無免許ビジネス

起業支援という仕事をしていると、「この仕事はどんな許可や手続きが必要でしょう?」という相談をよく受ける。

だが、許可や手続きが必要なのは、それが新しいビジネスではない証拠。

あなたにとって初めてでも、すでに誰かがやってるから、誰もができることだから、そこに許可や手続きが必要になる。

僕がいつも「起業≠創業」というのはまさにこのことで、「起業は新しいこと」で、「創業は初めてのこと」という意味だ。

タイトルの「無免許ビジネス」とは、もぐりやインチキで創業するのでなく、免許など存在しない新たな分野で起業することだ。

だが、実際には他にも様々な「無免許ビジネス」がある。

例えばその代表は、本人がやるビジネスだ。

多くのビジネスは、顧客の代わりに何かをやることなので、様々な規制やルールは顧客を保護するためだ。

弁護士、建築士、調理師など、顧客の代わりに裁判、設計、料理を行うから資格が必要なのであり、自分で弁護し、自分で設計し、自分で料理するなら、特に資格は必要ない。

僕が建設会社を経営しているとき、弁護士のHさんの自宅を施工した。

彼は、自宅を建てるのに設計士と意見が合わず、結局自分でJWCADを学び、設計して確認申請まで取ってしまった。

当然そんな恐ろしい弁護士の工事を請け負う施工会社などあるはずもなく、HさんはWEBで僕の会社を見つけてやってきた。

もちろん会社の人たちは、そんな仕事はやりたくないと言うが、僕はHさんのチャレンジに感心し、喜んで仕事を引き受け、結局その後Hさんとは親友になり、もう一軒自宅を建てることになった。

さらに言うと、自分がやらなくても他人に何でも許可できるビジネスがある。

それは、所有のビジネスだ。

土地や建物だけでなく、様々な所有物を貸すビジネスには制約がない。

もちろん犯罪や不正など、社会が認めない行為に対する規制はあるが、それ以外の規制はすべて「所有者」によるものだ。

つまり、所有とは「規制する力」であり、「何でも許す力」でもある。

ほとんどの人が、土地所有を不動産業と勘違いしているが、所有者が土地を売買や賃貸するのに何の資格も必要ないし、不動産業者を介在させる義務も無い。

僕が笑恵館の事業を内閣府に公益申請した時に、宅建の資格が不要なことを説明するのに苦労したくらいだから、この思い込みは半端じゃない。

だが現に、シェアハウスなど、不動産の又貸し業務には宅建業者の資格は要らない。

結局「免許がいらないビジネス」とは、「自由なビジネス」のことを指すが、当然ながらこの「自由」には、「責任」が伴う。

そもそもビジネスに制約があるのは、顧客を保護するためだと先ほど述べたが、実はその自由を制限することで守られているのはビジネスの方だ。

ビジネスは、顧客の期待に応えることで対価をもらうが、対価に見合う価値が無かったり、価値に見合った対価を得られずに継続しなければ失敗だ。

もちろんビジネスは成功を目指し、失敗したいわけではないが、顧客や取引先に損や迷惑を与える失敗を防いだり、失敗を償う責任がある。

僕が会社を潰した時、周囲から「社長の仕事は会社を潰れないように頑張ることだ」とよく言われたものだが、僕はそう思わない。

たとえ周囲に迷惑をかけても、それを許す上に応援していただけるような失敗をしなければ、再起は図れない。

むしろ「自由とは、失敗を前提にチャレンジすること」ではないだろうか。

こうして話を進めてくると、「とてもお金はもらえない」とあなたは思うかも知れない。

だが、僕の思いはその逆だ。

何の資格も無く、失敗を覚悟の上で、未知の課題に挑むこと・・・だからこそ、きちんと対価を請求し、責任を負う意思を明確にすべきと僕は思う。

なぜなら、僕が支援しようとする土地所有者は、他人に自由を与える「究極の自由」を行使できるから。

必要なことは、依頼者の身になって、依頼者の代わりに失敗する覚悟を持つことだと僕は思う。