A14_5.where:空間の同じと違い

私たちにとって、空間の中身を区別するのは難しいですが、カタチを区別するのは簡単です。それは、空間の中身とカタチを「同じと違い」と言い換えればよくわかります。空間を区別するというのは、比較して違いを探すことなので、比較するにはまず知ることが必要です。「同じ」とは、それ自体を指す言葉なので、私たちは「違う」かどうかでしか空間を区別することはできません。したがって、私たちは空間のカタチを区別できても、中身を区別することはできません。ところが、区別できないものを私たちは「同じ」と言ってしまいます。実際「同じ」かどうかを確かめるのは大変で、全てを確認し、一つも違いが無いことを証明しなければなりません。でも私たちは、肌の黒い人を見て「黒人」と呼んでいますが、日焼けしているだけの人かもしれないし、白人に分類されるインド人かも知れません。夜空に光るものをまとめて「星」と呼んでいますが、飛行機や山小屋の明かりかも知れません。それらがすべて同じかどうかを確認もせず、肌の色や光り方が似ているだけで、「同じ」と言っているのは「残りの判らないことは全部同じ」にしているからではないでしょうか。

 

実現の様子を空間で説明するのは、それが満足できるものだと他人から選んでもらうためです。人間は自分の知っている満足と同じものを選びます。でも、人間が区別できるのは違いだけで、同じものを見つけるのは苦手です。そこで、実現しようとする空間のカタチの違いが、満足と同じ中身をもたらすものであることを事前に確認することが、説明の目的です。例えば、「ブティックで買った服のセンスが素晴らしい」とはどういうことでしょう。もちろんセンスの良い服を選べばいいのですが、それとセンスのない服の違いが判らなければ、実現できません。そこで、センスが良いと悪いの違いを、具体的なカタチにしてみましょう。例えば、店内を2つのエリアに分け、センスの良い服と、無い服に分類すれば、誰もがセンスの良い服を選べるかもしれません。説明とは区別できないことを区別できるようにすることです。この場合「センスのいい服」を区別できない人が、区別できるようになるという様子=カタチを示しましたが、さらに年齢や体形など分類を充実させていけば、もっと多様な違いを提示して選択肢を扶足すことも可能です。

 

こうして描いた満足の光景を実現させるには、現状と満足を比較して、足りないものを加え、余計なものをそぎ落とします。そして満足の実現に必要なものでなく、十分なものを見極めることです。私たちは、違いが無ければ物事を区別できないからこそ、選択肢が必要です。選択肢の無い絶対に正しい答えとは、選択肢作りを怠っているだけのことだと思います。だからこそ、広い視野を持って世界を俯瞰し、「大切な選択をするための選択肢」を作り出すことで、自発的な合意を作り出せると思います。そこで大切なことは、違いを明確に表現する5感に伝えるカタチです。アートが装飾を付け加える行為なら、デザインはシンプルにそぎ落とす行為かも知れません。「センスがいい」ということは、どういうことか、そのカタチを5感で判別できるよう、具体的に提示していくことが大切です。そしてその根拠は「あなた自身がどう考えるか」でしか無いことを、忘れないでください。

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