきとりや)のリフォームを行って、多量に塗りすぎましたが、あとで油がでないでしょうか。
A:7年塗った壁の臭いが出てきませんから、10年たってもし出てきたら、また上から塗ってください。

社長:ここで、当社が行った工事からBLパウダーの実際の効果を目の当たりにしたエピソードを私から紹介します。
1. エスナ市ヶ谷
新築現場というのは臭いものでしが、ここは竣工間近であるにもかかわらず、においません。1度現場にいったとき臭かったことがあるのですが、コーキングの臭いでした。
2. クレタケマンション
築30年のリフォームをエスナ仕様で行いましたところ、お客様は大変喜んでくださいました。ところが、入居後臭う。何かと思ったら家具だった。今まで気にならなかった家具のホルマリン臭が、実はとても臭かったということがわかったそうなんです。
酸性雨の話ですが、ヨ―ローッパでは大きな問題となっているのはご存知のとおりです。しかし日本は昔から硫黄分が多い国、火山国ですから、欧米に比べ、植物が鍛えられているそうです。それでも条件は欧米と同じですから、何年か後にはどうなっているのかわかりません。臭いといえば、ある「うなぎや」では、逆に臭いがしないと客が入らないかもといわれました。」(笑)
<快適トーク>
それでは今日出席いただいた皆様に自己紹介を兼ねて、お話しをしていただきたいと思います。(敬称略)
富士川建材■ 「自然住宅の会」で辰建設さんと出会って、お付き合いさせてもらっています。基本はBLさんと同じ珪藻土を扱っています.。工事の基本は石膏ボードが理想ですが、やはり、お客様に充分理解いただけるわけではありません。各地の現場でさまざまな下地処理が施されています。木下地、RC、Vキャスト等。設計の段階でクロスと思っていたけれども、急遽珪藻土を使用したいという現場もありました。
今日は珪藻土の話はBLさんにおまかせするとして、当社が今開発している製品のご紹介をしたいと思います。
フローリングの接着剤というのは、大変な有毒ガスを発生させるのですが、当社では人にやさしい無機質系接着剤「AMタック」(アメニティタック)を開発しました。長谷工コーポレーションとの共同開発です。日本の建設省が目指しているTVOC基準は、300μ/m3 と定められておりますが、対策なしのまま放置しておくと、30000くらいの数値にまでなっているのが現状です。なかでもフローリングの接着剤からのものが1番多い。ところが、無機系接着剤のものにかえるだけでそれが3000くらいまで落ちます。(それでも排出するのは、木材本来のガスのせいです)ぜひ、この新しい「AMタック」もご紹介させてください。

しんもく 会社は埼玉の八潮にあります。中堅合板メーカーです。取扱いは、ラワン材80%、針葉樹合板20%となっています。合板は、ホルマリン使用分によって、JASで、F1、F2、F3と等級が決まっております。数年前からF1合板、いわゆるノンホルムアルデヒドの合板を作り始めました。当初はPRをかけたものの、楽器関係以外から引き合いもなく、PL法制定以降室内環境が注目され始め、最近やっと需要が増えてまいりました。物流については、4t、2t車を使って、宅急便を利用しています。 

旭興■ 内装材、クロスの会社です。塩ビ、ビニルクロスも仕方なく作っておりますが、旭化成と共同で開発した「ラフィット」 という針葉樹パルプを原料としたクロスも開発しております。7月10日に住都公団の八王子研究所がオープンし、いろんな条件の施工を紹介することになっているので、当社の商品もごらんいただけると思います。調湿性の高い2層の紙を、ノンホルムの糊で接着したものですが、クロスの裏紙に再生紙を使っていますので、経済的でしかも燃やしても安全です。4月下旬グッドリビングショーに出展しました。辰建設さんとも今後一緒にやれる機会があるといいですね。

南部屋建材センター■ 防腐剤として、木材に薬液を注入するのがいかに困難かということをご存知の方は少ないと思います。かなりの圧力が必要で、ほとんど20kgが限界ですが、段階的にやっていくと30から35kgまで可能になります。弊社ではJR西日本さんの提案で、枕木に防腐剤を施す際に、川が汚染される問題が起きたので、環境に良い方法を求められ、18年のキャリアをもとに、木材の芯まで薬液を入れる(50kg圧)技術を開発しました。普通行われるCCA処理というのは、クロム、亜鉛、銅が入っていて、官公庁では不許可になります。焼却時に有毒ガスが生じるからです。私どもでは、VDACと呼ばれる病院で使用する消毒薬を用いており、15~20年は木がくさらないで、しかも安全です。
現在、「ドリームウッド」というガーデンデッキ、ガーデンハウスを手がけています。最近のガーデニングブームのおかげで好調です。「こういうものはできないか」というご提案がありましたら、すぐにご連絡ください。

PS(ピーエス)■ 輻射冷暖房機器のメーカーです。HRCを始めて、私たち自身が発見した事ですが、これまでは冷暖房は「これは6畳用」とか、「○kcal」とか数値のものさしだけで計ってばかりいました。しかし、機械自体は目新しいものではなく、PSはソフトそのものが画期的なのであり、快適にはいろんな方法があるのだということ、これを多くの方に知ってほしいと思います。
<提案>弊社設計部:設計施工を当社で行う場合、「エスナ仕様」ということでおすすめしたいのですが、最近の物件でなかなか予算が取れない場合が多い。本日おいでのメーカーの方々に、もう少し価格を安くしていただけるともっとお勧めできると言うことを提案したいですね。
営業部:昨年度まで、工事部におりましたので、「エスナ」で難しかった点をあげますと、「なぜいいか」という点を口で説明するのが非常に難しい。やらずぼったくりのように言われるのがとてもくやしいですね。やはり、現物あってのものですから、もっとリフォーム等の施工で、どんどんモデルルームを活用していけばよいと思います。

社長:今までの建設会社というのは、大間違いを犯してきたと思います。作り手主導の仕事をしてきた。先日も日本国土開発の役員の方がおっしゃっていました。「建設業は大手になるほど反省しなくてはならない。ところが現在殆どのところがお客さんの声を聞くチャンネルを持っていない」と。当社は、大きくありませんが、やはりまずお客さんの声を
 聞いて、こっちを向いてくれる話をしなくてはなりません。こういう会合を開いていくのも、商売をキチンとしていくことが目的です。自分が納得していないことをお客さんにいくら説明しても説得できません。自分たちのものにして、どんどんお客さんに提案していってほしいと思います。
次回は輻射冷暖房機器のPS(ピーエス)さんの情報センターで実施させていただきます。梅雨どきの最もタイムリーなこのときに、その効果を実証していただけるものと思っています。
本日はどうもありがとうございました。
第3回エスナ連絡会 平成9年7月10日テーマ:ひとにやさしい輻射冷暖房の話
講師:PS 取締役 所長 平山武久氏
<PSの歴史>

ピーエス 平山氏
PS(株)は、ラジエーターの会社として、スタートしました。こちらのPSショルームはーオープンして10年近くになります。現在従業員が約200名。父が昭和35年創始して、日本で初めてパッケージエアコンに組み込む加湿器からスタートしました。1967年アシュレーというアメリカの空調団体が展示会をやるというので、日本の関係団体の視察旅行に参加し、父は渡米。そこでスイスの会社がつくった加湿器(食品、印刷、繊維工場のためのもの)を見て、その場で視察旅行のその団体を脱退して、スイスのその会社へ行きました。そこで出会ったのが、スチーム式のラジエーターです。ヨーロッパ中のラジエーターを見てまわり、「日本には今までこんなものはない、これは便利だ」と先ず輸入してみました。ところが、大きな鉄の機械ですから、運送費がばかにならない。いっそつくったらどうかということになって自分で作り始めたのです。
日本では暖房として北海道でスタートさせました。昔、ヨーロッパなどで見られたスチームラジエーターは100℃の蒸気が通っていて、触ればやけどするものでしたが、現在PSではだいたい40℃の水を流しています。そして冷房についてですが、今世の中の流れとして、冷房前線は北上しています。意外でしょうが、
 
札幌でも暖房だけの家は減りました。HRCも暖房だけでなく冷房を装備したものが求められるようになったのです。
<熱の話> 見過ごされがちですが、室内温度と壁の温度の関係についてまだまだ理解されていないことが多いようでです。壁の温度が高ければ、室内温度は低くてもよい、逆に壁の温度を上げられないと、露点温度以下のとき壁も窓も必ず結露します。結露を避けるには空気の温度はそんなに高くない方がよいのです。
ここに表面温度を測る機械があります。おとといあの炎天下の中、道路の温度は60℃でした。室内は35℃でしたから、気温は半分の48℃くらいだったでしょうか。48℃の中で生きていけるかというと、まず無理と思いますね。でもみな平気だった、ということは、気温そのものより、むしろ輻射熱に気をつけた方がよいということなのです。
東大生産技術研究所の村上研究室の実験シュミレーションをご紹介します。(OHPで説明:2つの部屋の各部に温度が書き込まれている)
HRCを入れた部屋と、そうでない部屋の室内空気の比較ですが、外の温度が高いと窓付近は50℃近くにまでなっています。室温設定を24℃に設定したHRCの部屋はだいたいどこも25℃くらいです。部屋のどの部分も温度が均一化されています。窓も開かない密閉されたエアコンの部屋に身をゆだねることは、棺桶に入っていることと同じです、エアコンが止まったら、おしまいですから。それに比べると壁やものを冷やす、あるいは暖めるHRCは効率的に室温調整ができるということです。
<現場紹介>

結露するHR-C
 青山イデーショップ(根津美術館の通り)ALCのフォルムに高さ5m巾50cmのHRCが2台設置されています。ぜひ、ご覧ください。
<新製品の話> 
ここは、ショールームでもあり、実験工房でもあるのですが、天井に下がっているものをご覧ください。 
プロトタイプのもので、カーテンボックスにコイルを入れて冷気を送るものを作ったらどうなるかという実験をしている最中です。まだ水が滴りおちてくる部分の改善が必要ですが、こんなことも事務所の中でやっています。
<こたつの話>
こたつの由来を知っていますか。意外なことに、16世紀にポルトガルからやってきました。トルコの遺跡でも見つかっていますし、南欧でも見つかっています。日本では江戸時代に普及しました。この中でこたつが好きな方いらっしゃいますか。こたつは高齢者になればなるほどよくないのです。気持ちがよくて動きたくなくなりますね。身体を動かさないというのは、年寄りには致命的です。身体を動かせる空間は絶対にとってあげなくてはならないのです。
<1日の変化の話>朝、出社して皆さん必ず事務所の電気のスイッチをつけませんか。そして、仕事を終えて帰るまで、ずっと電気がこうこうと明るい中で過ごしていますね。人間というのは、それもストレスになるのです。
まったく変化のない空間に身を置くのではなく、1日の天候の変化を窓の外にでも感じている方が、実は人間にとって心地よいことなのです。私の会社の会議室では、そういうわけで、照明はつけない。かわりに大きな窓があって、公園の緑が目に入ってきます。午前から昼にかけ光の向きが変わり、夕方暗くなったら、スタンドを一つつけるだけです。必要以上に全部を明るくしない。部屋に観葉植物を置くのも、1日、長い目でみれば1年の変化を感じる効果をねらっているものです。先ず無意識に電気を点けるのからやめてみませんか。
<質疑応答>
Q:ソーラーは利用できるか?
A:現段階ではまだ元をとれない。将来的には可能。
Q:電気代は金額的にどうなのだろうか?
A:機械の容量の設定により、動力部分の金額は電気なので、やはり灯油などと比べると高いかもしれないが、1立方メートルあたりの冷房能力は極端に押さえられると思う。200Kcalが100Kcalですむ。
Q:耐用年数は?
A:具体的数値ははっきりしないが、配管やラジエーターは半永久的。熱源ポンプ、ボイラーなど動くものは15年という中でメンテナンスしている。
Q:もたなくなる原因として考えられるのは?
A:昔のシステムであった例だが、最初に空気が入ると、腐食が起こる。今は密閉式なので、ヘンリーの法則を利用した膨張タンクでエア抜きをして腐食を避けている。
Q:騒音問題は?
A:今の所、大きなクレームはないがー。
SHIN:隣家との間に設置したモーターの音が、夜間人が寝静まったころうるさく感じるというお客様もいたが、奥さんは気にならないと言っていた。
A:人により感じる尺度は違うということはある。横浜のK邸では、HRCが静かなので、今まで聞こえていなかった冷蔵庫の音の方が目立つようになったということだ。
  以上、私たちが快適と感じている温度について、その認識を改めさせられるお話をして頂きました。そして、毎日の生活の中でストレスを和らげる方法がまだまだあることも教えられました。実は、平山氏の自宅が「和泉実験ハウス」として、辰建設の施工で8月完成。もちろんHRC、その他PS製品フル装備です。室内は調湿効果の高い珪藻土やしっくいを使用、浴室も一部ソーラーを採用するなど、人と環境に配慮したそれは素晴らしい住宅ができあがりました。8月某日、環境関係団体の方々をご案内して見学をさせていただきましたが、猛烈な暑さの外から1歩玄関に入ると、洞窟の中の入ったかのような涼しさに生き返りました。
 
第4回エスナ連絡会 平成9年8月29日テーマ:珪藻土新建材「レーヴ」
講師:富士川建材工業(株) 企画部部長 田中 満夫氏 
<富士川建材工業>長年にわたり外壁工法を手がけ、各種建材の開発を手がけてきた実績をもつ。レーヴのほか、漆喰「SSコート」やじゅらく壁「京壁」「成」などの和洋の統合を生かした壁材を開発、自然建材ですべてを仕上げる健康住宅づくりをめざしている。またこれらの施工を完全なものとするため、メーカーと専属左官工が一体となった責任施工を行っている。
<レーヴ>組成:珪藻土、天然ゼオライト、炭酸カルシウム、天然高級角又糊、接着剤、無機顔料。珪藻土は、藻の一種であるプランクトンが200~300万年前に堆積してできたもので、セメントとほぼ同じ大きさの粒子の中に無数の細孔があるため、調湿性がすぐれている。
<講演>


  珪藻土の建材が脚光をあびて、当社が取組みを始めてからまだ2年くらいですが、現在大阪も含めて4社ほどが活動しております。第2回のエスナ連絡会(BLパウダー)のときに珪藻土そのものの説明はあったので、皆様その効果はよくご存知だと思います。建材としてのビニールクロスの可塑剤、接着剤などがホルムアルデヒドという有害物質を発散させるということで、調湿効果の高い珪藻土が利用され始めたのでした。そのときなぜ完成品、つまりタイルなどになっていないのかという質問がありましたが、おぼえていらっしゃいますか。
  珪藻土を焼成した後、建設施工のためにバインダー(のり)を入れてかためていくのですが、樹脂系はだめですね、穴をふさいでしまいますから。各メーカーが無機質系のセメント、石灰、石膏などを用いており、それが製品の特色になっています。現在製品としての形状を整えているのは、当社でも取り扱っている鈴木産業の豊ヘルス(レンガ状)です。バインダー(のり)を使うことで、珪藻土本来がもっている穴が1/2、1/3に減ってしまうものですが、豊ヘルスは珪藻頁岩という珪藻土よりもさらに調湿性のあるものを加工しているので、その効果が他のものよりも優れています。しかし、色、デザインが限定されるため、施工上の要望に沿わない場合も出てくる。つまりある程度施工の自由が利く粉末でありながら、もっと調湿性のあるものをつくりたい、それが現在各メーカーの競争となっているのです。
  それでは、調湿性について考えてみます。上のレーヴ内装用吸水試験を行った結果をご覧ください。他社製品と比べて、ゆっくりと水を吸い込んでいることがわかります。私たちは、「急激な吸湿は、空気中の汚れをも急激に取るということになり、壁全体の汚染が大きい」と考えます。花瓶の水をひっくり返してそれを全部吸い込ませることが必要でしょうか。それは住み手の責任だと私たちは思うのです。
  吸着現象は、「固体表面にある微細な孔(細孔)の有無あるいはその開口の大きさなどによって大きく影響を受ける」ということがわかっています。吸着力を考えると、この穴の口径が大きければ大きいほど細かい粒子を吸い込みにくく、小さければ小さいほど細かい粒子を吸い込みやすいということになります。
  では、部屋の中の水蒸気を考えてみましょう。飽和量に達した水蒸気に対して、それ以上の湿気が加わると、その分が結露します。そこで脱吸着等温線のグラフを見てください。珪藻土であるレーヴは、人間がもっとも快適に生活することが出来るといわれている相対圧0.6(相対湿度60%)から吸着等温線が立ち上がっており、調湿材料として最適な細孔分布を持っていることがわかります。(細孔開口部の大きさ2nm以下をミクロポア、2~50nmのものをメソポア、50nm以上のものをマクロポアと定義されている)
  ちなみに健康のため最適な湿度範囲というのはどのくらいでしょうか。上のように、真冬に空気が乾燥しすぎるとインフルエンザが流行り、湿度がありすぎると細菌などの繁殖をよびよくないということがよくわかります。このようなデータを参考に、どのくらいの厚さに珪藻土を塗っていけばいいかということを決めていくのです。例えば、湿気が出やすい浴室の脱衣室は厚め、子供の部屋は薄めでいいという判断ができるわけです。また、雨が降ったときの玄関前は、急激に湿気を取ってくれるもの、室内は総量としてたくさん吸ってくれるものがいいと思います。
  最も効果的な吸湿を得るために、比表面積をあげていくには、どうしたらよいか。それは珪藻土の焼成温度によって変わってきます。またその他の組成物のゼオライトなどの特質も考慮に入れ、混ぜ合わせます。
 
  私としては豊ヘルスの粉を一番おすすめしますが、メーカーではまだタイル状のものしか出してくれない。たとえば地下室でいつも湿気が取れず、換気もあまり出来ない場所でゼオライトとセメントのタイルタイプを施すとかなりのボリュームになってしまうが、珪藻頁岩のタイルを部屋全面に施すと50~60%の湿度を調湿してくれます。ですが、タイルのものしかない。(豊ヘルスはデザインとしては土色の素焼きの色のみ)しかしそれも、今後設計の方から注文がでている現状をみれば、変わってくることでしょう。
 テーマ:無機質系接着剤AMタック(アメニティタック)
講師:富士川建材工業(株) 営業2課 課長 森内 元信氏
始めに、開発の経過と、従来の接着剤との違いをお話しましょう。
まず「健康住宅を考える会」で長谷工コーポレーションの方から依頼があって、ホルムアルデヒドを発生させない接着剤をつくろうという話になったのです。現在一般で使用されている直貼りフローリング用の接着剤として、エポキシ系接着剤、湿気硬化型―液ウレタン樹脂系接着剤などがありますが、これらの接着剤は労働省の通達で強度の変異原生が認められる化学物質が含まれており、また無溶剤・無臭タイプであったとしても揮発性有機化合物(VOC)が放出されることがわかっています。
WHO:世界保健機構ではこのVOCの総量TVOCを300μg/m立方以下とすることとしていますが、日本ではまだこのような基準はまったくありません。ちなみにホルムアルデヒドはWHOの一般環境室内基準は0.08ppmとなっています。
施工業者の作業環境を考慮した場合、防毒マスクを必要とするような発ガン性物質を含んだ接着剤を使用することは、発注者としても勧められません。
上はフローリング用接着剤VOC濃度比較表を示してあります。
ウレタン無溶剤は有機溶剤が入っていないけれどもWHOの基準からはとてつもなく遠い数字になっています。
ところが、無機質系のものはVOCが出にくいのです。サンプルを持ってきましたのでご覧ください。(緑の粉体、白の液体:両方ともほとんどにおわない)この二つをマゼラーで混ぜ合わせます。(写真参照)
作業もそれほど不都合なく行えると思っております。
<工事部より追補>
8月完成した高橋・永井邸で採用したが、最初は作業する方に「まぜる」ということに抵抗があるのではと思った。しかしマゼラーで混ぜたところ、ウレタン・エポキシ系のものとほとんど変わらない感じで、作業員に「臭いがないのがよい」と言われた。また作業時間だが、通常のものは600~700g/m平方塗布したら、1時間くらいかかるが、AMタックの場合1100g/m平方塗り付けてかわくまで30~40分くらいであった。フローリングのは切り付けしてからはりつけるのだが、10~15分くらいで終った。
(工事部)
 
<質疑応答>Q:量が多いので、へらさばきが大変ではないでしょうか。
A:ほとんど変わらないと思います。板をすべらせながら、張っていきますが、溶剤系のものは、さらっとしていてフローリング張りの始めの方は隙間が出来ることがあるのです。AMではそれがない。現場では、水分が板に染み込んで盛り上げることがあるか心配でチェックしましたが、そのような「浮き」もありませんでした。職人さんも上手だったので、ほっとしています。
 
Q:AMタックはコルクタイルにも使えるでしょうか?
A:現在、合板もコルクタイルにも試験中です。水分が入っていますがそんなに多くないので、多分影響はないと思います。
 
Q:レーヴについてですが、1回「中塗り」をする一般的な仕様では、じゅらくなどと比べて値段はどうなのでしょうか。
A:これは下地によっていろいろ変わってきます。
RC、合板、モク、ボード…。全部違ってくるので、一概に高いとか言えませんが、1回塗りでいいといっても、ムラが出たりすることがあるので、クレームのためにも、事前に十分説明する必要があると思います。壁は一様に同じ素材ではないし、Vカットがあるところなどでも、全部同じようにしたいとなると、いろんな条件を考慮しなくてはならないからです。
 
Q:他メーカーでは、ボードの上にはりつけるのに寒冷紗を貼って上塗りという話があったが…。
A:それは割れますね、時間の問題だと思います。コーキングは所詮やせますから、あんこを中に挟むようなことはこわいですね。建物は硬いものから薄いものという順に貼っていくのがいいのです。モルタルを厚くすればするほどむずかしいもの。かりにそのような工事でもっているとすれば、ネットを張るなどしているのでしょうが、やはり無理です。最初に「だめですよ」と言いたいですね。
当社は塗り壁の左官工事が元々本職ですから、そんな話を少ししますと、昔のしっくいなどは薄く塗れば塗るほど、左官の腕がいいといわれたものです。これは、西日が差したらよく分かります、むらがはっきり出ますから。
条件つきの工事というのは、お客さんに「できますか」と聞かれれば、「できます」と言いますけれど、「きれいな仕上げですか」と聞かれればそうではない場合には「NOですよ」と率直に言うことにしています。
 
このほか、質疑応答は続きますが、紙面の関係で省略させていただきます。
富士川建材さんの話は、老舗左官屋さんの自信が感じられる楽しいもので、実際の工事の話では突っ込んだ意見交換がおこなわれました。余談ですが、伊豆・松崎の「長八美術館」(左官職人から、自身の技術を芸術的な工芸までに高めた入江長八の作品が展示されている)には、富士川建材さんの名前が起工協力団体の石碑に刻まれています。
<おわりに>
通常、フローリングの張り替えリフォームを行った場合は、溶剤の臭いがくさくてしばらく眠れないのですが、AMタックなら大丈夫だろうという声も聞かれました。それにしても建設作業で働く人々の現場環境についてもっと改善が進められるよう、各方面で努力していきたいものだという気がします。
第5回エスナ連絡会 平成9年9月29日 テーマ:レーヨン糸壁紙「ラフィットクロス」
講師:(株)旭興 営業課 佐伯 雄司氏
<㈱旭興> ㈱旭興は、旭化成の原料を内装材に作りかえる関連会社としてスタートしました。もともとチッソから分かれた旭化成と積水化学がそれぞれハウスメーカー(へーベルハウス、積水ハウス)として発展して、旭興はハウスメーカーと二人三脚で歩んできた歴史があります。クロスの扱いをはじめて35年になります。昭和40年代は旭化成の手芸糸「アンダリア」の一部をアンダリアクロスとして展開、その後安価で意匠の楽なビニールクロスの壁紙に取って代わられました。しかし最近の環境に配慮する風潮にあわせ、その良さがあらためて見直されています。
<ラフィットクロスの特徴>
ラフィットクロスは、木材パルプを主原料として、ビスコース法によって製造される再生繊維「レーヨン糸」と天然素材の綿、麻などとの混紡糸、紙等で構成された織物を表面素材としています。
このレーヨンはウールに次ぐ吸湿性能を持ち、また周囲の相対湿度に合わせて、放湿も素早く行うという調湿性能を持っています。また可塑剤や溶剤、石油系炭化水素などをいっさい使用していないので、今話題となっている揮発性有機化合物(VOC)による室内汚染がなく、安全です。塩ビクロスは剥がした後、燃焼温度が低いと有害なダイオキシンの発生源になり、土に埋めても100年くらいもとにもどらないといわれています。クロスも今まではどんどん作る一方でよかったのですが、いよいよ全国的にみて貼り替えの時期にきています。今まで貼ってあったものはいたしかたないとしても、これから貼るものについてはできれば環境に負荷を与えないものにしなくてはならない。ここに、レーヨン繊維をお見せしますが、ビニルクロスは燃やすと黒い煙が出ますが、これはまったく出ません。
燃やす温度も低いので焼却炉もいためない。もともと木ですから、再生紙に利用しようと思えばできるし、土に埋めても葉っぱと同じですから酵素の働きで分解されるのです。
<メンテナンスが楽>
メンテナンスの上からのお話に移りますと、他のメーカーも同じと思いますが、紙というのは厚みをかけてやるのが難しい素材です。その点ラフィットクロスは織物ですから、糸の厚みと織り方で自由に調整できるのです。製法の上では、「アンダリア」は短繊維でしたが、「ラフィットクロス」は「リボンストロー」と呼ばれる麦藁状の長繊維の糸も使うことにより独自のテクスチュア感とボリューム感があります。ふつうは紙を貼るときは、下地にかなり気を使って時間調整もたいへんですが、ラフィットクロスは、下地調整が楽です。なぜならボリューム感があるので、下地の不陸がわかりにくく、微調整ですむのです。また以前は一層でしたが、裏打ち紙に再生紙をくませて二層にし、剥がしやすく次のリフォームを容易にしています。それからクロスの上からペンキがぬれるので、ペンキ下クロスとよばれるものの代わりにもなります。ペンキ下クロスの中には、ガラス繊維のものが多い。ガラス繊維の施工は一番作業員にの身体によくないですよね。なるべくいいものを使うべきです。(ペンキを塗ると、調湿作用はもちろん落ちてしまいますが。)
表面素材が織物ということで、強度が強く(自社製品ビニルクロスの約2~3倍)施工時間の大幅短縮も可能にしました。
<メンテナンスに配慮しているからライフサイクルが長い>
一般的には、壁紙の有効期間(商品の改廃)はだいたい3年から4年です。これは、新陳代謝してやらないとお客様の要望に応えられないのでデザインをかえてしまうせいですが、このラフィットクロスは5~10年と長いので随時供給が可能です。
次にビニールクロスとラフィットクロスの作り方の違いを述べてみます。ラフィットクロスは、原料の針葉樹(輸入したときにはすでにパルプ)を九州の延岡で調達して、そのパルプからレーヨン糸を作り、金沢の織機工場で織り上げます。それに裏紙を貼り、全国へ配送しています。
塩ビは先に述べましたようにいろいろ問題があるのですが、値段が安いので大量消費の動向はしばらく続いて、すぐにはなくならないでしょう。ただ、化学繊維ということでいえば、アクリルも登場しています。アクリルは燃焼時ダイオキシンが出ないので、今塩ビのかわりに、アクリル樹脂というものが使えないだろうかと検討されています。ただ製品の安定というと、塩ビのものに比べて落ちるので、すでに商品化されてはおりますが、塩ビクロスと同じような条件のクロスができるのには少し時間がかかるでしょう。また一次工程でできない織物は、価格的には弱いですね。
地球環境の保護でいえば、いま森林伐採の問題もクローズアップされてきています。旭化成のカナダのレーヨン営業部では、50年サイクルで、植林、伐採を繰り返す構想でプロジェクトを行っています。
八王子の公団の試験結果を資料にのせておりますが、一つ織物は退光性の問題で光に弱いのではないかと思われていますが、ご覧のとおりJIS規定でもクリアしております。ホルムアルデヒドの放出もありません。調湿性も認められておりますので、簡単な結露はほとんど収まるようです。結露の問題はいろいろな条件がありますから、すべてこれで解決できるとはいいませんがー。
<公団の試験棟で実験中> 八王子に公団の試験棟があります。コンクリートの一人当たりの使用量は日本が世界一だともいわれていますが、全国的にビルの建て替え時期にきておりますので、こわしたビルのコンクリートを再利用する実験が行われています。阪神大震災のような「直型地震の際の免震、耐震力などについて」などのテーマを持った棟が10棟くらい建っています。その中に「人にやさしい」というテーマを持った棟があり、ラフィットクロスも採用されています。公団とはつきあいが長く、「アンダリアクロス」のときからですから、もう一度新しいクロスを使えないかということでテストをしてもらいました。毎週火曜日と木曜日に一般公開しておりますので、興味がある方はどんどん見学にいかれると参考になるかと思います。
<質疑応答> 社長:レーヨンをつくる際は、やはり化学処理を行っているのではありませんか。
佐伯:熱をかけて、苛性ソーダを加えて(この部分は後日追加。苛性ソーダは水酸化ナトリウム)撹拌するだけで、化学物質を投与するということはありません。
社長:レーヨンというのは、化学繊維ではないのですか。カタカナなので、化学繊維かと…。
佐伯:ええ、原料自体は天然繊維です。木材を再生して、新しく生まれ変わらせたという意味で「再生繊維」と呼ばれているのです。(石油から生まれる)化学繊維ではありません。使用済みの針葉樹を熱処理しチップを作り、熱処理することで繊維を結びつけていた樹液が溶けて、圧力をかけると長いストロー状の形のものができます。小さい力をかけるとそれが綿のようなものになる。そしてそれを糸のように紡ぎ織物をつくるわけです。
社長:価格はどのように考えればよいでしょうか。
佐伯:1000円台(/㎡)に限りなく近づけたいと考えているのですが、値段は量との関係がありますので、だいたいビニールクロスの1.2~1.5倍と考えていただければよいかと思います。
社長:これらのサンプル(会社にあります)は、最終の形でしょうか。
佐伯:はいそうです。
社長:レーヨンの無塗装ということですか。
佐伯:いえ、着色はしています。
社長:汚れはどうですか。
佐伯:ふつうのビニルのものに比べれば、マジックのようなものを付けられれば、どうしようもないという弱さはあります。簡単な手垢とかなら、消しゴム(またはパンくず)で消すということになりますね。
社長:ここにいるのは、もうほとんどビニルクロス世代ですが、カタログには今でも布クロスとありますね。たとえば防火性能とかは布クロスと同じということですか。
佐伯:布クロスと同等と思っていただければいいです。
窪田:在来工法で一番古いタイプの家(モルタルのもの)をリフォームした場合、カビが出ませんか。ビニールクロスでは出るという心配があるのですが。
佐伯:そのものが吸放湿しますから、しょっちゅう濡れている状態の壁ならともかく、カビは生えないと思います。
窪田:今それで、ペアガラスにしようかどうしようかという話になっているのですが、設計変更となると莫大な金額ですから、とりあえずこの冬ひとつ使用していただいて、結果をみてみようと思います。
佐伯:もしほんとに結露がひどいのであれば、そのクロスとボードの間に発砲スチロールをかませます。うちでもソフトボードというものをつくっておりまして、厚みが5mmと10mmあるのですが、5mmではほとんどとまりませんね。やはりある程度の厚みが必要。
窪田:今は発砲ウレタンを採用しているのですが、それでも心配だというお施主さんなので、その上に考えているのです。
佐伯:ぜひ使ってみてください。表面はさらっとしているので、結露しても放湿してくれると思います。
畠中:(資料をみて)ここには非常にいいことがいっぱい書いてありますが(笑)、実は、という白状するような欠点はないのですか。
佐伯:欠点というと、汚れにだけは弱いですよ。今アクリル樹脂にフィルム加工したものを試験的に作ってみていますが、それなどは、マジックなどティッシュで軽くふきとれます。汚れ防止という点でみれば弱いですね、生地自体が吸い込みますから。
松村(典):レーヨンというと、基本的に洋服の裏地ですよね。オーバーや、スカートについていますけど、これは100%だとドライクリーニングに出さないとだめです。つまり水につけてしまうと後で縮むと思うのです。レーヨンの裏地は吸水率が高いのだけど、後でどんなにアイロンをかけてもくしゃくしゃになります。ですから、クロスも縮むのではないかと考えてしまうのですが。
佐伯:私どもも施工部門と二人三脚で開発を手がけて参りましたが、建材のクロスが発明されてまだ半世紀ですよね。ビニールクロスも同じですが、クロスは紙で裏打ちします。その紙というのも伸び縮みして、その材料が乾いたときにきちんと仕上げるのが仕事なのです。確かに水に付けると伸びる、そしてそれが乾いた状態になってちぢんだときに正規のサイズに収めるのが、職人の技術なのです。ですからあとで口があいてくるという事態になるのは、製品の責任ではなく施工が悪いのです。
畠中:それは、1年とか2年の点検でも出てこないという意味ですか。
佐伯:ええ、1年たって口をあけるということは考えられないですよ。ただ施工ボードの紙をジョイント部分で切られて巻いて出てくるということはありますが。
畠中:じゃ、欠点は一つですか。まだ実績がそんなにないですけど。
佐伯:ええ、でもアンダリアクロスの時代から35年ですから。そのようなクレームはきておりません。
窪田:矢沢化学のノンホルム系の接着剤との相性はどうですか。
佐伯:ぴったりですね。あれは希釈されませんから。そのまま使っていただくのが一番です。薄めると職人さんの個人差がでしまいますから、原液のままというのがポイントなのです。むこうもちょっと高いですけど、何十年という話ですから。
中山:防火性能についてですけど、これだと、全部燃えてしまうわけですよね。
佐伯:ええそうです。ですから、もし1級がほしいということであれば、後加工で難燃材をくっつけます。ええ難燃材は隣、窒素、硫黄ハロゲン化合物、三酸化アンチモン等どちらかというと身体に悪いものですが、公共の建物ということになると、1級が必要ですから。
工事部:それは単価でどのくらい上がるのですか
佐伯:㎡で150円くらいでしょうか。(上代300円)
能登氏:これは防カビ材を使用しているのですか。
佐伯:まったく入れていません。
畠中:木材が原料なら虫が食うこともあるのかなと思うのですが。珪藻土は土なので、虫がよってくるということは聞きました。
佐伯:虫はないですね。
<能登春男氏に化学物質過敏症をきく>
社長:みなさんにご紹介が遅れましたが、今日は能登さんが見えています。ご存じのとおり「化学物質過敏症」という、建物の建材によって身体に重大な影響を及ぼすことがあるということをご自身の経験からアピールされて、著書も何冊か出されています。先日「エスナ市ヶ谷」のお客様でやはりそのような過敏症で何年もお悩みだったKさん宅を見学に来ていただきました。一言お願いします。
能登氏:先ほど値段の話が出ていましたが、ひとたび病気になるとほとんど治らないのです。ですから現在私たちはあらゆる意味ですごく気をつけて生活しています。今の世の中は「化学物質の海」といっていいですね。いろんな化学物質がまわりを取り囲んでいますが、少しでもいい建材を自信もって奨められる人になっていただきたいと思います。
2,3年前私がこのような活動を始めた頃は、「環境問題なんてやめなさい。20年かかるよ」といわれたものでしたが、私も気が短いのでそんなにはやってはいられないと、アメリカへ行ってむこうの状況などを見て帰ってくると、確かに日本は遅れていると痛感しましました。しかし、ここ1,2年でだいぶこの問題が取り上げられるようになってきました。今日このような集まりに参加できてよかったと思います。しかし、新しい建材かと思ったら、ずいぶん古くからあるものだったのですね。
佐伯:35年やっています。(笑)
窪田:PEPペプ(段谷の環境共生住宅部材。主原料パルプ。平成9年度科学技術庁長官賞受賞)などもそうですね。古くからあるのに、塩ビ製品に住販メーカーがのっかてしまったせいで、売れなくて埋もれていたものが、脚光をあびるようになった。パテントをとっていた当時の開発者たちはとうにいなくなってしまいましたがね。
社長:確かに、塩ビ製品が安いという問題もそもそも政策的なものかもしれない。本来ものすごい設備投資をしなくては、化学製品はつくれないはずです。エスナ市ヶ谷をやったとき、断熱材として使ってくれと、友人が発砲スチロールを売り込みに来たのだけれど、そのときに面白い話をしてくれました。外国では、アメリカでも欧州でも断熱材といえば、グラスファイバーは別として、ボード類のシェアの8割が発砲スチロールだというのです。ところが、日本は8割がスタイロフォームだと。発砲スチロールとスタイロフォームのどこが違うのかというと、発砲スチロールは中小企業が簡単に作れるが、スタイロフォームは大企業が大きな設備を用いてでないとつくれない。フロンガスを使って、ウレタンなどを発砲させてできるのですね。一方発砲スチロールは丸い小さなビーズを買ってきて、暖めるだけで膨らむので、町場の工場でできる。ところが世界でこんなにスタイロフォームを使っている国はない。だからこういう状況というのは、日本的な特殊なことだというのです。
能登さんが言ったように、今から30年くらい前に戻れば自然な天井もいっぱいあったのだろうに、今この場にいるほとんどの人間はそれを知らない世代です。逆に古い時代を知っているお客さんにえらそうに話をすると、そんなのあたりまえだろうと逆に言われることもあろうかと思います。
<中略>
  社長:今日はせっかく能登さんがお見えなので、化学物質過敏症とは具体的にどんな症状がでるのか、お話いただければと思います。
能登氏:まず、俗にいう「不定愁訴(ふていしゅうそ)」と思ってもらえばいいです。頭が痛い、気分がすぐれない、といったことですが、最初に化学物質過敏症という名前をつけたのはアメリカのランドルフという人です。アレルギーといって、ふだんは元気な人がある特定な場所にいくと特定の症状が出ることがあるというのは、以前から知られていました。しかし長いこと原因がわからなかったのですが、このランドルフ氏は患者の話を熱心に聞いて何年にもわたって調査を行いました。その結果プラスチックを使うときにも出るという症例をあげて、「化学物質過敏症」というようになったのです。すでにアレルギーという定義で病気がありましたから、それとは区別して別の名前にしたわけです。しかし、大多数の医者は認めなかった。製薬会社など化学製品をつくる会社が困るということからでしょう、理解してくれた医者はほんの1割くらいだったそうです。しかし、最近では保険会社も保険の控除を認めるようになってきましたね。
治療法はというと、薬を使えない、化学物質がだめですから。できるだけ、自然の素材の食べ物を摂り、ビタミン、ミネラルを補給する。特に化学物質を解毒するものとして亜鉛の効果がいわれています。普通の何十倍もの摂取量を摂って、サウナなどで汗を流す、軽い運動をする、この3つしかない。一つ効かなければ、次のものをと、医療費はばかになりません。それから、患者は女性が多いです。30代から50代の女性が8割です。ちょうど更年期障害に当たる年齢で、神経系統が不安定になっていることもあります。学会で発表したときに注意されたことですが、大人と子供の発症のシステムは違うということがあります。大人は化学物質過敏症ですが、子供はアトピーとかアレルギーになりやすいそうです。それでは、大の男はどうかというと、わりと大丈夫のようです。同時に、年をとると発病しないといわれています。神経系統がもうばかになっているからですね。(笑)ほんとのメカニズムについてはまだよくわかっていない。
これから一番問題になってくるのが、環境ホルモンですね。今まではよくわからなかったが、ダイオキシンなどは生殖異常などの原因となることがはっきりしてきた。若い男性の女性化傾向、体つきが変わってきましたよね。そして精子の減少などですね。
ほんとにわからないことだらけということになりますね。
社長:ありがとうございました。先日の社員総会でもちょっとあげましたが、毎日新しい化学物質が4種類発明されているということです。したがって何万種類という化学物質に我々は囲まれて暮らしているから、能登さんが書かれた本にも複合汚染の問題が出ていますが、病気が建設省の管轄内の原因で起きてくれれば我々も対処しやすいのですが、そうではない。問題はみんなが力を合わせないと解決できないということです。それなのに、役所は縦割り行政でしかない。我々もなにかとこれは精神科、これは内科と分けたがるけれどもそういうことではいけないのだと知っていなければなりませんね。
第6回エスナ連絡会 平成9年10月29日 テーマ:国産間伐材活用断熱材兼用型枠「MKボード」
講師:㈱エムアンドケー 阿部宗太郎氏
<MKボードの組成>
細多孔質ゼオライトや低分子ガスの吸着及び酸化還元触媒機能を有するセラミック粉末等を混入したセメントと、木質繊維を加圧成型したボード。この成分組成により耐火、断熱、調質、吸音、遮音などの基本性能に加え、さまざまな効用を発揮している。
<品質特性>
  • 材料として、天然素材(国産間伐材)の木繊維とセラミック粉(国産ゼオライト)を使用している。
  • 木繊維は、杉、檜、松の国産間伐材を活用し、国土緑化に貢献している。
  • 輸入熱帯材を一切使用しない代替一発捨型枠で熱帯林保護に貢献している。
  • すぐれた断熱性により、コンクリートの結露防止や省エネルギーに貢献している。
  • フィルター作用により、コンクリートの品質を高め、建造物の耐久性を高める。
  • 脱臭機能を持ち、さまざまな悪臭汚染を緩和する。
  • コンクリートから発生するアンモニア成分を緩和し、特に変色されやすい美術品等を守る。
<適用条件と実績等>
  • 型枠・屋根野地として、スラブ・内壁・梁・柱・屋根(野地)に使用。
  • 半径3.0mRからの曲面加工で、R壁・Rスラブ・R屋根にも対応。
  • 美術館、博物館の収蔵庫、民俗資料館等の文化施設、地下駐車場、コンサートホール、室内プール、体育館、ホテル、集合住宅、教育施設、病院等。
<その他の配慮>
  • 製造段階での環境汚染防止:加圧成型後、加熱乾燥せず、太陽エネルギーで乾燥させることにより、省エネ化をはかり、騒音防止にも努めている。
  • 焼却処分時に有毒ガスを出さないので、安心して焼却場で処理することができる。また、再利用可能なものはリサイクル資源の有効利用として、製品に再混入している。
  • 現場加工時の廃材を少なくするため、工場で予め切断加工作業を行っている。
  • 細多孔質ゼオライト粉末が木質成分による硬化不良を抑え、ボード内の強度バラツキを少なくし、全体の強度を高めるとともにより安定した品質を作り出している。
  • 工事終了までの残材が減少するので、場内清掃費、残材搬出費などが削減でき、工期を短縮することにより、管理費、維持費などの削減もはかれる。
 <単価、供給条件>
名称 厚(m/m) 寸法(m/m) 設計価格(円/枚) 換算(円/㎡)
 
25
910×1820
3,900
2,360
MKボード
30
910×1820
4,900
2,970
 
40
910×1820
6,400
3,880
 
50
910×1820
7,800
4,730

  • (資料は社団法人建設業協会 地球環境問題専門委員会参照)
<講演> 当初は美術館、博物館の収蔵品対策として、脱臭剤の開発を求められたところから始まりました。コンクリートからは施工後、骨材に付着している有機物がガス状になって、アンモニアガスとなって出てきます。(セメントからも多少出る)。コンクリートの温度が高い方が出ますし、湿度が高い方が出ますが、それが美術品などに、重大な悪影響を及ぼすということで、開発の要請があったわけです。
これを抑えるには2つの方法があります。つまり
  • 有害物質を先に出してしまう 
  • 封印してしまう
という2通りの考えです。このうち2については、実際には何かあったときに噴出して危険ですし、完全にはむずかしい。あまり早くコンクリートを乾燥させ過ぎますと、コンクリートそのものに害を与え、乾燥させたからといって中のアンモニアが抜けるわけではない。湿気が何らかの事情で入ったときにまたガスが出てしまう。輸入木材はヒ素や六価クロムの混入や熱帯雨林の伐採などの問題があるため、極力国産のものをという理由もありました。またそれだけでなく、木材の持つ調質性にも着目しています。有事の場合、停電などがあっても、ある程度の環境を保たなくては国宝級の美術品を守れない。電源が切れたらエアコンは、止まってしまうので、すぐに適温、適湿を維持できなくなる。それで本来のままで、調湿効果の得られるものが要求されるのです。MKボードの採用試験の結果は非常に良好で、郡山市立美術館、和歌山県立美術館・博物館、東京現代美術館等で実績をあげ、評価をいただいています。そして昨年度、東京国立博物館平成館建設に採用していただき、国宝級の重要文化財などの貴重な収蔵品を100年後へ伝える建築づくりに参加しています。
このようにしてエリアを広げていく中で、美術館だけでなく、特に学校等公共施設の室内環境をよくするためにも使っていただけるよう活動しています。今、手元の資料に設計価格が30mm厚で4900円/枚とあるように、コスト的に少し負担がかかる、さらに工夫して価格を下げて行かなくてはということでいろいろ努力しています。来年からは約7掛けくらいにまでおとせる見通しがつきました。より多くの方に使っていただきたいのですが、欠点もございますのでご指導いただければと思います。
製造方法の特色を少し述べますと、セラミックはゼオライトをセラミック化して脱臭剤を入れ、その効果をはかるようにしています。酸化触媒による吸着ですから、セラミック自体は半永久的です。建物のコンクリートから出る有害物質については2年位で減ってきます。ですから吸着後2年くらい効果が持続すればOKかと思います。しかしなにしろMKボードは1枚が30mm、30kg強とかなり重い。そこに施工性の問題があります。残念ながらセメントを使わないと、建設省の準不燃の認定が取れない。そのあたり将来的には認定基準そのものを変えてもらいたいという気持ちでおります。
熱伝導率は、木材ですから0.05(kcal/m・h・.℃)です(一番いい状態において)。参考までにスタイロフォーム25mmとMKの40mmが同等になります。これは熱伝導率だけで比較しています。たいていの建材は当初の状態はいいのですが、劣化ということだと化学建材は10年位。美術館、博物館になりますとそのような短いテンスではだめなのです、せめて50年,100年は持ってくれないと。石油系の製品はそういう点で弱いですね。
吸音性能については、グラスウールに比べればかなりおちますが、用途によって吸音性能があればいいというものではない。たとえば、新宿に今度できた国立劇場では6万㎡使っていただきました。なぜかというと、音質に木材系独特のものがあっていいという理由からで、大変よいと評価いただいています。調湿性については、下がっても含水率は15%位です。珪藻土の欠点の一つに乾きすぎてしまうということがあります。私どもも「ケイソーウッド」(珪藻土と木毛を圧縮成型した内装材)という珪藻土製品を取り扱っていますが、珪藻土は部屋全面にぬると乾きすぎて辛い。うちの「ケイソーウッド」だと木材がもともと持つ湿気で乾きすぎることがない。そこそこの湿度が一定に作用するので、図書館、美術館で評価されている要因になっています。
数年前から「グリーン購入ネットワーク」という活動に参加させてもらっています。幹事会社としてNECや日本国土開発等10社ほどがあります。この活動は商品やサービスを購入する際に、価格・機能・品質だけでなく、リサイクル、省エネ効果など環境への配慮を重視し、できるだけ環境への負荷が少ないモノを選んで優先的に購入しようというもので、MKボードは、日本国土開発の選定製品にも選ばれております。
このMKボードのほか我が社の製品をご紹介させてもらいますと、水に強い屋根野地化粧板の「MKスタジアムボード(木繊維・無機高発砲複合板)」があります。こちらは、サッカーなどの全天候型競技場、室内プール、体育館、その他壁用の断熱材兼用打ち込み型枠としてご利用できます。美しい意匠、優れた音響効果、非吸水性のため扱いが安心という利点があります。サンプルをまわしますので、ご覧下さい。当社の「ケイソーウッド」については、パンフレットをつくっていませんので、サンプルを回しますが、珪藻土というのは、そのままにしておくとポロポロ落ちるのが悩みです。シーラーなどを使いたくないので、これからご紹介するセラブレスという塗料が非常に相性が良いので、ぜひお奨めしたいと思っています。
<質疑応答>
玉田:MKボードに珪藻土を使いたいのですが、住宅の場合、だいたい金融公庫の関係で断熱性能の基準をクリアしていなくてはならないのため、MKボードのデータがないということで下りなくてあきらめているケースもある。それでこのような(MKボードが平成8年度の建設技術評価公募課題に応募しており、来年3月頃に認定される予定であるという点をふまえて)正式のデータが出てくれば、基準をクリアして、公庫融資も認められるのではと思うのですが。
阿部:現在は金融公庫の方は手続きしておりません。
玉田:この資料のデータは外部に出しているわけですね。ですから公のものとして認められたら、今後活用できると思うのですが。
阿部:そうですね、住宅の場合どうしてもコストが高くついてしまって、輸送費などでももっとコストを落としたいと考えているのですが、とにかくグラスウールやスタイロフォームという化学建材に変わる環境に配慮している建材ということで、認定してほしい思いがあります。
(以下略)
  テーマ:無機系通気型撥水塗材「セラブレス」
講師:サンスター技研㈱ 建材事業本部 マーケティング部」課長 和田裕氏
<内容と特性>
セラブレスは「CERABREATH」、つまり呼吸するセラミックという意味で、壁面の美観を保つ塗料に通気性を持たせ、通気する下地材と組み合わせると効果があります。
その特筆すべき基本性能を3つあげます。
  • 接着性(恒久密着性):セラブレスの主成分は、変性コロイダルシリカという無機質系の粒子。このシリカの超微粒子ミクロンが0.006~0.01ミクロンでコンクリートなどの無機質下地の細孔が0.01~0.1ミクロンですから、図を参照していただければわかるように、浸透して固着、安定した付着性を発揮します。下地の水分やアルカリ分にも大きく影響されず、従来の有機系塗料の持つ塗膜の膨れなどの問題をクリアしています。
  • 通気性:無数の空隙を有する緻密な石垣構造の塗膜を形成して、残存する水分や気温差によって生じる水分を無理なく放出します。
  • 撥水性:一方、塗装表面の微細な凹凸と疎水基の配合により、長期にわたる撥水性を発揮し、雨水などの外部からの水の浸透を防ぎます。
 
以上のような機能をもつセラブレスには、自然な風合いに仕上がる「アースカラーコート」と下地素材の素材感を出す「クリアコート」の2種類があります。ナチュラルなアースカラーはウォームトーンからクールトーンまで20色の豊富なカラーバリエーションを持っています。仕上がり
もフラット仕上げ、玉吹き仕上げ、ヘッドカット仕上げと漆喰感覚で選べます。
<解説>
(ビデオで、漆喰壁の良さを受け継いだセラブレスの呼吸機能を紹介いただき、OHPを使用しての講演は、試験データなどが示され、非常に詳しいものでした。)
セラブレスは、カタログを見ていただくとわかるように、表面がざらついています。アルキキルシラン誘導体という成分がこれ自体撥水効果をもつのに加えて、小さな粒子と水滴の間に空隙ができて、雨水を水玉のようにはじいてしまいます。水蒸気は通しますが、水は通さないのです。接着力は他の建材と比べてほんとに強い。そして塗膜の寿命が非常に長い。コンクリートの素地にエポキシ樹脂を塗った場合と、塗らない場合、そしてセラブレスを塗った場合の放湿量を比べてみますと、エポキシで覆ったものはまったく通気をしない。セラブレスを塗った場合は、そんなに放湿量をさまたげることはありません。
そもそもペンキの剥がれというのは、中に含まれた水分が膨れてしまうため起きてくるのですが、放湿性がある塗料ですと、水気が抜けるので剥がれ等が起きないのです。
また、セラブレスは弱アルカリなので、コンクリートの中性化を抑制します。ペンギンコート77(シラン系浸透性吸水防止剤)を加えることでさらに躯体保護性能を発揮します。さらに遮塩性試験でも効果が出ています。また、内装仕上げ材として使う場合(アースカラーコート)でも、難燃基準に合格しております。
もともと下地に調湿効果があれば、セラブレスを塗ればカビははえないのですが、さらに防カビ塗料を塗ったタイプを検討しております。抗菌防カビ効果を持たせた「セラブレスモルドバリア」というものを開発中で、これは約200近い菌にきくということで検証中です。主なターゲットは住宅です。安全性が高く、自信を持ってお奨めしたいと思っています。まただんだん塗膜が削れていっても石垣構造に防カビ剤を浸透させることで、それがしみ出してくるタイプを研究中です。
本格的にセラブレスを取り組み始めたのはここ2年くらいですが、全国で実績をあげています。
会社について少しご紹介しておきますと、昭和16年、自転車のパンク修理に使うゴムのりをつくる会社でスタート。そして「グリーンサンスター」という日本で初めてねり歯磨きをつくりました。今、このサンスター㈱は健康で安全な消費財を手がけ、私どもサンスター技研㈱は生産材を担当しています。オートバイのスプロケット、ディスクパットでは、世界で90%近いシェアを誇っています。
(Q&A略)
  今回は、このほか、VIDEOで渋谷「住まいの健康道場 家ッグ」をご紹介いただきました。ちょうど道玄坂を上りきったところにあるこのスタジオには、MKボードやセラブレムのほか、自然素材、安全工法の提案がたくさん展示されています
第7回エスナ連絡会 平成9年11月29日 テーマ:ノンホルムF1合板について
講師:㈱しんもく 渡辺秀夫氏
<合板の歴史> なぜ今ホルムアルデヒドなのか
  • 明治40年:名古屋の浅野吉次郎が独自に開発したベニヤレースから始まったと言われているが、明治7年に輸入して博覧会に展示された記録があるので、外国ではそれより以前に製造されていた。 創世期の合板は大豆グルー、ミルクカゼイン、 などの接着剤を使って茶箱、楽器、家具等を製造。
  • 昭和20年頃:尿素系接着剤の開発により、接着性能、耐水性が飛躍的に向上。用途も広げ、アメリカ、インドネシアに次ぐ世界第3位の合板生産国、アメリカに次ぐ第2位の消費国に。
  • 昭和30年代:輸出中心、欧米向けにドアを生産。
  • 昭和40年代:コンリートパネルの型枠開始。全盛期で全国に200くらいの合板工場があった。このころ、初めて東京都の消費者団体からホルムアルデヒドの問題が提起されたが、しばらくして沈静。
  • 昭和50年代:2×4工法が外国から入ってきて、それに伴って構造用合板の生産開始。ミサワホームが枠組み工法開始。新たにホルムアルデヒドの問題が再燃、昭和55年、JAS(日本農林規格)が低ホルムアルデヒドの基準を設定。
しんもくは、さらに接着材メーカー日本化成と低ホルム合板の共同開発を進め、平成元年、生産体制を整えました。今年で10年、社内的にもコストの上で批判を受けてきていましたが、ここ 1,2年クロスの化学物質発散の問題もあって、ようやく認められてきた感じです。
<なぜホルムアルデヒドの問題が最近起きてきたか>  第一に、JASに合格していない輸入合板が低コスト住宅に用いられるようになり、国内市場の過半数を占めるようになったため、被害を受ける人が増えたということです。本来コンパネに使うものを住宅の床などに使ってしまっているためですが、まして家具調度品にもそのような合板を使ったものを入れるとどうなることか-。
 次に、高気密、高断熱の住宅が増え、昔のように自然換気が行われなくなったということが挙げられます。
さらにPL法(製造物責任法)の制定によって、消費者が製造物の欠陥に対して訴訟しやすくなった点があります。
今年の6月、政府は住宅のホルムアルデヒド室内濃度指針値として
   30分平均値で0.1mg/㎡ ×24.04/30=0.08PPM
と公表しました。正式には来年の中頃決まるでしょう。
<ホルムアルデヒドとは> それでは、こんなに騒がれるホルムアルデヒドについて、私たちはどの程度知っているでしょうか。
ひとつには、水に溶けやすいということで、接着剤、塗料、脱臭剤、消毒剤、防カビ剤、発砲剤などいろんなところに利用されています。それから、意外に思われるでしょうが、ホルムアルデヒド自体は、自然界にも存在しています。(リンゴ、なし、キュウリ、肉、魚、冷凍タラ、シイタケ等)
ではなぜ世界中で接着剤に使用されているかというと、最も安価な合成樹脂だからです。ホルムアルデヒド系の接着剤はだいたい次のような種類に分けられます。全てホルムアルデヒドとの接合力で接着の強さが決まっています。
U F:ユリア(尿素)樹脂接着剤
MUF:メラミン・ユリア共縮合樹脂接着剤
P F:フェノール樹脂接着剤
R F:レゾルシノール樹脂接着剤※ユリアは炭酸ガスとアンモニア(天然ガス、石油と空気から製造)、ホルムアルデヒドも簡単に製造できる(メタノールの空気酸化によって製造)ので、非常に安価。
<ホルムアルデヒドが放散される仕組み> ホルムアルデヒドは、合板をつくる過程でホットプレスで熱圧された時に熱に反応して硬化します。未反応のホルムアルデヒドが合板の中に残留するほか、硬化物からも加水分解等によって遊離します。これらのホルムアルデヒドが合板の表面へ移動して、板面や木口から空気中に放散されます。これがいわゆるホルマリン臭です。
人体への影響は、個人差がありますが、女性や子供の方が大きいようです。また、化学物質過敏症は一度なると治りませんから、蓄積していくことを考えるとやはり避けられるものは避けたいですね。
「JAS(日本農林規格)のホルムアルデヒド放散基準とF合板の用途」という資料を見ていただくと、デシケータ方による水中濃度でF1,F2,F3と段階が設けてあります。F1は、平均値が0.5mg/㍑以下となっておりますが、しんもくのF1は0.1以下です。F1の用途はホルムアルデヒドの安全性について特に配慮すべきベビーダンスなどの家具や気密性の高い建築物の内装用に使用するということになっています。一般に居住環境においてはホルムアルデヒドの気中濃度に影響する因子(例えば温度、湿度、養生条件、時間、換気量、面積)などが多く、両者の相関関係を決定することは非常に複雑です。
<木板の種類> ここにサンプルを持ってきましたので、見てください。どれがどれだかおわかりでしょうか。
  製 材:JAS規格=天然素材、反り、狂い、割れがある。最近は良材不足
  集成材:JAS規格=割れ、狂いが少ない。均一な品質が得られる。価格が高い。乾燥製品。寸法の自由度がある。素材の良さを維持。
LVL(Laminated Veneer Lumber)単板積層材:JAS規格=寸法、形状でデザインの自由度が高い。強度性能が高い。乾燥製品、素材の良さを維持。
P B(Particle Board)パーテクルボード:JIS規格=小径木、廃材、建築解体材などを利用可能。厚み、サイズがある程度自由。家具、建具、壁材、下地等に使用。耐水性、寸法安定性、強度等は合板より落ちる。資源問題から今後増加が見込まれる。
OSB(Oriented Strand Board:方向性のある、均質的木片による、反り曲がりのない板):廃材をチップにして、接着剤で固めてボードとしたもの。原材料はアスペン、サザンイエローパイン他、カナダなどから輸入。

合 板:JAS規格=比重の割に強度が大きい。単板構成を変えることにより比較的任意の強度が得られる。割れにくく、反りにくく、大きな面積を得られる。耐水性、耐久性に優れる。安い。素材の質感がある。
MDF(中比重繊維板):JIS規格=材質が均一で表面が硬く、平滑。強度はPBより優れている(同比重で)。曲面加工が容易、加工しやすい、寸法安定性がある。

各用途に応じて、適材適所で使用していくのが良いと思います。そして、お客様には安心な部材を薦めるとともに、あらかじめ値段のことをお話しておくのが肝心です。
  テーマ:接着剤別の合板の特色について
講師:㈱日本化成 化成品事業部 工業樹脂グループ 鈴木健司氏

合板は今までコスト至上主義でやってきていましたが、やはり健康、環境を考えていかなくてはならない状況になっています。コンパネが何のためらいもなく、住宅に使われているのは問題です。そもそも輸入合板はなぜ臭いか、接着剤メーカーの立場からご説明しましょう。
原木の産地インドネシアなどは、非常に暑い。気温が30℃~35℃位になるので、木材に虫がつかないように保存するのが大変です。木材に虫がついたり、腐ったりするのは、本来当たり前のことです。ですからジャングルの中をずーっと運んで来るとき、安い尿素系樹脂のホルムアルデヒド臭の強い接着剤を使わざるを得ないといえるでしょう。
接着剤による、合板のJASの分類は次の通りです。
種類
接着剤
形状
用途
耐水性
ホル臭
強度
特類 フェノール樹脂系 黒っぽい
切口に黒い線がみえる。
構造用耐力部材、常時湿潤状態の場所で使用する合板
-構造用合板(Kプライ)・ヨット等舟艇用合板・足場板用合板等
T-1 メラミン樹脂系 白っぽい
切口も白、またはオレンジ色
屋外や長時間湿潤状態の場所で使用する合板
-コンクリート型枠用合板・住宅下地用・建築物外装用合板
T-2 ユリア樹脂系 白っぽい
切口も白、またはオレンジ色
T―1とはラベルで区別
家屋内装や、多少漆器にある場所で使用できる合板
-住宅・船舶・車両等の内装用合板・家具用合板等
×

この下に3類(増量ユリア樹脂接着材・ガゼイングルー等)があるが、最近では特殊用途に限られ、生産量もきわめて少ない。
 
ここにサンプルを持ってきました。のりと合板です。この3枚の合板、それぞれ針葉樹合板(特類)、普通合板(T-1、T-2)のどれになるか、おわかりでしょうか。(→全員降参)
黒っぽく、切り口に黒い線が入っているのが、フェノール系樹脂の特類の合板です。のりのアルカリフェノールの黒さなのです。対して、白っぽい、切り口も白いこの2枚が普通合板です。T-1かT-2の区別は、ラベルでしかできません。
MDFに関しては、ニュージーランドなどの針葉樹は色が薄く、南洋材は色が少し濃いです。しんもくではオレンジっぽい木口のものもありますが、基本的に白いです。接着剤を今お回ししますので、においがないことをお確かめください。OSBなどは、屋根、壁の下地材に使う家もあるようですが、こわいですね。なぜかというと、接着を点で行っているからです。水分を含んだとき、ふくれるから、ばらつきが出てきます。素材のつくり方によって
もちがいますね。
<質疑応答>
社長:最初に考え違いをしていたことから、確かめたいのですが、「ノンホルム」というけれども、お話を聞くと、F1合板でも全くホルムアルデヒドが入っていないわけではないのですね。
A:ええ、放散量を抑えるということです。先ほどお話したとおり、原木をとる現地で使っておりますから。日本の合板は南洋材から始まりました。南洋材はほんとに原料が安く、1枚(3mm 3×6)180円だったものが、今も320円ぐらいとあまり値上がりしておりません。しかし安全性の高い針葉樹についても、ニュージーランドのカラマツなどコストはだいぶ落ちています(原料代は約60%)。直径20cmの丸太を芯15cmにするのに10秒~20秒ですむなど、技術的にもここ3~4年進歩していますが、木が細くて、節が多い。木目の表面を気にする日本人には、用途が結構限られていますね。アメリカでは合板のスタートが針葉樹でしたから、多少の傷も気にしないで内装材に使っている。しかし、今後は日本でも構造用合板が増えるにつれ、利用が増えてくるでしょう。
中山:OSBは日本には、工場がないのですか。カナダ、アメリカの輸入ものばかりですが…。
A: 昔、北海道や福島で計画されましたが、均一な原木がとれないので挫折しましたね。
中山:OSBの規格について聞きたいのですが…。
A: パーチクルボードと同じでJIS規格です。接着力の曲げ強度のレベルで表示されていますね。
玉田:合板のラベルの表示ですが、JASでは、強度は「特、T-1、T-2」、ホルムアルデヒド放散量は「F-1、F-2」というふうになっていますね。JISでは?
A: そうですね、注文されるときは、JASでは針葉樹か南洋材かも伝えて、T-1のF1というふうに言うといいですね。JISの場合はホル臭を「E0、E1」とし、曲げ強度を「18,15,13」と段階分けしています。接着剤別には、P(フェノール)、M(メラミン)、U(ユリア)と区別されています。(例:パーチクルボード 18UE1)今JASとJIS規格の統一が求められていますが、私はJASがJISに近づいていくのではないかとみています。
阿部氏:接着剤によるコストの差はどのくらいですか。
A: 特を100とすると、T-1が80、T-2が60くらいと思います。
玉田:ベトナムのパーチクルボードなどはどうでしょうか、事業としては。
A: 現在ベトナムの合板の作り方は日本の大正初期にあたり、のりもよくないでしょう。資源としても法律上年間8万㎡しか伐採できません。ただ、サトウキビやゴムなど、数年で更新できる原料なら将来性はあります。70~100億円くらいの投資は必要でしょうね。
社長:本日は竹のフローリングを中国から輸入している東和建材さんにもおいでいただきました。リサイクルで固形燃料や、新製品として古紙からボードを作る事業も始められています。副社長の有賀俊一さん、一言お願いします。
有賀:古紙の再生過程で紙の繊維が残るので、これで今パ-チクルボードとファイバーボードの中間くらいのボードを作っています。JISのMDFくらいの強度が出ると思っていますが、市販のものより少し落ちるので、今日は接着剤メーカーの方からもご指導を仰ぎたいと思っています。よろしくお願いします。
<最後にしんもくさんから、一言いただきました>
渡辺氏:私たちはこれまで省力化とスピード化に努力してまいりました。昭和40年代には180名いた工場の従業員が今はたった40名です。こんなに努力して工場でいいものをいくら作っても、末端ではまだまだわかっていただけないというジレンマがあります。合板製品は全国で800万m3とも言われ、その60%がインドネシアやアメリカのホル臭の高いものです。
「健康住宅を考える会」でも話題になりましたが、神奈川の保険所で出たように、今後建材に関する訴訟が増えてくると思われます。ですから我々の会社では、お客様との打ち合わせの議事録をとにかく取っておけという話になっています。消費者の方は、まだまだ理解が足りません。大学の先生の中にさえ、講演で「F1合板はF2と一緒にトラックに乗せると、輸送中にホルムアルデヒドが移る」などとめちゃくちゃを言う人がいます。私たちは、この「エスナ連絡会」のように、実際現場で消費者の方と接触される人たちにとにかく製品の良さをわかっていただいて、どんどん使っていただきたいと思っています。
今後ともよろしくお願いします。
第8回エスナ連絡会 平成9年12月16日 テーマ:マイコン処理で腐らない木材「ドリームウッド」
講師:南部屋建材センタ-黒臼政博氏
木材は、針葉樹と広葉樹の2つに分けられます。針葉樹の代表が、杉、檜、広葉樹がケヤキ、水ナラ等ですが、木材として利用するには、防腐剤、防蟻材などを注入して、木がすぐにだめにならないようにしなくてはなりません。普通木材には、導管という細かい孔があいており、この孔に薬液を注入するのですが、膜があるので、簡単にはいかない。ここで、いかに完全に芯まで薬液を注入するかが、我々の課題となるのです。
(※常識なのだが、忘れがちな話をひとつ。本来木というものは、虫が食い、時がたてば腐って朽ちる。特に外で使うものについては、くりかえし風雨にも耐えていかなくてはならないし、寸法も安定していなくてはならない。そこで、人間の生活に利用するためには、それなりの加工が必要なのである。)
 それでは、木材の防腐剤、防蟻材には現在どんなものがあるか、国内で使用されている薬剤について説明します。
  • クレオソート:昔から枕木、電柱に使用されていたもの。絶縁性がよい。発ガン性物質が含まれているので、接触は危険。においも強く、火気に弱い。燃やすと、大量の黒煙があがるため、廃棄処理にも問題がある。
  • CCA(クロム・コッパー・アルセネイト):国内で多量に使用されてきたが、クロム、銅、ひ素の化合物で非常に毒性が強い。燃やすと六価クロムが発生するので、廃棄処理は埋没と決められているがあまり守られていない。近年、重金属を含んでいるため、使用を制限されてきている。
  • ナフテン酸化合物:ナフテン酸銅(NCU)、ナフテン酸亜鉛(NZN)に分けられ、油剤を含むため、加熱処理されるが、においがきつい。
  • ACQ(銅、アルキルアンモニウム化合物):銅、N-アルキルベンジルメチルアンモニウムクロライド(BKC)、ジデシルジメチルアンモニウムクロライド(DDAC)の3つの化合物で、防カビ効果がないため、時々コケや、カビが発生する。
  • AAC(アルキルアンモニウム化合物)やはりDDACを主剤としているが、ACQ同様時々コケやカビが発生する。
<留意点>
  • 環境の保護、人体への影響を考えると、重金属を含まないもののほうがよい。
  • 環境保護の面から、廃棄時に問題があってはならない。
  • 直接人体が触れるベンチ、柵には、発ガン性物質があってはならない。
内部からの腐食は事故につながるので、あってはならない。
 
 1番古いクレオソートは、100年以上前からあったもので、メーカーはなかなかこれから脱却できない古い体質を持っておりましたが、雨が降って線路の枕木から流れ出た薬液が川を汚染したなど、最近の環境問題の見直しでやっと重い腰をあげてきたようです。
 最も一般的な建築の防腐土台として有名なのが、CCAです。これは、クロムなどの重金属を含むので本当に問題ありです。ここに、見本をもってきました。色づけしておりますが、表面1cmくらいしか浸透していないのがおわかりでしょうか。今でもこれを使っているところが多いです。しかし、私どもの方のサンプルを見ていただくと、芯まではいっているのがよくおわかりいただけると思います。
CCAは焼却すると毒性の強いガスが発生し、ドイツでは製造1年で使用禁止になったものです。しかし他の国では、いまだに使っています。お手元に新聞記事の抜粋がありますが、日本では、1960年代に第一次建売住宅ブームにのって、米ツガが商社により大量に輸入され、安い建売住宅の床下に使われました。そして1ヶ所で20戸、30戸という住宅がいっぺんに白アリの被害を受けために、CCAが使われ始めたのです。アメリカではたき火やストーブでのCCA処理材の使用を禁止、イギリスでは野外焼却については人家から100メートル以上離れることなどの法律が制定される一方で、日本では廃棄が野放し状態、埋め立てや焼却が自由に行われています。厚生省に規制を求める議員に、厚相は対策を約束しましたが、棚上げ状態が続いています。
<ドリームウッド>  ここで、ドリームウッドを始めたきっかけをお話ししましょう。JR(旧国鉄)が民営化になるに当たって、JRでは今までの枕木が10年しかもたなかった点などから、独自に枕木を作ろうという話になり、「もっと何年ももつものを考えてほしい」ということで、いろんなメーカーに技術の提案をさせました。そして私どもの薬液注入の技術が採用されたのです。今までのメーカーがやってきた加圧方式ですと、木材が途中で割れたり、反りや狂いが生じてしまっていました。そしてなによりも、薬液を材木の芯まで入れられないとなると、防腐、防蟻、寸法安定の効果が得られないので、結局強い薬剤を利用することになっていったのです。
 私どもの技術は、段階的に加圧していくので、最高到達度は30~40㎏/mも得られます。(1mの注入材がドラム缶1本にもなるため、価格の上で高くなってしまうのが難点ですが)大手がこれを同じやり方でやろうと思うとコストアップしてしまうので、どうしても踏み切れない。結局私どものような小さなプラントがやらないと不可能ということになっています。
それでは、私どものドリームウッドが採用している薬液について、説明しましょう。
私どもは低毒性の防腐、防蟻剤、ME150-SFを日本触媒、横浜油脂に依頼し作りました。DDAC(ジデシルジメチルアンモニウムクロライド=第4アンモニウム塩)を主剤としていますが、これは、病院などで消毒薬として、採用されているものです。しかし、これだけでは、防カビ効果がないので、菜種油系のエマルジョンをカオチン界面活性剤とともに使用しています。これはいつでも表面に撥水性を持たせると同時に寸法安定剤としての役目も果たしています。
ここにうちで作った、植木鉢をもってきました。これで、外に置いておいても割れないのです。公園の遊具や、今あちこちで見られる木製ブロックなどは、他のメーカーのものは4,5年しかもたないようですね。南部屋のものは10年腐りません。今後、いろんな場所で木の持つ質感や、堅牢性が見直されてくるのではないかと期待しています。
<質疑応答> Q:南部屋さんは、日本防腐協会にいれてもらってないのですか。
A:ええ、うちでは薬液を芯まで入れるので、「高いもの(薬液)をそんなに入れてどうする」ということになっているのですね。そもそも、製材の日本農林規格も防腐協会が作っているのですが、一番程度のいいK1でも、薬液は芯までは入らないで、辺材部分の湿潤度が90%ということになっていますから。
Q:お会いしたのは3年くらい前だったと思いますが、当時は始めに刺激を受けた「木管」の話をよくうかがいましたので、ここで聞かせてください。
A:ええ、最初は日本古来の建築、特に世界でも最も古い木造建築として名高い「法隆寺」の建物が1000年以上建っているのは何故かということがあったのです。たまに昔の木管が出土しますと、まわりは腐っているのに、墨で字が書かれた部分は残っているということにも疑問がありました。結局墨の防腐効果が大であることがわかりました。今、炭のメーカーが、いろいろ商品をだしていますね。では薫煙式で処理木材をつくっていくとなると、これは大変です。ほとんど匂いがないし、防腐効果も得られるのですが、1釜に入れるほど、いっぺんに大量に注文がこないということが、釜メーカーが市場に出てこない原因になっていますね。結局現在は加圧注入方式が一番いいと思うのです。
Q:建材は、出していませんか。内装材は?
A:特に内装材は出していませんが、防腐、防蟻、用途に応じて持ち込まれた場合も薬液注入業務をしております。土台ですと、m当たり50,000円で、寸法安定剤を入れると、30,000円ほど高くなりますが。
Q:何で、よそは芯まで薬液をいれないのでしょうね。
A:農林金庫からの融資を考え、なるべく国産の間伐材を使えという話になってしまうのと、国産剤で一番安いのは杉ですから、檜は高価ですからね。
Q:海外ではどうなっているのですか。
A:海外では、木材が豊富で、ダメになったら新しいのを入れるのですが、それまでは家庭でご主人が家の手入れをよくする。ペンキ塗りや壊れた箇所をなおしたり、まめにやります。休日の過ごし方がそうなっているのです。
Q:以前、建具に採用しましたが、少し重かったですね。
A:ええ、薬液が入っているので、倍以上重たくなってしまいます。薬液が入っているので、養生期間は今のところ1ヶ月としていますが、ほんとは3ヶ月みてほしいですね。
  テーマ:セラミック処理木材「テクノパルの森林浴槽」
講師:㈱キッチンハウス 専務取締役 伊藤剛丞氏
最初に、昔キッチンハウスが巻き起こしたカルチャーショックの話をしたいと思います。
 昭和50年代、日本の台所用具は、まだ昔ながらのタイプしかなく、デザインでいえば欧米にはとても追いつかない状況でしたが、キッチンハウスではいろんな道具を輸入し、店に展示しました。すると、主婦はもちろんデパートや合羽橋の問屋の方々などもお見えになり、私どもは反響の大きさに驚いたものです。それがきっかけで日本の奥様方も、台所用品についていいものを、自分で選別して買い求める風潮ができたのです。ドイツのシステムキッチンを輸入したときですが、沖縄の家に設置したところ、90%の湿度に負けて、パーティクルボ-ドがふくらんでしまいました。他にも、ドイツ製のものはシンクが小さいなどの折り合えない点があって、文句をいったところ、「日本人は台所で風呂に入るのか」とまで言われてしまいました。それで、ただ輸入するだけではだめだと、自社製品を開発してシステムキッチンの国産化に踏み切ったのです。
 昭和54年の国産化に際して、私どもは「お客様が最大のメリットを得る」商品づくりをするという決意を明らかにしました。そのため15年前からすでに低ホルムのパーティクルボードを使用していましたが、当時は関係業者の方はもちろんお客様のほうがピンとこないようでした。
ちょうど10年前でしょうか。木のお風呂を手がけるようになったのは。実は、ショールームにいらしてくださる奥様の付き添いで見えるご主人様に目をつけて、なんとかひまつぶし(笑)といってはなんですが、興味を持っていただけるものを提示しようかという話になったのです。
テクノパルの森林浴槽に使用されている天然木は、米ヒバに独自のTP熱処理技術と特殊セラミックス処理を施すことにより一般木材の比べ、伸縮率を1/2以下に抑え、腐りにくく、カビにくくなっています。また浴槽は独自の接合構造(実用新案)により水漏れの心配をなくしています。(5年保証)。これにより、今までの木製浴槽とは違い、「お手入れが簡単」で、乾燥させても「水漏れの心配がない」などのメリットが生まれました。また、内外装用の板材は、その目的に応じて「防腐・防カビ木材(Bタイプ)」、「防腐・防カビ・寸法安定剤」、「準不燃木材」などを取りそろえ、樹種も「杉」「米ヒバ」「能登ヒバ」の3種類を取りそろえました。
(パンフレットから抜粋)
 
 セラミックと木の接合はキッチンハウス始まって以来はじめてのことです。5年保証をしていますが、アフターサービスのお電話をするなど、今後サービスの浸透を完璧にしていきたいですね。
また今、フロンを入れないで冷やせる電気冷蔵庫「ペルチェ」を開発中です。まだ小さいタイプだけですが、今後も温暖化防止の流れを受けて、環境保護の立場を考えた製品の開発をしていきたいですね。安ければいいというものでなく、お客様がほんとに買って良かったと思える商品をご提供したいと思います。
藤岡工場 開発部 大根幸雄氏
まず、セラミック木材「テクノパルの内装材」についてご説明します。これは、米ヒバを、独自の高度な熱処理技術とセラミック抗菌加工を施して、腐れ、伸縮などを防ぎ、木の風合いを長く活かすことのできるようにしたものです。浴室・洗面所の天井、壁、床材として湿気の多い場所でその特性を最大限に活かすことができます。テクノパルの森林浴槽もこれを使用しています。
その特性は次のとおりです。
  • 菌の繁殖を押さえ、撥水性を持つ。-抗菌性セラミック処理により、木の感触そのままに、人体に悪影響を与えることなく、腐れやカビの繁殖をおさえます。
  • 反り、たわみが少ない。湿気、温度によるを従来の木材に比べ、1/2以下に抑えます。湿気の多い場所に最適です。
  • 燃えにくく、有毒性も非常に少ない、木材です。燃焼時に発生する有毒ガスも非常に少なく安心。
 そしてこのセラミック技術を杉材に利用したテクノパル「杉シリーズ」も内外装として用意しております。用途に応じて、次の3つのタイプがあります。
  • Bタイプ:防腐・防カビ木材(寸法安定剤は入っていない):屋上のベランダ、サンデッキなどのエクステリア用木材。別荘の外装材としても利用。カビ、腐れをふせぎます。洗面室などの湿気が多く、かびやすい場所の内装材としても最適です。 あらかじめ本ざね加工したものに、コーティング材で加工してつくりますが、防腐・防カビ・銀系セラミックを入れて効果をあげています。JISの検査法方法は甘くて、独自に厳しいデータをとっています。
  • BSタイプ:防腐・防カビ・寸法安定剤:湿気による木の伸縮を従来の木材に比べ、1/2以下にしました。 特に湿気によるカビの発生や汚れ、腐れ、木の暴れが問題となる浴室用内装材として最適です。 どうやったら、仙台の埋もれ木のように何先年もたってもきちんと安定している木と同様に寸法安定化を図ることができるかというと、酸素がない状態にしてあげればいいのです。燃焼しない状態で、熱処理を加える-それが我が社の技術です。化学薬品をいっさい使わないので安心です。
  • Fタイプ:準不燃木材:防火規制の対象となる場所に活用いただけます。中規模以上の集合住宅、公共施設等の内外層制限の厳しい場所に無垢の板を使用できるようになり、応用範囲を大きく広げました。劇場、ホール、会議室など、人が集まる場所に木を使うことで、安らぎを与え、イメージを変えることができます。こちらは建設省の準難燃材料の認定をうけております。
今日は、この難燃性試験の結果を資料としてお配りしておりますが、ISO-5660(コーンカロリー計)というこの試験方法もずいぶん古いのです。昭和44年試験機が発明されて、4,500万円もする機械が全国で500台も購入され、それに基づいて試験が行わているため、なかなか新しいものにかわりません。この機械の問題点は直接燃焼エネルギーを計るのではなく、排気温度で材料を計るという点です。いまだに石綿バーライト板との比較で判定しており、いずれこの方法ではできなくなるものと思います。
 パンフレットの中にある「杉材の防カビ抵抗性試験」についても、よい結果を記しております。厳しい条件下での試験を行っていますが、自然の個々の状態は千差万別ですので、絶対ということはありません。それなりのメンテナンスは必要だという点をお伝えしておきたいと思います。
<質疑応答>
Q:システムキッチンのカウンターの人工大理石も抗菌処理していますが、この抗菌について最近度を越した抗菌、つまり銀イオンの影響は大丈夫なのかという話も聞くのですが…。
A:ちまたの抗菌加工は、銀、銅、亜鉛などのイオン加工ですが、これは、数値でいえば非常に少ない数値で、安全性については問題ないと思います。セラミックについての考え方は、やさしく考えると陶器やガラスと同じように汚れがつきにくく、落ちやすいのだとイメージしてもらえばわかると思います。
Q:菌を殺すか、菌が嫌うのかといえばどちらなんでしょう?
A:殺す力はあります。
Q:手入れは、どうなのですか。あまりこすってはいけないのでしょうね。
A:簡単です。洗剤は不要で、スケッパーで汚れを落とした後、シャワーで洗い流して、スケッパーで水切りするだけでOKです。最近流行っている24時間濾過装置については、底から15cm以下の水は、濾過しないということと、濾過するのは水だけで、浴槽の表面の汚れを落としてくれるわけではないということを知っていてほしいですね。
Q:風呂桶の値段はいくらくらいですか?
A:一般的なものだと、40~70万円くらいです。風呂桶のみの値段です。
(以下略)
 
このほか、難燃材の試験の話を詳しくしていただきました。
 千日ビル火災を契機に昭和44年制定されましたが、その中のガス有害試験は、マウスを使ってその行動をみるというものなので、動物保護の観点から将来変わるであろうということ、難燃というと単に「燃えやすい」から「燃えにくい」まで幅広い範囲で決められるけれども、準不燃材となるには壁が厚く、不燃材料というとさらに厳しい制限があり、現状では不燃材料の条件としては、有機物が10%入っているともうだめということで、木材はまず不燃材料として合格することはありえないということ、など。そういったなかで、テクノパルが難燃材として、かなりよい数値を試験結果として得ている実状を説明していただきました。 
 テクノパルの浴槽は、自然の良さが買われて最近老人ホームなどの業務用としてのニーズも多いようです。接着剤については、内容は秘密だそうですが、有害性はなく、耐水性にもすぐれているとのことです。
第9回エスナ連絡会 平成10年1月21日テーマ:「ドイツのエコ塗料 LIVOS(リボス)」
講師:㈱帝国器材 LIVOS事業部  京極祐介氏
<リボス社の起源>
リボス社の製品が日本に入ってきてまだ3年くらいしかたっておりませんので、まだまだ皆さんにはよく知られていないと思います。リボスは1970年代のはじめ、若い研究者たちが自然・人・地球にやさしい「自然塗料」の研究を始め、世界初の植物化学会社としてスタートしました。AURO(アウロ)社と同じ一つの会社でしたが、化学物質をいっさい認めない人々と、アレルギーを起こす可能性のある自然素材より、無毒無害な化学物質を肯定する人々が袂を分かつことになりました。(リボスでは一部イソアリファーテという、炭化水素化合品を利用するため。しかしこれは化粧品・食料品にも利用されている)植物でも漆やある種の柑橘類にかぶれる等のアレルギー反応を見せる人もいます。私どもリボスは化学物質でも無害のものは使っていいのではと考えています。しかしすべての材料を化学的に吟味し、全リボス商品はドイツのエコテストでトップランクに位置しています。(自然塗料のマーケットシェアーの約50%がリボス)リボスとは古代ゲルマン語で「太陽・芳香・輝き」を意味します。リボス社は「自然・健康塗料」の代名詞となっています。また子供の玩具も製造しています。
<帝国器材について>
それでは、私どもの会社「帝国器材」の方も紹介させていただきましょう。教育玩具等を中心にやっている会社ですが、学校の技術室によくある工作台なども製作しており、やはり安全性に配慮した良い塗料はないかと探していました。また住宅設備も取り扱っているため、最近問題になってきたシックハウス症候群なども気になり、先にドイツから入ってきた、アウロやオスモももちろん試してみましたが、最終的に施工性の良さでリボス社の製品を扱うことにしました。施工会社の皆様はよくご存じだと思いますが、塗装の職人さんは年をとると健康に影響が出てきます。ウレタンを扱う人は鼻毛がすごいですよね。リボス社の製品は素人でも簡単に塗れるので安心です。
<リボスの特長>
(パンフレットから)
 リボスは、有害有毒物質を使わず、ホルムアルデヒドを含まず、植物成分及びハチミツワックスと無毒無害の顔料成分からなっている。うすめ液には化粧品・食品用伸展財を使用。
塗装後、木材が呼吸します。木目が非常にクリアに出ます。
塗装後、とても良い香りがします。
耐水性が抜群にあります。
深い浸透性があります。
ワックス及びエマルジョンには、静電気カット効果があります。
ワックス及びエマルジョンには、防塵効果があります。
ワックスには、タバコの煙を吸収する性質があります。屋外用着色剤には、耐紫外線効果があります。
<解説>それでは、実際にリボスでは、どのような考えに基づいて製造面でのエコロジーを行っているでしょうか。
原材料の厳選
天然・無毒・主要植物自社栽培・食品等級基準・リニューアブル(成長する)をもとに除草・殺虫剤を使わない材料にしぼる。
※現在リボス社は郊外にあり、環境の非常によいところで製品を製造している。
製造法 
コールドプレッシング:ビタミン、酵素をこわさないように加熱しない。植物原料の黄変も防ぐ。
抽出には、有機溶剤を全く使用しない。
製造のための燃料エネルギーを最小限(室温)にする。
作業現場での化学・加工事故等をなくした。
製造工程へのエコロジー配慮
塗装時に健康への危険なし。
塗装時に室内汚染なし。
自然の物理的特性に貢献する(木の呼吸を阻害しない)
蒸発に伴うリスクがない。
低静電気状態 (ゴミ、くず等がくっつきにくく、取れやすい)
大気への影響(それぞれの潜在可能性を比較)
  スモッグ形成 低層オゾン形成 高層オゾン破壊
塩素系炭化水素・FCKW 低い 低い ややある
トルエン・キシレン等 極めて高い 極めて高い 低い
バルサム・松ヤニ類 最高に高い 極めて高い 低い
イソアリファーテ 低い ややある 低い
<リボスの製品について>

製品の分類
  • 塗料(木材保護、・浸透オイル・水性エマルジョン・油性エナメルタイプ・防塵塗料コンクリ床用・金属防止・うすめ液)
  • ワックス(蜜鑞ワックス・水性ワックス)
  • 「重度アレルギー者対応」塗料・ワックス(浸透オイル・油性エナメルタイプ・オイルワックス・水性エマルジョン)
  • 接着剤(敷物用・貼物用・壁紙用)
  • ホルマリン遮断剤(ツヤあり・ツヤ消し剤・うすめ液)
  • クリーナー類(万能タイプ・サニタリ用)
  • 芸術・創作用品(植物染料・絵の具・クレヨン類)
リボスは、アレルギー反応でお悩みの方のために世界に先駆けて、アレルギー者専用の自然健康塗料を開発、提供しています。
それでは、商品の種類はご覧の通り非常に多いので、実際に代表的製品をご覧いただいて質問等を受け付けたいと思います。
  1. メルドス:亜麻仁油主原料の室内用上塗り剤(ハードオイル)。
  2. アルドボス:メルドスで浸透しきれないものに対応しています。めったにありませんが。
  3. カルデット:内外用浸透オイル。色は13種類。色は木目色だけでなく、青や緑グレーなどもあります。1度オイルを塗ってから着色する方法もありますが、経験上直接オイルを浸透させた方がいいでしょう。これも塗り方などは、メルドスなどと変わりませんが、ご家庭で内部を塗るときは金額的に多少メルドスの方が安いですのでそちらをお奨めしております。
  4. スバロス:うすめ液。カルデットなどは希釈する必要がありませんが、刷毛塗りの時に、刷毛自体の洗浄などに使ってもらうといいですね。通常の有機溶剤のものを使うとせっかくの健康塗料が台無しです。
  5. 蜜鑞ワックス:ワックスというのは、基本的にローヤルゼリー。固体と液体タイプがあって、「どう違う」とよく聞かれます。欧米では室内も土足ですから、ワックスも固形がいいようですが、日本では靴を脱ぎますから、液状のグレイボで十分ですし、施工性の上からもこちらをお奨めしています。
  6. デュブロン:室内壁用水性エマルジョン塗料、白1色。ツヤ消しタイプ。ウラカラーを使って着色できます。静電イオン除去効果あり。
  7. ビンド:エナメル着色。木部及び金属部位の塗りつぶし用(ツヤ有り)。リボス社の製品は乾燥しづらいと言われますが、塗ってから3時間もすれば表面はくっつかなくなります。(乾燥時間は24時間必要)しかし、このビンドだけは、まる1日かかります。他の製品と同じく2回塗りが必要ですのでそれだけ時間がかかります。(屋外での使用は3回塗りです。)
  8. ランディス:リボスの中でも面白いもの。ホルマリン遮断剤。押入の中などに使ってもらう。インド貝殻幼虫の保護膜が原材料。(編集部注:現在「通販生活」春の特大号に掲載中)
 以上がリボスの製品紹介ですが、帝国器材では97年秋から自然にこだわるキッチンも提案しています。
「自然にこだわる Pure Wood Kitchen(ピュアウッドキッチン)」
 扉とボックスは身体にやさしい天然無垢燻煙乾燥剤を採用。低温での乾燥なので木材の繊維破壊がありません。燻煙の技法と木の持つ自然の力が結びついて、強度や美しさを高めています。また煙の成分フェノールが木材の中に形成されるため、カビの発生を防ぎ、ダニ、ゴキブリを寄せ付けません。またホルマリンを含んだ合板を一切使用していないので安心です。接着剤にはにかわなどの天然素材を使用。カラーリングは全部で13色。リボスの自然健康塗料を使用しています。
<質疑応答>Q:耐紫外線効果とは?
A:屋外用塗料のカルデットが持っています。薄い方の塗料はどうしても紫外線に負けるのですが、濃い方をお使いいただくとよいですね。
Q:素人さんにも簡単に塗れるという話でしたが、実際一般の消費者の方がお買いあげになっているのですか。
A:ランディスは通販生活に出しております。アウロさんの塗料も出ていますね。実は先をこされてしまって、塗料を出せなかったのですが。タモ無垢でつくったとき、実際に私が塗ってみたら、刷毛で塗るより、布で広い面積を簡単に塗れるし、他のものよりどろっとしていないので塗りやすく、仕上がりもきれいにいきますね。
 テーマ:「辰建設裸足用フローリング 快足フロア」
講師:辰建設取締役社長 松村拓也
(なお、快速フロアは、現在生産しておりません。申し訳ございません。)
<はじめに>
 実は、この「快足フロア」、もとのアイディアは昨年「グッドリビングショー」で見かけた桐のフローリングからいただきました。ここにそのサンプルを持ってきましたが、右半分が従来の集成材のフローリングで、左半分がその桐のフローリングです。手を当ててみると、ほんとに手に感じる温度が違うのです。
<内容と特長>
今考えると、フローリングの住宅が多いのですが、従来のフローリングは次のような問題点があると思います。
堅すぎてつかれやすい
傷が付きにくいことを優先させたために、堅木とよばれる木材を好んで使っている。本来日本建築では素足に優しい杉や檜が使われてきたが、この堅木フローリングの普及に伴い、日本人は家の中でスリッパをはくようになってしまった。
冬冷たくて裸足で歩けない
堅木は空隙率が低く、蜜実なため、蓄熱性がある。そのため冬の朝は気温とともに冷たくなり、スリッパなしでは歩けない。床暖房の普及はその快適性のためよりもフローリングの冷たさを回避するためといってもよい。
夏はベトベトする。
堅木の上を耐水塗料で仕上げると表面の吸湿性はほとんど望めない。そのため温度が上がると表面がベトベトし、極端な場合は結露する。
通気性がないため腐りやすい
水回りで使用すると腐りやすい。
有害物質が含まれている
普及品は合板製で、ひどいものになると表面材が塩化ビニルだったりする。この化学物質の固まりを床暖房で暖めたら、床は毒ガスの発生源となる。
 桐というのは、ご存じの通り、ふかふかで、また成長が早い。工事現場に生えていると1年ですごく伸びてしまうような木です。日本人はその木を箪笥などにして大変重宝にしているわけですが、それで床をつくると暖かい。もともと日本人は裸足で暮らしている民族です。私は大変気に入ってその桐のフローリングを是非採用してお客さんにも奨めたいと思ったら、これが高い、桐ですから。それとせっかくの桐を使っているのに、表面を化学製品の撥水材を採用して、水をはじくようにしている。そして、まずこの連絡会で扱っているすべての建材、関連商品にいえるのですが、ちょっと価格が高い。ですから、単一でその製品を取り出すと、高いという感じしか残らないが、もうちょっと広い範囲で企画し、組み合わせて提示することで、こちらの方が得だと思ってもらう方法もあると思うのです。お客さんにある見方を提示してあげることで、お客さんを有害物質の環境パッケージからこちらに向かせることができるのではと考えます。
 そこで私たちは、関連会社で取り扱っているセンゴンラウトという柔らかい木に注目しました。桐に近いバルサのようなものです。これはマメ科ネムノキ属の熱帯から亜熱帯に分布するきわめて成長の早い陽樹です。熱帯の早成造林樹種で、軽軟であることから、包装用箱材、マッチ軸木材として世界中で使われています。南洋自然林の伐採が地球環境に影響を与えると問題になっていますが、これは数年で成長し、植林で生産しているものですので、自然林保護になると思います。
そこで快足フロアとして無垢の天然木材を天然塗料リボスで仕上げました。
その特長を述べますと、
  • 材料が柔らかいので、疲れにくく安全
  • 空隙率が高いので、冬でも冷たくない
  • 吸湿性があり、表面はベトつかない
  • 通気性があり、腐りにくい
  • 100%天然材料を使用しているので安全
<快足フロアは、欠点もあります>
 柔らかい床なので、光沢もなく見てくれも悪い。傷もつきやすいので建材としては最低かもしれない。よそでは、これでフローリングなんて絶対に作らないと私は思います。マッチ棒とか引き出しの箱とか、施工性がすごくいいけどすぐへこむといいうものです。世界中で流通しており、木材関係の人はよくご存じの木です。例の桐のフローリングの社長と話しているときに「傷が付くんじゃないの」といったところ、待ってましたとアイロンと霧吹きを出してきて、サンプルに傷を付け、さっと霧吹きで水をかけました。アイロンをそこに当てると、傷がもと通りになっている。桐の箪笥などもこうして直すそうです。堅木のフローリングはこんなわけにはいきません。快足フロアも同様にして水と熱でへこみが直ります。もちろん金属で木の繊維を切断するほどひっかいた深い傷は無理ですが。このあたりもお客さんに最初にきちんと説明したいところです。
<後日談>
採用していただいたお客さんの後日談として、よく歩く場所の床はだんだん光沢を増していって、適度なツヤが出てきたということなんです。最初に塗料を塗ったときは、やはり既製のフローリングに比べて色ツヤがまだらに見えて、素朴な感じだったのでどうかなと思っていたのですが、それなりの味わいが出てくるのです。
ヨーロッパの昔の家具は、こんな塗料だったのではないでしょうか。自然のものしかないのですから。それが磨いているうちにどんどんツヤが出てきて、それは浸透性塗料の特質だと思うのですが、変な膜がないので木の表面が生きている。作った当初は、それらの家具たちもそんなに光り輝いていなかったのではないかという気がするんですよ。
私たちは快足フロアを作ったとき、こんなにいい物になると思えなかったのですが、3ヶ月後に見て感激しました。余談ですが、この家のおばあさまが傷の上にコットンを水に含ませ、一昼夜おくと傷が消えているということで、アイロンも使わなくても平気なようです。現地で生産する場合、先日のしんもくさんの講演のときに話が出ましたが、東南アジアでのりの管理は不可能なので、現地の工程は製材までで、加工はこちらに持ってきてから行っています。歩留まり自体は無駄がなくすむと思います。まだ1軒の施工例ですが、かなり自信を持っています。前述のおばあさまの部屋とリビングに施工したのですが、お客さんは廊下にも使えば良かったなとおっしゃっていました。なるほど、暖房器具も入れられず、逆にしょっちゅうみんなが歩く場所です。寒さを解消してくれるものがほしい場所ですね。これから、現在進行中の現場でもどんどんお奨めしていく予定です。
<まとめ>
松村社長:たとえば床暖房などの安易な設備についても、そのため床に後で何も細工ができないケースとか、床暖房が何かトラブルを起こすとそのあと大変なことになるとか、隠蔽している設備のもつ弱点があるわけです。もともと、床の温度を30度に保つ必要があるのかと私は感じるのです。人間がそのような場所に住むことはありません。自然にあるそんな場所とは真夏の海水浴場の砂の上とかだけでしょう。なのに実際に床暖房、床暖房と話題になるのは、冷たいフローリングのせいで、「あ、そうかもしれないわね」と言ってくれるお客さんは意外と多い。そういう観点で建築を考えてくれるお客さんとは、リボスの話も出来るし、珪藻土や合板の話もできる。お客さんと話を始めるきっかけとして、この床を利用していきたいとも私は考えるのです。
第10回エスナ連絡会 平成10年2月24日 テーマ:「ドイツエ最新コロジー事情」
講師:(有)ひと・環境計画 高橋元氏
今日は、楽しいスライド上映会ということで、気軽に見ていただければと思いますが、はじめに「エコロジー建築って何だろう」という基本的な概念をご紹介してからスライドに入りたいと思います。
建築とエコロジーの関係は、右の上のような図に表せます。
4つの軸に応じて住宅の区別が一応できますが、全体を総称して「エコロジー建築」といえます。
今日ご紹介するスライドも、基本的にはこの中のどれかに属すると考えて下さい。
さてそれでは、建物だけでなくドイツと日本とはどう違うかという比較をしていきたいと思います。
ご存じのように、一番大きく違うのは気候です。湿度と温度の1年の移り変わりを示したものを見ていただきますが(OHP)、日本は冬温度が低く、湿度が低い。夏温度が高く、湿度も高い。これが一般的です。ドイツは(ベルリン)冬湿度が高く、夏湿度が低い。気候的にはある意味ではドイツの方が過ごしやすい。建築の温熱環境を考えるにあたって、ドイツの方がやりやすい。日本は気候的にはむずかしいものがあります。もちろん同じ日本でも、南と北ではちがいますが。旭川はちょうどベルリンのようですね。ドイツ全体は北海道のようだと考えていただいて結構です。
では資料からドイツの建築を取り巻く環境をみていきましょう
ドイツの
エコロジー運動の動向
地域主義
もともと地域分権が強い国柄
それがさらに強まり、地域の気候風土への配慮、地域の伝統工芸、建材への配慮が強い。
そういった状況を背景に地区内、団地内でのエネルギー供給源の自給がたかまり、分散化がすすんでいる。
循環型社会への移行
ゴミを資源化して考えるという画期的な法律が最近制定されて、リサイクル、リユーズの実験、研究より活発に行われるようになってきている。
建築の健康への配慮
天然系新建材の開発、換気・暖房への配慮。
しかしドイツですらこれから発展する分野である。
環境産業の振興
10年以上前からドイツは「これから環境産業が社会の中心になる」と国をあげて努力してきており、これが今実を結びつつある。1993年のドイツ環境産業の市場規模は、年間400億ドル(世界の環境保全市場の21%)にのぼり、2005年には600億ドルをこえるといわれている。2000年までに環境保全技術分野の雇用者数は現在より45万人増の110万人に成長すると予測されている。産業界も日本にどんどん進出している。
このような背景をもとに、次のような試みが行われています。スライドにもアトランダムで事例が出てきます。
自然健康住宅の事例
無害、自然成長素材が用いられますが、土に還る素材や環境負荷、健康負荷を軽減するものが必要です。
天然系建材の開発:塗料、接着剤、断熱材、内装壁材、床材、
輻射暖房システムの開発:カッヘルオーブン、壁暖房(温水式)
非汚染性建材の開発:オレフィン系プラスチック(非塩ビ)、非フロン発泡
自然との共生:屋根、外壁緑化、人工地盤緑化、ビオトープ創出、敷地内緑化、地域自然との積極的共生、室内緑化
電磁波軽減:低電圧照明器具、部位別ブレーカー
※日本はもともとこのあたりが得意な分野であるから、一昔前の生活感にもどすのがいい。
循環型住まいへの試み
雑排水浄化循環:バイオ浄化(水性植物利用浄化+ビオトープ)
汚水循環:コンポストトイレ(堆肥化)
雨水の循環利用:雨水貯水利用(洗濯、トイレ等)、雨水浸透
中水の循環利用:雑排水の浄化利用(トイレ流し水)
分散型エネルギー供給への試み
太陽熱給湯:住戸別
太陽光発電:住戸別、住棟別
風力発電:地域、住棟、住戸別
コージェネレーション:住棟(小規模でも可)
省エネルギーへの努力
省エネ化:暖房機器、照明器具
高断熱化:低エネルギー住宅、断熱サッシ、既存集合住宅への外壁外断熱工事
日射遮蔽:外付けブラインド、オーニング
日射利用温室によるパッシブソーラー
※ドイツは既存の建物が多く、新築の着工件数も少ないです。建物を大事に使うんですね。建物をこわさずに、どう断熱処理をしていこうかということを盛んにやっています。また伝統的にクーラーを使いません。(機械による空気温度管理は基本的に認めない流れ)
そこでさまざまな断熱、日射遮蔽がポイントになっています。日本でもこの動きが出てきています。
 
省資源への努力
雨水利用:中水利用システム、貯水して散水利用
リサイクル:リサイクル建材の利用(断熱材、断熱ブロック、内装壁材等)
再利用:れんが、古木
※東京に比べると、年間雨量は3分の1ですが、それでも盛んに雨水利用をしています。洗濯用水まで利用しています。水道が硬水なので、軟水の雨水が喜ばれていますね。
廃棄物削減、リサイクルへの努力
生活ゴミを減らす、分別する:デュアル・システム
工事ゴミを減らす、分別する:工事現場での分別
有名なことですが、廃棄物削減の法律をいち早く作って、環境政策を行っています。
 
それではスライドをみていきます。(以下、主なものについてのみ写真掲載)
フライブルグの
エコステーション

天然建材の使用:木造の実験住宅、南米の民族建築を思わせる漆喰壁。屋根緑化、カッヘルオーブンが室内に設置されていて、輻射暖房を行う。サンルーム=ビンターガルデンがついている。前にトンボ池があり、太陽電池のパネルが設置されている。
エコメッセ(1997年6月 ウルム)

パラボラアンテナ型ソーラー調理器
アウトドアキャンプに最適(エコメッセ
フライブルグ、ウルムで1年ごとに交互に行うヨーロッパ最大の環境見本市。
「ブント(BUND」と呼ばれるドイツで一番大きい環境保護市民団体が行っている。ブントは連邦全体で約20万人の会員を持つ。州ごとに支部が分かれ、さらに市町村の支部や地区の小グループがある。連邦自然保護団体法によって定められた自然保護団体として、国や自治体などの土地開発や建設計画に対して、意見を申し立てる権利を持っている。
活動内容は、エコメッセやエコステーションの運営、子供のための環境教育プロジェクト、環境コンサルタント通信講座開設、環境番組の制作、企業のための環境保全活動セミナー等。
今回展示されたのは、建材、家具、ソーラーや雨水利用のシステム、自然食品、衣料品、生活洋品など。出展約400社。
ドナウ川にそった公園の中にあり、花が咲き、池には水鳥がいて、専門家以外にも家族連れで賑わう祭りのよう。
エコメッセ、ここ3年話題の花形は断熱材。さまざまな自然素材のものが展示されている。
  • 木質繊維板:製材の屑を1cmくらいの木の繊維にし、からめあわせて2~10cmくらいの厚さのボードにして使う。接着剤を使わず、繊維の絡み合いだけで出来ているので安心。空気も含むので断熱性能もよい。屋根の野地板かわりにも使う。
  • 木毛繊維:新商品。固めずにセルロースファイバーのようになった木の繊維だけのもの。吹き込みで壁の中に入れる。
  • ココヤシ繊維:ココヤシの外皮の繊維を使用。シュロの箒のよう。
  • ウール:今やエコ断熱材の定番。マット状になっていてくるくる巻いてあるものを敷いていくものもある。水道管に巻いていた。今までは化学系発泡断熱材が活躍していた分野。
  • セルロースファイバー:約80%が新聞などの古紙。20%はホウ酸やホウ酸塩。施工は吹き込み式で圧送。
  • 発泡炭化コルク:コルク粒に熱をかけ炭化して、圧力で発泡させ板状にしたもの。接着剤を使っておらず、水に強い。
  • 外断熱もできる。一番簡単な施工方法は、躯体に発泡炭化コルクを止め、コルクの上にプラスチック製の7mm角くらいのラス網をはり、そこにモルタルなどの壁材を塗ってしまうもの。木質繊維板もこの方法で施工できる。
  • 発泡ガラス:ガラスを発泡させて板状にしたもの。水、火、虫、ねずみに強い。防水性より耐久性がすぐれているので、基礎や地下室などの外断熱に向いている。
 (ひと・環境計画発行の「エコ‘Sレポートより参考」)
フランクフルトエコハウス

ビル内部 アトリウム

外観
フランクフルト市の中心部にある。設計者はヨハヒム・エブレというバウビオロギー(建築生物学)建築家。このビル内部のアトリウムは人間の肺と同じで、呼吸し、浄化する空間だという。建物にいくつもの会社がテナントとして入っている。雨が降ると、屋根緑化の部分を通って水は浄化されて、建物内部の小川へ下りてきて植物にまわる。小川の出口のところに手水鉢のようなものがあって、リズムがつく。そのせせらぎは、不思議な効果を感じる。屋根はガラスで開閉でき、暖められた空気はそこから排気される。アトリウム空間では湿度、温度の調整がむずかしい。計算の出来る研究所はイギリスケンブリッジ大学にあり、そこの大型コンピュータを使ったシュミレーションで設計を行った。建物の外部も緑が多く、池があり、裏庭には植物が絡まり、ほっとできる空間である。このような景色を見ながら、会議をするのは、コンクリートを見ながらの会議よりさぞいいだろうと思う。
シュツットガルトの美術館
幾重にも連なる屋根。高台に建っており、橋がかけられている。屋根緑化、日射遮蔽用の外壁緑化の見本。
自然との共生がテーマとなっている。屋根緑化を例にあげれば、3cmの草屋根の効果は、コンクリートの表面温度が70゜の場合、36゜に下げてくれる。たった3cmの土でも効果は大きい。
フンデルトヴァッサーハウス
ウィーンの公営住宅。設計者のフンデルトヴァッサーが市長と仲が良くこのような建物が可能になった。
ほとんど緑に埋没してしまうかのような建物緑化がすごい。
ハンブルグ アラメーヘ団地
1984年から開発されている団地。3期の工事にわたって行われる予定。現在第1期が終わり、1期目として3500戸、2期目として4500戸、そのうちエコロジー実験住宅が32戸が建てられ、最終的には数万人規模の団地になる予定。 原発、化学工場があるため人口の流入を図ったハンブルグのベッドタウンである。オランダの住宅団地づくりに学んでつくられた。運河、調整池を持ち、煉瓦づくりの住戸がつづいて、周囲の緑に映えて美しい。庭先からボートをこぎ出せるテラスハウスや水路にまたがる中層集合住宅。ただし4階以下。なかでもエコロジー実験住棟では、汚水雑排水の循環処理(サスティナブルシステム)がテーマで、トイレの汚物、生ゴミはコンポストトイレで堆肥化し、台所、浴室の雑排水は植物を使って浄化するというもの。バクテリアの力で分解するコンポストトイレなので、住人が抗生物質を多く飲むとバクテリアが死んでしまう。住人も常に健康な便をしなければならないそうだ。この実験住宅35世帯の雑排水はアシの畑に流され、土壌のなかのバクテリアと植物の根の浄化作用でほとんど飲めるほどになるという。ドイツの試みはすでにここまできているという象徴的な建物だ。
TAT
(環境技術展示交流センター)
=ライネ市TAT
 ライネTATは、繊維産業の町ライネが産業構造の転換を図るために州政府の援助で設立。120の中小企業が参加し、会費で運営されている環境技術センターである。再生資材、建材、水質浄化、ゴミ処理、印刷技術の4つをテーマに研究、新製品開発を行っている。
実際には数々の実験建築がおもしろい場所。いろいろなデータをとっているのが、あとあと役にたってくるはず。
スライドは屋根緑化のメーカーのオフィス。南側は壁がなく、斜めの急な屋根が地面から映えているような感じで北側は屋根緑化されていた。入口の前には雨水利用のシステムが展示されていた。展示物は具体的で、断熱材や内壁材が組み立てられていて、壁の断面やその使い方がよくわかるようになっている。断熱材は、アシ、木のくずを固めた物、木質繊維板、発泡炭化コルク、発泡ガラス、木毛セメント板、粒状発泡粘土地いろいろある。それぞれ素人にもわかりやすい説明がついている。設備ではウルムのエコメッセのように壁暖房、巾木暖房があり、輻射暖房がいかにエコ住宅において推奨されているかがわかる。
Q&A
玉田:断熱材について。呼吸系の天然素材はどうなのですか。木質繊維系、炭化コルク等ありますが。
高橋:やはりドイツでもRCの建物にはあまりむかないという認識で科学系断熱材が採用されていますね。市場でも天然系は10%くらいです。基本的には木造住宅に向いているものですね。
松村典:屋根緑化、室内緑化の植物の種類ですが、あまり大きくならないのですか。ツタで壁がほとんどやられてしまった家が近所にありましたが、大きく育ちすぎると処理がたいへんですね。
高橋:ええ、ただドイツではそんなに雑草などが生えない、北海道と同じですから。だからこそ自然に生えてきたものは極力生かしてやろうするのでしょうね。
 屋根の土の厚さは3cmくらいで、植物の性質をよく知った上で、大きなものは植えないようにしています。屋根そのものが重いので、下で作ってはわせて、上に持っていく方法もあります。地域の気候の違いによる植物の育ち方が有りますから、そのあたりをよく理解して作っていく必要があります。結局やってみないと永遠に分からないということもいえますね。
森村:「トンボ池」なんか、作ってしまって、カエルが生まれヘビがやってきて、と考えると住んでいる人に都合悪いことも起こりそうですが。
高橋:ヘビまで来たら大成功ですが、なぜ「トンボ池」というかというと、トンポは飛べる範囲が決まっており、その地域の環境程度を物語ることになるわけです。鳥もほかの虫も来るような環境がほしいわけです。虫がいやなら住まなければいいという選択の問題ですから。今やそんな自然は贅沢なことです。「トンボ池」はある意味で豊かな自然環境の象徴的なものと思っていいですね。なかなかそうはいかないのが現状です。
今後は、日本もこういった活動をしていくうえで、行政をどのように動かしていくかということがポイントになっていると思います。
  感想:ここまでいろいろな実験を行っているドイツはやはりすごいと思いました。どうして行政がこれだけ動いてくれるのでしょう。まず建ててみようという前向きな気持ちが違うということでしょうか。このままでは日本は世界に類をみない環境行進国になってしまうのではないかという危惧を抱かずにはいられませんでした。
第11回エスナ連絡会平成10年3月24日 テーマ:「コルクの話」
講師:㈱ 神戸コルク 第一営業部部長 宮里 蔵氏
コルクとは
 スペイン、ポルトガル、南欧、北アフリカ等地中海沿岸地域に群生するコルク樫の樹皮を採取したものです。
植林後25年間は伐採禁止。25年めから木自体は伐採せず、羊の皮をはぎ取るように、皮を剥いで製品をつくります。8~10年毎の夏にしか採取出来ない貴重なものです。そのままにしておくと樹皮を再生するため、8年から10年で再び樹皮を採取できるようになります。コルクの樹の寿命は約200年。その間約20回とれます。
 
コルクは無数の小さな細胞からなり、その中にミクロ単位の気泡がぎっしりつまっているので、軽量で浮力があり、湿気を通しにくく、弾力性に富み、燃えにくく摩擦に強い上、断熱・防音性に優れています。化学作用を受けにくいため、何年もの間変質することがなく、熱や水にも強いという特長を持っています。
 古代ギリシャの時代から、釣りのウキ、瓶の栓、靴底などに利用されてきましたが、その用途はますます広がっています。日本では静岡県島田市にありますが、コルク層は堅く締まりすぎです。またブラジルのアマゾン地域で育てば、生長がはやいのでコルク層はすかすかとなり、機能を果たしません。ですから、ほとんどのメーカーは地中海地域の集積地となっているポルトガルから必然的に原材料を輸入するようになっています。
 現在、コルクの一番の需要先は、ワインのコルクストッパーです。そして、残りを粉砕してチップにし、スチームで熱して、コルクタイルにしています。コルク樫自体はオークの家具として利用され、まさに捨てるところのないリサイクルの優等生なのです。
ちなみにワインストッパーには5等級の段階があり、その善し悪しは節があるかないかに掛かっています。
  コルクが商品として人にやさしい一番の要素は、断熱です。
バリアフリーなど最近はお年寄りに優しい建築がクローズアップされていますが、家が寒いか暖かいかも重要な快適要因です。コルクタイルは、断熱性能が優れており、素足になってもらうとよくわかりますが、熱伝導係数は畳の倍もあり、ほんとに暖かい。そして滑りにくいという利点があります。かりに転倒してもやわらかいのでけがをしにくく安心です。小さお子さまのいる幼稚園、保育所、お年寄りや足腰の悪い方のための施設など、コルクなら安全です。
「安全」ということを考えると住まう人の安全、ゴミとして出しても安全、施工される方の安全ということがあるでしょう。ほかの断熱材をみてみると、グラスウールは作業中の職人さんの肺に入り込んで刺さったりします。建物取り壊しの際の粉塵がどうしても舞い上がり危険です。また発泡プラスチック系は複雑な形状のものが作れますが、80゜以上になると変形が起こり、火災時有毒ガスが発生します。コルクはそのようなことがありません。
また経年変化がありません。ヨーロッパでは長く使ってもらっている実績があり、日本でも倉庫の外壁材として使った実績があります。メーカー保証が50年くらいですが100年たってもほとんど材質的に変化はないそうです。図書館のフローリングの下などにもいれています。加重がかかったとき、よくロックウールを下に使いますが、炭化コルクの場合床下がりをおこしません。非常に強い材質だと自負しています。
ですから住宅には、半永久的に使っていただける商品だと思っています。
製品としての特長
断熱効果と保湿性
コルクは空気層が細胞状に構成されているため断熱保温にすぐれている。熱伝導係数は0.032kcal/mh℃と極めて小さく、高温多湿な条件でも快適なすまい、職場環境を望める。また外部との温度差による結露の心配もなく性能が持続するので、新建材のような経年劣化がない。住宅の壁、床下、屋根の断熱として、マンションの外部に面する壁の断熱と結露防止に利用できる。
防振性と耐加重性
コルクは1cmに4000万個以上の気泡がゴムまりのような集合体となっているから、振動の遮断(工場、機械など)はもちろん、その弾力性により、加重に対する回復力も抜群。階下への振動音の緩和に利用が期待できる。
すぐれた耐久性
100%天然コルクからなるコルクボードだから、耐候性、防虫性に優れ、腐敗変形の心配がない。
防音と音響修正
環境の音響修正、衝撃音の絶縁(飛行機騒音など)室内騒音の外部への遮断性能を持ち、快適環境が保証される。
耐水性と耐薬品性
液体に不浸透であり、薬品に対しての化学作用もないので有毒ガスの発生もない。
施工法
軽量で簡単に切断可能。施工環境を選ばず、高温多湿、低湿の場所でも施工に影響がない。耐熱性があるため、直接防水施工が可能。
炭化コルク 樹液が多いと堅くなるので、通常のコルクは熱湯に入れて一回ゆでこぼしをします。そうすることにより、タンニン成分がとび、柔らかいコルク素材になっていくのです。普通のコルクタイルは、ワインストッパーの残りなので、そのままでは固められません。ですから若干のエマルジョンが入っています。ほとんど人体に無害のものを使っています。有機溶剤は使っていません。日本の農林規格で設定しているホルマリン、その他のデータをみても、安全値を充分クリア出来るものを使用しています。合板でいえばF0規格に相当するものです。皆様の目に触れるところには少ないですが、新聞社の輪転機の下などに敷いてあります。アスファルト防水で高熱と加重に耐えられるものです。ホテルの空調機関室にも昔から採用されています。
コルクタイルの成分
58% スベリン(脂肪酸の混合物)
5%
22% 繊維素
2% WAX状の物質
12% リグニン
1% バリニン(酸、タンニンなど)

 しかし炭化コルクは、ゆでこぼしをしないので、タンニンの成分が非常に強いものです。炭化コルクについては樹液のみで固まっています。ある意味でより自然だといえます。
浴室用炭化コルク
 本日は、浴室用床炭化コルクを持ってきました。通常立米120kg加圧で作っていますが、こちらの商品は700kg加圧で作っています。これだけ密ですと、ずっと堅い。前述の炭化コルクのような公共性の高い建築だけでなく、一般住宅にも炭化コルクをということで、自然住宅をご希望のお客様の浴室にお奨めしています。
エポキシ系耐水型接着剤で施工しているので、高熱の湯も使え、また柔らかいので転倒しても安心です。
もちろん化学物質を加えていないので、燃えても安全です。
蜜鑞ワックスのコルクについて
 最近は、自然塗料の重要性が認識されて、ドイツの蜜鑞ワックスをコルクに塗る工事がありますが、従来は未塗装のコルクタイルに蜜鑞をかけていただく施工が大半だったと思います。しかしこれは養生に手間暇、金がかかるということ、そして養生を怠ると黒く汚れてしまうという欠点がありました。
しかし今回、蜜鑞ワックスをかけた状態で製品を皆様にご提供できることになりました。ライト色のLタイプ、ミディアム色のMタイプがあります。作り方は炭化コルクと同じように釜に入れて焼き固めていくのですが、ライトだと24時間、ミディアムだと48時間焼き時間を取っています。商材は同じで焼けば焼くほど黒くなります。また焼き時間が違うと、含水率が全然違ってきます。ミディアムの方が含水率が低く、のびちぢみが大変少なくなっています。床暖房にはこちらのタイプをおすすめします。通常の合成ワックスを使うものより㎡で500円ほど高くなっています。
Q&A
Q:蜜鑞ワックスコルクの新製品と、無塗装品に蜜鑞ワックスを使うのとは、どう違いますか。
A:まず均一に塗装できて、現場での養生が不要です。
Q:浴室用コルクはいくらぐらいですか?
A:㎡36,000円です。
Q:今ここにある浴室用炭化コルクのM色のサンプルですが、結構きつく臭いますね。部屋中に敷き詰めて大丈夫ですか。それから、なんかごみっぽいものが黒く手につくのですが。
A:たしかにM色は臭いがきついのですが、これは樹液の成分が残っているからです。施工後1週間くらいは臭いがしますね。
松村社長:ただ、私が先日青山の現場を見せてもらったときは、施工後1週間ということでしたが、ほとんど気になりませんでしたよ。
A:1ヶ月もすれば臭いません。それに有機化合物とか化学物質の臭いではなく、木を焼いたときに出る臭いですから、有害ということではありません。それと黒っぽい埃のことですが、これは915×610を厚さ40mmで焼いてみて、お望みのサイズにスライスしていきます。そしてそのあとサンドペーパーをかけて仕上げるのです。日本ではクリーニングしてパックして出荷しているのできれいなのですが、ヨーロッパではそのまま出荷して磨いたあとの粉がつくのですね。今日持ってきたのはそれです。
Q:浴室用の施工実績は?
A:多いですよ、50から60件くらいです。
Q:浴室などでは水を吸うのではないですか。
A:確かに吸いますが、施工時表層部においてのみです。コルクの密度を高くすればするほど防水性が増します。中まで水が入らないようになっています。
Q:浴室用はなぜ日本向けのみなんですか?
A:一番はじめは老人ホームで、通常大理石を使うところ何とか柔らかいものはないかとご相談いただいて実現したのです。
 
Q:自宅で貼ったのですが、キッチンの窓が結露してそばのコルクの下まで水が入り、みんなはねてしまったのですが。
A:それはたぶん下地の問題もありますね。糊は何を使いましたか。
コルクは生きています。木なので、水にぬれてそのままおいておくとのびちぢみを起こします。それを接着剤で止めるのですが、その接着剤が天然系だと、確かに水に弱いです。ヨーロッパでは合成エマルジョン系でやりますが、水に弱いので、ゴム糊(合成系クロロフェレン系)を使用すると洗えるということで人気があります。
 
以下、質問は続きますが、省略します。実際にお持ちいただいたサンプルの中では、置き敷き用、ロールタイプのものにも、参加者の関心が集まりました。賃貸マンションなどに、気軽に利用できるのではという意見でした。
第12回エスナ連絡会平成10年4月21日テーマ:「24時間活水システムウォーターリフレッシュナー」
講師:㈱二和工業取締役社長 小林 信近氏
出発自然の湧き水がヒントとなり、開発されたブースター付ウォーターリフレッシュナーは、セラミックを利用した活水装置です。山里の変成火成岩をパウダーにして、1200から1400度で熱してつくった球状セラミックを装置内に閉じこめ、水流の勢いで流動させることで、水のイオン化を促進。さらに遠赤外線効果で水を活性化していきます。水の分子集団(クラスター)も小さくなりいろんな優れた効果を生み出します。
水の性質
分子集団が小さくなると、水の表面張力が小さくなります。すると汚れが落ちやすくなる。水とお湯では、お湯の方が汚れが落ちやすいでしょう。それと同じです。
一般にセラミック自体は、遠赤外線効果と、セラミック効果つまり、粒の中の多孔性により吸着効果があります。
そして蓄熱性がある。遠赤外線は発熱、物質移動の促進、放電効果、つまり水分子の放電を行います。
今回のウォーターリフレッシュナーについていえば、まず普通の水道水は、これを使っているうちにアルカリ性に近づいてきます。Ph7.2くらいが7.4から7.5くらいになります。水道水は酸性ほどさびやすいですから、中性(7.2)以上になるとさびにくくなります。これを循環させて使うことにより、さらにアルカリに近づくので、より水道管の腐食を抑えられるのです。 今まではワンパスで水道水を持ってきていましたが、蛇口に出るまでに数回転させる、業界初のブースターを使った機構を採用して活水効率をさらに高めるようにしました。
エスナ市ヶ谷を例に、だいたい1日どのくらいの電気使用料金がかかるかというと、1時間当たり0.024キロワットで1キロワットは26円ですから、1時間当たり6円35銭くらいですね。24時間使用し続けて1日当たり152円30銭、だいたい30日で換算しますと4569円。1年で5万5590円。思ったほどではないことを、理解していただきたいと思います。
 セラミック活水器の総合メーカー
㈱バークジャパン 山本 聡氏
水の活性化について
ウォーターリフレッシュナーは、今ちまたに出回っているフィルターを使ったりする浄水器ではなく、水を活性化するものです。ですからいろんな有害性分を取り除きたい場合は、やはりフィルターを使った浄水器を蛇口で使っていただく必要があります。
では活性化とは何かという点を説明します。この活性化した水をやった植物はいきがよく、葉のもち方がちがいます。また日本食品分析センターに分析を頼んだところ、活性化している水はいろんな雑菌が繁殖しにくい。ところが普通の水道水は細菌がすぐ繁殖してしまうという差が出ました。両方を飲んでみると、うまいまずいがはっきりしています。犬や猫に与えると、みな活性化した水の方を選んで飲む。その差はいったい何なのか。先ほど小林さんは、セラミックの効果を物理的な意味からお話しされましたが、これを化学的な見地からみたいと思います。
一般に水の電気分解というと、
O→2H+O
というおなじみの式で表せます。それが高い電圧でなく、弱電圧のもとだと
→H+OH
という状態がおきます。これは水にとっては大きな変化なのです。Hは非常に過激で、撹拌したとき水素ガスとして抜けてしまいます。OHはアルカリイオンですから、これが増えるということは、弱アルカリに移行する、アルカリ性の水になるということです。この現象は実験データで得られています。
 また殺菌作用がより大きい。石鹸メーカーがいい洗剤をつくるとき腐心しているのは、いかにこのOHを多く含ませるかということです。汚れがマイナスイオンに付着するからです。
+OHを意識的に作り出すことを、別の方法で提言している若手研究グループもいます。このように分離して混在している現象を中性撹乱現象と呼びますが、これは小さな細菌にとっては、電気的に不安定な条件で、死滅してしまうのです。塩素殺菌にかわるものとして、今注目されています。旭硝子がイオン交換膜を使ってH+OHを作り出したのですが、非常に高価なもので、我々は簡単な方法で作り出せる方を選びました。それがウォーターリフレッシュナーなのです。
非常によく汚れが落ち、菌を押さえ込む力がある。データでもあきらかです。しかしデータより先ず実績が何よりです。実はJR新幹線で採用してもらっています。新幹線ではトイレが泣き所でした。便器を人力でごしごしこすってもついた尿石がなかなか取れず、何年かで丸ごと代える状況でした。ところが、この活水装置をつけてから、汚れがつきにくくなり、洗浄しやすいということで好評です。
装置の話この装置をつくるとき、一番苦労したのは、水流です。中にセラミックがあって、水を出すときに自然の湧水みたいな状態になってセラミックを動かせばいいのです。ところが実際はこの流動が変動してしまいます。しかもこのセラミックは小さければ小さいほど効果がありますから、このセラミックを小さくする。するとちょっと水圧があがると、バーンとつまってしまう。いろんなメーカーが着目して実験しましたが、共通して出た結論が「水流がむずかしい。」このセラミックがうまく流量にあって、流動してくれれば効果は間違いなくあるのです。我々は、その水流の強さを見つけました。そして今は、流れを急に変えるのではなく、ブースターをつけ、適正水量で回転させることで処理時間を長くして活水効果をあげています。
古くなった配水管の赤水防止や、新しいビルの配水管の防かび、汚れ防止に画期的な力を発揮すると思います。
活性化された水が、水道配管に及ぼす優れた特性は次のようにまとめられます。
腐りにくい水になります。
水のマイナスイオン化が進み、界面活性力が高まるため、腐りにくく、汚れが落ちやすい水になります
さびの発生を抑えます。
水のpHがアルカリ性に移行するため、さびが発生しにくくなります。水道管などの防さび対策に効果的。化学薬品などを一切使用しないので、安心。
塩素のマイナス要素を取り除きます。
水中の遊離塩素を良質の塩素イオンに変化させるため、塩素のにおいや刺激を弱める効果があります。
このほか、活水化された水は暮らしや産業にさまざまな利点を与えています。
トイレの悪臭防止、掃除の簡便化。植物の生育助長、細菌による病気予防。洗濯物の汚れがよく落ち、洗剤の節約をはかる。金魚、ペットが生き生きとしてくる。シンクや排水溝のぬめりを除去、野菜の鮮度を長持ちさせるなどなど。
Q&AQ:以前の直結タイプの場合、中を1回しか流れないのですね。逆にいうともし受水槽から発送ポンプに送るところにつけると、直結させるのと変わらないのではないですか。
A:発送ポンプの圧には強すぎて、負けてしまいますね。適量というのがあります。1分間に100リットル位までですね。それが揚水ポンプであげたあとつけると、相当な圧になります。マンションも最近受水槽を使わず、直結のものも増えていますが、その水圧にはかなわないですね。
Q:赤水対策とか、管の中の錆を抑えるとか、着々と実績があがっているのですか。
A:かなりの実績をあげています。一番の売りは赤水対策です。私ども工事会社としては、これで喜んでいただきたい。水そのものが美味しいということで、浄水器メーカーのようにセールスされると困るので、活水ということをよく理解していただきたいのです。配管が長持ちするとともに、滅菌効果もあります。私はエスナ六本木ではお風呂にカビが出ないと確信しています。
 テーマ:「ブリヂストンのサヤ管ヘッダー工法」
講師:㈱ブリヂストン 建築用品販売部 湯田博文氏
はじめに
 近年、建物内の給水・給湯配管としてポリブテンパイプ(サヤ管工法)が急速に普及しています。
ポリブテンパイプは金属管のような錆や腐食がなく、また施工性に優れています。
『プッシュロックシステム』はこのポリブテンパイプとプッシュロック方式の継手とを組み合わせ、水の汚染や漏水を解決、特に施工作業の省力化を実現した、ブリヂストンの新しい配管システムです。
プッシュロックシステムの特長
給水・給湯に使用できて、軽量。(お湯95°以下、パイプは120mで10kg程度)
在庫の削減ができるため管理がしやすく、また搬入が容易。
接続に特殊な工具を必要としない。(専用潤滑剤が差込を容易に。パイプカッターを使えば直角にカットしやすい。)
工具の管理(メンテナンス)がほとんどいらないため、施工管理がしやすい。
差し込むだけのプッシュロック継手のため、現場加工がほとんどいらない。(パイプに差込代が表示されており、この差込代を確実に差し込んで完了)
接続作業の管理がしやすく、施工の省力化が図れる。
ポリブテンパイプの特性
  • 耐摩耗性・耐衝撃性・耐ストレスクラッキング性に優れている。
  • 耐熱クリープ性に優れている。
  • 保温性、結露性に優れている。 
  • 衛生的で安全性に優れている。
  • 耐塩素水性・耐薬品性に優れている。
 こんな優れた特性を備えているポリブテンは、ナフサ(石油)から分離・精製される1-ブテンをチーグラー・ナッタ触媒を使用した重合により製造される合成樹脂です。ポリブテン(PB)は、ポリエチレン(PE)や、ポリプロピレン(PP)と同じポリオレフィン系樹脂ですが、分子量が約150万と非常に大きく、特殊な分子構造を持つため、他の熱可塑性樹脂にはない耐熱クリープ性、耐ストレスクラック性を示します。また押出成型によって製造されるため、安定した品質が得られています。
製品の歩み
サヤ管ヘッダー工法は、近年急速に普及しています。金属管は赤水、青水の被害が問題になっていることもあり、消費者に対しては「水が濁らない」ということが大きなセールスポイントとなります。樹脂管なので錆等が出ないためです。新しい素材というのは高い、という認識がどうしてもあって、マーケットが活性化しているときはいいのですが、通常は伸びないものです。しかしバブル以降景気が冷えこんでいるのに従来の工法(=えだ配管)より伸びてきた理由は、材工でのコストダウンをメーカーが工夫してきたことがあるでしょうが、工事をする側の理解が深まってきたということがいえるでしょう。市場に登場したのは、昭和60年頃で集合住宅の室内配管として普及し始めました。以前は壁掛けの湯沸かし器が主流でしたが生活の向上に伴い、大型の給湯器による混合栓が一般的となり、また施工現場においては、配管職人の不足・3K問題等があり、簡単に施工できる・汚れない・給水給湯に使用できる等の利点でポリブテンと、架橋ポリエチレンを素材とした2種の樹脂管が注目され始めました。一方、水道配管には日本水道協会が認定している型式(JWWA)があり、これが水道事業体の規制に用いられてきました。そのため、集合住宅・ホテル等の受水槽以降二次配管(簡易専用水道)での普及を進めてまいりました。また、平行して戸建等一次配管(直圧)への使用を可能にすべく、型式認定取得に向け活動を続け、平成2年にJIS(JIS K6778)の制定となりましたが、しかし、型式取得できず、さらに水道JISの制定と推進をしてまいりました。そこへ、平成8年規制緩和の動きが出てきたこともあり、大きく進展がありました。結果平成9年9月にポリブテン管JIS(JIS K6792)制定、規制緩和に向けた水道法改正による厚生省令14号の施行がされ、メーター以降の給水装置材料として使用可能となりました。
次に今までの規制とこの度の規制緩和についてお話します。
今までの規制
 給水装置として使用できる器具については、JIS規格品以外は、(社)日本水道協会(日水協)がその型式を承認し、検査を行ったものでなければ使用できないという規制がありました。その問題点として
  • 型式は検査項目が必要以上に多く基準内容が第三者にわかりにくく、手続きも煩雑で輸入品等を自由に使用することが出来ない
  • 検査で品質管理の向上にも関わらず全量サンプル検査を求める
  • また検査品でもさらに加重して個別検査を行う水道事業者もある
等の問題がありました。これらの規制があるため、消費者のニーズに関わらず、新しい配管材がすぐに普及しないという現実があります。そこで、メーカーとしては、工業界を発足させ工業規格を基にJIS規格化・BL認定等を進めて認定を取り、需要拡大の活動をしております。
規制緩和の動き
前述のように、規格をすぐに取れない現状に対して、平成8年頃から行政改革委員会の要請等で、建築規制合理化委員会でもいろいろと規制が見直されるようになりました。地下室の容積率緩和など大きな成果がすぐに上がったものもありますが、この給水装置に関連する動きとしては、現行制度を廃止し、給水装置専門委員会を設置してその改正が手がけられました。そして、基準は明確に必要最小限のものにしようということが定められ、基本的に製品の責任はメーカーが負うという外国の流れを受け、必要以上に水道事業者の指定を受けない、関係者が同一の定量的な判断を行うことが可能になりました。そして平成9年10月水道法が改正され、新基準として、厚生省令14号が施行されました。
まとめ各部品の説明や、器具の紹介もいただきましたが、省略させていただきます。(治工具の中で、パイプカッターだけは専用のものをお使いください。断面が直角に切断しやすい便利なものだそうです。)
このポリブテン管とプッシュロックの用途は下記のように多岐にわたっています。
  • ビル、建物内の給水・給湯・冷暖房配管
  • 戸建て住宅、施設物件の床暖房配管
  • 地熱水載りよう、温泉の引湯管
  • 太陽熱集熱器からの温水配管
  • 温室、ビニルハウスの暖房配管
  • 豚舎、鶏舎の床暖配管
  • 降雪地域のロードヒーティング
  • プラント配管
弊社のエスナ市ヶ谷、エスナ六本木でも採用しており、今後も実績が増えていくことでしょう。
これだけ科学技術が進んだ現代でも、私たちは新しい製品、画期的な良い製品がなぜすぐに登場しないのか、不思議に思うことがありますが、今回のエスナ連絡会では、ある規制緩和の歩みを通して、その問題を考えさせられました。
第13回エスナ連絡会 平成10年5月23日テーマ:「畳の話」
講師:㈱クマイ商店取締役社長 熊井芳孝氏
  建築の快適性について話をしているのに、畳を避けて通るわけにはいかない-ということで今回は日本古来の建材、畳について取り上げました。
 もともとエスナ市ヶ谷で、畳は農薬が気になるので使えないということから和紙の畳を採用してみました。一方新たな情報として熊本で無農薬で畳を作っている人たちの話を聞き、アトピー性皮膚炎にいいものができるかどうか古くからお付き合いのある熊井商店の畳師熊井さんに話を聞いたところ、「大体、自然のワラ床を使えなくしてしまったのは、あんたら建築屋なんだぞ」とお叱りをうけてしまったのです。
単にメーカーの現状を憂えて、その責任を一方的に押し付けるような形はよくない、あらためてどういうスタンスでものを考えていかなくてはならないかを認識しなくてはならないと思いました。
まず、畳がどういうものかを理解し、安全性について留意しながら、その背景を考えます。
畳の構成畳は、畳表、畳縁(へり)、畳床から成っています。それぞれについて解説していきます。
畳表(JAS=日本農林規格)畳の良さを決める最大の要素が畳表です。産地によって呼び名が違います。織り方もいろいろで、畳表1枚が数百円から数万円、中には値がつけられないようなものもあります。今はほとんどが機械織りで、手織りのものは貴重品となっています。主力は備後表(広島)です。畳といえば、昔から備後といわれるように、高級品です。独特の青みと銀白色で打ち込みがよく、充実感があります。ただし最近は、広島産のいぐさで広島で織ったものはごくわずか。特に長いいぐさで織ったものを「長髭」といい、また耳毛は短いが、打ち込みがいい表を「三五表」ともいいます。また、熊本県は、全国のい草の約8割、畳表の約7割を生産しており、圧倒的なシェアを誇っています。

 畳はい草の香りも重要です。刈り取りが7月で8ヶ月も過ぎると香りがとぶでしょう。厳しいお客さんはこれに「熊井さん、畳替えしても香りがないね」とクレームをよこします。香りもまたお客様にとっては大事なものです。
 熊本など独自の業界分類をおこなっているところもありますが、畳表は日本農林規格(JAS)で分類が行われています。経糸(たていと)の本数により1種、2種、3種と分けられ、それぞれ特等から3等まで4等級に分かれています。現実にはサイズの規格で1種は京間、3種は江戸間、2種は中京間といった感じです。等級は色調や織りで決まりますが、経糸には麻と綿があり、麻のほうが強くしっかりと織りこめるため、肉厚で配がそろって谷がせまい(目と目の境がギザギザでなくまっすぐの)畳表ができるので、中、上、高級品に使用されます。
 特にマニラ麻は最上級で、ほかにラミー、ジュートなどがあり、綿と混ぜて使用されることもあります。
JASに合格した畳表にはハンコが押されますが、実際に格付けされるのは圧倒的に2等で8割以上に上ります。公共建築の仕様書の多くがJAS2等を指定しているためで、そのための規格といってもいいでしょう。
畳の良し悪し最上級のものと3等品との見分け方は、特等の方が色がきれいで、織り込み本数が多くて重量感があり(1枚2.0kg以上の重さがある)、随の方が長く出ていればいるほどいい商品です。畳屋に見本を求めて、髭を切らないように頼んで、比較してみるとすぐわかります。い草は長いものは135m以上、短いものは97cm以上と規定があり、もちろん長い方がいいのです。

上級品(一枚二万~三万円)。
充実した百三十五センチ以上の長いいぐさを五千~六千本も使用し、経糸はマニラ麻糸で織る。重さ2キロ以上、表全面の色調良好。

中級品(一枚一万~一万五千円)。百十センチ以上のいぐさを四千本位使用し、経糸は麻糸、綿糸で織る。重さ一.五キロ以上。

琉球表・七島い表(一枚二万~二万五千円)素朴で粗い風合い、割干前の原草の断面が三角、主に縁なし畳に使われる。

最近、設計の先生方で縁なしの畳を使いたがる方が増えていますが、端の部分を強制的に折り曲げて畳に仕上げなくてはならないので、普通のい草は弱いためあまり向いていません。そこで大抵は「青表」と呼ばれる普通の畳より素朴で粗い風合いを持つ丈夫な、琉球表、七島い表と呼ばれるものが使用されます。三角形の断面を持つ七島いを半分に裂いて乾燥させ、選別し、麻糸を経糸に使います。発祥は沖縄ですが、現在の主産地は大分です。耐久力があり、火気に強いため、昔から柔道畳とか、農作業場で縁をつけずに使われていました。日本橋などの戦前から戦後の呉服問屋は、お客様が通る場所は物を移動しても痛まないように琉球表でこしらえていました。それが最近デザイン面から半畳の縁なし畳を使うところも増えてきました。価格は1畳の7掛け程度が普通ですが、縁をつけない場合は手間賃がよけいにかかります。
また、JAS規格はこの畳表に適用されません。
畳縁(たたみへり)畳を引き締め、アクセントとなる畳縁。現在は柄物を含め約2万種類もあるといわれます。決まりごとも歴史を反映しています。畳は「折りたたみ重なること」というのが語源で古事記にまで遡ります。この経緯を考えると、筵のような草やワラで織られたコモを折りたたんでしまったりするうちに、厚く重ねて布団のような寝具にして使うようになり、それを包み閉じるために縁に布がかぶせられたのではないかと考えられています。平安時代には今使われているような畳が、高貴な人の座具や寝具などに愛用され、それらの厚みや縁が身分、位を表していました。以来その名残が江戸時代にまでとどめられています。明治時代になって庶民にも使われるようになりましたが、まだまだ贅沢品で客間や仏間、寝間などにしか使われませんでした。紋縁と言って、家紋を入れるものもあって、畳縁を大切に扱う生活習慣はずいぶん昔から根付いていたといえます。
お茶の世界でも、立ち居振舞いの美しさの上から、また歩幅などの美しさの合理性の上からも、畳縁を踏んではならないとされています。千利休が打ち立てた「曲(かね)割りの法」という宇宙世界を理論的に寸法で割り切るようにしたことも畳の目巾から出ています。
また、畳の材料と厚みは、弓矢の的にも使われているように丈夫なものですが、縁や角の部分は弱いし、い草の表面は傷つきやすいものですから、あまり強く踏み込んだりしないように、優しく取り扱い、いたわりの気持ちを持つということもあります。
現在床の間用の畳縁に使われている高麗(こうらい)紋様には、大きさごとの大中小の区分に加えて、花形、七宝、菊水、唐草、松葉といった紋型ごとと、色による区分、材料の区分などでいろいろとあります。普通の畳縁は光輝縁(こうきべり)といって、おもに細幅織物で織られ、材料も綿糸、人絹糸、ポリエチレン、ポリプロピレン、ナイロン、テトロンなどとさまざまです。料理屋や旅館向き、最近はパステルカラーまで何万種類と商品化されています。
畳床(たたみどこ)
中身はいろいろあるが、大きく分けると、昔ながらのワラ床と、ポリスチレンフォームなどを組み合わせたサンドウィッチ床やワラを全く使わない脱ワラ床の建材畳床の2種類に分けられます。こちらはJIS規格です。

ワラ床-よく乾燥させたワラを5~7層になるよう平らに縦横に組んでつくる。ワラは中がストロー状になっているので、弾力性もあり空気もたくさん含んでいる。縦横に組んで40cmくらいになったものを5cmほどに圧縮してつくられる。たくさんワラを使い、配列層を多く平らにし、縫い目間隔を細かくしたものほど高級。長所は、化学床に比べて、感触がいいこと、表替えを繰り返しても丈夫なこと、復元力があることなどがあげられる。また畳1枚は、一晩で約500cc以上の水分を吸収し、乾燥してくると放湿するという、エアコン作用がある。何より自然素材のリサイクル品であること。一方でダニの問題があるが、防虫加工紙を取り付けること、高周波などによる誘電加熱処理をおこなうことなどの防虫加工方法がある。
建材畳床-考案されたのは1963年頃。一時は粗悪品も出回ったがJISが制定されてからは品質も安定、最近は年2000万畳作られている新床のうち6~7割は建材畳床である。
 素材別にみると、ポリスチレン樹脂を発泡させたポリスチレンフォームと、木材繊維を原料とするタタミボードインシュレーションファイバーボードがある。前者がいわゆるポリスチレンフォーム畳床だが、最近はほとんど使われておらず、住宅供給公社くらいであるが、断熱性に優れ、水を吸収せず、軽い、施工しやすいという長所をもつ。タタミボード床はそれに比べ、吸放温性と断熱性に優れ、寸法性が安定しており、耐久力もあるが、重くなるので、フォームをサンドイッチや積層にした床が多い。ワラ床と比べて両者とも運搬や敷き込みが楽で、ダニの心配がない。特に高層住宅では、軽量という点は大きなポイントである。
畳は敷き詰める場所に合わせて畳店が仕上げるので、これらの建材畳床の場合もメーカーが素材を販売し、製床業者が規格に沿って材料を組み合わせることが多い。価格は、床の場合単価が出にくいので、ワラ床も含めどれが安いか一概にはいえない。
意外だと思われるかもしれませんが、部屋に畳を敷き詰めるようになったのは最近の話です。昔はほとんどの人は板の間で生活していました。畳の上で寝られる人はよっぽど位の高い人だったと思います。せいぜい草で編んだ薄縁のものか、板の間に畳を1枚置いて使っていたのだろうと思います。一般の人が畳で暮らすようになったのは、江戸時代に入ってからですね。遊芸が盛況になって、江戸時代の中期から末期にかけてやっと今のように畳を部屋に敷き詰めるスタイルが出てきたものと思われます。
皆さん畳床は、ワラ床と建材畳床とどちらがいいと思いますか。
本来畳床はワラであるべきだと思っている人、手を挙げてください。(大多数が手を挙げる)
それじゃ、畳床は何でもいいんじゃないかと思っている人。(3人)
ワラで作った畳床は、床として5cmから6cmにするには、40から55cmのワラを圧縮して縫っていくのです。畳床を作っているのを見たことがある人いますか。(1人手を挙げる。千葉にいるときだという。)少し前までは長い良いワラが取れたのですが、今は全国的にみてもあまりありません。それになかなか大変な仕事です。ものすごいホコリです。今日の会は環境を大事にするエスナで、ワラも環境にはいいと思うのですが、そのような事情もあるのです。
それから、もうひとつ建材畳床が増えた理由があります。
 最近の建築工法、つまりRCや鉄骨、在来のサッシュの使用など総じて言えるのは非常に室内の密閉度が高いということです。そこにワラ床を入れると、室内の水分をどんどん吸って、空気をよほどコントロールしない限りそれを防ぐのは無理です。早く言えば、むろの中にワラを入れているのと同じで、室内の湿度が60%を超えると、畳がどんどん湿気をすってしまいます。ワラには微生物がついているので、それらが活発に活動しやすくなる。畳は本来、日本家屋に一番適した床材だったのです。在来工法では特に地方に行くと、骨組みを立上げ、土壁を塗り、半年くらい放置して、湿気抜きを十分にしたものです。ところが、今はそうではないから、建築の工法が変われば、畳の中身もそれに対応したものにかえる義務も権利もあると思うのです。ワラということにこだわらず、畳屋もがんばって努力していかなくてはならないと思います。
 ㈱荒井啓佐司商店 畳アドバイザー 荒井将佳氏
 浅草生まれ、大正14年創業の畳材料卸問屋㈱荒井啓佐司商店の3代目。前全国畳材料卸商組合連合会会長
「畳の効能」
はじめまして。畳の使いやすさを知ってもらいたい、使いにくさを提案してもらって役立てたい、情報を一般の方に知っていただきたいということで、ものと情報を売る、畳アートコーディネーターという仕事をしています。
(荒井さんは、畳セミナーの講師として消費者教育にも携わり、新聞、雑誌、テレビなどで、畳文化の普及に努めている。農薬を使用せずにダニの畳への進入を阻む不織布製の防虫シートを考案。)
20年ほど前は、消費者から苦情があると、それは消費者センターに持ちこまれ、そういう苦情はもとを辿っていけばいくほど、肝心な話が不透明になる-つまり業界を守る風潮が強かったのです。それをそのままにしておいてはいけない、消費者にもわかりやすい方向をとろうという流れの中で、私はこのような仕事を始めました。卸問屋の立場ですが、2年前からホームページを立上げ、また畳にまつわるいろんなニュースなどを集めた情報紙を出しています。今日は、OHPを使って説明していこうと思います。
先ほどの建材畳床と天然床の市場占有率の逆転は、昭和48年のワラ不足に端を発しています。必要にせまられて建材畳床を作って、55年についに逆転しました。今では中に木炭、コルク、炭化コルク、シルク・ヤシ繊維、ポリスチレンフォームなどいろいろ入ったものがあります。(一部ワラを使用したものを「わらサンド畳床」と呼んでいる)
畳の効能とは何でしょう。
畳は、触って、見て、聴いて、香ってと人間の五感に訴える魅力があります。
ソフトな弾力性、優れた吸放湿性があります。目に映る黄緑は、日本人の皮膚の色に近い反射率なので、安らぎを覚えます。畳の部屋に入ると、衣擦れがなんともいえない静寂感を与えてくれ、また相当な遮音効果もあります。そして畳のかもし出す独特のにおいは森林浴をしているのと同じで自然に呼吸が深くなり、リラックスします。
安全性でも、畳は子供や老人がころんでも怪我をしませんし、地震などの災害時に非難するときにも、建物がこわれるとフローリングなどは暴れて危険ですが、畳はそんなことがありません。それになかなか燃えない、2階の床が落ちたらその畳が1階の床の炎をおさえますし、長方形の畳を敷くことにより家を補強する役目も担っています。
最近では、味覚の面からも見直され、い草を利用した飴やうどん、お茶、アイスクリーム等々を作っているところもあります。利尿作用、便秘予防、鎮静作用などが健康食として取り上げられたのでしょう。また稲ワラやい草というと、とかく残留農薬の問題がいわれますので、安全性を考えた栽培という面でも有意義だといえます。全日空に機内食としてい草饅頭が紹介されています。
外国の人にも背骨矯正の健康建材として魅力があるようです。欧米でも足を投げ出す風潮になっていますし、寝そべられる格好は一番リラックスできますね。畳は1人が寝た時のサイズを想定してつくられていますから、道理にかなっています。
Q&A
Q:畳の敷き方が決まっていますね。あれはどういうことからきているのですか。仏間だと仏さんにむかってさしこんじゃいかんとか…。
A:木造の大工さんの工法にしたがっています。例えば、さおぶち天井(床の間に向かって、さおぶちをさすことはないように)に従うなど。日本の木造家屋は非常に合理的に寸法が決まっているので、高さと面積が決まると、やり方も決まってくることになっていますね。(資料から:畳の「回し敷き」の利点は、光の反射が美しい、畳の目に沿って歩くほうが歩きやすく畳をいためにくいなどの理由がある。一方、大広間には「四井敷き」という並び敷きが多いが、空間の広がりは縁筋が通っている方がよく整えられている美しさがある。)
Q:たまに、設計事務所の図面で床の方にさしているときがありますね。
A:現在は木造在来工法が少ないので、適当になっていますね。
Q:畳表の経糸、麻、綿は昔からあったのですか。
A:当然ありましたが、麻の方が先でしょう。
Q:畳がダニの温床になるのはわかりましたが、我々はどうしてもRCの建物をつくる機会も多いのです。お客さんにたずねられたとき、農薬や染色の材料の話もしなくてはなりませんので、そのあたりのことを聞きたいのですが…。
A:農薬の使用は時代の流れを汲んでしまっている点がどうしてもあります。ダニ、かびを嫌うお客様のニーズにこたえて防虫、防カビ剤が使われるようになったので-。ただ今はなるべく使わないようになってきています。着色剤のマラカイトグリーンの毒性も明らかになって、使わない方向になっていますね。
Q:昔はよく畳を干す風景がみられましたが、今の畳は干さなくてもいいのですか。
A:昔はよく外にだして風にあてていましたけど、直接日光に当てるのはまずいですね。変色し、いたみますし…。それから中途半端では効果は期待するほどないです。ぽかぽかしてきてワラの厚みは虫が中に入るのにちょうどよい。ですから労の割にむくわれない(笑い)。それより除湿ですね。室内の空気のコントロールです。(湿度60%以下にする。)本来ワラには20種類以上のダニが生息出来まして、喘息など発生するのは結局数の問題だろうと思いますよ。人間からはふけなどが落ち、それを食べるダニが部屋に出る。基本的に昔から共存していたはずですよ。それをいっさい断とういうことが良いことなのか、疑問です。都内で蝿をみかけることもめっきり減りました。でも、ダニがいやというのなら、農薬を使うしかないですよ、基本的に農薬は邪魔なものですけどね。無農薬の畳をつくるのなら、空気の流量を隅々まで完全にコントロールしなくては-。
しんもくW氏(合板メーカー):先日、健康住宅研究会でやっと設計・施工ガイドラインが発表されましたが、今後化学物質の建材への使用について、われわれ建材メーカーはますます考えていかなくてはならないという状況になると思います。
ガイドラインに沿っているかどうか、問われる場面も出てくるでしょう。お互いがんばりましょう。
畳のメンテナンス
連絡会ではあまり話題にのぼりませんでしたが、やはりきちんとした畳の手入れは必要です。資料から抜粋しましたので最後に改めてご紹介します。ぜひ実行してみてください。

ダニの大量発生を防ぐには、何より風通しを良くし、春秋2回の天日干しをすることだが、なかなかむずかしい。
そこで簡単な注意&予防法:
  • 年に1、2回、晴れた日に畳を少し持ち上げ、下にビールびんなどをはさんで風を通す。
  • 畳の上にカーペットを敷かない。
  • 水気の多い雑巾がけをしない。
  • 晴れた日には、窓をあけて、室内を乾燥させる。
  • 梅雨どきや、夏には、除湿器で湿気をとる。
  • 台所の調理の湿気や浴室の湯気を室内に入れない。
  • 加湿器を過剰に使わない。
  • 防虫処理・加工を行う。(安全方法が出ている)
畳を長持ちさせるには、さらに
  • 直射日光を防ぐ
  • ホットカーペットによる乾燥のし過ぎに注意する。
  • 掃除機は静かにゆっくりと同じ部分を何度か往復させる。
  • ほうきを使う場合は、ホコリを押さえるため、出がらしのお茶ガラを水にしばらくつけてあく抜きし、ぎゅっとしぼって部屋のはき始める方に撒き、畳目に沿ってはくこと。

畳表は2~3年で裏返し、4~5年で張り替えが基本。畳床は大事に使えば、20~30年はもつそうです。

<おわりに>
たくさんのOHP映写の内容をすべて紹介できませんでしたが、畳文化の紹介に多方面でご活躍の荒井さんでした。
畳屋さんの現在置かれている状況が、今回のお話でよくわかりました。一方で、生活者自身が畳のよさをもっと引き出す暮らし方をするように心がければ、こんなに快適な床材はないということも教えていただきました。日本の風土にあった畳を現代の生活感覚にも合うように、私たち自身が利用し、またお客様に提案していくことが肝心です。
第14回エスナ連絡会 平成10年6月23日テーマ:「アトピーについて」
講師:財団法人日本環境財団 赤城 智美氏
アレルギーのおこる仕組み

 赤城さんが事務局長を務める「アトピッ子地球の子ネットワーク」では、アゴピーの患者さんや家族の方々の電話相談を、現在週3回行っています。その件数は年間約3000本にもなります。相談はアトピーのことだけでなく、住まい、農薬、食物、インフォームドコンセントのことなどについてで多岐にわたっています。会員(約2500人)には月刊「アトピッ子」を配布、食品添加物や農薬のこと、例えば浄水器の検証などアトピーの人の生活に役立つ情報を提供しています。

本日はアレルギーのしくみについてまずお話をしていきたいと思います。
 
 私たちの身体には、異物となるもの(抗原またはアレルゲン)が入ってきたとき、それに対抗する抗体を作って抗原を排除しようとするシステムが備わっています。これを「抗原抗体反応」といいます。これは通常身体にとっては有益な反応ですが、ときに必要以上に作用したり、不適切に作用したりすることがあります。
このアレルギー反応はⅠ~Ⅳ型の4つの型があります。このうちⅠ、Ⅳ型がいわゆる一般的なアレルギー疾患に深く関わっており、また複合型もあります。アレルギー体質とは「過敏な体質」というよりは、アレルギー反応を起こすのに条件が整いやすい体質と理解してください。
 
Ⅰ型:即時型 食べてすぐ起こるものです。15分~12時間くらいの短時間で反応があります。狭い意味でのアレルギーという場合多くはこのⅠ型です。これは抗体(特にIgE抗体=免疫グロブリンの一種。脊椎動物の血清や体液などに存在するタンバク質で、抗原と戦う機能を持つ。アレルギー体質の人の場合、血清中のIgEの値が高くなる。)
をどんどん作って防御の範囲を逸脱してしまうせいで、アレルギー性鼻炎、気管支喘息、食物アレルギーなどの反応の起こる場所によって発症が異なりますが、同じ仕組みです。
 
Ⅳ型:遅延型 細胞の中のTリンパ球が起こすアレルギーです。体内に抗原を取り込んでから半日~数日たって反応が起こります。代表的なものが、接触性皮膚炎、いわゆる「化粧かぶれ」「うるしかぶれ」などと呼ばれるもので、最近では、金属、ゴム、洗剤に反応する人も増えています。
ⅠとⅣの複合型:同じ原因物質、例えば卵で即時型反応、ついで喘息などⅣ型反応を起こすなどバラエティにとんだアレルギーが増えています。
 
この抗原抗体反応という働きは、種の保存のためのパトロールというべきものです。IgE、A,G、M、Dといった免疫グロブリン(兵隊)が外敵と戦うために出てくるのですが、このうちEが寄生虫に対抗するものだったのではないかという説があります。というのは、エチオピア人の血中のIgEは10000~15000という膨大な数ですが、身体の中にこれだけいるのに、アレルギーがない。ところが、日本人の成人は100くらいなのに、刺激が起きると兵隊を作るBリンパ球が働き、兵隊が増えて、(役割を終えれば本来いなくなるはずが)寄生虫以外の刺激を受けて、常駐してしまうのです。寄生虫の通り道にいるだけでいいのに、外の部分、つまり鼻、肺、口、胃、そして皮膚のそばに待機して、毛細血管を刺激してアレルギーを起こすのです。
アレルゲンのいろいろ(アレルギーの原因)
外敵の1位はハウスダスト、いわゆるほこり、それからダニ、そして卵となっています。
先に食物性アレルゲンの場合を考えてみましょう。比較的分子の大きいものが対象となります。通常IgE抗体はタンパク質がアミノ酸に分解吸収されれば、異物として反応しないのですが、消化吸収力が弱まっていると、タンパク質を大きい分子のままで腸管に送ってしまい、そこで抗原抗体反応を起こすのです。腸の壁を細胞のつまった網の目と考えて下さい。大きい分子のものが、網目を通過してしまうと、アレルギーを起こし、大人になって網の目が小さくなると大きいものを通さないので、アレルギーが起きないのです。しかし一旦アレルギーになってしまうと、身体はそれを記憶しています。大人になって突然なったという人も、子供時代に素養があったはずで、調子が悪いときにバーンと出て、しばらく続くという状態になるわけです。

卵は皮膚をじゅくじゅくにし、牛乳はかさかさの湿疹を起こします。乳幼児などに食物アレルギーが多いのはこの消化能力が未熟なためで、成長とともに減っていきます。また、皮膚で大丈夫だと思っている人は、おさまると別の場所で出るといったこともあります。具合の悪い人は腸の網目が傷ついていて、消化しにくい物を食べたとき、未消化のものが網を通り抜けるのです。
 
さてこんな腸の状態がよくないときに、症状を悪化させる食べ物に「仮性アレルゲン」と呼ばれるものがあります。
下記のような食べ物は毛細血管を刺激するので控えた方がよいでしょう。
  • ヒスタミンを含むもの:鶏肉、牛肉、えのきだけ、なす、トマト、ほうれん草など。
  • セロトニンを含むもの:トマト、キウイ、バナナ、パイナップルなど。
  • アセチルコリンを含むもの:くわい、なす、たけのこ、里芋、山芋、そば、まつたけ、落花生など。
  • トリメチルアミンオキサイドを含むもの:かれい、たら、すずき、たこ、いか、えび、かに、はまぐりなど。
  • ノイリンを含むもの:冷蔵のたら、さんま、塩漬けのさけ。
 
また症状が出ている間、食べないでいると落ち着くという「除去食」というものもあります。それについては、医師と相談の上決めます。例えば砂糖。通常、人の腸の中には2000くらいの細菌が混在していますが、網の目が傷だらけでいつもIgEが高い人は5000くらいあり、重症傾向のある人の場合、おなかのカビのバランスを安定させるために治療上砂糖の除去を行います。砂糖は悪いカビの餌になっているからです。
さてアレルゲンとして一番多いのは、ほこり、ダニなどの環境アレルゲンです。消化して小さくなる食べ物はまだいいのですが、ダニ、カビは小さくできません。皮膚の毛穴や呼吸器を通って体内に侵入し、アレルギーの原因となります。人の年齢があがるにつれて、徐々に環境アレルゲンによる影響が大きくなります。これを防ぐ手だてとして、目の詰まった布団、マスク、カビを殺す薬を貼る、抗菌剤といろいろ紹介されています。しかし、世の中に出ているいろいろなものについて、その材料をたずねると化学物質がかなり使われていることがわかります。例えば抗菌剤です。不明、不明とラベルに書いてありますが、一般の人には追いかけられないという論証で、ここに目には見えない「繰り返し刺激」が行われているのです。間違ったアトピー対策が行われている現実があるのです。
食べ物でも同じようなことがあります。タンパク質を消化するといいますが、完全でもアミノ酸まで消化できる人はあまりいません。せいぜいペプチド(アミノ酸が2つくらいくっついた)までです。ところが野菜の残留農薬がタンパク質と結びついて、せっかく消化した物の形状を残すため、センサーに引っかかってしまう事態が起きているのです。
アレルギーをどうとらえるか
アレルゲンは、一つとは限りません。いくつかが複合して起こるものです。ですから一つの原因だけでなく、それぞれの対策を立てることが大切です。またアレルギー性疾患は、体質を受け継いだら必ず発症するというものでもありません。それはコップのそこにちょっと中身が入っているかいないかの違いです。コップの中にはさらに皮膚の状態、体調(寝不足、過労、病気による体力消耗)、心理的緊張、過食などのストレスなどが加わり、人それぞれコップの大きさが異なりますが、中身がいっぱいになれば、いつかあふれ、誰でも発症することになるのです。
アレルギーは、人の身体全体のバランスが悪い状態ではなくなりません。ストレスというリスクを練らす生活をするためには少しは努力しなくてはならないのです。思い切って休養をとりましょう。ケミカルなもの(化学物質)に対する反応について、より注意するべきです。化学物質は、普通の人でもリスクがあふれると危険なのです。今まで、歴史上人類が出会ったことのないものに侵されない暮らしを選択することが大事です。&#9;
住まいとアレルギー
(住まいのカビ対策は、食対策セットで)
電話相談をしていると、建築のテーマとして、カビ対策と結露対策をいかにうまくやっていくかが一つの柱になると思います。そのあたりの情報の共有化を住まいのプロの人たちと行えればいいと思って、今回エスナ連絡会でこのようにお話することにしました。
最近、特にケミカルなものが複合的な組み合わせで悪い環境を形作っているなと感じます。例えば、夏が近くなって、殺虫剤、防虫剤が登場する季節になってきましたが、最近防虫剤メーカーはいっせいに急性毒性の製品をやめました。毒性を下げた事自体は評価すべきことですが、偶然どのメーカーも今度は慢性毒性のピレスロイド系のものに切り替えたのです。急性毒性のときは、いろいろな種類のものを採用していたのに、一つになってしまったことで、住まいという一つの狭い空間にピレスロイドがいっぱいという状況が起こっています。実は毒性についてはトータルでみればそんなに変わりはないと思うのですが、ある物質に繰り返しさらされる、これは怖いことです。同一の化学物質が集まれば、それが部屋いっぱいになってしまうのです。
また化学物質ではないものでも問題があります。ヒノキチオールの洗剤が出ていますが、京都のアレルギー専門医の先生が「6,7年前にはなかったヒノキチオールのアレルギーがここ2,3年出てきている」という報告をしています。天然の薬だから安全ということではないのです。繰り返し起こる刺激ということを認識しなくてはなりません。
 
エコロジー住宅の研究に着手する人が増えていることは歓迎ですが、ライフスタイルのアドバイスがちょっとできれば、すごく助かる例も多いのです。お金持ちばかりではありません。家も建てられない人もいます。でも手前で変えられることも多いのです。壁とタンスの間に少し間をあければ掃除機が入るとか、板の間におく畳の下に角材を何本か入れることで風が入りやすいとか。そのほか、家具の配置、隣り合った部屋の温度差、物理的にたまった空気の抜き方、窓、カーテン…。「暮らすって何?」「住まいって何?」と問えることが大切だと思うのです。
住まいの提案をするとき、大事なのはリスクを減らすことで、それは同時に食べることだったりします。ですから相談を受ける人は住むことだけでなく、食も提案してほしいと思います。
またアトピーの人は、あれもせい、これもせいで、生活に負担を感じて疲れ切っている場合も多々あります。布団に掃除機をかけろ、食べ物は安全なものを、洗濯はきちんと、洗剤は安全かなど、精神的に参っている人が多いのです。そんな人たちには、「今暮らしている、そこであなたができる、そのリスクを見直すこと」を奨めてほしいと思います。住まいについては単純なことしかいわれていません。「風を通す」ということだけです。「夏涼しく、冬暖かく」-これが間違いのもとですね。「夏は夏らしく、冬は冬らしく」です。
いろいろ症状が出ていた人でも、住まいの暮らし方を変えただけで、ダニもいるのに症状が出なくなる人がいます。
これは暮らしが変わることで、アトピーを「意識しなくなる」ためでしょう。私は最後に「心」があると思います。暮らし方=コミュニケーションです。食物を改善するにも、一緒に暮らしている人の同意が必要です。そこには家族との協力関係が不可欠です。どんなに暮らし方を変えてもだめな家族は、風が物理的にも通っていないし、心も通っていないのです。コニュニケーションなしには暮らし方の改善は成立しません。
パニック発作最後に一つだけ付け加えさせて下さい。住まいの相談をしていると、大半のものが「これは建築士に一度相談して、壁紙を剥がした方がいいだろうな」とか「カビを除去した方がいいな」とか思うのですが、その際家にいたら改築はできないので、住まいを移さないとリフォームできないという状況があります。そして家を移動する話だけでかなりの相談時間を費やしてしまいます。そのことが実現できないからこそ苦労しているのですね。具体例では、大気汚染がひどくて逃げ出した先のおばあちゃんの家でにわとりにアレルギーを起こしてしまったとか、周りの環境がすばらしい新築の建物に越したとたんアレルギーが出たけれど理由がわからないとか。ですから1週間でいいから、リフォーム避難先を作りたいというのが実感です。シンプルな建物でいいと思います。ソフト面で役に立ちたいですね。皆様にもぜひ考えていただきたいと思います。
それから、新婚の方がどうしても新居でアレルギーが出るというので、エコロジーハウスの見学などにおつきあいしたことがあるのですが、あきらかにエコロジーハウスではない建物をテスト的にエコロジーハウスだと紹介したところ、その奥様のアレルギー症状が出なかったという例がありました。心の不安定な状態が体調に現れていたのですね。ですから、化学物質過敏症の方の中には、原因症状ではない方もいるということを皆さんにお伝えしておきたいと思います。精神病ではないのですが、「パニック発作」といって、ある場所にいくことで起きるものです。精神病までいかないけれど、メンタルケアを長くかけてやらなくてはならない。この方の場合も、結婚という人生の選択のところから付き合って話をしなくてはならなかったのです。
今日のテーマからはずれるかもしれないけれども、化学物質の問題をやっていると、「どうも最近パニック発作が増えているなぁ」と感じるのです。さんざんいくつかの病院にたらい回しにされて、参っているほんとの化学物質過敏症の方とも違って、ある意味では症状がはっきり出ているので社会的な理解を得たいと患者サイドとしては感じます。
そして、もちろん住まいの相談は受ける側も精神的に安定していないと話を受け入れられないので、私自身は電話相談を週に1、2本にセーブしています。
Q&A(一部抜粋)Q(設備):引っ越したとたんアトピーが悪化した話がありましたが、クロスを全部取って最後は換気で解決したそうですね。ホルムアルデヒドが原因と特定されたのですか?
A:原因の特定は実際できないのが現状ですよね。仮にパッチテストとか受けても、唯一そのことを診てくれるのが北里大の眼科しかないので、「やってみたらよかったから、たぶんそうだろう」というくらいのことです。ホルムアルデヒドかどうか、必ずしもそうとは限らないと何でも疑ってかかった方がいいと私は思います。エコロジーマーク選定委員会で今、合板のホルムアルデヒドをどのくらいで選定するか論じていますが、実際の施工でその上に壁紙を貼ることも多いし、製材したての合板をそのまま密閉空間で使うのでホルムアルデヒドの濃度があがって当たり前とか、少しの条件で数値は違ってくるので、正確な検出ができないのです。室内濃度全体を測定して人体への影響を考慮しなくてはならないから、難しいですね。
松村社長:ホルムアルデヒドとアレルギーの関係は、さっきの説明のように、ホルムアルデヒドが抗体と結びついて起きるものではないでしょう。
A:違うと思います。ホルムアルデヒドがアレルゲンということではないですね。くっつくという言葉について、アレルギーと化学物質を理解する上で重要なハプテンアジュバントという物質の説明をしたいと思います。
ハプテンとは「そのものがアレルゲンになるわけではないけれど、タンパク質とくっつくことによって、アレルゲンとなるもの」と考えます。タンパク質をせっかく小さくしているのに、ハプテンがくっつくためにセンサーを反応させ、ヒスタミンやロイコトリンという弾薬をマスト細胞からはじけさせてしまうものです。
もう一つのアジュバントとは、「それだけでは起きなかった粒子状物質とくっつくことによって、アレルギーが引き起こされるもの」です。大気汚染と喘息の関係がそれです。国立環境研究などいくつかの研究機関から報告が出されています。ディーゼル車の排ガスに含まれる顆粒状物質がカーボンの性質を帯び、花粉などに吸着することで、人間の粘膜に吸着しやすくなるというものです。花粉だけではおきなかったことが起きてしまうのです。
 
Q(設計):自分の子供がアトピーで喘息なんですが、卵は食べられるのでしょうか。それから風通しのいい家にすることの他に、何か対策はあるでしょうか。
A:卵のことは、消化能力なので、年齢が少し上がってきたら食べちゃえばとすすめる医者は増えています。皮膚のじゅくじゅくがひどいときは、加工品を少しだけ与えるようにしましょう。食事傾向は和食に変えるといいですね。卵を使うのは天ぷらくらいでしょうか。煮魚、煮付け、海草、きのこなどに変えるといいでしょう。
ダニ、ハウスダストによる喘息対策にはまず、空気を動かす、きれいな空気を取り入れるということが大事です。夜中に発作が起きたら、まず窓を開けてください。心肺機能を高め、自立神経のバランスをとると、免疫の機能が高まります。循環器の働きがポイントです。自立神経を鍛えるには、暑いときは暑い、寒いときは寒いをきっちり経験することです.。乾布摩擦より、冷たい空気を入れる。お風呂のときつま先からちょっとずつ水をかけましょう。食べ物は腹八分目。子供は外で元気に遊ぶことが何よりです。
それから湿度ですね。風を通せば、必然的に湿度を下げることになります。このことでかなり改善されます。喘息の人には気圧とともに、湿度も大きな要素なのです。
松村社長:湿度に関してですが、建材は呼吸するものがいいと私たちは考えています。衣類と同じで、ビニルクロスよりは紙といった自然の素材がいいですね。木材にしても表面をコーティングしない方が本来はいい。特に空気は人間の食べ物なので、エスナ連絡会では、空調は風ではなく、輻射で行うことをお勧めしています。よくエアコンでドライ設定をしますが、あれはおかしい。いったん上げた温度を下げるということをやっている。環境負荷は高いですよ。空調の一番の間違いは、温度設定をすることだと思っています。
Q(設計):健康住宅を心がけて、2年前マンションの改修の設計をしました。ビニルクロスなどを剥がし、珪藻土をお客様に良く説明して、値段は少し高かったが2LDKに施しました。2,3ヶ月後お客様から電話が来て「アトピー」の症状がなくなったと喜んでいらっしゃいました。新築時は少し臭いに悩みましたが、調湿作用が大きいですね。たいした材料だと感心しました。
サメジマポレーション(珪藻土BLパウダーメーカー):北海道の道立研究所でもかなり吸放湿能力が高いというデータをいただいています。メーカーによって施工性をあげるために入れている樹脂系のものの混入率が違ったり、施工の方法も左官屋さんの腕にかなり左右されるものです。天気にも影響されるため、もし施工時に過乾燥だと躯体が動けば落ちることもあるかもしれませんが、弊社の製品は今のところご好評いただいています。
A:化学物質先進国のカナダの話ですが、燃料を燃やしてご飯を作る、その排気がだめな人には、現地のコンサルタントのアドバイスは「二酸化炭素の吸着をどこでするのか考えなさい」ということだそうです。アトピッ子発足当時、私たちは「ほんとにフローリングはアトピーにいいのか」という問題についてデータを集めました。ダニ対策は畳ではなく、フローリングでと言われていた頃です。半分疑いの気持ちがありました。だから結果的に畳の吸着効果も見過ごすことはできないということになったとき、吸着効果も無視できないと思いました。
私自身燃料のアレルギーで化石燃料がだめなんですね。だから都会では暮らせない。空気が動くのがだめなのです。現在は山梨県のある田舎のログハウスに住んで、2時間通勤で東京で仕事をしています。狭いところで調理すると頭が痛くなるんですが、薪ストーブの我が家では薪で空気が汚れていても平気です。天井が高いせいでしょうか、木の吸湿、吸着性があるからでしょうか、大丈夫です。
免役の働きは年と共に衰えます。70歳で初めてアトピーになったという人も現実にいます。コップの中身がいっぱいになったということです。いくら「微量だから平気です」といったところで、「この化学物質は燃やしたら有害でしょう」と当たり前のコンセプトを正面からぶつけて勝負したくなってきた、というのが今の私の本音です。ダイオキシン、環境ホルモン。とうとうここまで来たかという思いです。エイズという、種の保存が立ち行かなくなる病気もあります。今はチャンスだと思っています。長年アトピー、アレルギーに携わってきましたが、そろそろ一般の人たちにも問題をぶつけてみたいのです。ほんとはみんな危険だとわかっているのに、解決方法を知っているのにまだやらないというのが、現実なのではないでしょうか。
アトピーについて、さらに深く理解したい方は
『やさしくわかるアトピーの治し方』(著:アトピッ子地球の子ネットワーク 永岡書店 ¥1,165)を
ご参考ください。ご紹介できなかった具体的なアトピー対策の数々が詳しく紹介されています。
<おわりに>
赤城さんの話は、長年困っている方の相談を受けていらっしゃるからでしょうか、とてもわかりやすく、ぐいぐい引き込まれるものでした。しかし、その心の内側には、ふつふつと湧いてくる闘志がみなぎっているようです。他人の立場に立って思いやりを持つことを忘れがちな私たち、未来を見通す意志を持ちつづけなくてはなりません。
第15回エスナ連絡会 平成10年7月24日テーマ:「 ドイツ エコロジー建築ツアー98 報告 」
講師:辰建設株式会社 営業部 玉田 敦士 工事部 窪田 幸夫
はじめに1998.6・18から6日間、ヒト環境計画の高橋元氏が主催する「ドイツ エコロジー建築ツアー98」に辰建設から、窪田、玉田の2名が参加いたしました。そのツアーの模様と今後の我々の取り組み方針についてレポートいたします。
ツアー日程は以下のとおり
バーゼル着・・・フライブルグへ
フライブルグにてエコメッセ98、エコステーション等を見学・・・ハノーファへ移動
ハノーファ郊外のリボス本社見学
ライネにて、TAT、CUT等を見学以上の日程を終了した後、我々2名は、バルセロナを経由してポルトガルに入り、炭化コルク、コルクタイル等のメーカーを視察して帰途に就きました。
1、エコロジー建築の3分類

フライブルグにて・・・自動車は非常に少ない。市民はどこへ行くにも路面電車を利用する


ベンチレター型風車とソーラーパネルによる電力で、すべてを賄っている住宅。フライブルグにて。


ガウディーの日射遮蔽(グエル邸)。ルーバーは至る所で、普通に見受けられた。日射遮蔽(例えば、簾 )を日本人が勝手に忘れてしまったのである。


CUT(第3セクター方式のエコロジー系ベンチャー企業センター)における電気自動車の給電スタンド。屋根を緑化して無機質になりすぎる事を回避している。今回のツアーで一番多く見受けられたBとCの融合パターン。


リボスオスモ以外にも天然系塗料メーカーはたくさんある。(エコメッセ98にて)
ドイツから帰国後、日本における「 エコロジー建築 」という概念が、非常に渾然一体となっている事に気が付きました。 アレルギーの問題、エネルギーの問題、素材の環境負荷の問題、エネルギー生産過程の問題、ライフスタイルの問題、自然環境保護の問題、日本特有の文化の問題。等々様々な切り口がエコロジー建築という一つの言葉の中に含まれています。それらと総合的に取り組むためにこそ、問題を整理する必要があると痛感しています。今回のドイツツアーの最大の成果は、概念の整理の必要性に気付くことができたと言う事にあると考えています。そこで、自分の頭を以下の3分類に整理してみました。
A、建材の毒性による健康被害への対処(アレルギー対応住宅)
B、化石燃料の消費を押さえ、CO2の排出量を押さえる等の省エネルギーへの取り組み(省エネ住宅)
C、建築を材料の生産過程、廃棄処分後も含めて再検証し、環境負荷を少なくする取り組み(いわゆるリサイクル、あるいは、低環境負荷住宅)
例えばBの観点を重視するあまり、莫大なエネルギーコストと環境負荷をかけてソーラーパネルを装着した住宅をつくったところで、Cの観点には、反するわけであります。言うまでもなく、A,B、Cのトータルバランスのあり方が、今後の議論の焦点になると思われます。その状況は、ドイツも日本も同じであります。したがって、今回のツアーのレポートは、時間順に事象を追うことをやめて、上記の3分類にしたがって行いたいと思います。

A、アレルギー対応住宅について

今回のツアーにおいて、特にアレルギー対策として目新しいものは、紹介されませんでした。それは2つの理由によると解釈しています。
1、ドイツにおいては、アレルギーと建材の相関関係が、すでにある程度社会的に認知されており、消費者側からの対策もすでに確立されていると思われます。下の写真は「 エコテスト 誌 」です。これらはすでに駅の売店でも売られています。図Cのエコハウス誌には、図Aのような建材の比較表が毎月掲載されており、消費者が自分で建材を選択する手助けをしてくれます。当然企業は、この表を意識して、アレルギー対策やコストの低減に努力する事になります。これを見ると建材のアレルギー対策が、食品を選ぶのと同様に、ある程度消費者の意識の問題へとシフトしていることがわかります。ごく最近になって、ようやく揮発性物質のガイドラインを公表した日本とは、ずいぶんと事情がちがうと思われます。
図A エコハウス誌の建材比較(エコテスト)のページ
ここでは、各種の断熱材について、性能、成分、含有有毒物質の量、コストについての比較を行っている。このような情報開示がシステムとして成立しているので、消費者は、トータルバランスを考慮して、自分の個別の事情にあったチョイスをすることができる。
図Bエコテスト誌の表紙。以前は建築や、建材のテーマについてもこの1冊で扱っていたが、エコハウス誌を分離させた。主に食品や、洗剤、衣類等の消費財についての情報や、比較(エコテスト)を扱っている。 図Cエコハウス誌の表紙。各種建材のエコテストや最新のエコハウスについての紹介。求人広告のページもある。当然省エネや環境負荷についての記事も掲載している。


2、下の写真は、ドイツのアレルギー対策の最先端メーカー 、天然塗料のリボス社を訪問した時のものです。リボスは、予想に反してハノーファ郊外の田園地帯にポツンと建っていました。会社を宣伝する看板も一つもないので、突然行ってもわからないぐらいです。しかしこれがドイツ企業の典型的な立地だそうです。看板についての規制が非常に厳しいそうですが、知名度だけでは企業を選ばない、文化の質の高さを感じました。
リボスでは商品開発の責任者として著名なウラ・エガース博士のお話を伺いましたが、リボスの天然素材主義も、アレルギー対策としてよりも、むしろ建材や建物が環境に与える影響(環境負荷)の軽減という意味合いを強調するようになっていました。


リボス本社にて。左の女性が開発を担っているウラ・エガース博士

リボス研究室における実演

リボスの天然塗料の原材料。亜麻からとれる亜麻仁油やシトラスの殻、タンポポ等を主成分とする。

情報の開示が、システムとして確立し、しかも消費者も生活スタイルとしてその情報にアンテナを張る事が当然となっているドイツにおいては、もはやアレルギー対策一辺倒では、企業は特徴を出した事にはならないのです。ドイツのエコハウスもきっかけはやはり、アレルギーの発生とその対策であったと聞いています。ですからここに一つのヒントがあります。適切な情報開示と消費者が簡単にその情報にリンクできるシステムの成立が、上記の3分類のB、Cの段階すなわち省エネルギーと環境負荷軽減の方向へと移行する前提条件である・・・と言うことであります。

B、省エネルギー住宅への取り組み

省エネルギーの発想を住宅に取り入れるとき以下の2分類が可能となります。
1、機械力や、専用機具を使った省エネルギー
a、ソーラーエネルギーの活用
b、風車を使った風力エネルギーの活用
c、各種機具による雨水利用

2、建築自体の工夫によって、負荷を軽減し消費エネルギーを少なくする方向性。
d、住宅の高気密、高断熱化
e、暖房効率を上げるために、輻射熱を利用(壁暖房)
f、日射遮蔽の工夫( 簡易シャッター、外部ブラインド、等)
g、屋根緑化による断熱

今回のツアーでは、フライブルグにおけるエコメッセ98の見学がメインイベントの一つでありました。エコメッセは、ドイツの重要なNPOの一つである「 BUND 」のバーデン州支部が主催している展示会です。建築以外にも食品や衣料品などエコロジーに配慮した商品のみを多数展示即売しており、規模としてはグッドリビングショーの半分ぐらいです。
エコメッセでは、その展示品の60~70%がBの省エネに関するものでありました。中でも多かったのがソーラーパネルと断熱材の展示であります。
ただ残念であったのは、建築の一部としてソーラーパネルを扱っている商品が少なかった事です。単体もしくはオプションとしてのパネルばかりでした。また、ガラスについても、ソーラーと一体になったガラスや、断熱材になるガラスなどは、展示がありませんでした。これらは、世界共通の検討課題なのかもしれません。
断熱材は上記のエコハウスの図Aの商品がほとんど展示されており、断熱ブームであることがわかりました。天然系の断熱材の豊富さが、日本とのちがいです。

C、低環境負荷住宅への取り組み

ドイツでは、廃棄処分される時点で土に戻るような環境負荷の小さい、天然系の材料を推奨する動きが、活発な印象をうけました。前出の断熱材の例でも明らかですが、エコテストによる比較表が常に市民の手に届くところにあると言う事は、常に代替え品の提案が行われていると言う事を意味します。その結果日本では考えられないような天然系断熱材のバリエーションが用意されることになるのです。
環境負荷と言う論点は、時間的には自分一世代よりも長いスパンでものを考えると非常にわかりやすく浮かび上がってきます。子供や孫の世代に環境負荷の大きい廃棄物を残さないために、天然系の材料をなるべく使用する運動です。その意味で右の写真のエコステーションが、環境教育の場であるということに共感しました。
同時に、ドイツでも木造住宅への関心と取り組みが予想以上に盛んでありました。木質系断熱材の積極的な取り組みはその流れの中にあります。
また、土の壁についての関心も非常に高まっています。アレルギー対策だけではなく家の作り方が子供に対する一種の環境教育となるような観点をわれわれも、持ちたいものだと痛感しました。
エコメッセ98
フライブルグのエコステーション。BUNDのバーデン州支部の子供に対する環境教育の場として機能している。荒川修作を思い出させる造りになっている。
エコステーション内部の石と土の壁
エコステーション断面 屋根緑化や、ソーラーパネルなども取り入れている。

炭化コルク断熱材の上に石灰系左官材を塗ったモデルBとCの複合パターン
エコメッセの断熱モデル、木質系断熱材のコーナー
イソコットン・・・ほう酸処理した綿花の断熱材
エコメッセのベンチレーター式風車
エコメッセの壁暖房モデル・・・壁の中に温水パイプを埋め込み輻射暖房をするもの。壁暖房モデルの展示も数箇所あった。
エコメッセに展示していた土壁のモデル。簾状の茅を堰板代わりにして土を積み上げている。
同左
エコメッセで人気を博していた中世のパン屋。土壁で小屋や、パン焼き釜をつくっている。(パンは固くておいしくない。)

市街地にて・・・

市街地で見かけた外断熱の改修工事。
レンガ造の表面に発泡スチロールをピン止めして石灰系左官材をネットとともに塗っている。同様の工事があちこちで見受けられた。
街に出て、何気なく建物の外壁を叩くとポコポコと軽い音がするものが、多くありました。これは、右の写真のように、外断熱の改修を行っているからであります。当社が和泉実験ハウスで行った工法と非常によく似た工法です。ちなみにこの工法は、日本の市街地では法的に無理があります。
ドイツでは、躯体のレンガに蓄熱させその効率をよくするために外断熱が一般化しているのです。
また、日射遮蔽はごく当然のように、やっています。極端に言うと夏の日中に、ガラス窓を素直に露出させている家を見つける方が大変です。そのくらいルーバーやシャッターが普及していました。
省エネのうち建築的な工夫については、すでに日常化しているものも多く、思わず日本のことを考えてしまいました。また逆にこのような日常的な工夫を捨象して、機械的な省エネのみを実践する事には、やはりチグハグな感じを抱かずにはおれません。

街中で見掛けた外部ルーバーによる日射遮蔽。
庇に転用できる簡易シャッターは、どこでも普通にみうけられる。負荷を軽減して省エネする発想が暮らしに定着している。一つには電気料金が高額であることもその理由か?
 終わりに

富山県五箇山集落にある 「 天地根元造り 」と名付けられた合掌造り。見慣れた合掌造りの壁がなくなり屋根のみの家のようである。江戸末期までは、集落にはこのような家の方が多かったらしい。まさに竪穴式住居である。この発想を現代に再生させたい。
右の写真は、世界遺産に指定された五箇山集落の合掌造りのオリジナルとも言うべき「 天地根原造り 」です。これは、竪穴式住居の発展型ととらえられますが、フライブルグで見たエコステーションとの共通点が多い事に驚きます。茅葺きの屋根は、専門職人が葺くのではなく、集落共同体が毎年決まった件数を葺き替えしていました。したがって共同体の解体とともに茅葺きのシステムも崩壊したのであります。この集落も、ブルーノ・タウトが評価したことによって、やっと保存されているのであり、そうでなければ跡形もなく消え去っていたと思われます。
例えば、日本には簾や、広縁、障子というすばらしい日射遮蔽のシステムがあったにもかかわらず、建築業界においても、「 様々な意匠 」を次々に追い回す事に汲々とし、日常的な省エネルギーや、暮らしの知恵、を全く忘れてしまっているのです。
今、有機農法においても、アメリカの認証機関にお墨付きをもらわなければ、それと認定されないらしいのですが、例えば私が今回ドイツで見てきて、感動したものの中にはもともと日本にあったものもたくさんあります。前掲の3分類のうちB、Cの段階に移行するに当たっては、取ってつけたような産業的発想のみではなく、自分達の住まい方を問い直す姿勢がどうしても必要であります。また、それは、今更ながらに住宅設計の基本である事に気付くのであります。

第17回エスナ連絡会
 平成10年9月25日
テーマ:「ソーラーシステムについて考える」
講師:シャープアメニティシステム株式会社 首都圏営業部  中谷  氏
概略
今回はソーラーシステムをとりあげました。
 皆様ご存知のとおり、1997年(平成9年)12月の地球温暖化防止京都会議「COP3」で、日本は2008年から2012年までに、COなどの温室効果ガスの排出量を1990年比で6%削減することに合意しました。
私たちの快適な暮らしを支えている電気エネルギーは主に火力発電をもとにした電力、つまり石油、石炭などの化石燃料を消費して生み出されています。しかしこれらを使用することで、空気中の二酸化炭素濃度は上昇し、温室効果により異常気象、酸性雨による自然破壊など様々な悪影響を各地に引き起こすとともに、気温が2℃上がると海面が50センチ上昇するため、国によっては将来水没の危機が訪れるとされるところもあります。
 温室効果ガスの削減を求められているのにもかかわらず、日本の電力消費は1998年現在むしろ増加の一途をたどっています。では、化石燃料以外の発電所をたくさんつくればよいのでしょうか。現実には水力発電所の建設はおろか、原子力発電所の建設も大方の国民感情からは実現不可能な状況となっています。(政府が今後も増設の計画をたてている原発は、ヨーロッパ各国では全廃の動きがあります。)
 日本の発電所はそもそも、電力消費量が年間最高となる夏の甲子園決勝の日に合わせて、電力需要を満足させるために必要以上に多く建設されているといわれています。この無駄をこれ以上進行させないために、政府は地域内で自力供給できるよう、風力発電、波力発電、地熱発電などいろいろな発電システムを推進しており、その中の一つが太陽光発電なのです。
 
 日本では2330万の戸建住宅があり、そのすべてに標準的な3KW太陽光発電システムを装備すると二酸化炭素を排出することなく、年間およそ900億kWhの電力を創り出すことができます。一方1時間の太陽光エネルギーは、全世界の1年分のエネルギー消費量に匹敵します。枯渇する心配のないエネルギーなのです。
 政府は太陽光発電の技術開発と本格的な普及をめざし、「新エネルギー導入大綱」を決定し、通産省では、普及促進の鍵となる価格面での解決に乗り出しました。まず太陽光発電により、あまった電力を家庭から買取る制度を’92年からスタート、そして’94年から設置費用を補助するモニター制度が発足、それが’97年からは導入整備基盤事業となり、政府の補助金は年々大幅に拡大しています。
モニター事業の補助金予算 導入基盤整備事業の補助金予算
’94 ’95 ’96 ’97 ’98
20億円 32億円 40億円 111億円 147億円

 今年度はさらに充実し、1KW当りの補助金は30万から34万円に、補助対象システムの上限も4 KWから10 KW未満へと拡大しました。1度補助を受けた人が増設をする場合も、補助の対象と認められました。また、従来個人契約の戸建が対象でしたが、セカンドハウス、別荘、借家、集合住宅、社宅も対象となりました。補助金額は、特定の算出方法で、事業額の予算範囲内で補助されます。(単年度の申し込みが一杯になった時点で締め切る。)
補助区分は、一般住宅用、住宅団地用、地方公共団体協力応募用となっています。(財団法人新エネルギー財団まで申し込む。詳細の知りたい方は工事部窪田、営業部松村典子まで。資料あります。)
 現在、半導体需要増、太陽光発電の需要増により、原料のシリコンが不足しています。そのため、太陽電池のパネルのコストアップにつながり、太陽光発電システムの低価格化がにぶくなっています。一方、導入基盤整備事業はシステムの低価格化への期待と、補助件数の拡大により、1件あたりの補助額は低下しています。(’97年度の設置件数は約、8,500件、’98年は14500件)
2000年度までは、補助金があるでしょうが、その先は状況に応じてではないでしょうか。
 
 建設業界でも、二酸化炭素軽減対策がさかんに行われています。クリーンなエネルギーは生活することによって発生する一酸化炭素そのものも低減させるという認識が現在一般化しつつあります。具体的な政策として、建設省では、’96年10月に住宅金融公庫基準金利の金利体系を大幅に改正、これまで床面積125㎡以下の住宅に基準金利が適用されていましたが、今度は175㎡以下で、バリアフリー、高耐久性、省エネのいずれかの住宅に適用されることになりました。
 加えて、これから設置する住宅は、ライフサイクルCO2(LCC)を低減する住宅と認められ,割増融資条件も緩和されました。大手住宅メーカーでは標準装備する商品も出始め、今後も市場は拡大していくものと思われます。
太陽光発電の原理太陽電池はN型とP型の二つの半導体(シリコン)からできています。光が二つの半導体の境目にあたると、その部分に電子(-)と正孔(+:電子の抜けた孔)の対ができ、電子はN型半導体へ、正孔はP型半導体へ移動します。N型半導体では電子が余分になり、P型半導体では正孔が余分になり、2つの半導体の間に電圧が発生します。この2つの半導体の間をつなぐと電流が発生します。(図参照)
太陽電池の材料別種類太陽電池は、大別して、次の3つがあります。
結晶系シリコン太陽電池
単結晶と多結晶のシリコン基盤を使用したタイプで、発電効率が優れています。
非結晶系(アモルファス)シリコン太陽電池
結晶シリコンと比べて光と格子の相互作用が大きく、それだけ光を多く吸収できます。そのため薄膜の形で作成可能で、低コスト化が期待されています。
化合物タイプ太陽電池
化合物の半導体からつくる太陽電池で、いろいろな種類があり、材料によって用途や使用方法が変わります。
材料
変換効率
信頼性
その他
現在の主な用途
単結晶シリコン
豊富な使用実績がある。 宇宙用・地上用
多結晶シリコン
将来大量生産に適している 地上用
アモルファス
蛍光下で比較的よく作動。 民生用(電卓・腕時計)

 ただし、アモルファスは.大量生産が可能で、そのため飛躍的なコストダウンがのぞめます。住宅の美観を高める屋根材一体型が可能.。(一部メーカーでは出ています。)しかし、面積を必要とします。
太陽光発電のしくみ
太陽光発電のシステムは次の4つの要素からなっています。
太陽電池モジュール:
太陽の光エネルギーを電気に変換します。屋根に固定するため架台の上に設けたりします。
パワーコンディショナ(接続箱):
太陽電池で発電した直流電力を交流に変換。システム全体の運転を自動管理します。逆流を防止し、落雷などの突発的な過電流(サージ)を吸収する接続箱を内蔵しています。
屋内分電盤:
電力を住宅内の家電製品などの負荷に分配します。
電力メーター:
電力会社に売却する余剰電力を計算する{売電用}と購入する電力を計算する{買電用}の2種のメーターです。
屋根の有効スペースを利用して、モジュールを取り付け、太陽光エネルギーを電気に変換し、パワーコンディショナで直流電流を交流電流に変えて、家庭内で使用します。(どのメーカーも基本的には、同じです)
 
買電、売電の単価はほぼ同じで、昼間は太陽光発電だけで家庭の電力をまかなえます。(各地域の単価は電力会社によって異なります。)
業界事情

講演 首都圏営業部 中谷  氏
シャープ1959年に研究に着手、’63年に量産開始、一貫して変換効率と信頼性の向上につとめ、業界をリードしてきました。特に、宇宙用において日本で唯一の宇宙開発事業団の人工衛星に搭載、現在まで国内国外あわせて、80余機の衛星用太陽電池を納入しています。
’94年には、はじめて住宅用太陽光発電システムに応用、高変換効率と省スペース化を実現したモジュール、エレクトロニクス技術を駆使した小型軽量パワーコンディショナなど、家庭用システムに生かされています。そしてその高い技術は95年『エネルギー・資源学会第8回技術賞』受賞、96、97年『資源エネルギー庁長官賞』受賞しました。
現在、シャープ、京セラ、サンヨー、三菱、松下電池、昭和シェル大手6社で市場の9割を占めていますが、そのうち国内で原料から生産しているのは、シャープと京セラの2社のみです。他は輸入がほとんどですね。しかし、近々自社生産体制に入るところもいくつか出ています。
太陽電池は珪石からつくられるシリコンが材料ですが、結晶系のものは単結晶が真っ黒に見え、多結晶は見た感じ大理石のように見えます。両方つくっているのは、シャープだけです。
太陽光の発電量
ここで太陽光の発電量算出方法をご紹介します。
発電量は日射量とシステムの大きさ、変換効率で決まります。
1日当りの太陽電池の発電量kWh=日射量/㎡・日X太陽電池モジュール変換効率Xモジュール面積
日射量は、天候により変化します。太陽電池出力は、季節によって変わります。したがって、
実際の発電量はシステム最大出力の約70%
(パワーコンディショナ約8%、素子温度上昇による損失約10~20%、配線、受光面の汚れ、逆流防止ダイオードによる損失等約7%)
1KW当りの住宅用太陽光発電の年間発電量は約1,000kWh
標準設置システムは3.12KWですから、各戸年間約3,000kWhの発電量が得られます。これは、年間8万円くらい発電してくれる計算になります。月間で発電量の推移を調べると、春秋はまずまずの収支で、夏冬は電力消費が太陽光発電量を上回ります。これを年間でならしてみると、月間電力使用量がおよそ260kWhの家庭では、売電/買電で電気代は殆どいらなくなります。
 
施工について


住宅用の太陽光発電システムでは、まず屋根にシリコンのパネルをとりつけますが、これを太陽電池モジュールといい、このモジュールを数枚あわせたものを、アレイと言います。1KW当り8枚モジュールが必要で、3KWで24枚というのが、標準です。
モジュールを屋根に直におきますと、セルの温度が上がり、劣化が進むため、空気層を設けなくてはなりません.。そこで、架台を設置するのですが、その際屋根にもいろいろあって、一番工事をやりやすいのは、陸屋根ですね。受光でいえば切り妻が一番理想的です。新築のときは、設置部分だけ、金属板の瓦にしてもらうと回りの屋根との段差が少なく、見た感じもスマートです。
設置方向は、南面の屋根がベストで、北は避けてください。60%落ちます。東、西は約17%落ちますが、南面で十分とれないときは、東西に分けてください。ただし1ブロックは8枚です。標準工事は、3KWタイプで50万円くらいです。和瓦、スレートなどはプラス10から15万円くらいです。4KWだと65万、5KWだと80万円です。
屋根の発電は直流ですが、ここから家庭へ交流に送るため、パワーコンディショナ、(インバータ)を設置します。これは、屋内、屋外両タイプがありますが、いずれも売電/買電、2つのメーターがついています。昼間発電した電気が余った場合、自動的に電気を逆流させるようになります。
 
シャープの製品(原料の高騰化を吸収するため、高い技術力でコストダウンに向けて努力しています。)
  • 外観美を配慮したブラックサーフェイスの単結晶シリーズ―ハイテク感と重量感を演出しています。
  • モジュールを24枚から21枚に減らした<NT-H140A>。業界最高の変換効率17.5%を達成し、モジュール面積が3㎡削減、標準3kWhタイプがわずか20.2㎡。
  • モジュール効率を高めて角型セル採用の<NT-H130A>。反射,集光型セルを角型に進化させ、少ないセルながらモジュール効率を高めました。
  • 少ないセルで効率よく発電する<NT-51FL6>。セル間に入射した太陽光を反射フィルムで反射・散乱させ、廻りのセルで集光、枚数を減らしながらも高出力を実現しました。
 低価格で好評のU・多結晶シリーズ。―単結晶セルに比べて変換効率の低かった多結晶セルを進化させ、「U・多結晶セル」を開発。変換効率14.6%を達成しながら、低価格化に成功しました。単結晶、多結晶とも低照度域の発電力を改善、朝夕や曇り、雨の日など光の弱いときでも、発電するようになり発電量は約6%アップしました。
 また、落ち葉などの影響を最小限に押さえる「シェードプルーフ」機能をつけて、温度上昇を抑え、故障を防ぎます。バイパスダイオードを使って、これまでの、発熱によるモジュールの断線やホットポット現象の問題を解消します。

パワーコンディショナは、接続箱一体型です。絶縁トランス内蔵型では、業界最高の電力変換効率94%を実現しています。
上図が屋内外両用・3KWタイプ<JH-30H>耐候性が一段と強化され、設置工事も簡単、環境貢献モニター付です。
 そのほか、静音タイプのパワーコンディショナ屋内専用・4~5KWタイプの<JH-40H>があります。
システム機器標準価格(太陽電池モジュール、パワーコンディショナ、基準架台、ケーブルの合計額、税別)は3KWタイプで、単結晶は約260万円~280万円、多結晶は約257万円となっています。また、住宅金融公庫の割増融資150万円が受けられます。
住宅金融公庫融資が受けられる{ソーラー住宅システム}は、
  • 建設省が定めた省エネ住宅であること
  • 太陽光発電でつくる電力で冷暖房負荷の30%以上をまかなえること。
  • 新築時の設置であること
の3点が条件となっています。
 
政府の「住宅用太陽光発電導入基盤整備事業(通産省の下部組織)<新エネルギー財団(NEF)>の補助金額を考慮に入れると、3KWシステムを設置する場合、費用はだいたい以下のとおりです。
 
システム価格         工事費               補助金額             合計       
278万円+工事費別途見積り(通常約50万円)―102万円  = 226万円 
※補助金は①年間発電量、売買電量、②システムを設置しての故障などの状況、③生活環境の変化についての感想、などを2年間にわたって、報告する義務があります。
産業用について
環境システム設備営業担当課長
 向井政信氏
住宅用との大きな違いは、発電電力の規模の違いと、集電盤を別に設置することです。また、公共施設、商業施設いずれも災害下での大型蓄電池設備として、防災拠点としての機能を発揮します。
新エネルギー産業技術開発機構(NEDO)の産業用システムの補助は基本的には20KW以上となっていますが、今年の状況では、新形態型(アモルファス、屋根型)については10KWが認められています。補助率は1/2くらいですね。
終りに
左の図は、日本の年間発電電力量の推移ですが、恐ろしい勢いで増加していることがわかります。レポートの中で触れましたが、私達はかりに日本の全ての一戸建が太陽光発電システムにしても年間900億kWhしか補充できないのです。現時点では「焼け石に水」状態ではありますが、しかし40年前の数字をみると、これはとても有効な数値ではあるのです。今の生活をすぐに40年前に戻せとはいいませんが、結局皆で極力電気を使わない生活に変えていかなくてはならないのです。生活レベルの向上でエネルギー資源は枯渇します。石油は43年、天然ガスは63年、石炭は229年、ウランは39年(’96年調べより)で採れなくなります。現実に日本で石油を使えるのは、あと20年と見られています。それほど遠い未来ではありません。日本のエネルギー自給率は5%。私達は子供たちにどんな日本を残せるでしょうか。

第18回エスナ連絡会
 平成10年10月27日
テーマ:「硝子について」
講演:セントラル硝子  窪田 真治氏

セントラル硝子㈱ 窪田 真治氏
 今回は、ガラスです。ソーラーシステムを検証する中、複層ガラスの中にシリコンを挟んだ製品と出会いました。また建物の気密性を考え、複層ガラスを採用する建物が増えています。あらためて硝子について考えていきたいと思います。
 
社長:「エスナ」は市ヶ谷のマンションを作る時に考えついた名前です。建物の内装は現在、当然のように使う建材が決められています。これは選ばれてこのようになっています。キリンが高い所の草を食べる為に首が長くなったのと同じです。自分達が選んでいなくても昔から何らかの理由で選ばれて現在にあります。しかし、これから自分達は違う物を選ばなくてはならない―キリンと同じです。簡単に言えば自分達は今までのようにスペースを作るのですが、その中で人間がきちんと生きる事ができないとダメなのではないかと言う事です。それは以前この会で紹介した快足フロアのように自然の快適性を自分自身がどう感じるかという事から判断したらいいと思います。
 物を作るのにいろいろなチョイスがあると思います。この会でエスナをやる事はとても変わり種であるように思われますが、それは1つの選択肢であることも忘れてはならないと思います。
 本日のテーマはガラス。窓を作ると必ずガラスしか入れられないのですが、そのガラスを知る事によってより窓を作りやすくなると思うのです。ガラスは完璧な建材であると思われていますが、劣化すると言う人もいます。今日はその辺も含めて話を伺いたいと思います。

 先程のお話にあった通り、現在窓として考えられるものはガラス以外には、アクリル・ポリカーボネイト(樹脂系)ぐらいしかなく、それも耐候性に劣るのでガラスに変わる物はありません。
そのガラスの歴史 ガラスの出現―ある説では紀元前数千年、メソポタミア・エジプト文明ぐらいと言われています。ある人が炊事をしようと火を炊いた所、持っていたソーダが熱せられガラスとなったそうです。紀元前1500年頃から土器風に使用されるようになり、オス型・メス型を作って溶かしたガラスを練りつけて作るようになったそうです。吹きガラスができるようになったのは4世紀後半頃と言われています。
ガラスの作り方 ガラス=珪砂(二酸化珪素)+ソーダ灰+石灰石がガラスの基本的な作り方です。
日本のガラスは今より約2000年前、弥生時代に作られたそうです。はじめはクラウン法といって、吹きガラスをもとにピザのように遠心力で伸ばす手法でした。厚みがばらつき、中心が特に厚くなりやすかったので、19世紀にはさらに手吹円筒法が生まれ、厚みが均一な物が作られるようになりました。20世紀に入って機械化され、圧搾空気により膨らませるラバース式円筒法が生まれました。この方法により、直径60cm、高さ約12mくらいのものを切断して広げる、かなり大きい物が製作可能になりました。その後、フルコール方式、コルバーン方式、ピッツバーグ方式などが生まれ、溶融したガラスを引き上げて成形スタイルができました。そして1922年にロールアウト方式、1950年代にはデュープレックス方式など、溶けたガラスをロールしながら徐冷していく方式が完成されました。
種類 
現在はフロートバスで溶けた金属(スズ)の中にガラスを浮かべて冷やす、フロート方式が大半を占めています。
擦りガラスはそれをワイヤーブラシで水を流しながら砂を擦って作られます。半ぼかしガラスは砂を空気でぶつけて作られます。目の粗さが違います。
網入りガラスは、乙種防火戸に用いられます。
よくオフィスビルに見られる色のついた熱線吸収ガラスはコバルト・ニッケルで性能をつけています。太陽エネルギーを中に入れないため、冷房効果を高めます。
グラスファイバーは髪の毛の1/10の細さですが分子同士のつながりが強くなっています。
強化ガラスは冷却時に800℃で急速に冷やして作られます。鉄の焼き入れと同じで表面に圧縮がかかり強度が増します。しかしひずみもできるので、反射映像は歪みます。合わせガラスはプラスチック中間膜がはさんであり、割れても破片が飛び散らないようになっています。
安全性能テスト(ショットバック試験)
 安全性能テストとは人がぶつかった時を想定してどの位、強度があるか実験するものです。ある重さのショットバック(なまり)をある高さから投げて強度があるかテストします。ショットバック45kgを30cmの高さから投げるのが6歳の子供が小走りでぶつかるのと同じで、それを75cmの高さから振り投げると中学生がぶつかるのと同じ衝撃と仮定されています。
複層ガラス
 
 
複層ガラスは平成4年の住宅金融公庫の省エネルギー住宅融資の法制化にともない、出荷量が年々増加しています。それでもまだ世界的にみれば少ない方で、一人あたりの使用量は日本を1とした場合、ドイツは20倍、韓国でも12倍となっています。しかし昨年の京都会議で民生部門でのエネルギー削減努力の要請もあって、より高性能の複層ガラス(例えば,右のツインガード、ヒートガード)の需要は(22%と依然低い比率ではありますが)高まっています。複層ガラスは、2枚の板ガラスをスペーサーで一定間隔に保持し、中間の乾燥空気層が断熱効果と結露抑制効果を生み出しているものです。(右の図参照)もし、何らかの原因が起きて中空層の密封状態が損なわれたときは、修理できないため、全体をそっくり交換する以外に手はありません。
 
今年8月から、我社の一般複層ガラス「ペアレックスシリーズ」では、10年間「内部無結露」品質保証を行っています。新築、改築についても融資条件が整ってきましたので、(開口部については 割増融資50万円が認められる)今後は高性能複層ガラスを使う方がいいでしょう。
1枚ガラスを変える場合は、アタッチメント付き複層ガラスを使う手もありますが、重量の問題(周囲が落ち込む心配)などがあるため、費用はかかりますが、新しく高性能のものを採用された方が良いと思います。性能を示すものには、次の数値があります。
熱貫流率…断熱性能を示す数値。熱は必ず温度の高いところから低いところに移動するが、この値が小さいほど,同じ条件下で熱の移動が少ない(断熱性能が良い)ことを意味する。
日射熱取得率…遮熱性能を示す数値。この値が小さいほど日射エネルギーの流入が少ない(遮熱性能が良い)ことを意味する。
 
<高性能複層ガラスの効果的な使用方法について>                    (資料から)
窓面
日射量
熱貫流による熱の
流出入
日射エネルギーの
室内への流入
効率的な使い分け
東面
夏、冬ともに少ないほど良い
夏は軽減が必要、冬はあまり影響なし
高遮熱タイプ
西面
南面
夏は余り影響なし、冬は流入が必要
高断熱タイプ
北面
夏、冬ともにあまり影響なし

<留意点>             高性能複層ガラスが必要。    高い遮熱性能が必要か?
<結論>  ツインガードS,、ツインガードE…東面、西面の使用が効果的
      ヒートガード、ヒートガードG… 南面、北面の使用が効果的 
Q&A
Q.強化ガラスは劣化して割れると聞いたが?
A. 強化ガラスが何もしなくても割れる事があります。これは硫化ニッケル(ガラスに含まれる不純物)が膨張して割れるものです。ガラスの1/6は圧縮層でバランスが崩れると割れてしまう事があります。ですから、高層ビルなどについては、使用していただかないよう、宣伝しています。さらに、ガラスは引張力に弱いのでキズがあると割れやすいと思います。
Q.鏡の構造はどのようになっているのか?
A.鏡はフロートガラスに銀と保護材を張った物です。精度はガラスの平滑度によって違います。
Q.昔、アメリカのPPGのハーフテンバーを使用した事があり、車の周囲は本来の強化ガラス、真ん中の部分だけハーフテンバーガラスを使ったと聞いていますが、本当にそうなのでしょうか?
A.昔はそのように使用されていました。今は(昭和62年から)全て合わせガラスになっています。アメリカでは高層建築にも使用されています。
Q.ガラスに繊維の方向はあるのか?
A.ありません。
Q.複層ガラスでガスを注入している物があるが、何が入っているのでしょうか?
A.断熱ガラスはアルゴン系ガス、防音は特殊ガスで圧力は同じで人体には影響ありません。
Q.セントラルガラスが他社のメーカーと違う点はどこでしょうか?
A.ガラス自体が1つの成長しきった商品であるのでどこも同じなのですが、あえて言えば磨きガラスが作れるという事です。外国には色の奇抜な物などありますが、品質は日本が1番いいと思います。
Q.現在のガラスは遮断をする商品の1つとして完成して、効率をよくする事はあるが、今後、外部のエネルギーを生かす商品としての方向性はあるのか?
A.ガラス自体に加工を施すことによって性能を上げる事ができる商品なので、ガラス自体ではそれをする事は難しいでしょう。
Q.ガラスのリサイクル状況はどうなっているのでしょうか?
A.回収して、分別しても不純物が多く、再利用できないのが現状です。現在はほとんどのガラスがオーストラリア産の原料で作られています。
おわりに
複層ガラスは、一枚ガラスと比べて断熱性能は約2倍(日射流入量が約1/2)なので結露もぐんと少なくなりました。
<住宅開口部の省エネルギー基準について>
関東圏の地域区分 茨城、栃木、群馬、山梨、長野、新潟 Ⅲ地域
千葉、埼玉、東京、神奈川 Ⅳ地域

 
<断熱性能:熱貫流率(Kcal/mh℃)>は性能強化が求められる地域
地域区分
新基準(案)
2.0
2.0
3.0
4.0
5.6
現行基準
2.0
3.0
4.0
5.6
5.6

 
<日射遮蔽性能:日射新入率(サッシを含めた開口部全体の値で、ガラス単体のものではありません)
地域区分
窓が面する方位
新基準(案)
0.52
0.55
0.60
真北±30度の方向
0.52
0.45
0.40
上記以外の方位
現行基準  
0.60
0.60
東北東から南を経て西北西まで

新基準(次世代省エネルギー基準)は、3年前から建設省・通産省で検討中であり、平成10年12月には、告示される見とおしです。なお、既存住宅(ほぼ旧基準レベルと仮定)のすべてに新基準(開口部以外の基準も含む)を適用した場合、COの削減量は400万トン/年になります。
 
第19回エスナ連絡会 平成10年11月18日テーマ:「環境に配慮した家電製品について」
講師:グリーン購入ネットワーク事務局 松永猛氏
 企業、行政、民間団体などで商品を購入する場合、できるだけ環境に負荷をかけないものを買っていこうという活動を行っている「グリーン購入ネットワーク(GPN)」。発足以来会員数が大幅に増え、着実にその活動は広がりつつあります。各商品について、データブックや購入ガイドラインを制定していますが、「OA機器、印刷用紙」などにつづいて、「冷蔵庫」「照明」「洗濯機」の策定も行われました。
そこで、GPN事務局の松永猛氏に「環境にやさしい家電製品とはどんなものか」、そしてガイドライン策定を通してみえてきた状況などについて、講演をお願いしました。
講演

ホームページの表紙
(アドレス:http://www.wnn.or.jp/wnn-eco/gpn/
改定やフォーラムなど最新情報を提供している。
 まず、「グリーン購入ってなに?」という説明から入りたいと思います。”Green Purchasing Network(GPN)”=「環境への不可が少ない商品の優先的購入を進めるネットワーク」は、1996年2月設立された、企業、行政、消費者の緩やかなネットワークです。ある商品やサービスを購入するときにその必要性を良く考え、価格や品質だけなく環境を意識して負荷ができるだけ少ないものを購入しようとするものです。活動の基本は簡単です。
品質、機能、価格、安全性 + 環境 =グリーン購入
つまり私達が商品を購入するときに考慮する条件が、今までに比べて1要素増えたということがいえます。
 環境保全型製品の市場形成に重要な役割を果たし、市場を通じて保全型製品の開発を促進し、ひいては持続可能な社会の構築を行うのがこの活動の目的です。
 さて、ご存知のとおり地球規模で加速する温暖化が現在問題となっております。実際に、地球の気温は過去100年間では約0.5°上昇し、今後約100年間で約2.0℃上昇するだろうという予見があります。
 昨年の「地球温暖化防止京都会議(COP3)」では、日本はCO2の排出量を2012年までに6%削減しなくてはならなくなりました。国内部門別CO2排出量をみると、産業部門は40.3%、民生部門13.1%ですが、民生部門が伸びています。各国のCO2排出量を比べると、日本は第4位となっています。
では日本が目標を達成するためにどうしたらよいでしょうか。
GPNが進める活動の基本原則は次の通りです。
原則1 製品ライフサイクルの考慮=LCA
その製品の環境負荷何かの数値で置き換えなくては比較できないわけですから、ほんとはもっといろんな負荷があるかもしれないけれど、とりあえず以下のような条件を製造から廃棄までをお考え下さい。
1-1環境汚染物質等の削減            1-2省資源・省エネルギー      1-3持続可能な資源採取
1-4長期使用可能                  1-5再使用可能            1-6リサイクル可能
1-7再生素材を使用しているもの                1-8処理処分の容易なもの
原則2 事業者の取組みへの配慮(環境保全に積極的な事業者により製造され、販売される製品を購入する。)
購入する製品そのものにだけでなく、法令や規制を遵守することはもちろん、その会社が環境に関する経営方針や体制をもち、適切な環境管理・監査を行い、環境に関する情報を公開し、環境保全に積極的に取組んでいるかどうか―それらは製品購入にあたっての重要な判断要素になります。
原則3環境情報の入手、利用(製品や製造・販売事業者に関する環境情報を積極駅に入手・活用して購入する)
購入判断に必要な環境情報は製品への表示、カタログや広告で公開されている情報、当ネットワークで策定する製品分野別の購入ガイドライン、個別製品のガイドブック、第三者による環境ラベルの認証や評価など、幅広い情報源から、積極的に入手する必要があります。情報が不足する場合には、製造・流通事業者に環境情報を求めていくことも必要です。

以上のようなことを踏まえて、会員への情報提供を行っています。
  具体的には、各製品について購入にあたってのガイドラインを制定します。タスクグループが企業や研究者などで構成されて、その製品の環境負荷についての考え方を話し合います。
 いろいろな項目がありますが、ガイドラインの特徴は「数値を定めない」「考え方だけを提示する」ということです。数値を決めるとそのプロセスがおざなりになりかねないし、エコマークのようなラベルを出す認証を得ることが先行します。考え方で充分ではないでしょうか。
 
 つづいて、ガイドラインにそって、メーカーに自己申告で商品情報を提供してもらうのが、データブックです。その情報を見て、購入を決めてもらえればいいのです。注意していただきたいのは、GPNが推奨しているというわけではないということです。
 メーカーが扱っている商品全部ではなく、また協力いただいていないメーカーもありますから、例えば、自治体が入札するときには、このデータブックは参考になりません。例えば冷蔵庫では、家電業界6メーカーありますが、データブックには4メーカーしかありません。2メーカーは出してくれません。その理由としてGPNはNGO団体なので、データをつくるとき、5000円いただいています。金を出しているのに、利益にならないというのでは、社内的に認知されないということもあるでしょう。また家電業界の結束は強く、「自分たちは自分たちなりに環境問題にきちんとスタンスをもって、法律に則ってやっている」という言い分があるのですね。むずかしいところです。
環境に配慮した家電製品とはさて、本日の家電製品についての話に入ります。家庭で電気をいちばん消費するものは、何でしょうか?平成7年度資源エネルギー庁資料によれば、エアコン22.2%、冷蔵庫18.2%、照明15.9%、テレビ9.6%、その他34.1%   となっています。
現在までGPNで制定されたのは、「冷蔵庫」、「照明」、「洗濯機」の3種で、来年度は「エアコン」についても制定を予定しています。
それでは、GPNで制定されたデータブックを見ながら、3つの家電製品を考えてまいります。
冷蔵庫
一般家庭向け冷凍冷蔵庫、冷蔵庫、及び冷凍庫を購入する際に環境側面から考慮すべき重要な観点をリストアップしたものです。

<ガイドライン>
  • 使用時の消費電力量が少ないこと。
  • 冷媒及び断熱材発泡剤にオゾン層破壊と地球温暖化影響の小さい物質を使用していること。
  • 長時間使用可能にするため、アフターサービスが充実していること。
  • 使用後に分解して素材のリサイクルがしやすいように設計されていること。
  • 焼却時にダイオキシンを発生する恐れのある難燃剤を使用していないこと(電装品周辺の収納ケースやカバーなどプラスチック部品)。
 
<その他の配慮事項>
再生プラスチック材の使用:冷蔵庫ではおもに庫内表面やトレーにプラスチックを使用していますが、食品衛生法の関係でそれらの箇所に再生プラスチック材を使用するのはむずかしいのが現状です。それ以外の比較的小さなプラスチック部品については、一部に再生材をしようしている製品がありますが、使用拡大のためには材料の安定供給や品質の保証が課題です。
 
ポリ塩化ビニル(PVC)の使用:ドアパッキンには一般的にPVCを使用していますが、PVCは焼却すると有害なダイオキシンを発生させる恐れがあります。現在、代替物質採用の研究が各メーカーですすめられており、耐久性や密着性などの課題がクリアされれば実用化されることが見込まれています。また、電波皮膜にもPVCが用いられており、電線メーカーで代替物質の研究開発が進められています。なお、現在使用されているPVCは他のプラスチックと共に,埋め立て・焼却処分されていますが,その分別処理・再生技術の研究も進められています。
 
使用済み製品のリサイクル:家電製品の大半は、販売店や自治体を通じて回収された後、その大半は処理業者や自治体施設で破砕・埋立処理されていますが、業界による家電の一貫処理に関する実証プラント建設等の取組みが行われているほか、政府で廃家電のための回収・リサイクルのための制度が検討されています。(最近の新聞記事によると、なかなか進んでいないようです)
オゾン層破壊物質については、平成9年12月、地球温暖化防止京都会議があって、その結果をみるまでなかなか決められなかったという経緯があります。オゾン層についての規制物質は「モントリオール議定書」があったけれど、温暖化についてははむずかしく、多数の意見があがって、6物質が定められました。データブックに記載されているおもな項目は以下のとおりです。
 
基礎情報 事業者名/有効内容積 自社名、ブランド/JISによる数値(L)
省エネルギー 消費電力量/省エネ関連特記事項 (kWh)日本工業規格JIS S9607の消費電力試験B法による試験の値/特にアピールしたい点
冷媒 オゾン層破壊影響なし モントリオール議定書の規制物質CFC類(クロロフルオロカーボン)、HCFC類(ハイドロクロロフルオロカーボンを使用しているかいないか
地球温暖化影響なし 京都議定書およびIPCC(機構変動に関する政府間パネル)の規制物質=CO2(二酸化炭素)、CH4(メタン)、N2O(亜酸化窒素)、SF6(6フッ化硫黄)に上記の2つを加える
断熱発泡材 冷媒に同じ 冷媒に同じ
リサイクル 各事業者(メーカー)ごとに表示 ISO14000など全社的な環境への取組み、樹脂部品の材料表示、分別収集、再利用可能な材料の選定、分解が可能な機能、複合材の削減、梱包材と宇への再生材料の利用や、取扱い説明書の充実などを徹底するほか、長期使用を可能にするアフターサービス体制の充実をうたっている。
その他 他の環境配慮特記事項/機能面の特記事項 上記の要項や、シャープのように、アメリカの環境保護庁の賞を受賞した「ノンフロン真空断熱技術」などを掲載している。/両開き可能なドア、静音、自動製氷機能、野菜室の充実など
照明
今までの家庭用だけでなく、施設用もいれました。大きく分けて「ランプ」、「照明器具」の2つの項目に分けてあります。
講演ではさわりだけでしたが、12月に出たばかりのデータブックには、ランプ、器具それぞれ約100点ほどが掲載されており、ランプ効率の高い順、事業者名のアイウエオ順に掲載されています。このレポート作成にあたって新たに参考にしました。
 
ガイドラインの背景説明によると、照明は前述のとおり、エアコン、冷蔵庫に次ぐ消費電力量の多いもので、35%前後を占めると言われています。必要な照明効果を得るためには、「量」としての明るさ(照度―ルクスで表す)だけでなく、光色(色温度―絶対温度Kケルビンで表す)、色の見え方・忠実度(演色性―Ra平均演色評価数)、まぶしさ(グレア)などの光の「質」についても充分に考慮する必要があります。必要な照明効果を損なうことなく、省エネルギーを進めるためには、ランプ・照明器具の洗濯や建築空間の照明計画にあたって、必要な場所に必要なときだけ、必要な人を対象に、目的に応じた質と量の明るさを供給できるようにしなくてはなりません。
 
<ガイドライン>
Ⅰランプ
<白熱電球・蛍光ランプ共通>
ランプ効率が高いこと
寿命がみじかいこと
<蛍光ランプのみに適用>
水銀の封入量が少ないこと
管径が細く省資源型であること
<白熱電球/蛍光ランプの選択>
使用目的から考えて不都合がなく,器具に適合する場合,省エネルギーのために白熱電球を電球形蛍光ランプに換えること
Ⅱ照明器具
蛍光灯器具の場合、エネルギー消費効率が高いこと(インバータ方式、特にHfインバータ方式であること)
使用後に分解して素材のリサイクルがしやすいように設計されていることⅢ照明計画
適切な照度について考慮する
昼光利用を進める、照度センサー、人感センサー、タイマー機能、調光機能などを活用する
全般照明と局部照明を適切に組み合わせる<解説> 
Ⅰランプ
1)―ランプについては白熱・蛍光とも、ライフサイクル全体でみると使用時のエネルギー消費が99%を占めるので、ランプの場合、使用時の消費電力量をおとすことが重要になります。「30kw形」「40kw形」とよくある表記は、ランプの大きさを表すもので、実際の消費電力(定格ランプ電力とはちがいます。ランプの出す光の量は全光束(ルーメン=lm)で表します。製品によって全光束は異なります。少ないエネルギーでより多くの光量(光束)が得たいのですから1wあたりの光束を表す「ランプ効率(lm/W)」の数値が高い製品をえらぶようにします。(GL1)
2)―白熱電球の寿命は平均的に1000時間程度、蛍光ランプの寿命は環形や電球形で6000~9000時間、直管形で8500~12000時間程度です。省資源や廃棄物回避の観点からは、出きるだけ寿命の長い製品を選ぶことが望まれます。(GL)
3)―蛍光ランプには金属水銀が封入されていますが、人体や生態系に有害な物質で、事務所や一部の自治体では蛍光ランプが分別回収されて、水銀が抽出・リサイクルされています。本来使用しないことが望まれますが、現在では同じように高い発光効率をもつ代替物質が見つかっていません。水銀の封入量が過度に少ないとランプの寿命が短くなるというデメリットが生じるため、メーカーでは1本あたり10mg以下で生産管理されています。(GL3)
管径が細い方が使用するガラスなどの資源が節約できます。購入にあたってはできるだけ細いことを考慮します。
電球形蛍光ランプは、白熱電球の約1/4の電力でほぼ同じ明るさを得ることができます。例えば60w形の白熱電球を同等の明るさの蛍光ランプに取り替えると、15wほどの消費電力ですみます。また寿命も、白熱電球の1000時間に比べて,電球形蛍光ランプは6000時間前後と長期使用が可能です。価格は白熱電球の数倍から10倍程度になりますが、電気代、買い替えなどを考慮すると、トータルでは安くなるというメリットがあります。(照明器具によっては適合しない場合があることを留意する必要があります。)
Ⅱ照明器具
省エネ法(エネルギーの使用合理化に関する法律)で平成6年出された通産省告示の照明器具のエネルギー消費効率が定められており、製造事業者には表示が義務付けられています。エネルギー消費効率(lm/W)は先ほどのランプ効率と値は同じ、高いものを選ぶようにします。現在購入できる蛍光灯器具は従来からの鉄銅形安定器のものと、インバータ方式(電源の周波数を高周波に変換して点灯するもので、ランプの効率が上がるため、従来形に比べ約10~15%の省エネルギーになり、また同じ電力消費15~20%の明るさアップになります。すぐに点灯する、ちらつきが少ない、音が小さい、器具が軽くなる等のメリットもあります。その中でもHf(High Frequenncy)は高周波専用設計のため、インバータよりさらに10%以上の省エネルギ―になります。
これまで、他の建築廃棄物などといっしょに廃棄されることが多く、殆どリサイクルされてこなかった照明器具ですが、将来のリサイクルシステムに向けて、素材毎に分離不可能な複合素材の削減、異種材料の溶接の削減、リサイクルしにくい素材の削減、プラスチックへの材料表示、材質の統合化など、メーカーが努力しているかを見据えることが必要です。
 
<その他配慮事項>
塩ビ及び臭素系難燃剤の使用
燃焼など条件によってダイオキシン類や塩化水素ガスが発生する可能性があります。しかしダイオキシン発生メカニズムは専門家の間でもまだきちんと解明されておらず、塩ビ含有量とダイオキシン発生の間に正の相互関係があるかどうか意見が分かれております。照明器具ではかさなど主要な部分でプラスチックが使用されていて、殆どはアクリルやポリエスチレンなどで、塩ビは使用されていません。なお、配線皮膜には使用されておりますが、現在電線メーカー等で研究開発が進んでいるそうです。
Ⅲ照明計画
1)―必要に応じた照度を得るために適切な計画をすることが必要です。
<住宅照明>
住宅の場合、家族構成や年齢、部屋の使われ方、仕事、趣味などを考慮して、細かい作業には充分な照度が必要ですが、団欒など低い照度でも十分な場合も多くあります。高齢者の場合は若い人の1.5~2倍程度の照度が必要になることもあります。
JIS(日本工業規格JIS Z9110 昭和54年制定 )における住宅の証明基準の例
居間・応接間の全般照明 30~50  ルクス
居間での団欒・娯楽、応接間のテーブル・ソファ 150~300 ルクス
食卓・調理台・流し台 200~500 ルクス
書斎や子供部屋での勉強・読書 500~1000ルクス
手芸・裁縫・ミシン 750~2000ルクス
 
<オフィス照明>
想定される作業に応じた適切な照度があることが必要です。JISの照度基準は目安になりますが、近年のOA化とインテリアの多様化に対応して、(社)照明学会が「オフィス照明基準(平成3年)」を出しており、コンピュータ作業などを考慮した、照度の推奨値が示されているので参考になります。
照明学会「オフィス照明基準」の例
喫茶室、休憩コーナー、玄関(車寄せ) 150ルクス以上
洗面所、階段、廊下、エレベータ 300ルクス以上
応接室、ラウンジ、リフレッシュルーム 500ルクス以上
一般事務室、コンピュタ作業室、会議室 750ルクス以上
設計・製図室、細かい視作業を行う事務室 1500ルクス以上
※この照度レベルは視力、色覚とも正常な40歳代前半以下の年齢層を対象にしたもので、40歳代後半以上の人に対しては、さらに1.5~2倍程度高い照度が必要
 
2)―昼光利用をすると、人口照明が減り、エネルギ―の節約になります。建物の方位ごとに窓配置を検討し、より多くの昼光が得られるトップライト、部屋の奥まで昼光を反射させるライトシェルフ、不要な熱を吸収しながら、光を透過する高性能ガラスなどを活用したり、窓際の照明器具を単独のスイッチ回路として手動、または自動的に点滅、減灯、調光できるようにすることも有効です。
3)―暗い時だけ点灯させる照度センサーや、人がいるときだけ点灯させる人感センサー、必要な時間帯だけ点灯させたり、一定時間が経つと自動的に消灯させるタイマー機能、必要に応じて調節できる調光機能などを積極的に活用することが望まれます。
※これらは、長期に使用しない場合、主電源を切っておくこと。
4)―ひとつの空間の中で作業を行う場所が限定されている場合、部屋全体の照度を適度に抑えて、必要な場所だけに必要な光量を得られるようにした方が、エネルギー消費量が少なくてすみます。室内の使い方によって適切に組み合わせることが必要です。
洗濯機
家庭における使用水量の約20%(平成7年度国土庁調べ)が洗濯に使われています。限りある水資源を有効活用するためには、できるだけ使用水量が少ないことが肝心です。
<ガイドライン>
使用水量が少ないこと
風呂の残り湯が再利用できる自動給水機能がついていること
使用時の消費電力量が少ないこと
長期使用を可能にするため、アフターサービスが充実していること
使用後に分解して素材のリサイクルがしやすいように設計されていること
再生プラスチック材が使われていること
取扱い説明書に環境に配慮した使い方が掲載されていること
 
<情報提供項目>
臭素系難燃材の使用(電装品周辺の収納ケースやカバーなどのプラスチック部品について)の有無を掲載。
プラスチックを燃えにくくするために使用されている臭素系難燃剤は、優れた難燃性を持っており製品の安全性向上に役だっていますが、焼却時に条件によって有害な臭素化ダイオキシン類を生成する可能性があります。特にPBBs(多臭化ビフェニル)及びPBDPOs(多臭化ジフェニルオキサイド―多臭化ジフェニルエーテルとも言う)はその可能性が高いと言われています。洗濯機では、モーターや回路基盤などの電装品周辺収納ケースやカバーなどの部品に難燃剤が使用されていますが、特にこの2物質については使用の削減や、回避が進められています。
 
<その他の配慮事項>
使用済み製品の回収・リサイクル
家電製品の多くは販売店や自治体を通じて回収された後、処理業者や自治体施設で破砕・埋立処理されていますが、1998年6月に「特定家庭用機器再商品化法」が公布されました。これによって、2001年4月から、使用済み家電製品のうち、洗濯機、エアコン、テレビ、冷蔵庫の4品目の回収・リサイクルが行われる予定です。
汚れやカビの発生
全自動洗濯機の場合、放置すると洗濯槽の外側に汚れが付着して、カビが発生します。汚れやカビを除去するために、専用の洗剤で、洗濯槽の宣嬢を行いますが、これらの生態系への影響をできるだけ、少なくするためには汚れやカビがつきにくい構造、工夫が望ましいと言えます。
またステンレス槽はポリプロピレン槽に比べて、汚れやカビが付着しにくいという特性があり、この点で優れています。
 そもそも石鹸がいいのか、合成洗剤がいいのかという議論もありました。洗濯は個々人でやり方が異なり、データブックに掲載した洗濯機も今回(1998年12月現在)は全自動15商品くらいで残念ですが、使い方により大きく変わるという点を強調しておきたいと思います。リモコンに注意するだけでも、大きな効果があります。
グリーン購入の積み重ねがマーケットを変え、企業を動かし、世の中を変革する!ではグリーン購入を行うことでCO2削減にどの程度の効果があるのでしょうか。
1年間では39.9kgc/年を削減
電化製品6種類(冷蔵庫、エアコン、テレビ、ビデオ、CDラジカセ、コンピュータ)のCO2を算出するとこれだけの数値が出てきます。
日本国内4400万世帯が、今からグリーン購入すると 民生部門33.6%減が可能
CO2の6%削減が求められている現在、小さい数値かもしれませんが、民生部門だけでみればかなり大きな効果が期待できます。
GNPのうちの10%は政府の調達リストにあたるもので、例えば滋賀県のように(グリーン購入昨年度表彰団体)、環境リストで定めたもの以外は調達しないとなると、県で一斉に環境に配慮した指定商品に変更するようになります。その調子で続けていけば世の中を変えられると思います。現在そのような自治体は増えています。間違った情報提供をすることなく、中立な立場で今後も活動を行いたいと私達は考えています。
Q&AQ:建材の議論はいつころからの予定ですか?
A:正直いって、未定です。今は見なおし期間といったところでしょう。
松村社長:このエスナ連絡会も実は自分達で勝手にガイドラインをつくっているようなものといえます。今日のお話で1番共感したのは、数値を考えないという点。住宅を建てると、冷蔵庫を入れる。数は同じ1点でも、その際建材はものすごい量が発生します。だから、グリーン購入で対象物質として扱わないのはもったいないと思います。暗黒大陸のまま掘っておかないほうがいいと提案したいですね。
A:そうですね、基本的にデータを集められないガイドラインでも、実際に可能とも思います。例えば、ものだけでなくサービスも環境にやさしいものというのがある。考え方としてはあってもいいのかもしれない。
 
Q:会員になれるのは、企業だけですね。1企業の1社員がどれだけ知っているのか、ちょっと疑問にも思えます。全国民がわからないと効果はないのかな。いい活動なので、なんとか全体にも波及できないかなと思います。
A:インフォメーションとして、NGO団体、大口ユーザーだけをまず動かすことによって活動しています。確かに、一般消費者向けにという課題はあがっています。冷蔵庫、洗濯機は実際使用するのは家庭だけです。ですから、このデータブックを一般消費者に参考にしていただくために、例えば本屋はどうだ、家電を実際に買う電気屋はどうだろうと置く場所についての提案があり、ようやく青山ブックセンター、新宿ルミネで売られるようになりました。自己満足に終らず、いかに発信するかが私達のテーマですね。
 
Q:建設関連の事例jはどうなっていますか?
A:例えば清水建設は、オフィスでのグリーン購入がかなり行き届いていますね。また興味深い事例を紹介しますと、先日「グリーン購入フォーラム水俣」で、文具のコクヨが文具のグリーン購入でなく、建築資材の再利用を所沢あたりで行っていると聞きました。学校などの建築のリサイクルも行われているようです。いろんな形の動きが今後出てくると思います。
おわりに今回は、家電メーカーの人間ではないと恐縮される松永氏に無理にお願いしたのですが、ありがとうございました。照明と洗濯機のデータブックが講演後の12月に出されたので、この2つについては講演では詳述されなかった部分をかなりデータブックに頼りました。社員の皆様、ロビーに常備しますので、ぜひ参考にしていただきたいと思います。
データブックにある「これらは、社会状況の変化や新たな知見によって必要に応じて改訂されます。」との注釈のとおり、商品は日々進歩しています。はじめに考え方、そしてデータを鑑みつつ、具体的な商品情報を自分のものにしていきたいものです。もちろん、使えるものはいつまでも手入れをして長く使うにこしたことはありません。
第20回エスナ連絡会 平成10年12月15日テーマ:「外断熱工法について」
講師:トーヨーアサノ販売株式会社  化成品課課長 荒川 晃氏
  今回は、外断熱の話。弊社のエスナ物件「野城邸」「安田クリニック」「和泉実験ハウス」などで採用したこの工法は、住宅の環境問題に前向きな施主の希望によるものですが、本日はその特性(既存の内断熱と異なる部分)を理解し、住宅の温熱環境について考えます。
断熱工法の種類 暑さ寒さを防ぐため、建物には断熱材が施されます。
断熱の目的には次の4つがあります。
① 冷暖房エネルギーの軽減
② 室内表面結露防止
③ 外壁のリフォーム
④ 防寒防暑対策
そして建物は建ってから15~20年たつと、塗装が古くなり、結露が生じるため、いたんだ箇所がでるなど、断熱改修の必要なところが出てきます。特に建物の北面(トイレ、台所などがある)は、断熱改修工事が最も必要になってきますが、断熱材にも、各社いろいろなものがあり、熱伝導率などが異なっています。改修工事にあたっては、まず、診断、改修の目的、要望、欠陥の的確な判断が大切で、それにより、いかなる材料、工法を採用するか、決定しなければなりません。
外断熱と内断熱の比較
 断熱には、躯体の内側で断熱する方法(内断熱工法)と躯体の外側で断熱する方法(内断熱工法)とがあります。外断熱工法と内断熱工法では、どのような点が異なるでしょうか。
まず躯体保護の点では、当然外断熱の方が勝っています。日射遮蔽することで、コンクリートなどは熱応力の軽減により、損傷が避けられます。暖房負荷や冷房負荷は、基本的には差はないのですが、短期間暖房なら内断熱が適していますし、冷房は夜間外気を導入すれば、外断熱の方が蓄冷効果により有利でしょう。暖房機の普及と室内の気密化が一段と進んでいる現在、結露の発生は、寒冷地の建物の問題だけではなくなっています。内断熱の家では暖房を停止させると、高かった壁表面の温度が低くなり、室温もさらに低くなってくるため、結露しやすくなります。またコンクリート躯体と断熱材の位置関係も違っているため断熱材のある室内側に完全防湿層を設けないと、内部結露を生じます。
ところが、外断熱だと、繰り返し暖房が行われている部屋では壁表面の温度が下がりきらず、最低室温もそれほど低くならずにすむので、(グラフ参照)結露は発生しにくいのです。コンクリート躯体と断熱材の相互位置も正しいので、内部結露も起こりません(断熱材によっては断熱材と外装材の表面に結露が起きます)
「熱橋」という言葉があります。文字通り熱を伝えるは橋という意味ですが、せっかくの断熱材も切れていると、熱橋を介して熱が外に逃げてしまいます。外断熱はこの熱橋部分の断熱保護処理が容易なので、熱が逃げません。
FRC断熱パネルの特長と
2つの工法
さて、この外断熱工法を実現しているのが、トーヨーアサノのFRC断熱パネルです。(グラスファイバーのGをとって、セメントになったということで、Fとした。)FRC断熱パネルは、耐アルカリガラス繊維で強化した特殊なセメント板と、ポリスチレンフォーム保温版を接着複合したコンクリート型枠断燃材です。
まず、中低層の鉄筋コンクリートおよび鉄骨鉄筋コンクリート造の新築において、FRC断熱パネルをコンパネ(木製ベニヤ)の代替えとし、外側建てこみ時に捨て型枠として使用するのが「捨型枠同時打込工法」です。(図参照:パネル先やり工法ともいう。「野城邸」で採用)
結露の防止、室内温度環境の改善、躯体の保護といった断熱材本来の効果とともに、コンパネ不用となるので、現在問題となっている森林資源の保護にもつながります。施工面ではプレハブによる効率化がはかれます。目地部分は、目地用バックアップ材を取りつけた後、目地シーリングを施し、外表面をアクリル系リシンや外装用塗料の吹付けにより仕上げます。(GRCの耐久性は20年くらいとみているので、塗装をしたり、吹付けタイルを施してもらうのがよいとのこと。)
 
また、改修に関しては「外断熱後貼工法」といって、壁面に直接、接着剤と専用ボルトを用いて既存、または新築の建物の外壁面に取りつける工法が適しています。居住者が入居したまま工事ができて、工期が短く内部への影響が少ないのが利点といえます。
快適な温熱環境を得るためにしかし、外断熱をやったからといって、結露がすべておさまるわけではありません。やはり、建って一年後くらいに結露が出てしまうこともあり、問題は換気です。住む人の住まい方が、肝心です。日中一度も換気ができない独身の人などは問題がありますから、24時間機械換気を行う必要があります。自分の生活と建物の性格とをよく知ったうえで、建物を管理してほしいですね。(また、内断熱工法と違い、コンクリートを蓄熱材として、最大限に利用できるため、冷暖房効率が飛躍的に高まり、輻射冷暖房設備との相性が非常にいいのも、健康的である。コンクリートの内部の水分を適切に排出する性能も高くなり、結露が軽減、土壁などのひび割れも減る。)
その他
 パネルの品質性能については、吹き付けリシンが意匠性に欠けるため、高級マンションの採用がなかなかないのが難ですね。
やはりタイルを使用すると高級感がでるので、何とかできないかという話があり、INAXさんと研究開発しています。かなりの実績をあげています。
(実際には表面は未処理でかまわないし、内部からの浸透性を確保できる「セラブレス(サンスター技研」などの無機質系の塗料を外側にぬるのもいい。またコンクリートの内壁にプラスターボードなどを貼りつける必要がないため、珪藻土や土佐漆喰、天然木など調湿機能のある天然材料を低コストで使用できる。) 
 強度的には、接着剤は有機溶剤がいいですね。しかし、現状ちまたで出まわっているウレタン吹付け、グラスウールなどの毒性を室内から排除できるので、安心です。そして外壁側に断熱材があるおかげでコンクリ―トのクラックが避けられ、建物の寿命は確実に延びると言えます。
施工実績は北海道、東北等の寒冷地が主体ですが、関東では外断熱の建物は内断熱にくらべ、まだまだ少ないト思います。観光地用宿舎や特養ホームなどが多いですね。身障者ホームなどでは、内断熱だと内装がぼろぼろになってしまうので、打ち放し施工が望まれます。そんな意味でももっとこの利点を生かした建物ができてほしいですね。
終りに野城邸では、施主の野城先生が外断熱工法の専門でいらっしゃっるので採用されたが、世間ではまだまだその良さが認識されていないというのが現状。蓄熱効率が高く、熱が逃げるのは、窓、扉などの開口部からだが、大きな開口部を設けたときはそれなりの工夫が必要になる。野城邸では当初暖房を使わなくても、昼間の日射エネルギーで充分だったが、やはり厳冬期は寒いということで輻射冷暖房装置を後から施工した。
自然の力を生かした温熱環境を維持するために、この外断熱工法とあわせて、以前連絡会で取り上げた、輻射冷暖房(PS)、ペアガラスなどのほか、珪藻土や快足フロアなど提案してより環境負荷が低く、快適な居住性能を、オーダーに合わせて探っていければよいと思う。      
第21回エスナ連絡会 平成11年1月27日 テーマ:「自然をとりいれた住まい」
講師:アントラクト建築研究所  松原 道剛氏氏
  今回のエスナ連絡会は、住まいにおける「自然」について考えます。講師の松原さんは、「オイコス」という建築の環境問題を考えるグループで、セミナーやフォーラムを開催するなどの活動をされています。グリーン購入ネットワークのタスクグループとして紹介されて、当初「照明」についてのお話をうかがうということでお願いしましたが、オイコスで今年1年かけてその問題についてとりあげるということで、今回は特に熱環境の面で「自然」な建物についてのお話を聞かせていただくことになりました。
「自然」ということ 「自然」ということの対極には「人工」があります。
地球環境という「自然」の中で生活していくとき、自分たちの身を守るために衣服であったり,、建築物であったり、様々な「人工物」を作ってきました。住宅では、例えば鳥の巣は「自然」であり、人間のつくる住宅では「人工」であるといえます。つまり、人間の所業を含んだものが「人工」であるといえます。また私たちは「自然に」という副詞を思い浮かべるとき、努力をしてやったところが見えない、例えば「英語が自然に出てくる」など、わざとやったところのない様子を思います。建築は、私たちが編み出した「人工物」であり、地球環境という「自然」にあてこまれたものであることを忘れてはならないと思います。いかに、この建築を「自然」に沿ったものにしていくかを考えることが重要なのです。
地球の自然環境 地球のエネルギーのもとは、「太陽エネルギー」だけです。石油、石炭など古代の生物の財産である化石燃料がありますが、おおもとは 太陽です。現在、地球の平均気温は15℃で、様々な地域(赤道、極地)や四季で異なりますが、太陽の距離からで決まります。ちなみに、金星は500℃であり、火星は60℃です。地球温暖化が問題になっていますが、いかに太陽エネルギーを大事にしなければならないかがわかります。ところで、なぜ地球は同じ温度を保てているのでしょうか。それは太陽から入ってきたエネルギーと同じ分だけ、宇宙に放熱しているからなのですが、その重要な役割を担っているのが、「水」です。「水」は循環し、地表面と大気の1番上の部分をつないで、熱のやり取りを行っています。そのやりとりが、過剰になるとバランスをくずし始めるのです。
古代文明の発祥地は、川の側にあったのですが、現在砂漠になっています。文明がそこの部分を砂漠化させてしまったのです。昔は人口が少なかったので、局地的ですんだのですが、現在は地球全体で砂漠化が進む要素が充分に存在しています。
快適要因 同じように、人間も体内の活動による産熱が、周辺環境に放熱されて体温を維持しています。人間が快適だと感じる気温は20℃から21℃であるといわれ、これは、室内で普通の服を着て座っている場合です。暑さ、寒さは、人間の身体と周辺環境との熱の伝わり方、熱交換がどのように行われているかで決まります。また、快適さを決める要因は、温度だけではなく、湿度、気流、表面温度などの要素もあり、気温ばかりを気にしても、限界があります。
空調設備による気温制御では、どうしても、室内の上方ほど温度があがり、本来心地よいとされる「頭寒足熱」とは逆になってしまします。放射環境は見過ごされがちですが、例えば夏のトンネルや滝の側のひんやりとした涼しさや、冬の日溜り、焚き火の暖かさを思えばわかるように、ものの表面温度の調節は重要です。放射温度計というものがありますが、このような快適さの体験は、そこにいてもらわないと良さはわかりません。快適だということをなかなかわかってもらえないということがあります。
欧米と異なる日本の快適性 我々の住む日本列島は、緯度は北緯36°(東京35.4°)、パリ、ロンドンなどは、50°です。(札幌43°、那覇26°、ジャカルタ6°)図を参照してください。縦軸に気温、横軸に湿度をとった、各都市の1年間のクリモグラフです。
これを見ると、何もしなくても快適な範囲というのは、結構どこもせまいのですが(快適範囲をまたいで、上下にはみだしている、あるいは入っていないところもある)、その傾きを見ると、ヨーロッパは冬湿度が高く、夏は低い。逆に日本は夏湿度が高く、冬低い。これは何を意味しているのか。
今の空調設備(いわゆるエアコン)は、アメリカ、パリなどで発達したもので、1月の時点で温度を上げようと思うと、湿度も減ります。逆に温度を下げると、飽和水蒸気量が増えます。つまり、日本では冬暖房をすると、加湿しなくてはならないのです。ヨーロッパではその必要がなく自然に移行していることが、逆に日本では自然ではない。快適性を建物で調整しようとすると、夏と冬の対応を変えなくてはならないという問題があります。パリなどでは、冬に対応した備えだけでよく、ジャカルタなど熱帯地方では、暑さをしのぐ工夫だけしていればいいのですが、日本の殆どの地域では、夏冬のモードが逆転するので、それぞれのモードに手動で対応する必要があったわけです。
冬の話 建物は太陽をダイレクトに取り入れる、パッシブソーラーを考えることが第1と思います。住まいに自然を取り入れることの基本となります。日本の太平洋側の1月の日照時間は平均180時間、新潟は60時間で、雪の多いロンドンは50時間しかありません。冬至は太陽高度が1年で1番低く30°くらいですから、寒いことは寒いのですが、室内に日光が沢山差し込みます。昼間取り入れた熱をどうやって夜までもたせるかです。それには、配置計画が重要になります。普通の2階建てなら、建物の前面(南側)に約8mほどの空間があれば日当たりを得ることが出来ます。道路でもいいです。大きな開口部から、日射を取り入れればよいですし、居間などを2階に持って来たり、天窓をつけたり、屋根を高くしたりします。建物の配置は北側境界線に寄せた方がいいです。
ガラス戸から取り入れた熱が逃げないようにするために、雨戸などを閉めます。サッシはペアガラス、サッシ自体に結露防止をしてあるものがいいですね。また室内に長時間蓄熱できることを考え、部分的にコンクリートや土、水などの蓄熱容量の大きな材料をもってくると、明け方の室内温度の下がり方も少ないです。
RC造ならいいのですが、木造だと蓄熱する部位が限られます。OMソーラーは土間スラブに蓄熱させる仕組みですね。こうすると、必要以上に室内温度を高くする必要もなくなります。
夏の話 太陽の位置からすると、夏の南中高度は77°と高く、建物の南面を庇などで遮蔽することが大事です。太陽は同じコースを動いているので、どれだけそで壁を出せばいいのかもわかります。ただ、西日は深く差し込み,夕方まで暑いのですから、そのときは、植物を植えておくのが有効です。冬は葉が落ち,夏繁るものを選び、開口部の前だけでなく、壁も樹木でおおうといい。しかし、植物が育つまでは、それに代わるものを考えます。庇のところに仮設のテントのような布きれを置いたとき、逆に熱をすごく持ってしまって、放射するものもあるので注意します。
自然の風を取り入れることが暑さしのぎには非常に有効です。敷地周辺の風向きを考えて、取り入れる側と抜ける側の開口部を配置します。東京の夏では圧倒的に南風が多いので考慮に入れます。
人工的な住まいで失われてきたもの 日本の建物は「夏を旨とする」というように、日本の夏の暑さと湿気に対応するようにつくられてきました。人間が生活すれば、水蒸気を発散し、酸素を吸い、二酸化炭素を排出します。これまでの住宅では、ある程度隙間があり、自然に空気は入れ替わりました。また木造の柱などの構造材や土壁などの伝統的な建材が建物内の湿気を吸収したり放出したりしてくれました。夕方になれば雨戸を閉める、必要なときに窓を開けるなど室内空気の交換を、住む人が手間をかけてコントロールもしてきました。
しかし、新建材と呼ばれる石油系の安価な建材、接着剤が生まれ、調湿性などの作用を期待できなくなる一方、それらが含む科学物質の危険性に気がつかないまま、住宅の高気密化、高断熱化がすすみ、問題が出てきました。気候特性が配慮されないまま、床下、天井裏、壁の内側にいろんな断熱材が充填され、内部で水蒸気が結露して、構造材を腐らせたり、カビ、ダニの発生を誘発して、住む人の健康に悪影響を及ぼしたりしています。あたかも住む人は何もしなくても建物が長持ちするかのような、手抜きの生活を助長する住まいになりつつあるのです。結局、これら原因物質はできるだけ避けるしかない、安全なものしか使わないことが必要です。断熱材は、外断熱など、それぞれの断熱材の特質にあった施工法が開発されています。
健康に住まうために これまで述べたように、建材などに有害物質をさけるとともに、施工後すぐに住み始めるのではなく、ある程度時間をおいて、ときにはベイクアウトして有害成分を強制的に排除したり、住宅だけでなく、身の回りの科学物質についての正しい情報を得ることも健康に住まうことには必要です。
また住まいにおいて使用されるエネルギーを考えて住宅の寿命も考慮に入れ、生産から廃棄に至るまでのリユース、リサイクルも可能にできるものを考えるべきです。高気密の話は、本日あまりできませんでしたが、日中に人がいないことが多いなら24時間計画換気も考えなくてはなりません。
Q&A Q:東京の8月はグラフでみると、ジャカルタの9月と一緒。インドネシアではネクタイしているのですかね?
A:インドネシアでは、正装はシャツですが、先日スーツ姿で議会に登庁することが、文化的に先進国の仲間入りをしたかのようなニュースが伝えられていましたが、おかしいですね。日本でも昔は開襟シャツを着ていました。衣服の調節はほんとに必要ですよ。背広着て、クーラーかけて、女性社員は寒さに震えているというのは、最近のことです。もっと、自然の風とか、扇風機を使うことで、だいぶ電気エネルギーが違うと思います。要は、「パッシブ」な暮らしをするには、住まい手が「アクティブ」にならないといけないということを充分に理解してもらう必要があると思うのです。

Q:クリモグラフの快適範囲にまったくかかっていないパリの人は、まったく快適ではないのかな。
A:自分は13°くらいの気温でも平気でいますが、実際には寒いでしょうから、空調機を利用していますね。ヨーロッパでは、輻射冷暖房が発達していますから、そういうものが多いでしょうね。

松村社長:我社は、RCの建築が仕事の中心なのですが、世間では、建物の「「カスカス化」が進んでいるとつくづく感じますね。
建物の蓄熱性をどんどん減らしている。日本の昔の建物は、木と紙が主でしたが、壁は土で家の奥の方にいけば、夏涼しく冬暖かだったのだから、こじつけではないけれど、RCの蓄熱性をもっと有効に考えてもらいたいですね。
松原:日本の建物は、「民家」と「蔵」という考えに分けられます。蔵は土壁でものを保存するためにあるもので、民家は人がそこに住むもので、開けっぴろげにできる場所。蓄熱性はすごく重要な要素で、温度を一定にすることは、木造だけではなかなかできないのが現状です。
よく、RCと木造とをくらべたときに、「木造が良い」と言っているのは熱環境とは別の話です。全体的なLCA(ライフサイクルアセスメント)でいえば、木造の方がいいでしょうといっているのです。(もちろん、RCでも帳尻をあわせることができますが)木材は、成長して新しい木ができます、土に返ります。熱環境でいうと、RCの方が有効で、私自身としては、木造の中で一部RC利用、そして軽量化して断熱材を多用するのがいいと思っています。

Q:床暖房によく木のフローリングを使っていますが、熱の伝達でいうと、伝導でしょう。伝導率の低い木の必要があるのか。
A:それもあるし、電気だけで暖める必要はないと思いますね。蓄熱材であればいいわけだから、太陽を利用してもらう。それに、どこの家も床に結構ものを置くでしょう。私は、環境に1番悪いのは物が多いことと、忙しすぎることだと思っています。
おわりに 松原さんたちの発行している「カイエオイコス」では、武蔵工業大学の宿谷昌則さんを講師に迎えて、14回にわたって行われたセミナーをまとめていますが、ここでは熱力学のエントロピー・エクセルギーなどの概念や、地球環境システム、人間のからだのメカニズムなどを通して,建築の基盤となる考え方が示されています。面白いのは私たちが何気なく使っている言葉の上からも、その背後にある物質のシステムを分析し、人は本来どのような暮らし方をするのかが自然なのかを提示していることです。例えば、
「『温める』と書いて、あたためるともぬくめるとも読む。『ぬくめ』という漁法や『ぬくめ鳥』などの言葉を紹介しながら、『ぬくまる』には自然の成り行きであたたかになる意味合いがあるという注意を促す。それを建物にあてはめれば、壁や窓の断熱性能が良く、また日射熱をうまく取りこむことができて、室内の人間の活動による内部発熱も加わって、ほわっとしてぬくもりを感じるような環境(室温や壁などの表面温度が15~18℃程度)であろう。そのような環境をつくることが『温房』だと述べる。そして天候などの条件によって、快適な温度にいたらないときに供給するのが『暖房』ではないかと指摘する。また温房の対極にあるのが、焚き火などのように寒さの中で熱さ・暖かさを感じる『採暖』であり、高温熱源からの放射と対流で暖を採るこの方法も、場合によって温房と組み合わせて用いれば良いのである。」という具合です。
私たちは、「案外わかっているのでは」と思います。何気なく使っている言葉に真理があるということを認識したいと感じています。
第22回エスナ連絡会 平成11年2月24日


テーマ:「産地直売無農薬マンション ダイレクトマンション」
講師:辰建設㈱  松村 拓也社長
ダイレクトマンションは次の3つの「ダイレクト(直接)」を選ぶことによって、お客様の願いをかなえます。
  • 直接買う  ―より安くより広い住まいが欲しい
  • 直接創る  ―自分の好きなように創りたい
  • 直接管理する―自分の住まいは自分の好きなように使いたい
 
はじめに
都内で、他社に先駆けて健康に配慮したマンションとして、「エスナ市ヶ谷」「エスナ六本木」を施工した我々でしたが、多くの反省も生まれました。エスナ市ヶ谷ではまず、なるべく化学物質を室内から排除するよう、考えられることは何でもやりました。天井には、珪藻土、壁はRAL壁紙、床は無垢フローリング、活水化システム、24時間換気システム、さらに、台所には自動消火システム(オプション)、耐震対応抗菌キッチンなど。
 好調な売れ行きをみせましたが、良かれと思ってやったことも、両手をあげて誉めてくれる人ばかりではなかったのです。ある人は、天井の珪藻土がこなっぽくていやだと、あとから塩ビのビニルクロスを貼ってしまいました。化学物質過敏症の方は、喜んでくれたものの、やはり換気扇を3,4個付け足したり、壁紙をパッチテストされました。残念だとは思いましたが、確かに当然です。皆がいいと思うことが一つではないからです。
 エスナ六本木では、ワンルームマンションで、床はコルク、天井には珪藻土、天井高は2m80など居心地のいいスペースにしようと心がけました。地下室のある1階と屋上庭園のついた5階は瞬間的に売れましたが、全体的に苦戦しました。このような都心のマンションは通常経済的に余裕のある人が利回り利用に購入して、貸すことも多いのですが、買って貸している人は2人のみで他は皆さん自分が住んでいます。意義を感じてくれているものの、致命的なのは値段が周辺物件と比べ高かったのです。そのため、「マンションは値段が高いとやはりダメだ」という結論に到達しました。
最近、多世帯住宅が増えています。東京の街中では郊外とちがい、土地20坪でも60坪の建物が建てられる場合もあります。地下室も使えます。「都会に住みたい、住まなくてはならない」という事情の方もいます。親子2世代、あるいは3世代で住んでいると、これは小さなマンションが建っているようなものです。でも、身内だと大丈夫ということでしょうか。逆に調整が大変な場合もあります。私たちは、いくつかの物件を手がける中で、そこにヒントを得ました。
 
エスナ第3弾を打ち出すため、池尻に土地を入手しましたが、ここで、私たちは「誰のために、何のための設計」という問題に突き当たりました。お客様の顔が見えないのです。これは、創り手としてもつまらない。根本的に提案の仕方を変えなくてはーそして生まれたのが「ダイレクトマンション」です。
 
あらかじめそこに住まいを持ちたい人が集まると、私たちはお客様に直接提案し、顔を見ながらご意見を聞くことができます。土地を持っている人も、いない人も同じです。ここで初めてお客さまの満足度を追求できます。
出来合いのマンションとちがい、手間のかかる作業ですが、手間を惜しんでいてはお客様も思い通りの住まいを手にいれる願いがかないません。
直接買う 
 販売宣伝の広告や経費はマンション購入の場合、余計な出費となります。土地と建物を直接購入することにより、より安くより広い住まいが可能になります。

産地直売の選択肢
次のような選択肢から希望の住まいを創ります。
  • 地域:渋谷、港、世田谷、目黒
  • エリア:低密度住宅地、中密度住宅地、高密度商業地
  • 建設方法:低層型、中層型、高層型。
  • 購入方法:直接購入、等価交換、定借等価交換、他
価格と広さ
敷地の条件によって、形状が異なりますが,標準価格はどのタイプも一律200万円/坪を目指し、あくまでこの価格が実現する立地を探します。つまり下記のような価格になります。
 
ダイレクトマンション標準設定価格
床面積 基準価格
66m2 20 4,000万円
82m2 25 5,000万円
99m2 30 6,000万円
(ただし、お客さんが集まってから土地の入手を開始するので、成立しない場合もあります。100g/200円という肉を売るのと同じ目安をつくりたいのです。)
 
直接創る
「ダイレクトマンション」は、お客様が設計段階から設計者や施工者と直接関わって、単なる購入者としてではなく施主として建設に参加することにより、自由な住まいを創ります。これが「直接創る」というチョイスです。
お客様のご希望によっては、内装費などに追加が発生するかもしれません。
私たちの基本提案は次のとおりです。
ワンボックスタイプ
大きな自由スペースに多様な場所を設定します。
高い天井のスペースをつくり、これにキッチン、洗面所、浴室、トイレを加えます。間取りはワンルーム型あるいはメゾネット型(2階建)、トリプレックス型(3階建)で、間仕切りや収納は全て追加チョイスで自由に創ります。
 
大きな家、小さなマンション
戸建住宅とマンションのデメリットを解消するため、住まい手が快適な住環境を確保しながら、互いの希望を調整するのにちょうどよい、規模、戸数を優先します。隣家とのプライバシーを確保しながら、解放性を確保します。RC造なので、遮音性も充分です。
 
く使える長寿命スケルトン
長寿命の条件は住まい手のライフスタイルの変化に適応しつづけることです。しかも永く使うことによって、その経済性と資産価値を生み出すものでなくてはなりません。たとえば、内装材などは、今建て売り住宅で多用されている化学製品は新品のときがどう見ても1番きれいですが、使いこめば味が出るのは、天然素材のものです。
その内装を支える躯体およびスケルトンについては、耐久性を最優先にした、外断熱工法による長寿化、省エネルギーを私たちはめざしています。
 この工法でコンクリートは洋服を着ているように外気から保護され、室内の温熱環境も外気にさらされない分、穏やかになり、省エネルギーにつながります。
 
自由なインフィル
部屋とスペースを考えたとき、住まい手がほしくもないものが付いているという不満をよく耳にします。ライフスタイルに合わせた間取りを実現するため、中身は気楽に考えられるものが求められています。そしてそれは、内断熱工法で、どうしても条件が限られた天然素材の内装材の利用を可能にします。それこそ快適空間エスナの実現なのです。
直接管理する
自分の住まいを自分の好きなように使いたい、これはだれもが望むことですが、大規模マンションになればなるほどそうはいきません。「ダイレクトマンション」は、共用部分を最小限にして、土地と建物を極力専有化あるいは専用利用できるようにし、良識に基づいた自主管理を基本とします。これが「直接管理する」という新しいチョイスです。但し、小規模開発のため、共用経費の負担率が高くなります。
 
共用部分はダイレクトマンションの敵
「豪華なエントランスホールなのかいらない」、「1階に住んでいるのに、エレベータの費用を負担するのか」といった声は昔から聞かれました。それが「共益費が高い」という不満につながります。納得のいく箇所だけでいいのでは考えました。

共用部分を私有化する
バルコニーや屋上を上手く使いたい、床下を有効に使いたいという希望をかなえます。設計段階から始めるので、可能なチョイスです。

資産価値の維持、向上
管理の価値 人任せにしない、自分の私有物と思えばえば自主的、実質的な管理意欲がおきます。
天然素材の有効利用は建物の価値をあげます。例えばビニルクロスだと悪くなる一方ですが、天然素材のものだと、物によっては時がたつほどに趣が出たり、色に深みが出たりして良くなるものもあります。
環境の価値 界隈の環境は、小さな家がどんなに手入れをしても限界があります。ぱっと見たとき「素敵」というと、たかが知れています。外国ではセミデタッチドハウスという2軒長屋がありますが、向こう3軒両隣が手入れの行き届いたまとまった雰囲気を持っていることにより、資産価値は違います。ある程度の大きさを持つことで、影響力があります。
流動性の価値 マンションは築後30年になるとがたがたになり、問題が起きてきますが、世帯数100とか200ともなると話し合いが大変です。集まって話し合える調整可能な世帯数は、4、5件ではないかと考えます。
 
ダイレクトメンバー
ダイレクトマンションは前述のように、一切の広告、宣伝販売行為を行いませんので、参加希望者は「ダイレクト・メンバー」に加盟します。(無料)
 
参加資格
土地をお持ちでない場合―購入資金が必要です。金融機間の予備審査を受けて頂きます。
土地をお持ちの場合―土地所有者はそのまま入会できます。次のケースがあります。
  • 土地を売却し、ダイレクトマンションを販売する。
  • 土地を提供し、等価交換でダイレクトマンションを建てる。住む。
  • 土地を所有のまま、定期借地権方式でダイレクトマンションを建てる。
購入手順  
全行程で約1年かかります。
ダイレクトミーティングは、第2、4日曜日の午後3時から本社にて行っています。参加希望者は、電話あるいはEメールにて予約します。


片道切符の話
まず最初のキーワードは片道システムの破綻です。世の中は、尻切れとんぼの話が多すぎます。例えば、高速道路は絶対に安全だと思っていた。しかし、神戸であんな地震があって、東京の首都高速などいつくずれでもおかしくない状況が明らかになりました。僕たちは今日からあの下を走るのをやめたほうがいいのかもしれない。だけどパニックになるから誰も言わない。
とにかく、想像すればわかりそうなことを、みな話さないですましている。
 今21世紀は環境の時代といっていますが、僕はまさにこのことだと思います。みな、このままいけばどうなるか、「知ーらない」と漫然とやっていたことが、環境問題として出てきています。ものを捨てたあとのことを考えたことがなかったけれども、ほんとは、専門的な知識がなくたってわかりそうなことをやっていた―今日はその中で建築にからむ話を少ししたいと思います。
 
怪しい結末
 例えば「高齢化社会」ということが盛んに言われているが、「お年寄りが増えてくるのでバリアフリーにすればいい」という簡単な話ができてしまいました。住宅金融公庫の制度にまでなってしまって、ほんとにそうかどうかということを充分議論していない。本当に街に全て段差がなくなってみんなが年寄りになっても足をひきずって歩いている社会をイメージしているのかと思うとそうではない、車椅子にのっているのかというと、そんなこと誰も考えていないでしょう。
ついでに子供の話をすると、住宅には子供部屋をつくるのがほんとにいいのかという疑問があります。子供部屋をつくってかえって、子供の教育に良くないという本を書いている人もいます。
一方、郊外の住宅は永住の地なのか、という話もあります。都会のマンションは基本的に若いときだけで、庭付き一戸建で郊外に住むのが最終目的だと思っている人は少なくない。そこで年取ってもたよりになる家族は遠く離れた都心で、近所に店があったり、隣近所の知り合いがあるわけではない。仮に住宅地でも、昼間は誰もいません。すごく困ってしまうこどもある。農家のように、もともと自分のところで商売しているうちはいいけれど、結局郊外に一体何を求めているのかという問題にいきあたります。子供を育てるには自然が近い方がいいけれど、うっかり家を建ててよかったのかということになりかねない。
マンションは、一般的には仮の住まいという認識があり、ずっと住む人も最近は出てきたが、そういう人種は少数派です。30年後はマンションガタガタになりますよ、というと、「いや30年後はいませんよ」とみんな言います。でも、そのおかで、マンションは新築しか売れない。なにしろ、みんな新築を買います。その端から、ろくでもない中古マンションが今どんどんでてきています。マンションも中古ががんがん売り買いされれば、みんな安心して住めるわけです。新築のマンション買って、一年もすれば値が下がり、はっきりいえば、買った次の日にもう中古価格で購入価格から何千万も落ちてしまう。しばらく住んで自分はまた新築を買いたいけれど、さて中古を売らなくてはならない。そのときになって初めて、中古と新築の値段の格差に驚くというわけです。現状では、デベロッパーが買取リ、フォームして新築に見せかけて売りますが、マンションそのものはほんとに信用されていないのです。これは、建物の品質が落ちてしまうからにほかなりません。安易なリフォームではない、室の高い建物があればいいのではないでしょうか。
 
<おわりに>
都市での新しい住まい方を考えるとき、本来東京のど真ん中にも人は住むべきと考えます。千葉、埼玉の住宅を購入し片道1時間半の通勤時間をかけて会社に通ってきたサラリーマン社会も、交通費を会社が出してくれていたから可能だったわけで、今や限界です。企業もいつ経費節減してくるかわかりません。
 現在、都心では、「収益還元法」という不動産鑑定方法が常識になっています。いくらその土地が稼げるかということが算定基準となっています。海外では、例えばシドニーなどではこの方法でその土地の家賃が全てわかるよう、地図になっています。同じように考えると、都内で坪200万円の建物をつくることが貸せる値段であり、妥当であるという評価になっているのです。
 土地と建物ということについても所有か賃貸かで、売買することはパスし、とりあえず利用できればいいのではないかと考えることもできるのです。等価交換では、土地をいくら分にして評価するかが問題ですが、建物を「売りたければ買い取ります」という自信のあるものにして、所有する流通ができれば、このダイレクトマンションはきっと成功すると我々は確信しています。
 住宅は一生に一度の資産として買うことで、生活が豊かにならなくてはなりません。仲介者を排除して納得のいく価格にしたいものです。建設会社は胡散臭いというイメージがあり、恐ろしく思うお客さんも少なからずいるようですが、私たちは直接お客さんと付き合えています。このアクションを大事にしたいと考えています。
なるべくいいものを店頭売り―つまり、実物を触って見せて、臭いを嗅がせあげて、それはまるで八百屋の店先で無農薬野菜を売るやりとりのように、我が社が施工した住宅にお客さんをお連れして建物を見せてあげることで、本当に住みたい建物を提供するやり方があると思います。