軽蔑と尊敬

今年のUNIQLOは「エアリズム」で攻めている。「熱いから、もう1枚着る」というCMでメンズ・レディス双方の画期的アイテムと歌い上げているが、僕らおじさんから見るとチャンチャラおかしい。だって、アンダーシャツを着るのが当たり前だし、下着なしでシャツを着ることの方がずっと異常だ。また、品ぞろえも「半袖、長袖、ステテコ」と全く新しくない。あえて「何が新しいのか」を調べてみると、「ナイロン」、「キュプラ」、「スパンデックス」の3種類の化学繊維でできていて、おなじみの綿ではないところだ。さすがUNIQLO、今回も「機能」を武器に、見事に化学繊維を売りつけている。

まず、「ナイロン」については、「ニューヨーク万国博覧会(1939年)で売り出され、その1年後に女性のストッキング生地として大評判になった。第二次世界大戦の最中、米国はアジアのシルクを入手することができず、パラシュートや防弾チョッキをつくるために使用した。汗をかいても快適なナイロンは、エアリズムにとって重要な素材である。(UNIQLOサイトより)」とくる。

次に「キュプラ」については、「天然素材のような手ざわりが特徴のセルロース素材である。20世紀初頭に開発された、レーヨンとビスコースをはじめとするこのタイプの繊維は、1930年代に流行した、スリムでありながらエレガントなファッションの素材として注目を集めた。化学繊維は大人気となり、1937年にニューヨークで行われたファッションイベントは、その参加者たちがこぞってレーヨンで洋服をつくったことから、「魅惑のレーヨン祭」と呼ばれたほどだった。やわらかな肌ざわりの「キュプラ」は通気性にも優れており、暖かい季節に最適だ。」

最後の「スパンデックス」については「その伸縮性が特徴だ。最初に紹介された1958年ころには、スポーツウェア専用の素材だったが、次第にタイツやレオタード、ボディスーツにも使用されるようになった。一気に採用されるアイテムが増えたため、1987年には極度の品薄状態になったが、1990年には供給が安定し爆発的に普及した。最近では、スパンデックスが少量含まれている洋服は無数にある。」という調子。結局、何度読み返しても何を言いたいのかよくわからない文章だが、丁寧な説明という点では好感が持てる。もしかすると、この「好感」こそが、ここで求められるすべてなのかもしれない。

しかし、こうしたUNIQLOの姿勢は、大いに見習うべきだと僕は思う。一時代前のあたりまえも、化学繊維の目指したものも、その時代背景に嘘はない。歴史の事実に裏付けられた事柄を、それを知らない人たちに「丁寧に説明すること」は、間違いなく「新たな提案」となり「思いを伝えたい」というメッセージにもなっている。知らない人たちに何かを伝える難しさを、僕はよく知っているからこそ、そのことにきちんと取り組んでいるUNIQLOを軽蔑し、尊敬する。