今日から直接民主主義

総選挙は、結局自民の圧勝に終わった。たとえ与野党の得票数が互角でも、小選挙区制というからくりと、野党勢力の分断により多数決は反映されない。こうして、多数から支持されない政府が多数から支持されない法律を作り政策を実行していく。確かに政治家は国民のご機嫌を取るのでなく、信念に基づいて政策を語り実行すべきだと僕は思う。だが、戦争や原発などに関する多数の国民が嫌がる政策を、強硬に推し進める政権を止めるどころか信任してしまったかのような結果を受入れなければならないなんて、何かがおかしい。「様々な課題に対し、是々非々で考えたい」というのが国民の本意のはずなのに、選挙で選んだ代議士に委ねなければならないうえに、その代議士は所属政党の判断基準に従う「頭数」に過ぎない。こんな仕組みが、民意を反映する民主主義などと言えるのだろうか。

 

以前、安保法制に反対する人々が毎晩国会前に集まってデモを繰り返したことが話題になったが、審議や採決を止めることはできなかった。「これほど反対されたことを無理やり決めた」という印象を世界に発信し、人々の記憶に留めることはできたかもしれないが、こんなやり方で採決を阻止できるはずがないと、当時の僕は冷めていた。そもそも、採決を阻止するのでなく、多数が反対して否決するのが民主主義だ。全ての議員は選挙区で選出された代表なのだから、選挙区の市民の意見を代表していれば、それに従えばいいだけのこと。これを強行とか阻止とか言ってること自体、およそ民主主義からかけ離れている。だから僕は、市民は国会前で暴れるのでなく、自分が選んだ代議士の自宅前で暴れるべきだと当時主張した。

 

こうして選挙も議会も民意を反映しないのなら、「いっそ直接民主主義にしてしまえ」と僕は思う。すでに政治はSNSを使ってそれを始めており、SNSの拡散により民衆が政府を倒したり、大統領がツイッターで舌戦を繰り広げている。国会議員が何を言っても構わないが、その議決を彼らに委ねず国民が電子投票して議決してしまえばいいだけのこと。すでに企業では「議決権行使サイト」が開設され、株主総会などでの電子投票が行われ始めている。マイナンバーを実施して全国民を管理するのなら、国民だってこれを使って国を管理できるはず。そうすれば「丁寧な説明」は、「国民を黙らせるための巧みな言い逃れ」から「国民の賛同を得るための熱い言葉」になるはずだ。いくら議論をしたところで、初めから多数与党がすべてを決める茶番劇を繰り返していては、国民は「時間の無駄」と諦めざるを得ない。

 

実は、「直接民主主義」と「間接民主主義」の違いとは、市民が直接参加するか代表を選ぶかの違いではない。直接民主主義において選ばれた代議士は信任されたのではなく有権者の意思を委任された存在であり、有権者の意思に反する場合はリコールや再選挙の対象となりうる。一方、間接民主主義とは代表民主主義、代議制民主主義とも呼ばれ、有権者が自分の代表者(議員、大統領など)を選出し、実際の意思決定を任せる方法・制度であり、選挙で選んだ代議士を信用し一切を任せてしまうやり方だ。以前日本の政党には、いずこも内部派閥があり、もっと多様な意見が渦巻いていた。だが現在では、政党に属する代議士はサラリーマンと変わらない。今回、自分の立場を大事にする人たちがこぞって政党を離れ無所属になったことが、それをよく表している。

 

とはいえ、いきなり「直接電子民主主義」に移行するのは難しいし、そもそもそれ自体じっくり検討する必要がある。だが、「民意の反映しない政治制度は糞食らえ」ということだけは、はっきりと断言できると思う。そこで僕は、「今日からできる直接民主主義」を提案したい。それは、自分たちが選んだ代議士を徹底チェックすることだ。まず自分の選挙区で当選した代議士を知り、その人を監視することだ。そして、落選した代議士をはじめ政治を担おうと思う人はもちろんのこと、政治に関心のある人は常に選挙区の代議士に議論を求め、意見を言うべきだ。こうした議論をするためにこそ、SNSを使うべきだと僕は思う。そして、そのやり取りの中で代議士は有権者の同意を得るための説明をし、その結果を国会で語るべきだ。

 

というわけで、これからは政治家のつぶやきや書き込みを聞き流さず、思ったことをコメントしようと僕は思う。安倍首相が何を言おうと、自分の選挙区の選出議員に質問し、みんなの前で議論したい。そしてすべての選挙区で、みんながそれをやることが、日本版直接民主主義の始まりだ。難しいことはどうでもいい、素朴な疑問から始めよう。