201605262

「起業」とは、お金を使わないチャレンジのこと・・・というのが僕の持論だ。その理由は3つある。まず第一に、お金を使うためにはお金を調達しなければならない。開業資金や元手を稼がないと起業できない・・・と思いこんでいる人は、やがてお金を調達できないことを起業できない理由にしてしまう。起業で大切なことは、できない理由を作らずに、実行することだ、次に、お金をかけると失敗時の被害が大きくなる。そのお金が苦労して貯めた貯金であればもちろんのこと、借金だったらさらに大変だ・・・と考えるようになれば、おのずと失敗を恐れ、大胆さを失うことになる。起業で大切なことは、自由に伸び伸びとやることだ。そして三つめは、お金を使うことで他人の力を当てにしてしまうこと。僕は、これが一番深刻だと思う。

そもそもお金を使うのは、自分でできないことをやるためだ。材料を買うのも、人を雇うのも、電車に乗るのも他人を当てにするからお金がかかる。自分で材料を拾い集め、自分ですべてを行い、自分の足で歩いていけば、お金はかからない。僕は別に「物を買うな」とか「電車に乗るな」と言っているのではない。ただ、物を買ったり電車に乗るのは「起業ではない」と言いたいだけ。そんなことはあなたでなくてもできること、お金さえ払えば誰にでもできることを、僕は「起業」とは呼ばない。もしかすると電車に乗ることは、あなたにとっては初めてのことかもしれないが、それは起業でなく創業だ。ほんの一部でもいい、自分自身でやる部分のことを「起業」と定義したい。

「お金を使わない起業」の価値は、「原価ゼロ」ということだ。これを販売すれば、絶対に利益が出る。考えてみれば、すべての原価は人件費だ。人間以外のモノや生き物は、ヒトが関わらなければすべて無料で、自由に使える。お金がかかる唯一の理由は、そこに関わる人間がお金を要求するからだ。その人たちは、無料で手に入れた資源に値段をつけて売っている。僕の言う「起業」とはこのことだ。ビジネスの基本は、自分の身の回りにある無料の材料に価値を付けて売ることだ。もしもそれが無料でなければ、その原価にさらに価値を上乗せして販売する。そのとき、「自分の力で上乗せした分」こそが、あなた自身の商品だ。所詮付加価値とは、自分の力でゼロから生み出さなければならない。

もちろん原価ゼロで商品やサービスを生み出すのは簡単ではない。だが、難しいからこそ価値がある。簡単にできることなら、誰もが自分でできるから、商品やサービスは必要ない。他人にできないことをやるからこそ、それは対価に値する。確かにお金を払うことで、自分にはできない難しいことができるようになるだろうが、それは正確に言えばできるようになったのではなく、やってもらっているだけのこと。「飛行機に乗れば空を飛べる」ではなく、「空飛ぶ飛行機に乗せてもらっている」に過ぎないことを忘れてはいけない。お金を払うということは、お金の力で「何かができる」のではなく、「何かをしてもらう」にすぎないと僕は思う。

ビジネスの継続とは、顧客に選ばれ続けること。そのためには、トップ(一番)になるか、ユニーク(唯一)になるかのいずれかだ。トップになれるのは一人だけということは、多くの人はユニークなビジネスを生み出さなければ生き残れない。そのために、「自分にしかできないこと」かどうかは別にして、「自分しかやらないこと」を持つことが大切だ。しかし、「自分しかやらないこと」は、お金の力では実現しない。「お金でできること」とは、所詮「お金を払えば誰にでもできること」だからだ。だからビジネスはお金を使わずに生み出し、試すこと。そして、顧客から求められるようになった時、お金を使って拡大し、加速すればいいと思う。