リース商法の種明かし

笑恵館ではカラープリンターをリースして、会員の皆さんにも格安で利用していただいている。

特にカラー印刷は自宅のインクジェットを使うと案外高くつくので、写真などの印刷は絶対レーザーがお得だ。

だが、レーザープリンターは高価なので、笑恵館でも6年リースで利用している。

ところが先日、笑恵館に「新しい複合機を導入しませんか」という営業マンがやってきた。

「現状のリースの残り分も含め、新たなリースに組み替えて、

リース料金とカウンター料金の双方を今より安くすることができる」という提案だ。

なるほど、確かにこういう営業マンは時々やってくる。

いい機会なので、そのからくりをじっくり聞いてみることにした。

営業マンに対し、「すべての面で現状よりお得な提案をすること」を条件に現状リースの契約状況と印刷枚数などの数値データを渡したところ、次のような提案が返ってきた。

  1. リース料(月額)は税込みで据え置き。(従前5%→今回8%)
  2. カウンター料金は若干値下げ。
  3. これまで未対応だったMac接続とトレイ増設。
  4. クレジット期間8年

なるほど1~3は、明らかにお得な提案だが、4がまるで解せない。

現状6年リースのうち既に2年半支払い済みなので「3年半の残債」が、「8年のクレジット」になるわけだ。

これに対する説明を求めると「3年半が8年になるわけだから、実質4年半のクレジットとなり、1年半分もお得になります」という答え。

「しかし、クレジットではこちらの所有になり、廃棄処分費などもかかるじゃないか」と切り返すと、こんな答えが返ってきた。

「その御心配には及びません。いずれにせよ、8年も使うことなどあり得ません。また2~3年したら、誰かが営業にやってきて、さらに良い条件で新しいご提案に参りますから。」と。

この答えを聞いて、僕はすべてのからくりが分かった気がした。

まず最初に思い出したのが、先日既存のコピー機を納品した会社が別の提案に訪れたことだ。

自分で6年リースを売っておきながら、3年もしないうちに次の営業に来るとは、社内の連絡ができていないのかと思っていたが、そうではないらしい。

彼らはマジで、次の機械を売り込みに来たわけだ。

6年リースとは6年使うことではなく、72回払いにすれば買いやすくなるだけのこと。

彼らは次の買い替えまで6年待つ気などサラサラない。

むしろ、他社が来る前にリピート営業をかけることの方が大事だ。

だから、今回の8年クレジットは「1年半分もお得」ではあるが、リース残を残して旧機種を捨てることによる「3年半分の損」が発生し、差し引き「2年分の損」が発生する。

これを先送りにすることで実は債務が増えているのだが、日々の支払いが変わらなければその痛みを感じない。

おそらく多くの人が、こんな疑問すら持たないだろう。

でもちょっと冷静になれば、8年払いでOA機器を購入するなど、今時ありえないことだ。

そして3年後にやってくる営業マンは、さらに好条件で、10年払いを提案してくるというわけだ。

と、偉そうな僕自身、携帯電話を途中乗り換えしたことがある。

考えてみれば、車を車検ごとに買い替えるのも同じこと。

購入側が得をする仕組みなど、絶対にあるはずはない。

問題は、先送りした債務を忘れること。

そして、目先の機能を優先し、長く使えることの価値を忘れてしまうことだと思う。

国も企業も市民までもが借金をすることで成長する経済と、早く決別したいと僕は思う。