笑恵館のNPO法人化を進めてきたが、最後の土壇場で団体名を「私たちの家」から「笑恵館クラブ」に変更した。設立の1週間前に団体名を変えるなど、我ながら大馬鹿だ。定款から設立趣旨書まで、全てに影響する大変更だ。なぜそんなことをしたのかというと、この団体がやろうとしている事業は「笑恵館」であって、「笑恵館のようなもの」ではないということが判明したからだ。また松村さんがうっとうしい話を始めたと思ってるあなた、そうなんです。でも、大事な気づきがあったので、今日はこの件について説明したい。

 

笑恵館は、東京都世田谷区砧にある120坪の敷地に建つ母屋と木造アパートの総称で、アパートの賃料収入を財源に自宅を地域のコミュニティ施設として開放し、うまく行けば自分の死後も家族に相続せず、そのまま継続経営していくプロジェクトだ。僕は即座に一般社団法人日本土地資源協会を笑恵館オーナーと二人で設立し、このスキームで公益法人になることを目指すことにした。ところが僕が、このスキームを応用して日本中の遊休不動産を非営利経営するという大風呂敷を広げたために、壮大な事業に取のり組むスキームとなってしまい、ひとまず公益申請は取り下げを余儀なくされることになってしまった。今回のNPO法人化は、この時の反省も踏まえて大風呂敷を我慢して、「特定非営利活動としての笑恵館事業」に取り組むミニマムな事業スキームを組み立てた。

 

笑恵館は開業から3年を経ており、具体的な事業はすでに構築済みで、あとは具体的な説明をするだけだ。笑恵館から派生した「おおがいさんち」と「さくまさんち」のサポート業務を盛り込んでまとめ作業に入ったころ、ふと疑問がわいてきた。これまで日本土地資源協会としてサポートしてきたプロジェクトを、笑恵館の傘下プロジェクトにしてもいいのだろうか。いやここは、笑恵館と対等に扱うためにも、法人名は別の名称にして笑恵館もその傘下に置いた方が自然だろう。日本土地資源協会から業務を移管する法人を、笑恵館クラブメンバーの有志が立ち上げたということで問題無かろう。「笑恵館はみんなの家」だから、みんなの家を担う団体は「私たちの家」でいいだろう・・・と、トントン拍子にアイデアが沸き、あっという間に企画書は出来上がった。そして最後に、団体設立の目的を設立趣旨書にまとめた。事前相談に応じてくれたNPOスタッフからも概ね賛同を得たので、最後に身内の笑恵館クラブメンバーに説明をした。

 

説明に対しメンバーたちは、「私たちの家とは【笑恵館のようなもの】のことですね」と、背筋も凍るような反応だった。「笑恵館はみんなの家、みんなの家を作る私たちの家」、つまり「名詞を名詞で説明し、それをまた別の名詞で言い換える」という最低の説明を僕は繰り返していた。「新しいものには名前を付けよう」という自分の術に溺れた愚行に気付いた僕は、その瞬間に我に返った。考えてみれば、僕はそのせいですでに行き詰まっていた。例えば「私たちの家」のロゴマークをどうしても思いつかないし、仮に思いついても、笑恵館のロゴマークと並んだら可笑しいに違いない。「のようなもの」は、お化けみたいな存在だ。「笑恵館という笑恵館のようなものを運営しています。」なんて説明はお笑い草だ。同じものに言葉は二つ必要ないし、違うモノなら違う名前を付けるべき。とにかく「私たちの家」は一瞬で吹き飛んだ。

 

という訳で、新NPOの名称は、「特定非営利活動法人笑恵館クラブ」とし、笑恵館のwebサイト、笑恵館のロゴマークをそのまま使用し、特定非営利事業の基幹事業は「笑恵館運営事業」と名乗ることにした。そして、「全国各地に笑恵館を作る」と言い切りたい。「確かに笑恵館と言い切ると、笑恵館しかできなくなりますからね」と誰かに言われた気もするが、でも僕は「笑恵館のようなもの」と「笑恵館」の違いなど、考えたくもない。僕の説明に対し、容赦なく「解りにくい」と言ってくれたメンバーたちに、心から感謝を述べたい。そして、こんな「うざい文章」にお付き合いいただき、今日は申し訳ない。