破たん後の世界②

「破たん後の日本をつくる」とはなにか(what)?・・・それは未来の選択だ。

今の日本には次の二つの未来しかない。

一つは、破綻せず何とか現状の危機を乗り越える未来。

もう一つは、残念ながら破綻を迎え、そこから再スタートする未来。

もちろん僕は、後者の未来を選択し、ともに歩む仲間を募りたい。

そのためには、日本が迎える破たんについて、もっと解りやすく説明する必要がある。

「破たん」とは、取り返しのつかない失敗をして、解決の見通しが立たなくなること。

一部あるいは全部の債務が不履行となるため、債権者という被害者が必ず発生する。

これ以上放置・先送りできないと判断した債務者が、自分の意志で名乗り出ることで成立する。

したがって、実質的に破たん状態になっても、宣言しない限り破たんとはならない。

今の日本は、まさにそんな状況で、取り返しのつかない問題のオンパレードだ。

赤字国債、金融緩和、高速増殖炉、国立競技場、豊洲市場などなど。

でも、安倍首相はもちろんのこと、小池都知事だって「破たん宣言」する気はない。

これから解決に向け、「頑張ります」というばかりだ。

だが僕は、この現状を「破たん状態」と見る。

そして今、僕たち自身が「破たん宣言をするかどうか」を考えるべきだと、僕は思う。

もしもあなたが、現状を破たん状態と考えないのなら、解決策を考えて実行すればいい。

だがもしも、そうでなかったとしたら僕たちは一体どうすればいいのだろう。

だから、僕の議論はここから始まる。

「破たん状態」を前提とし、「破たん宣言」をするかどうかを論じたい。

はじめの問いを、こう言い換えよう。

今の日本には次の二つの未来しかない。

一つは、「破たん宣言」せず何とか現状の危機を乗り越える未来。

もう一つは、残念ながら「破たん宣言」をし、そこから再スタートする未来。

日本は破たん状態ではないと考える人や、たとえそうでも結局日本は破綻しないだろうと考える人は、是非とも前者の未来を選び、「日本がすでに破たん状態にある」という前提を否定してほしい。

そして、現状の様々な危機を乗り越えた状態や、その後どんな世界を目指すのかを思い描いてほしい。

僕はそれを否定する気はないし、請われればいつでも協力を惜しまない。

だが、僕自身は後者の道を選ぶ。

それが「日本がすでに破たん状態にある」という前提を認める考え方だ。

その場合は、さらに被害が拡大し、破滅へと向かっていく、悲惨な未来を描くことから始まる。

そして、なぜそれでは困るのか、それとは違う明るい未来は何なのかを考えることが僕の提案だ。

このように、破たんを「認めない」のと「認める」のでは、その先にある遠いゴールが違ってくる。

たとえ同じ現状でも、ゴールにたどり着けるかどうかが、破たんしているかどうかの決め手となる。

したがって、現状をすべての人が「破たん状態」と考えるわけではない。

たとえ何年赤字が続いても、当初のビジョンを実現したAMAZONは世界の覇者となった。

原発の普及を夢見た人にとっては、現状は「破たん」ではなく、「苦難の道半ば」かも知れない。

日銀の異次元緩和がバブルの再来を実現し、日本中がまた好景気に沸く日が来るのかもしれない。

だがそうであるならば、堂々と原発の作る明るい未来を語って欲しい。

例え万が一、放射能が漏れて周辺地域が立ち入り不能になろうとも、リスクを取る価値があると。

今度こそ、いいバブルがやってきて、はじけることなくみんなが金持ちになれるはずと。

何を目指そうとその人の自由だが、「目指してきたゴール」を明確に語って欲しい。

だが、こうした言い分をすべて鵜呑みにする気には、なれない人もいる。

このままでは、目指すゴールにたどり着けないどころか、違うゴールに向かってしまう。

今ゴールを変更し、みんなに伝えなければ、取り返しのつかないことになる。

今僕は、そんな人たちとゴールの見直し作業を始めたり、その手伝いをしたい。

つまり、「破たん宣言」とは、「ゴールの変更」に他ならない。

今まで「やってきたこと」を変えるのでなく、今まで「目指してきたゴール」を変えること。

そのためにまずやるべきことは、今まで「目指してきたゴール」を明確に語ること。

ここであなたに気づいて欲しい。

破たんを認めなくても認めても、やるべきことは同じということ。

だがそれは、決して簡単なことではない。

「目指してきたゴール」を、判るように説明するのは「自分自身の仕事」だ。

なぜなら、それを知っているのは自分しかいないから。

カンニングをしても、真似をしても構わないが、答えは自分で見つけるしかない。

そして、その「目指すゴール」を語ることからすべてが始まる。

「言ってること」と「やってること」が一致していなければ、それは「破たんの兆候」だ。

どちらかを修正しないと、やがて辻褄が合わなくなる。

不本意な家族関係、不本意な仕事、不本意な投票、不本意な時間に甘んじて、不本意な人生を過ごす。

そんな自分自身の破たんが、社会の破たんを受け入れてしまう原因だ。

「破たん後の日本をつくる」のは、「破たんの無い日本を目指す」こと。

長い目で見れば、破たんした日本が消滅し、破たんのない日本だけが存続するのは当然のことだろう。

ここでいう「日本」とは、日本で暮らす僕たち自身と、僕たちが作り出す家庭、会社、社会のこと。

目指すことを語り、それを実行に移すものが継続し、辻褄の合わないものが消えていく。

今僕が危機感を感じるのは、自分の目指すことを語る人が少ないこと。

だから僕は、破たん後の日本を作るために、「事業目的の作り方」を考えることにした。

この文章も、僕のやりたいことをわかりやすく語る試みだ。

簡単ではないが、仕事とはそういうものだと僕は思う。