桃太郎は盗人なのか?

昨日は夕方早めに帰宅したのでテレビをつけたら、「博士ちゃん」と呼ばれるすごい子供が授業をするバラエティ番組に見入ってしまった。

登場したのは、千葉県袖ケ浦市の市立奈良輪小学校6年の倉持よつばちゃん(12歳)。

昨年の9月下旬、なんと「桃太郎は盗人なのか? ~『桃太郎』から考える鬼の正体~」(新日本出版社、本体価格1500円)を刊行したという。

この小学校では毎年、「図書館を使った調べる学習コンクール」(図書館振興財団主催)に児童たちが応募しているが、よつばちゃんは2017年度のコンクールで、妹のひまりちゃん(8つ)と姉妹で優秀賞・NHK賞を受賞。

その副賞として贈られた絵本「空からのぞいた桃太郎」(影山徹、岩崎書店)の帯に「鬼だから殺してもいい?」と書いてあることに驚いて、調べてみると福沢諭吉が「桃太郎は盗人だ」と批判していたことも知り、「鬼ケ島の鬼は悪者なのか」と疑問を持ち、調べはじめた。

この番組では、サンドイッチマンの二人と戸田愛奈に対し、よつばちゃんが先生になって桃太郎の3つの残念を紹介する。

一つ目の残念は、そもそも桃太郎は「桃から生まれたのではなかった」こと。

桃太郎が最初に書籍化された江戸時代の本を見ると、おじいさんとおばあさんが桃を食べたら若返り、そこで生まれた子供だから桃太郎という筋書きだ。

それが明治時代になり小学校の教科書に乗せるため、子作りのエピソードがぼかされたらしい。

二つ目の残念は、もともと鬼は「悪者では無かった」こと。

これも江戸時代には、桃太郎の襲撃におびえ、逃げ惑う鬼が描かれている。

それが日清戦争の戦意高揚のため、鬼を敵国に見立て、悪者扱いしたらしい。

そして三つ目の残念は、なんと桃太郎は「悪い乱暴者だった」こと。

これは今でも歌として残っている。

1.桃太郎さん 桃太郎さん お腰につけた黍団子 一つわたしに下さいな

2.やりましょう やりましょう これから鬼の征伐に ついて行くならやりましょう

3.行きましょう 行きましょう あなたについて何処までも 家来になって行きましょう

4.そりゃ進め そりゃ進め 一度に攻めて攻めやぶり つぶしてしまえ 鬼が島

5.おもしろい おもしろい のこらず鬼を攻めふせて 分捕物をえんやらや

6.万々歳 万々歳 お伴の犬や猿雉子は 勇んで車をえんやらや

あらためて歌詞を見ると、「鬼が悪い」というくだりは、確かにどこにもない。

むしろ4.5.あたりは次第に残酷さを増していき、最後はタダ勝利に酔いしれるだけ。

図書館の司書さんたちの熱心なサポートもあり、よつばちゃんは様々な地域や時代の桃太郎を200冊以上読み比べ、その内容を疑問ごとに整理していった。

その結果たどり着いたのは、「鬼は悪くなんかない、むしろ桃太郎が乱暴な悪者だったのに、時代とともにそれが変化し逆転してしまった」という結論だ。

この分析には、プロの民俗学者も舌を巻く。

「人と鬼」の関係について、大きな謎を解明する手掛かりを与えてくれている。

疑問を持つこと、それはなんと素晴らしいことだろう。