A14_4.who:空間の内と外

私たちにとって、空間の中身を知るのは難しいですが、カタチを知るのは簡単です。それは、空間の中身とカタチを「内と外」と言い換えればよくわかります。空間を知るというのは、自分で見たり聞いたり5感で感じ取ることなので、知るにはまずそこに自分がいることが必要です。「内」とは、入ることのできない部分のことなので、私たちは「外」からでしか空間を知ることはできません。したがって、私たちは空間のカタチを知ることができても、中身を知ることはできません。ところが、自分自身の中身だけは知ることができます。自分のことを「私」、相手のことを「あなた」、その他の人を「あの人」と区別するのを「人称」と言いますが、空間にも同じく「これ・それ・あれ」人称があります。人間は、自分の中身は自分しか分かりませんがコミュニケーションによって他人の中身を知ることができ、あなたとあの人の違いはコミュニケーションの相手かどうかの違いです。更に「相手の身になる」という言葉は、人間が何にでもなれることを意味します。私たちは「自分だったら」と考えることで、あらゆるものの中身を知る(知った気になる)ことができます。

 

実現の様子を空間で説明するのは、それが満足できるものだと他人に理解してもらうためです。人間の満足とは、自分自身にしかわからない内面的なものです。でも、それを実現するためにできることは、外面的なことばかりです。そこで、実現しようとする空間の外見が、内面の満足をもたらすものであることを事前に確認することが、説明の目的です。例えば、「ブティックで買った服がよく似合う」とはどういうことでしょう。もちろん本人が似合うと思えばそれでいいのですが、それを外から見てわかるよう可視化しないと、実現できません。そこで、本人の満足という内面の状態を外面的なカタチにしてみましょう。例えば、専門のスタッフが選んだ服を静かな部屋で試着して、街を歩きながら感想やアドバイスをしてもらえたら、納得のいく服を選べるかもしれません。説明とは知らないことを知るようにすることです。この場合「似合う服の選び方」を知らない人が、それを知るという様子=カタチを示しましたが、視覚的な光景だけでなく、静けさや賑わい、香りなども説明すれば、もっと理解が深まるかも知れません。

 

こうして描いた満足の光景を実現させるには、現状と満足を比較して、足りないものを加え、余計なものをそぎ落とします。そして満足の実現に必要なものでなく、十分なものを見極めることです。人間は自分の満足ですら自分だけでは決められないからこそ、ビジネスが成立するわけです。自分で解決できる人は、ビジネスの対象ではありません。だからこそ、他人の評価・解釈・反応などを高め、「満足に値する外的な状況」を作り出すことで、本人の満足を作り出せると思います。そこで大切なことは、満足の基本をなす「善悪」、「勝敗」、「美醜」などの「価値基準」です。善、勝、美などの満足の要因を加え、悪、負、醜などの不満の要因を排除していきます。「服が似合う」ということは、良いことなのか、強いのか、美しいのかなど、その価値観を具体的にしていくことが大切です。そしてその根拠は「あなた自身がどう感じるか」でしか無いことを、忘れないでください。

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