ガイダンスセミナー

「夢」とは実現すべき目的のこと

 

夢を実現するためのチャレンジを「ビジネス」といい、そのチャレンジを始めることを「起業」といいます。起業には、 何の資格もいらないし、 何の制約もありません。  夢の実現を目指す、 誰にでもできる自由なチャレンジだから、私たちはあなたの起業を応援します!

  • 夢をはっきり描きたい人
  • 夢を実現する方法を知りたい人
  • 夢へのチャレンジを手伝って欲しい人

私たちが生きる世界は、誰にとっても共通のただ一つの現実ですが、一方で誰もが自分の心の中にそれぞれが願う世界を持っていて、この2つは簡単には一致しません。それにチャレンジする価値は十分にあると思いますが、もしも自分の願いがはっきりせず、人に対してはもちろんのこと自分に対してもうまく説明できないようでは、なすすべがありません。

起業とは、自分の思いと世界を合わせるチャレンジのこと。起業マインドは、心の起業…つまり自分の心を自分で理解するためのチャレンジです。そのためにやることは、現実と自分をつなぐ「感覚」を研ぎ澄まし、理屈でない自分自身と向き合うことです。早速あなたを、この冒険の入り口にご案内しましょう。

目次

  1. 「起業」とは何か    日常・非日常と起業の関係、ビジネスの定義
  2. 「実現」とは何か    夢と現実の違い・関係、実現とまぐれの関係
  3. 「成功」への道のり   「うまく行く方法」と「うまく行った状態」
  4. 「信じる」を説明せよ  知っていても説明できない(言葉は世界でできている)
  5. 「答え」とは何か    新しい答え、初めての答え、自分の答え、世界の答え

1.「起業」とは何か

2005年5月、私は縁あってIID世田谷ものづくり学校の校長をお引き受けしました。世田谷区の廃校となった中学校にものづくりやデザインに取り組む若い企業が入居して、ビジネスを介して地域住民と交流する事業で、民間企業が委託されて施設管理をするのではなく、家賃を払って活用する都内で初めての取組でした。世田谷区と私が「大家と店子」の関係で親しくなり、互いに何でも相談し合う関係になるのに、さほど時間はかかりませんでした。その中で、世田谷区が新設した産業振興公社がどんな形で起業支援に取り組むべきかと意見を求められました。

官が一部個人を支援、優遇する「起業・創業支援のあり方」に、常々疑問を感じていた私は「起業を一部の人の営利ビジネスと考えず、営利・非営利や個人・団体を問わないすべての区民のチャレンジと位置付けてはどうですか?」と提案しました。以外にもこれは新鮮な提案だったようで、私の提案通り新たな起業・創業支援事業が始まることになり、そのまま私に依頼が来ました。そんなことはやったことが無いとお断りしようとしたら、「どこにも事例のない事業なので、発案者のあなたがやるしかない」と言われ、意気に感じてお引き受けしました。こうして起業支援という仕事は、私にとっての「起業そのもの」となりました。

ちょうどそのころの話です。ある時JICA(国際協力機構)のご紹介で、スウェーデンから視察のお客様がやってきました。彼らはスウェーデン・レクサンド起業スクール、ダーラナ大学の関係者で、日本に提携できる起業スクールを探しに来たが、それらしき機関が見当たらずようやくここに辿り着いたそうです。私自身、公的な起業スクールというものがあることを初めて知り大変興味を持ち、今後の交流をお願いしたいが、IID世田谷ものづくり学校は教育機関ではなく単位の交換などもできないので、提携については丁重にご辞退しました。

JICAの方の通訳を介してお話しするうちに、私はふと疑問に感じました。それは「起業」という言葉はあくまで日本語であり、彼らは「アントレプレナー(スウェーデン語はちょっと違いますが)」という言葉を使います。これは本当に同じことを意味しているのか、知りたくなりました。そこであえて「スウェーデンにおける起業とは何ですか?」とたずねると、こんな答えが返ってきました。「私たちは、人生は日常と非日常そして起業だと教えています。人は日常の中で暮らしていますがそれだけを繰り返していると息が詰まり、非日常を求めます。つまり、ほとんどの人が日常と非日常の間を行き来して暮らしています。ところが時としてこの暮らしが行き詰まり、変化しなければならない事態が起きます。そんな変化を成し遂げることを、私たちは起業と考えます」。そこで私は「それでは起業とは、例えて言うなら引越しのようなものですか?」と尋ねました。彼らは笑って「いい答えですね、おっしゃる通り起業、ビジネスを身近なものと考えています。」と答えてくれました。

起業支援という仕事に関わり始めたころの私にとって、この話はいかにも腑に落ちました。そもそもビジネスという言葉は、商売や取引を意味する言葉ではありません。ウィキペディアにはこのような記述があり、私はこの説明が大好きです。

ビジネスとは営利や非営利を問わず、また、組織形態を問わず、その事業目的を実現するための活動の総体をいう。したがって、ビジネスの主体者としては株式会社などのような営利企業だけなく、NPOなどの非営利活動法人や住民サービス提供などを行う行政組織等を含み、個人または法人組織などの事業体がそれぞれの事業目的実現のために、人・物・金・情報などの諸資源を活用して行う活動全体を意味する。

人・物・金・情報などは確かにビジネスに不可欠な資源ですが、それ自体が目的とは限りません。私たちが生きていくのに、食べたり寝たり呼吸することが不可欠だからといって、それが生きる目的とは言えないのと同じこと。肝心なのは、「目的を実現する」ということ。このことについて、もう少し考えてみたいと思います。

2.「実現」とは何か

実現とは、夢を現実にする行為のことです。ですから、ビジネスにおける事業目的とは、「夢」と言い換えてもよいかもしれません。夢を現実にするということは、夢と現実が違うことを意味します。「実現前の夢」と「実現後の現実」の違いとは、たとえば次のようなことです。

  • 夢はぼんやりして細部がわからないが、現実はすべてが明らか。
  • 夢には足りないものがあるが、現実になればすべてがそろう。
  • 夢は自分の頭の中にあるが、現実は外にある。

上記の違いを無くすことが実現だと考えれば、さらに次のような説明が可能です。

  • 実現とは、ぼんやりした夢をはっきりさせること
  • 実現とは、夢の不足部分を埋めていくこと
  • 実現とは、頭の中の夢を外の世界で見せること

これらの説明でわかることは、実現には夢が不可欠なこと。夢がなければ実現を説明できません。実際には、夢が無くても様々な現実が生まれますが、それらは「まぐれ」です。

思いもしないで起きることを「まぐれ」と言いますが、これが「実現の反対」を意味します。例えばサッカーの試合で自分のゴールに入れてしまうことを「オウンゴール」と言いますが、これなどは代表的なまぐれです。恐らく「オウンゴール」を夢見る人は、一人もいないと思います。では願っていれば実現かというと、それも違います。宝くじを買う時、誰しも当たることを夢見て買うはずですが、これもまぐれであり、実現とは言えません。「いや、買うという行為がなければ当たらないのだからこれはビジネスだ」という人がいたとしても、それはオウンゴールした選手に「試合に出たお前が悪い」と言っているのと同じこと。そもそも「宝くじに当たる」という夢は、「当たるというまぐれ」を夢見ているにすぎないのです。

では、実現とまぐれの違いは何でしょう。サッカーのゴールにもまぐれがあります。パスするつもりが相手に当たって入るとか、よそ見しているうちにお尻に当たって入るとか。そんな選手のおかげで大事な試合に勝ったとして、その選手に好条件のオファーが来るでしょうか。先日あるコラムで、大事な試合でミスをするH選手のことが書いてありました。「肝心なところでミスをするH選手を多くの人が責めるが、なぜその場にいつもH選手がいるのかを考えて欲しい。決定的な場面でその場に居合わせることができる選手が如何に頼りになるのかを」と。まぐれとは1回のこと、実現とは繰り返し再現することなんです。再現できないビジネスなど、誰からも当てにされるはずはありませんよね。

3.「成功」への道のり

夢が実現することを「成功」といいます。すべてのビジネスは成功を目指しているといっていいと思います。したがって、多くの人が私にこう尋ねてきます。

「成功するにはどうすればいいのか?」と。

これに対しいつも私は「その質問自体が間違っている」と答えます。その質問は、大事な部分が抜け落ちていて、本来2つの質問がいつしか1つに省略されたとしか思えません。正しくは・・・

「成功するとどうなるのか?」そして「そうなるためにはどうすればいいのか?」

だと思います。

先ほど「夢は頭の中にある」と申しましたが、成功とはこの夢のこと。だから、成功は頭の中にあり、当人にしかわかりません。それなのに「どうすればいいのか?」と聞かれてもわかるはずはありません。もしもそれを尋ねたいのなら、まず初めに「自分にとっての成功とはどうなる事か」を説明する必要があります。先ほどの問いは、このことを判っていない人の言葉であり、そのままでは永久に答えなど見つからないでしょう。「成功」は自分で定義しなければならないものという点について、もう少しご説明しましょう。

再びサッカーのゲームを例にします。サッカーの成功とは試合に勝つことですが、その勝敗はルールに従って相手より多く得点した方が勝ち・・・とあらかじめ決められています。このルールは、サッカーだけのもので、野球やフットボールでは通用しません。実際私たちは、ルールを知らなければそのスポーツの勝敗どころか、面白さすら理解できません。ここで肝心なことは、それをあらかじめ・事前に決め、知ることです。じゃんけんで順番を決めるのに、勝った方からか、負けた方からかを決めずにじゃんけんをしてしまうと取り返しがつかなくなり、誰か第3者か神様の仲裁を求めるしか無くなります。

成功と失敗、勝ちと敗けの他にも、善悪、正誤など、これらの価値観はなぜ地域や時代によって異なるかは、すべて誰かが決めたことだからです。一見当たり前のように思えることも、初めに誰かが決めてみんながそれに従うようになっただけのこと。ビジネスとは、こうしたすべてのことを指す、誰もがいつでもやっている身近なチャレンジのこと。不満とは、自分の目的に反することをしなければならないときや、いくらやっても目的が実現しない、満たされない状態のことです。だからこそ、自分の成功、自分の夢、自分の目的を説明することが大切です。ところがその答はなかなか見つかりません。自分の夢の説明は、どこを探せば見つかるのでしょう。

4.「信じる」を説明せよ

「自分の夢のわかりやすい説明」を「答え」といいます。「あなたの目的は何ですか?」に対する「答え」は、そのわかりやすい説明でなければ意味がありません。考えてみると、私たちは常にその答えを探しているのかも知れません。そしてある時、その答えを見つけ、自分の想いを説明できるようになるのです。私はある時、疑問に対する答えに出会う体験をしました。それは、テレビの声を片耳で聞きながら、パソコンに向かって作業している時のことでした。

ブックレビューとか言う番組の中で、女性が絵本を紹介し、朗読していました。「小さな島」という翻訳書で、お母さんが子供に読み聞かせる感じです。ある所に小さな島があって、そこでは花が咲き、鳥がさえずり、オットセイが遊んでいる。はじめは右の耳だけで聞いていたのですが、だんだん頭の中に島が見えてきました。ある時島に船がやってきてそこから1匹の子猫が降り立ちました。子猫は島を一通り巡った後「お前は寂しい島だなあ」と言いました。「僕は小さいけど4つの足で地球につながっているが、お前は海の中でポツンと独りぼっちだ」すると、島が答えて「そんなことはない、僕だってちゃんと地球とつながってるよ、魚たちに聞いてごらん」と言います。早速猫は魚を捕まえて問いただすと「嘘だと思うなら一緒に海の中に来ればいい」と言われ、泳げないので怒って「食べちゃうぞ」と脅かすと、魚から「それじゃ僕の言うことを信じるしかないね」と言われ、猫はこう尋ねました「信じるってどういうこと?」。この時僕はもう、テレビに釘付けになっていて、猫と同じことを思っていました。すると魚はさらりとこう言ったんです。

「信じるって、僕の言うことを本当と思うことだよ」

私は愕然としました、だってその通りだからです。

僕は「信じる」を辞書で引いたこともないし、学校で教わったこともないし、友達と議論したこともありません。つまり、あらかじめ「答え」を知らないのに、初めて聞いた「答え」を「それだ!」と思ったわけで、これは驚きです。なぜ答えがわかったのか・・・と。でも次の瞬間、その理由がわかりました。それは、僕があらかじめ答えを知っていたからです。「信じる」という言葉を僕はよく知っていますし、小さなころから何度も使い、その使い方を間違ったことはあまりありません。ですが、「それはどういうことか」を問われ、考えたことはありません。だから、この体験はとても新鮮だったわけです。

これが「答えに出会う」という体験です。つまりそれは、初対面なのに「君だったのか」と思えるような、「知っていることとの出会い」です。そもそも私たちは、知っていることでなければ理解できません。答えを探すということは、答えを知っているからできることであり、知らなければそれが答えかどうかもわかりません。そして私たちは、このことに敏感に反応します。知っていることには「なるほど」と言い、知らないことには「へえーー」と言います。初めは知らないことでも、それが自分に必要なことであれば記憶され、次に出会う時には知っていることになります。こうして頭の中の世界を広げていくことを学習というのかも知れません。「答えは自分の中にある」これが私の結論です。

5.「答え」とは何か

ビジネスとは、自分の夢と世界をつなぐ素晴らしいチャレンジです。このチャレンジを楽しむためには、まず初めに自分の目的、夢、成功・・・つまり自分の答えを見つける必要があります。私は、その作業に魅せられて、起業支援にのめり込みました。それが誰の夢であろうと、自分の夢を見つけることに取りつかれ、その方法を模索してきました。その結果、次の4つの方法を創出し、セミナーやワークショップの形で実践しながら構築したのが、「起業マインドサイト」というプログラムです。

  1. 新しい答え(起業)
    誰もやっていない新しい答えの姿を推測し、仮説を解いていく方法
  2. 初めての答え(創業)
    自分にとって初めてで未知の答えを、経験した人から学ぶ方法
  3. 自分の答え(交流)
    自分の答えを知るために、他人とのコミュニケーションから学ぶ方法
  4. 世界の答え(地域)
    自分の答えを知るために、世界におけるその姿や価値から学ぶ方法

私たちが先生、先輩、書籍、プロから学ぶのは「2、初めての答え」だけ。他にも少なくとも3つの学び方があることを知っていただきたい。ビジネスとは、頭の中の世界を実現するチャレンジです。そのチャレンジを生み出す「起業」には、自分の頭の中を豊かに、面白くすることが欠かせないと私は思います。