技術の目的

先日R社の360度カメラを購入した。

名栗・森人間コンテストにエントリーして下さったKさんが持っているのを見て、衝撃を受け、即座に購入した。

スマホの幅を狭くした大きさのスティック状の本体の前面と後面に魚眼レンズがついているというシンプルな構造で、シャッターを押すと全方位が撮影できてしまう。

スマホにアプリを入れると遠隔操作が可能となるので、小さな三脚を一緒に持ち歩く。

このカメラで僕が一番驚いたのは、およそ目新しいテクノロジーが見当たらないことだ。

確かに魚眼レンズやバッテリーの小型化が無ければこの製品は生まれなかっただろう。

だが、新たな技術はこのカメラでなく、その周辺機器の方だ。

スマホやVRなど、手軽でウェアラブルな技術が無ければ360度画像を楽しめない。

実際このカメラにはディスプレイが無いので、アプリやSNSで見ることになる。

フェイスブックはすでに写真と動画に対応しているが、LINEはまだ動画に対応していない。

だがそれは些細な問題で、その気になればすぐに克服できるだろう。

昨日は甥っ子の結婚式だったので、早速いろいろ試してみた。

特に、360度撮れるのでカメラの向きを選ばないことと、スマホを使った遠隔操作が肝になる。

ケーキカットは、こっそりケーキのすぐ脇に置いて入刀シーンを接写した。

食事中は新郎新婦のテーブルに置いて、友達が酒を注ぎに来るたびに、撮影した。

こうしていろいろ試すうちに、カメラの能力が判ってくるのはもちろんだが、それより何のために使うかを考えることが面白くなってくる。

僕の愛車スーパーカブは、セルモーターの無いキック式の原付バイクなので、バッテリーが無くても始動や走行に問題ない。

ある時僕はそのことに気付き、バッテリー交換をやめたので、やがてバッテリーが上がってしまった。

その結果、どうなったかというと、始動時にニュートラルランプがつかないためニュートラルギヤを探すのが面倒なのと、電圧が不安定になったせいか、ランプが切れやすくなってしまった。

結局、半年ほど乗ったところでバッテリー交換をしたのだが、このバイクが電気無しでも十分生きていけることがよく判った。

つまり、長期間乗らなくても非常用として備蓄する目的に叶う乗り物という訳だ。

技術の進歩は、もちろん新たな発見や解決の積み重ねかも知れないが、それとは別に新たな方向や新たな課題を見出すことでもある。

様々な器具の軽量化や小型化が、初めは運搬効率や省スペースを目指していたとすれば、身に着けることを目指すようになったこと自体が大きな変化だ。

たとえ専門的な知識を持っていなくても、その技術が役に立つ新たな場面や世界観をイメージすることで、新しい技術を生み出すことができる。

iPHONEを生んだスティーヴジョブズは、きっとそんな人だったのだろうと思う。

だとしたら、僕らは技術者になるのは無理でも、スティーブジョブズみたいになれるのかもしれない。