20160401

今朝テレビを見ていたら、暴力団について解説していたのでつい見入ってしまった。特に最近山口組から離脱した神戸山口組が引き起こす様々なトラブルが、暴力団という社会問題の構造を浮き彫りにしていて興味深い。そもそも暴力団の歴史は古く、江戸時代のまち火消から発祥したという説がある。暴力団という名称は、警察がつけた呼称を戦後マスコミが広めたものだとか。あえて定義するなら、組織的に違法・脱法行為を行うアウトロー(法外)的存在だ。既存の法律を整備し犯罪として取り締まっても、次々に新たな手口を生み出してイタチごっこが繰り返されるばかり。そこで1992年「暴力団対策法」が施行され、暴力団そのものの規制に乗り出した。

この法律では「指定暴力団」を新たに定義し、その定義に該当する暴力団に対し様々な規制をかけていく。昨年施行された「空き家対策特措法」が「特定空家等」を定義しそれを規制するのと同じ手法だ。現在指定されている暴力団は、山口組を筆頭に全国で21あるが、施行当時10万に程度いた構成員数は、現在5万人を下回るまでに減少した。しかしそのうちのなんと1万人が山口組の構成員だ。まさに山口組は暴力団ビジネスのトップ企業として君臨し続けている。今回の神戸山口組の離脱に対し山口組が抗争圧力をかけるのには、業界トップの威信がかかっているといえるだろう。これまで山口組が傘下の組長に課してきた「しのぎ(上納金)」は95-105万円/月なのに対し、神戸山口組は10-35万円/月と格安だ。そのせいでブランド力を背景に高値を維持してきた山口組も、65万円程度まで値下げを余儀なくされているという。しかしNHKもすごい説明をしてくれる。

こうした背景からますます激化する抗争は、今年になってからだけで70件以上全国で多発的に発生している。ところが創業間もない「神戸山口組」の実態が把握できないため、「指定暴力団への指定は5月末の見込み」とのことだ。指定がない以上「これから問題を起こすかもしれない」と言うだけの理由で取り締まることができないのは、テロとよく似た状況だ。サリンをばらまいたオウム真理教を取り締まる際にも、多くの法令を作り、社会の仕組みを整える必要があった。指定暴力団の内最大の5組を擁する福岡県では、41日から「暴力団組員離脱・就労支援事業」がスタートした。暴力団組員に離脱を促し、就労者として受け入れる企業を助成する。暴力団が生み出す被害やその防止・取締りにかかる費用を考えれば、暴力団員の更生に税金を使う価値は十分にあるという。そして実際に離脱する組員たちは、組からの報復や嫌がらせを恐れた地域での潜伏を希望するため、全国の自治体の連携が求められているという。イタリアではこうした取り組みがマフィアの弱体化に絶大な成果を上げたという。

僕はこの番組を見終わったとき、「ビジネスの更生」という言葉が頭をよぎった。それは、ビジネスが時代と共に変化する中で、いつしか「社会悪=社会に根付いた悪の仕組み」になることは決して少なくないこと。ビジネスと癒着した政治、利権と癒着した行政、弱者と社会保障を食い物にするビジネスなど、一見社会に役立つように見せながら、いつまでたっても問題解決をもたらさないことを、僕は「社会悪」と定義したい。問題解決を目指すといいながら血税や生活費を巻き上げ続け、いつまでも解決せずに言い逃れし続けるビジネスは、もはや「悪」ではないだろうか。しかしそんな悪でも、そこで糧を得て生きている人を抹殺するわけにはいかない。その悪が社会に害をもたらさないよう警告し、更生の道を示す必要があると思う。「なぜ、そんなおめでたいお節介を焼くのか」と疑問に思う方にはこう説明したい・・・その社会悪を更生させることが「解決」だからと。「実際の解決」を目指すことを諦めたその時から、自分だって社会悪に近づくのではないだろうか。