日本人と外国人

来週僕は、ブルネイに旅行する。

昨年3月成田に乗り入れたロイヤルブルネイ航空のキャンペーン価格を利用した格安ツアーで、ボルネオ島のコタキナバルに2日間とブルネイに2日間滞在し、往路と復路を合わせて6日間の旅となる。

今回は珍しく10万を超えてしまったが、僕の旅行はいつも5万円以内のパックツアーで「世界激安ツアー探検隊」と称して広く参加者を募る。

今回はFBの書き込みを見た母のいとこのCさんが参加して下さることになった。

そこで、久しぶりに探検隊のページ情報を見るとこんなことが書いてあった。

「まだ外国人になったことの無い人のために、気軽に世界を旅する「激安ツアー」の情報を発信する。」

僕たちに今必要なのは、自分が外国人になってみることだ。

日本にいる外国人が日本人から受ける仕打ちに対し、彼らの身になって考えるためにはそれは欠かせない。

昨年、日本人として初めてNBAドラフト1巡目指名を獲得した八村塁が大きな話題となったが、彼はペナン人の父を持つハーフでその容姿は日本人からかけ離れている。

幼少のころ、体格や肌の色、髪形などが遊び仲間たちと違うことに次第に気づくことで、周囲の偏見や差別を意識するようになった。

「日本人じゃない」ことを意識するということは、「自分は何者なのか」という疑問を持つことだ。

中学でバスケットボールに出会い、指導者からアメリカMBAを目指せと言われたことで本気になれたのは、そこが「自分の居場所」に思えたからだという。

ところが、米国の名門ゴンザガ大学に留学して大きな黒人選手たちと互角にプレイするようになったのに、彼は溶け込むことはできなかった。

なぜなら彼は、周囲の目には「日本人の八村塁」でしかなかったからだという。

でも、このことが八村塁を目覚めさせた。

仲間としての信頼や友情は、これから勝ち取ればいい。

僕は昨年からUST(ユナイテッドスクールオブ東京)というインターナショナルスクールの経営をサポートしている。

この学校の経営者はNさんというロシア人の女性で、もう20年以上日本で暮らしている。

彼女の夫はMさんという建築家で、こちらはイギリス人の男性だ。

彼らの間には中学生の娘と小学生の息子がいるが、二人は一体「何人」なのか。

娘は当初、地域の公立小学校に通っていたが、外国人ということでいじめや差別にあったという。

彼女は持ち前の明るさと社交性で、それを克服しようとしたが、努力すればするほどその反作用も増幅する。

結局、彼女の良さが更なる苦痛を生み出してしまうのを見ていられなくなり、インターナショナルスクールに転入させたとNさんは振り返る。

そして今、ビルの中で閉鎖的な運営に甘んじているUSTを、地域に開いて社会を繋ぐ学校に変える作業を僕は手伝っている。

外国人を差別するということは、外国人を見下す「日本人の優位性」を持つことが原因だ。

例えばそれは、「世界最長の天皇家につながる日本民族の優位性」だ。

確かに世界史の年表を見ても、天皇家が世界最長の王朝であることはギネスブックも認めている。

今上天皇は、神武天皇から数えて126代目だが、中には兄弟やいとこが継承したケースもあるので系図をさかのぼって世代数を数えてみると、73世代にわたっていることが分かった。

初代神武天皇の誕生日は、紀元前711年2月13日と言われているので、間もなく2721年が経過する。

これを73代で割ると、37.27年になるのであながち間違ってはいないと思う。

さて、今の天皇は昭和天皇と美智子様の2人から生まれたので、すべての天皇には2人の親がいる。

これを73世代繰り返してきたのだから、今の天皇の祖先は「2の73乗人」いることになる。

2×2=4を5回繰り返すと、「2の5乗=1024」となるので、それを2回繰り返した「2の10乗=約百万」となるわけだ。

「2の73乗」とは、百万の百万倍を7回繰り返してそれを8倍するわけだから、とんでもない数になるのは間違いない。

つまり、神様を含む世界のすべてにつながる素晴らしい家柄だというわけだ。

そして、すべての日本人はその血筋を受けている家族の一員だというのだが、果たしてそうだろうか。

百万の百万倍を7回繰り返してそれを8倍した数は、もはや八村塁を含むすべての人間どころか、すべての動物まで含まれてしまうかも知れない。

これまでの人間は、他の生物たちの生存を脅かすだけでなく他の人間を滅ぼす危険な存在だった。

だが、現代の人間は自分自身を滅ぼしかねない存在になりつつあることが、深刻化する地球環境の問題だ。

もはや人間同士の内輪もめをしている場合ではない。

「自分ファースト」とか、寝ぼけたことを言っている場合ではない。

「自分だけが助かること」でなく、「すべての人が助かること」を考える時代がやってきた。

今日は、いつになくスケールの大きな心になった。