A14_1.what:カタチと中身

私たちは何かの様子や内容を説明するのに「空間」の概念を使います。空間の概念は「全体と個(構成要素)」とご説明しましたが、普段は全体のことを「カタチ」といい、その構成要素を「中身」と言います。例えば、人間の「カタチ」は人間全体を意味し、筋肉や骨はその「中身」のことです。山や海、戦争と平和、昼と夜、都会と田舎など、およそすべての概念を私たちは「カタチ」として思い浮かべ、その「中身」について考えます。これらの概念は言葉でなく「カタチ」が先にあり、人々はそれらに名前(言葉)をつけていきました。日本では「空」、アメリカでは「sky」と言われるモノは、呼び名が違うだけで同じ「空間」を意味します。つまり私たちは、言葉でなく言葉が指し示すカタチや中身で世界を説明しているから、世界中の言葉を翻訳し、理解することができるのでしょう。

「カタチ」は5感で感じるもので、目で見るだけでなく触った感触、聞こえる音、漂う匂い、そして味などのすべてを含みます。そして、およそすべてのカタチに対し私たちは名前を付け、それで説明しています。例えば空の色を「青」と呼びますが、「青はどういう色か」と聞かれても説明はできません。カタチはそれを知らないと「思い浮かべる」ことができません。ですから、知らない形を説明することはとても難しい、というか不可能に近いでしょう。そして、熱い・冷たい、硬い・柔らかいなどの感触も「カタチ」の一種です。フランスではワインの味を「太陽をたくさん浴びたブドウの味」のように説明するそうですが、太陽を浴びたことのない人には所詮理解できないでしょう。でも逆に、誰もが知っている感触や経験をうまく組み合わせれば、カタチを説明することもできる訳です。

一方「中身」を感じることはできません。「中身」とは、外から見えない部分であり、触ることも聞くことも嗅ぐことも味わうこともできません。もしも中身を見たいなら、ふたを開けるか皮をむいて内側を覗かなけれななりません。ミカンをいくら舐めても、皮をむいて房を舐めても味は分かりません。結局房にかぶりつき、食べてしまわないと味わうことはできません。このように、実際に中身を5感で確認するには、それを分解し、全てを破壊する必要があり、それでもその成分や組成は分かりません。実際、物質は何で出来ているのか、現代科学では解明できていません。こちらもわかっている範囲で、想像し考えているにすぎません。私とあなたが人間なら、きっと1つの心臓と2つの肺を持っているはずです。私たちは、それを疑うのでなく、信用することで世界を説明しています。

このように、私たちが当たり前のように知っているはずの世界は、実は知っているはずの感覚と、知っているはずの知識で成り立っている「空間」なんです。だからこそ、その気になれば世界を自在に作り出すことも十分に可能なんです。

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