十分なこと

かつて世田谷区で、相談窓口を開設していたころ、相談者のほとんどが「営業のやり方を教えて欲しい」という相談だった。

彼らは概して起業間もない訳でもなく、数年から20年ほどの業歴を持つ、ある意味ベテラン事業者だ。

相談の理由ははっきりしていて、「これまでずっと、営業活動らしいことをしたことが無いので、どうしていいのかわからない」と口を揃える。

営業活動もせず、これまでどうやって仕事を取ってきたのかと尋ねると、「独立後、お客さんや友人たちの縁に恵まれ、何とかやってこれました。本当にありがたいことだと思っています」と、これまた誰もが同じことを繰り返す。

そう言われてみれば、確かに似たような話はあちこちで聞いた気がする。

いやむしろ、日々営業活動した結果、こうして何とかやってこれました・・・的な話は、あまり聞いた覚えがない。

ある相談者はすでに仕事が減り始め、危機感を募らせてやって来て、「40を過ぎたころから、安くて若い商売敵に顧客を取られ始めた」しまうという。

そこで僕が「その若い人たちは、営業活動をして客を取っていくのか?」と尋ねると、「いや、そうでも無いらしい。

ひょんなことで顧客と知り合って、安くて一生懸命だからと顧客の方から乗り換える。」と答えた後、「考えてみれば僕らだって、若いころそうやってお客をつかんできた。

だから、お客の気持ちもよくわかるし、僕らには先が無い。」とつぶやくのだ。

結局彼らは、若いころたまたま顧客に拾われて、今捨てられる歳になったに過ぎない。

越谷で風俗嬢の自立支援をしているK君が「風俗嬢は40歳を過ぎると客が離れ、路頭に迷うリスクがある。」と言っていたが、これはデザイナーでもエンジニアでも同じこと。

自分の力でビジネスを生み出さない人は、このリスクから逃れられない。

どんなに努力しても、誠実に仕事をしても、それらはビジネスの必要条件にすぎない。

継続し、生き残るためには、競合に挑んで勝ち残るか、競合のいない世界を切り開くしかない。

僕はそのことを「ビジネス」と呼んでいるに過ぎない。

ビジネスは、事業目的の実現に挑むこと。

あらかじめ決めた目的を達成することを「営業」と言うならば、それは「ビジネスそのもの」だ。

「実現の反対」を「まぐれ」というが、相談者たちはみな、まぐれで稼いできた人たちだ。

今からでも決して遅くはない、自分で仕事を取りに行こう。

まだまぐれが続きそうな人達や、当分安泰な会社で働く人は、いまこそ自分のやりたいことにチャレンジするべきだ。

自分で仕事を生み出すということは、仕事がうまく行く状況を具体的に思い描き、その実現に「十分なこと」をやることだ。

たとえまぐれで仕事が舞い込んでも、それを成果に計上せず、意図して得た成果だけで生き残ることを目指したい。

そんな真剣勝負だからこそ、このゲームは

その気になったあなたがやるべきことは、ビジネスの設計図を作ること。

それはあなたがやりたいことの、リアルな「完成イメージ」だ。

そんなあなたをサポートし、加速するためにスタートした「オンライン」の題名は、まさに「事業目的の作り方」というわけだ。