A11.what:具体と抽象

5W1Hの中で、「What(なに)」は特別な疑問です。
「なぜ」は理由を、「どのように」は方法を、「だれ」は人間を、「どこ」は空間を、そして「いつ」は時間を訊ねる疑問ですが、「なに」は一体何を訊ねているのでしょう。例えば「あなたは誰ですか?」と問われたら、「松村です、この塾の主催者です」でよさそうですが、「あなたは何(何者)ですか?」と問われて、「別に怪しい者ではありません」と応えればそれでいいのだろうか。この塾の最初の課題も「あなたのやりたいことは何ですか?」という問いから始まりましたが、「なに?」という問いに応えるには、相手が何を求めているのかを考える必要を感じます。必要なら5W1Hのすべてを盛り込んで、不要ならそれらを一言で表すことが、「なに」に応える方法なのでは。この講義では、提出された「あなたのやりたいこと」から、5W1Hの6つの答えを抜き出しながら、「疑問の仕組みと使い方」について説明したいと思います。

 

A11_1.思考と名詞(what)

対象の疑問:ヒト・人称、時間・価値、範囲・カタチ
自分の疑問:未知の答え(5W1H)、疑わしい答え(?)、複数の答え(WHICH)

■なに(what)は、名前

もしも「あなたのやりたいことを10文字以内で書きなさい」と言われたら、あなたは何を書くでしょう。きっと、やりたい内容を思い起させるような「タイトル」を書くと思います。「なにwhat」とはまさにそのことで、一言で何かを示す「名前」のことです。今回は「100文字程度」で書いていただいたので、様々な説明が加わっていますが、その中から呼び名にふさわしい部分を抜き出して、この投稿のコメント欄に返信してください。

■名前はいつも、名詞

名前のことを、文法の授業で「名詞」と教わったのを覚えていますか。言葉は、大ざっぱに分けると、名詞、動詞、形容詞の3つに分類できます。人間の使う言葉には、この3つが頻繁に使われますが、言葉の種類は名詞だけが飛びぬけてたくさんあります。その理由は簡単で、「それは何ですか?」という問いのすべての答えが「名詞」だからです。名詞は、世界や自分の何かを指し示す「呼び名」にすぎないので、いくらたくさん並べても何も事件は起きません。なぜなら、感じたことを表現する形容詞や、やることを表現する動詞と違い、名詞は考えているだけだからです。名詞の数だけがやたらと多いのも、これが原因だと思います。

それほど膨大な名詞なのだから、足りない言葉など滅多に無いと思われがちですが、実はそうではありません。「プライバシー」という言葉はなぜカタカナかご存知ですか。それは日本語に「プライバシー」を意味する言葉が無いからです。「プライバシー」という言葉を使うようになる以前、この言葉が無かったということは、実際に日本では「プライバシー」が存在しなかったことを意味します。その逆に「甘える」という意味の英語が無いという気づきから、土居健郎の名著「甘えの構造」が生まれました。世界には足りない言葉がいくらでもあります。僕たちが自分の思いをうまく説明できないとき、俺は自分の能力を疑う前に、「必要な言葉が無いのかもしれない」と疑うべきです。

■なに(what)が足りない時

そんなときあなたならどうしますか。僕は迷わず「自分で言葉を作ること」をお勧めします。あなたが書いた「自分のやりたいこと」を、一言で言えば何と言う・・・を考えてください。もしもどこにも見当たらなければ、名付けてください。そして今後は、その名前で呼ぶことにしましょう。あなたがやりたいことを実現した時、その名前がどのように使われるかを考えてみてください。そして、それにふさわしい名前を考えてください。自分のやりたいことを実現するには、これまでにない新しい問題と答えが随所に生まれ、それらにすべて新しい名前が必要となります。ですから、いちいち深く考え込まず、さっさと名前を付ける必要があります。そこで大切なことは、「とりあえず」名前を付けること。そしてみんなで使い始めれば、次第に改善されていきます。名前とは、単なる呼び名で意味はありません。使いやすさや心地よさなど、見た目やイメージを大切に、常に改良することが必要です。本当の名前を見つけるのは、実現してからでも遅くはありません。

 

A11_2.感覚と形容詞(why)

答えにあう:会う、逢う、合う
答えがわかる:解る、判る、分かる

■なぜ(why)は、理由+目的

「なぜ(why)」は理由を問う言葉です。「あなたのやりたいこと」には、そう思い立った理由があるはずです。例えば、何か困ったり、楽しかったり、具体的にあなたが何かを感じたり体験したことであり、それは「あなたのやりたいこと」の出発点のようなものです。そして、その理由をきっかけにあなたが「何かを目指す」なら、それがあなたの「目的」です。例えば、困ったことを解決したいと思ったら、その「解決」が、楽しかったことを他人に教えたいのなら、「教えること」が目的です。先ほど「理由(why)」を出発点に例えましたが、そこから生まれる「目的(why)」はまさに到着点(ゴール)のようなものです。「なぜ」は、あなたが「どこ(理由)からどこ(目的)に行きたいのか」を問う疑問だと言い換えてもいいでしょう。あなたの100文字から、「なぜ、何のため」なのかを抜き出してみてください。

■理由はいつも、形容詞

理由は「感じたことや体験したこと」と述べましたが、さらに具体的に言うと、見る、聞く、嗅ぐ、味わう、触るなどの五感で世界を感じることです。したがって、理由を表す言葉は、「大きい、うるさい、怖い、寒い」などの形容詞になります。「理由と目的」を「出発点とゴール」に例えれば、「大きいから小さくしたい、うるさいから静かにしたい、怖いから安心したい、寒いから温まりたい」という風に、そこで感じる内容や程度を表す言葉になります。この「理由や目的」に共感する人は、あなたと同じきっかけで、あなたと同じゴールを目指す人何で、必ずあなたのやりたいことに興味を持ちます。だから大切なことは、この「理由と目的」が、誰にでも理解できるように解りやすいことです。もしも、予備知識や専門知識を必要とする言葉が使われていると、それを知らない人には理解できなかったり誤解を生じます。だから、誰にでもわかるように説明したければ、「10歳の子供にもわかる言葉」で語る必要があります。

また、形容詞は「比較」を示す言葉で、何かの基準より「大きい」とか「怖い」と示すにすぎないので、その基準や対象を具体的にすることが大切です。この点においても、出発点とゴールは、まさに比較の基準かつ対象ですので、必ず理由と目的の双方を明確にしたいものです。ところが、「自分のやりたいこと」を読み返してみると、理由と目的の片方しか無かったり、どちらも見当たらないこともありがちです。しかし、自分のやりたいことに「理由も目的もない」などということはあり得ません。

■なぜ(why)が足りない時

そんなときあなたならどうしますか。僕は迷わず「恥ずかしがらずに書いてみること」をお勧めします。あなたが「自分のやりたいこと」のうち、「理由」を書くのはそれほど難しくないでしょう。しかし「目的」とは、あなた自身の「夢・願い・思い」のことです。もしも、「自分のやりたいことを実現する」を、「夢を叶える」と言い換えると、あなたは照れ臭いと感じませんか。実際に多くの人は、自分の目的を「恥ずかしいから」書けずにいます。子供のころは、あんなに夢を語っていたのに、どういて大人は夢を語れないのか。確かに、すでに体験済みの「理由」に比べると、これから目指す「目的」を語るのは難題です。でも、絵空事ばかり口走るお調子者もいるわけで、過去より未来が難しい訳ではありません。むしろ、多くの人は未来を語る機会が少なく、不慣れなせいだと思います。そこで大切なことは、「とりあえず」目的を決めること。そして文字に書き、みんなに説明すれば、自分が何かを感じます。自分でも「なるほど、そうかも」と感じれば、順調です。違和感を感じたら、自分自身に「なぜ(why)」と問い、その理由を考えればいいことです。だから、「目的がわかりません」などと決して言ってはいけません。誰が何と言おうと「自分自身の納得」を大切にすれば、変化しても仕方ありません。「本当の目的」でなくとも、「最新版の目的」さえあれば十分です。

 

A11_3.行動と動詞(how)

問題をたずねる:尋ねる、訪ねる、訊ねる
問題をつくる:創る、作る、造る

■どうやって(how)は、十分なやり方

「どうやって(how)」は方法ややり方を問う言葉です。ここで注意しなければならないことは、方法を名前や目的と一緒ごたにしないことです。例えば、「健康のためにヨガ教室をやります」の「ヨガ教室」は方法でなく名前ですし、「一生に一度でいいからエベレストに登りたい」の「エベレストに登る」は方法でなく目的です。目的を実現し、その名前にふさわしい状況になるための具体的な方法が「どうやって(how)の答えです。そしてもう一つ、その方法を実行すれば、必ずやりたいことが実現しなければなりません。「やらないよりはまし」とか「やった方がいい」ではだめです。十分なやり方とは、「やれば必ず実現する方法」という意味の言葉です。あなたの100文字から、「どうやって」実現するのかを抜き出してみてください。

■方法はいつも、動詞

やり方や方法は、行動を示す言葉なので、必ず「動詞」を含む言葉です。ですから「ヨガ教室」はやり方とは言えません。「ヨガ教室をやりましょう」と言われてそれをできる人は、すでに「ヨガ教室」のやり方を知っている人だけです。しかし、その人が知っている「ヨガ教室」は、果たしてあなたのやりたい「ヨガ教室」と同じものでしょうか。それを確かめるためにも、「ヨガ教室」を「どうやってやるのか」をきちんと説明する必要があります。また「エベレストに登ってください」と言われても、普通の人なら「どうやって登るんですか?」と問い返すと思います。例え「動詞」を使っていても、その言葉から具体的なやり方がイメージできなければ、実行することはできません。いつも「どうやって?」を繰り返し、行き着いた「動詞」が方法です。

したがって、最適な方法は人によって様々で、答えは一律とは言えませんが、少なくともあなたが伝えたいと思う相手が「実現を想像できる方法」である必要があります。「自分のやりたいこと」が実行可能な「動詞」を伴わず、「名詞」や「形容詞」ばかりでできていると、賛同や共感を得ることはできても、行動が伴わず、いつまでたっても実現しない夢物語になりがちです。しかし、誰でも「どうやって」が判るくらいなら、この塾は要りません。「どうやって実現するか」こそが、この塾の核心です。

■どうやって(how)が足りない時

そんなときあなたならどうしますか。僕は迷わず「当たり前のことを書いてみること」をお勧めします。あなたが「自分のやりたいこと」を主観的に書くのはそれほど難しくないでしょう。しかし「方法」とは、あなたの目指す実現を客観的に説明することです。例えば「エベレストに登る」というあなたの願いを傍から見るのが客観です。ヘリコプターで登るのか、歩いて登るのか、あるいはゲーム空間の中で登るのか。「そりゃ、歩いて登るにきまってるだろ!」とおっしゃるかもしれませんが、書いてなければわかりません。

どうやって(how)の作り方は、次のセッションでお話しします。それは、本当の「方法探し」を始める前に、まずは説明不足の「当たり前」を言葉にする必要があるからです。とにかく常に「どうやって」と自問して、「当たり前のこと」を書くことです。とかく正しいことは、当たり前のことなんです。やがてあなたが、自分のやりたいことを説明できるようになった時、「なあんだ、こんなことだったのか」というかも知れません。答えとはそんなもの、あなたが知っていることに中に答えはあるんです。だから、「横着せずに」具体的、客観的な説明にチャレンジしてみてください。

 

A11_4.人間と主体(who)

ヒト・人称:わたし・これ、あなた・それ、あの人・あれ
未知の答え(5W1H):抽象・具体、主体・客体、自分・世界

■だれ(who)は、人間

「だれ(who)」が問う人間とは、「あなたのやりたいこと」を映画に例えるなら、そこに出てくる登場人物たちのこと。この世界の中の一部の人たちやひとりの人を選び、その人たちの関係を説明するための疑問です。その代表が、自分である「私」と、相手である「あなた」、そしてその他の「彼」の3種類で、これを文法の授業で「人称」と教わりました。しかし、世界には人間以外のモノや時間など様々な要素でできており、それらすべてに対しても「これ」「それ」「あれ」で指し示し、それらの関係を説明する必要があります。人は人だけと関わって生きるのでなく、車を愛したり、星に癒されたり、歴史を学んだりします。あなたのやりたいことを実現するために、様々な人やモノなどが、欠かせない役割を演じるはずです。そこでまず、「あなたのやりたいこと(100文字)」の中から、すべての登場人物や物事を抜き出してみてください。

■だれ(who)は、名詞

登場人物や物事は、当然のことながら「名詞」で書かれているはずです。そしてそれらは、ごく一般的な誰でもいい場合や、ある特徴や共通点を持つ人々を指す場合のほか、ある特定の個人やモノを示すこともあるでしょう。それらを表すために、名詞には単数形と複数形があったり、普通名詞と固有名詞があったりするわけです。例えば「黒いスイカを作って売りたい」とすれば、「黒いスイカを買いたい人」と「黒いスイカを作る人」がいるわけです。あなたの目的が、「買いたい人を喜ばせる」のか「作る人を救う」のか、どちらにせよ「買う人」と「作る人」がいなければ実現しません。そしてもちろん、あなた自身がだれなのかも重要です。あなたは「買う人」なのか「作る人」なのか、それとも両者をつなぐ「八百屋」なのか。

登場人物の一切いない映画がない訳ではありませんが、それを作った人が必ずいて、それを見ているあなたがそこにいます。だから、「あなたのやりたいこと」には、たとえ登場人物がいなくても、あなたという関係者がいるはずです。したがって、あなたのやりたいことには、だれかが必ずいるはずです。だれのためでもなく、だれもやらないことが実現するはずがありません。

■だれ(who)が足りない時

そんなときあなたならどうしますか。僕は迷わず「自分のことを説明する」をお勧めします。あなたが「自分のこと」を説明するのはそれほど難しくないでしょう。しかし、自分だけで完結することであれば、自分でやればいいだけのこと。もう一つ欠かせないのが、「相手」のことを説明することです。少なくとも、自分のやりたいことを「伝えたい相手」はだれなのか。それを書かずに進めることはできません。

そもそも人間とは何でしょう。人間の形をしていても人形やロボットは人間ではありませんが、人間のように人形を大切にしたり、ロボットに感謝する人もいます。親しい生き物でもサルやイヌは人間ではありませんが、サルやイヌどころか、盆栽や石までも人間のように愛する人がいます。さっき亡くなった人の遺体は人間ではありませんが、ずっと昔に亡くなった人を思い、苦しめられている人もいます。人間とは、私たち人間にとって必要なものの総称にすぎないのかもしれません。だから、「人に限定せず」あなたの映画の具体的、客観的な説明にチャレンジしてみてください。

 

A11_5.空間と状態(where)

範囲・カタチ:全体・外、部分・カタチ、個・中身
複数の答え(WHICH):比較、対比、中身

■どこ(where)は、空間

「どこ(where)」が問う空間とは、「あなたのやりたいこと」を映画に例えるなら、シーンや状況設定のこと。この世界の中の一部の場所やモノを選び、それらと私たちの関係を説明するための疑問です。その代表が、「外」と「内」、そしてその境界の「かたち」の3種類で、私たちはその内側にいるときは「空間」と呼び、外側にいるときは「モノ」と呼びます。そして私たちは、空間を5感で認識します。したがって、空間には、見たり、聞いたり、触ったりと感じることすべてが含まれます。手触りや匂いなど、目に見えなかったり説明が難しくても、確かにそこに存在する者ならそれは空間です。そこでまず、「あなたのやりたいこと(100文字)」の中から、すべての場所やモノを抜き出してみてください。

■どこ(where)は、形容詞

シーンや状況設定は、当然のことながら「形容詞」で書かれているはずです。空間は、「山」とか「空」といっても何も頭に浮かびませんが、「高い山」とか「青い空」と言うことで初めて意味を持ちます。この形容詞が、5感でどう捉えたか、つまり自分と空間の関係を説明することになる訳です。形容の内容は、「高い」などの程度や「青い」などの特徴です。これらを使って、私たちは空間を比較したり区別したりするわけです。

シーンや状況設定の一切ない映画があったとしたら、それは暗闇の中で沈黙を楽しむ映画になるでしょう。その映画にはタイトルだけがあって、5感を通じて得られる情報は一切ありません。もしもその沈黙から、何かを思い描くことができたなら、それも間違いなく空間です。したがって、あなたのやりたいことを思い描くとは、その空間を描くことそのものです。何もない状態を実現と呼ぶわけにはいきません。

■どこ(where)が足りない時

そんなときあなたならどうしますか。僕は迷わず「場所を決めること」をお勧めします。あなたが「漠然」と説明するのはそれほど難しくないでしょう。しかし、それは自分だけが判っている、いや、判っているつもりになっているだけのこと。実現に欠かせないのは、「現実」のことを説明することです。少なくとも、自分のやりたいことを「実現する場所(モノ)」はどこなのか。それを書かずに進めることはできません。

そもそも空間とは何でしょう。同じ青い空を見ても、誰もが元気になるとは限らず、悲しい思い出のある人は違う気持ちになるかも知れません。同じ家に暮らしても、きちんと片付けて広々と暮らす人と、荷物をだらしなく散らかして狭苦しく暮らす人がいるでしょう。問題は、自分にとってそこが「また来たい場所」なのか、「二度と来たくない場所」なのかということが、理由と目的に深く関わっているということです。空間とは、私たち人間にとって、出発点(理由)と到着点(目的)の双方を表すのかもしれません。だから、「初めから欲張らず」あなたの映画の初めのシーンとラストシーンの説明にチャレンジしてみてください。

 

A11_6.時間と変化(when)

時間・価値:未来・自由、現在・満足、過去・美徳
疑わしい答え(?):認識の是非、指定の正誤、事実の有無

■いつ(when)は時間

「いつ(when)」が問う時間とは、「あなたのやりたいこと」を映画に例えるなら、シナリオやストーリーのこと。この世界の中のある時や期間を選び、それらの変化や私たちの行動を説明するための疑問です。時間は「過去」と「未来」に大別できますが、私たちは常にその境界である「現在」に身を置いています。そして、頭の中では「過去」と「未来」を自由に行き来し、思い描くことができます。したがって、時間には、今現在以外のすべてが含まれます。今現在あるものが、これまでどうだったのか、そしてこれからどうなるのかということが時間です。そこでまず、「あなたのやりたいこと(100文字)」の中から、今ここに無い、すべての過去や未来を抜き出してみてください。

■いつ(when)は、動詞

過去や未来などの時間を表すのは動詞の役目です。例えば「歩く」の過去形は「歩いた」ですが、そもそも「歩く」という動詞は実際にはまだ歩いていません。歩くは、歩かない(未然)、歩きたい(連用)、歩く(終止)、歩く時(連体)、歩けば(仮定)、歩け(命令)などに変化(活用)しますが、どれ一つとして歩いているものはありません。現在「歩いている」としたら、これは動詞ではなく状態を示す形容動詞となる訳で、動詞は現在を表す言葉ではありません。つまり、過去形は「すでに起きたこと」を示し、一般の動詞はこれからどうするのかの意思を表しているにすぎません。時間とはすでに起きて確定した過去と、これから起きる未来を同じ形式で説明する、一連のストーリーです。「もし信長が生きていたらどうなっていただろう」と考えることができるのは、信長が死んだ後のことを知っているからであり、その意味では未来を知った上で過去を思い浮かべています。また逆に、「2020年にはどうなっているだろう」と考えることができるのは、過去のオリンピックが開催されるまでのプロセスを知っているからであり、その意味では過去を知った上で未来を思い描いています。時間は、はるか昔宇宙の始まりから現在を経て、遠い未来までの壮大な一つのストーリーであると同時に、私たち自身がどこを「今」と考え、そこから過去を振り返るか、未来を思い描くのかというシナリオでもあります。どんな過去が現在を生み、現在がどんな未来を生むか変化から、私たちは様々な価値を感じとり、説明できるようになるわけです。

ストーリーやシナリオの一切ない映画があったとしたら、それは単なる1枚の絵のような画像になるでしょう。その画像にはタイトルと情景だけがあって、それが生まれた理由や、これからどうなるかの情報は一切ありません。もしもその情景の意味を、誰かに説明するならば、あなたはそこから見た過去や未来について語るに違いありません。したがって、あなたのやりたいことを説明するのは、その「時間=過去と未来」を語ることそのものです。理由となる過去のない、偶然のような未来を、実現と呼ぶわけにはいきません。

■いつ(when)が足りない時

そんなときあなたならどうしますか。僕は迷わず「期限を決めること」をお勧めします。あなたが「過去」を説明するのはそれほど難しくないでしょう。しかし、それは誰もが判っている、いや、判っているつもりになっているだけのこと。実現に欠かせないのは、「未来」のことを説明することです。少なくとも、自分のやりたいことを「実現する未来」はいつなのか。それを書かずに進めることはできません。

そもそも時間とは何でしょう。同じ大失敗をしてしまっても、それが不幸になった理由にもなれば、それが幸福をつかむ理由にもなります。同じ大成功を目指しても、誰からも相手にされない人もいれば、大勢から支持される人もいます。問題は、過去や未来それぞれの良し悪しではなく、過去と未来の組み合わせが、自分にとっての価値に深く関わっているということです。時間とは、私たち人間にとって、出発点(理由)から到着点(目的)にたどり着く方法を表すものかもしれません。だから、「詳細は後回しにして」あなたの映画のあらすじの説明にチャレンジしてみてください。

 

A11_ワークショップ 経営ビジョン演習

1.あなたのやりたいことを100文字以内で説明しよう。

 

2.あなたのやりたいことを5W1Hに分解しよう

やりたいことからそのまま抽出
What
Why
How
Who
Where
When

3.やりたいことを50文字以内で書き直し

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